怪獣娘と発情期   作:電王牙

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一言シリーズからの派生シリーズ。

向こうとはパラレル設定です。

こちらの時空では

・交際手前~始めくらい
・初夜は迎えていない
・名前は一律で○○と表記されるけど別人
・怪獣娘に発情期的な症状がある

……という前提でお送りします。

また、共通でその回メインの怪獣娘の一人称視点でお送りします。


case1 宮下アキ/アギラ

 

朝、スマートフォンのアラームでボク、宮下アキは眠りから引きずり起こされた。

 

布団から這い出て右手を伸ばして充電器に繋いであるスマホの画面を操作してうるさいアラームを止める。

 

意識が覚醒していくに連れて体の違和感がはっきりしてきた。

少し熱を持っているように熱く、視界が普段より明るい。キッチンでお母さんが料理をしている音もハッキリと聞こえる。

その症状にボクは確信に至った。

 

「……発情期、来ちゃったか」

 

 

怪獣娘は怪獣の魂を受け継いだ少女達であり、その大半は中学生から高校生の思春期に怪獣娘として覚醒する。

そして覚醒から半年くらいを機に『発情期』と呼ばれる症状が発症する。

 

……発情期といっても動物みたいにえっちな気持ちになったりという訳じゃない。

感情の振れ幅が激しくなったり、感覚が鋭くなったり、体が重くなったり……症状は個人によって違う。それらの症状が発生するのを一括りにしたらそういう名前になってしまったらしい。

 

発情期は通常の生理周期に割り込む形で3~4ヶ月くらいに1回、1週間程度の期間発生する。この期間は二十歳を越えてくると間隔が長くなってやがて無くなるらしい。

 

──きゅるるるる……

 

ボクのお腹が音を立てた。

 

「……お腹空いた」

 

ボクの発情期の症例は主に食欲の増進と軽度の感覚の鋭敏化とダルさ……そこまで酷くはない。

 

「お薬残ってたかな……」

 

生理用品入れからGIRLSで貰える抑制薬を取り出す。

シートに入れられた発情期抑制薬の錠剤の残りは充分にあった。

 

「……顔、洗わなきゃ」

 

ボクは洗面所に顔を洗いに行った。

水はいつもより冷たく感じた。

歯を磨く時の歯磨き粉のミントの味もいつもより強く感じた。

 

お腹の空腹感が酷く、朝ごはんをぺろりと平らげてご飯のおかわりも3回もしてしまった。

 

……発情期の後は体重計に乗るのが怖くなる。

けどこれはボクが悪いんじゃない。発情期の症状が悪いんだ。

そう自分に言い訳しながらボクは学校に行くのだった。

 

「アキ、おはよう」

「……うん、おはよう」

 

通学中に○○と合流する。

普段より鋭敏化した嗅覚が○○の匂いを感じ取る。

凄く安心する匂いだ。

 

「……調子、悪いのか?」

「…………怪獣娘のあの日」

「あ、ごめん……」

「ううん、いいよ……」

 

○○にたずねられてボクは小声で耳打ちする。そのどさくさで彼の香りを吸い込む。

ふふ、いいなぁ……。

 

 

 

気持ちが少しふわふわした状態でボクは1日を過ごしていた。

抑制薬は効いているみたいだけど……普段よりなんとも思考がふわふわしている。

症状が変化したかもしれない。

 

そうしているうちに下校時間になった。

今日はこのままGIRLSに行って症状を確認してもらう。

 

「アキ、今日はどうするんだ?」

「GIRLS行って、ちょっと検査してもらう。……症状、強くなったかもしれないから」

「付き添おうか?」

「……うん。お願い」

 

 

GIRLSに到着して医務室に行くとそこには白衣を着た小柄な女性、朝日野先生が居た。

 

朝日野 ショウカ先生。GIRLS専属の女医で怪獣娘に一番詳しいお医者さん。

……見た目はどこからどう見ても子供にしか見えないけど、28歳。ボクより干支1周分は年上だ。

 

