第2弾はウインちゃん編。
そこそこボリュームある話になりました。
尚、私の中のウインちゃんの恋愛に対するイメージとしては『自分からは中々告白できない』という部分がある想定。
その日、私こと白銀レイカは学校を休み、自宅で静養していました。
風邪などでは無く、怪獣娘に周期的にやってくるという……その、発情期です。
私の場合は症状が重く、激しい体の怠さに加えて感情の振れ幅がとても大きくなるようです。
なので現在は処方薬を飲みベッドに横になっています。
「暇……ですね……」
体の怠さこそありますが、思考はお薬の効果もあってだいぶ落ち着いています。
けど、ただ横になっているだけでは中々に手持ち無沙汰です。
「まだ11時か……」
今頃クラスのみんなはそろそろお腹を空かせて授業受けてるのかなー……とボンヤリ考えて……それからGIRLSの皆さんのことを思い浮かべました。
アギさんは少し寝惚けたような眼をしているから本当に眠そうなのか分かりにくいだろうなー、とか。
ミクさんは涎を垂らしながら居眠りしたり、教科書を立てて漫画みたいに早弁したりしてそうだなー、とか。
「ふふ……♪」
そんな事を考えると自然と笑みが溢れていました。
そのまま私の頭には○○さんの事が浮かびました。
「……○○さんも今頃学校ですよね」
○○さん。GIRLSに入ってから良くしてくれている先輩で優しくて素敵な殿方。
控えめに言って私は○○さんに恋をしている。
まだ、片思い。いつか好き、愛している……そう伝えたい。
あなたに私の身も心も全てを捧げたい。
「いや、これは恥ずかし過ぎますね……」
頭を振って雑念を払う。……きっと顔は赤くなってるかも。
「……エレキングさんには発情期で休んでいると連絡したから……○○さんにも伝わっていますよね……」
エレキングさん。GIRLSの先輩で、私とは同じ作品を愛する仲間。
推しカプも同じで、趣味を隠さずに堂々としている美人で素敵な女性。
○○さんはエレキングさんの同級生でエレキングさんの想い人と共に三人組で幼馴染み。
「……ずるい」
……?
エレキングさんと○○さんは同じクラスで過ごしている。
「……いいなぁ」
…………あれ?
幼馴染みということは私の知らない姿をたくさん知っている。
「なんで……なんで……」
……………………どうして?
エレキングさんは私の知らない○○さんの事を私よりたくさん知っていて、今も一緒に過ごしている。
そう考えたら自分の中で感情が溢れて来ました。
嫉妬。
エレキングさんのことをとても妬ましく思ってしまった。
お互いに苗字呼びだけど、それでも、とても仲がいい。
「はぁ……ふぅ…………」
ただ、すぐに自分の感情が落ち着いてエレキングさんに対してそんな風に思ってしまった自分を客観的に捉えて……なんて酷いのだろうか……そう思ってしまった。
こんな嫉妬、意味が無いのに。
それでも悔しい。悲しい。
「…………ひょっとして症状、悪化したのかも」
いつもの発情期なら薬 を飲めばこうはならない。振れ幅が激し過ぎます。
今度、医務室で相談しないと……。
「……切り替えないと」
無理矢理に思考を切り替える。このままだとまた暴走してしまうかもしれない。そこまで行かなくても感情が溢れてどうなるか分からない。
「よっ……と」
重い体を起こしてベッドから出る。本棚に並べた『お前にピットイン!』の単行本を手に取る。
「……よし!」
深呼吸して思考を読書に集中させます。うん、今の状態なら普段より心揺さぶられるかもしれません。
「……いい、すごく……いい……!」
はい。軽く号泣しました。
劇場版を見た後で、改めて1巻を見るとまた違った視点を感じられました。
「……この鑑賞方法、いいかもしれませんね」
褒められたものではありませんけどね。
そして、私はそこから禁断の方向に思考が傾きました。
クローゼットの鍵付きケースの中に仕舞われた、コッソリと買ったR-18指定の同人誌(BL)。
「……!」
ごくり、と生唾を飲み込み。厳重なロックを解除してその中からお気に入りの1冊を取り出しました。
「はー……はー…………ふぅ……」
私の心臓は激しい鼓動を刻んでいました。……それではいざ!