「アギラ、どうしたのかな?」

「その……今日、抑制薬を飲んだらあんまり効いてなくて……」

「ふむ……詳しく聞こうか。あ、○○。君は外に出ていてくれ。デリケートな話だから」

「はい」

「あ……」

 

○○が部屋から出る時にボクは寂しさを覚えた。

 

「む……。ふむ……それでは幾つか訪ねるが……」

 

 

ボクは朝日野先生の質問に答えて行った。

 

「……症状が少し強まっているみたいだな。一段ほど強い薬を処方しよう」

「ありがとうございます」

「明日から重くなってくるだろうから今日はもう帰って休むといいよ」

「はい。では失礼します」

「お大事に。あ、○○も付き添わせていいよ。私の方から連絡しておくから」

 

 

ボクは医務室をから出て○○と合流した。

 

「お帰り、どうだった?」

「うん……今のより強いお薬貰った」

「そっか」

「今日はもう帰るよ。……○○、付き添って貰っていい?」

「わかったよ」

 

 

ボクと○○は帰りの電車に乗った。

帰りの電車は少し混んでいてボクは入り口付近の壁を背に立っていた。

○○はボクと他の乗客の間に壁になるように立っていた。

 

間近で○○の体臭が嗅げてしまうからさっきから思考が少しクラクラしてきた……。

 

「アキ、大じょ……うお!?」

「!?」

 

電車が揺れて○○はボクの方に倒れかけた。

○○の胸にボクの顔が埋まり、至近距離で直接、彼の濃厚な匂いを一気に嗅いでしまい、ボクの思考はフリーズしてしまった。……頭がクラクラしてきた。

 

 

「はぁ……はぁ……」

「アキ、大丈夫か?」

 

○○がボクのことを心配してくれて嬉しい。

 

「ん……!…………だい……じょうぶ」

 

嘘。あんまり大丈夫じゃない。

頭はぼんやりと落ち着いて、胸はすごくドキドキして、体が興奮している。

 

……早く到着しないかな。このままだとちょっとマズイかも……。

 

 

 

 

やがて電車は地元駅に到着してボク達は電車から降りた。

帰る前にベンチに座って少し休むことになった。

 

「アキ……息荒いけど、本当に平気か?」

「うん……。ちょっと症状強まってるだけだから……」

「電車の中で疲れたのか?」

「……そうかも」

 

嘘は言ってないけど、一番効いたのは○○の匂い。

 

「……おぶって行こうか?」

「そ、それは……」

 

してほしいけど…………。

 

「は、恥ずかしいから……やだ……」

「わかった。なら肩貸すよ」

「うん……」

 

 

そうして、ボクは○○に肩を貸して貰って帰路に着くのだった。

 

 

「そんじゃまた明日な」

「うん……ねぇ、○○……」

「ん?」

「その上着貸してくれないかな? 」

「上着?別にいいけど……」

 

そう言って○○は上着を貸してくれた。

 

「ううん、ありがとね」

 

 

ボクは自分の机の上に○○の上着を置いた。

そして夕飯をご飯5杯分たっぷり食べて、お風呂を済ませてパジャマに着替えて部屋に戻った。

 

 

「…………よし」

 

ボクは布団の上で○○の上着に顔を埋めて、一気に鼻で息を吸い込んだ。

 

「!!!」

 

上着に残留した○○の香りがボクの頭の中を突き抜ける。

「ん……はぁ……♥️」

 

もっと……もっと……♥️

 

ボクは何度も上着の匂いを嗅いだ。

○○の残り香がボクを興奮させて止められない。

 

○○匂いを嗅ぎながらボクは眠りへと落ちていくのだった。

 

 

 

…………その夜は○○とのえっちな夢を見て、次の朝に下着が大惨事になっちゃったのは秘密。

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