……結論から言いますと普段以上に興奮状態で読んでしまい…………その、体がとても昂ってしまいしました。
それでまぁ……はい、慰めるのに暫く時間を要してしまいました。
そして、精根尽き果てて眠りに落ち、空腹から意識が覚醒し、気が付いたら夜になっていました、
…………すごく自堕落な1日を過ごしてしまった気がしました。
───────
GIRLSの休憩室、何故か誰も居ないそこで私は怪獣娘姿で○○さんを押し倒していた。
『○○さんが……いけないんですよ……』
両手で○○さんの手首を押さえて、足を絡ませ、動きを封じる。
『私を……私だけを……見て……!』
そのまま私は○○さんの唇に自分の唇を近付けた…………。
──────
「んん…………あれ…………」
瞼を開けるとそこは私の部屋でした。
時計を確認すると時刻は深夜、午前3時。
「あ……!……私…………ッ!」
顔が赤く、熱を持つのがわかる。
なんて夢を見ているのでしょうか……。
○○さんを無理矢理押し倒して……そして…………。
「うぅぅ……はぁ……」
布団を頭から被って目を閉じ、改めて寝ようとしますが、先程の夢が鮮明に思い出されてしまいます。
○○さんの息遣い。体温。感触。
まだ私はそんな所に行けてないのに。
生々しい夢のお陰で私は中々に寝付けませんでした……。
翌日、私は少し遅い時間に目を覚ましました。今日も体の怠さは昨日より悪化していました。
「……GIRLS行って、見てもらいましょう」
あわよくば○○さんに会えるかもしれません。
そう思うと怠く重かった体は少し楽になったような気がしました。
昼過ぎに(○○さんに合うべく)GIRLSになんとか到着し、医務室にて朝日野先生の診察を受けて、新しいお薬を貰いました。
しかし早い時間に来てしまったのか、一般職員の皆さんと学生ではない怪獣娘の方しか居ません。
「……○○さん」
口からため息が漏れる。……うん、今日はもう帰ろう。
「レイカ?」
「!?」
私がそう考えていると、後ろから声を掛けられました。間違える筈もありません。その人は○○さんでした。
「あ、○○さん……!」
「不調で休んでるって聞いたけど、大丈夫なのか?」
○○さんが心配そうに聞いてくれました。心配してくれる嬉しさと不安にさせてしまった後悔が私の中で入り乱れました。
「い、いえ!大したことではありませんよ!本当です!」
「そうか。なら……いいんだけど。……良かったら送ってこうか?」
「い、いいんですか!?」
「ああ、いいよ」
○○さんの家と私の家は別の方向にあります。
○○さんに手間を掛けさせてしまいますが、それ以上に私の心は弾み喜んで居ました。
帰りの電車は空いており二人で並んで座る事ができました。
隣の○○さんの匂いがとても心地よかったです。
電車を降りて、家までの帰り道の中で私は葛藤していました。
ここで手を繋ぐべきか否かを。
恋人同士でもない高校生の男女が手を繋いで歩くというのは些かおかしいのではないのか?でも体調を言い訳にすれば○○さんなら握ってくれ気がします。
「え~と、聞きにくいんだけどさ……」
「ひゃい!?」
「不調ってひょっとして……発情期かな?」
「え……あ……はい……」
いきなりの問いに頬が熱くなりました。……けど○○さんも頬を染めているからお揃いですね。
「でも、なんでわかったんですか?」
「あー……発情期になると甘い匂いがするとかって前に湖上とアイツが話しているのを聞いてさ」
「ええ……まぁ……自分ではイマイチ分かりませんけど……」
つまり、電車で私の体臭を○○さんに嗅がれていたんですね。
……な、なんだか少し恥ずかしいかも。
「やっぱりデリカシー無かったかな?」
「い、いえいえ!?」
そんな話をしていると家の近くまで到着しました。
……もう○○さんとお別れだと思うと気分が落ち込んできました。
「ここまででいいかな?」
「……はい」
「復帰は明後日だっけか?」
「今の体調だと……それくらいですね」
「じゃあ、また明後日……かな?」
「はい……」
「回復したらどっか遊びに行く?」
「!」
○○さんからのお誘い……つまり、これはデート!?
「あー、けど病み上がりに」
「いえいえ!大丈夫です!問題ありません!バッチリです!」
「え、あ、そう」
「それではまた明後日!」
「うん、じゃあね」
「はい!」
○○さんからのお誘いで先程までの沈みつつあった心境はとても明るくなりました。
それこそ今ならジェット噴射で空を飛んだり、祝砲としてミサイルを乱射したりできる程に!
その日の夜。私は夢を見ていました。
○○さんとデートして、手を繋いで歩いている夢を。
いつかきっと、この夢を正夢に変えたい。私はそう胸に誓いました。
……前の夢の方は……出来れば逆がいいかも……。するより……して貰いたいというか……えへへ……。