機動戦士ガンダムSEED 気づいたらニュータイプ? 作:ボートマン
「動いたほうがいいとは思っても、どう動くかだよな………」
ヘリオポリスへの上陸許可が下りているのは、先程のパイロット候補生である5人の青年だけ。
ネムには上陸許可は下りていない。
「勝手に上陸するわけにはいかないしな。う~ん……」
「頭を抱えてどうしたんだ、ネム?」
どうすべきか頭を悩ませるネムにムウが声をかけてきた。
「いや、ちょっと気になることがあって」
「……ザフト艦のことか?」
ムウもここまで追跡していたザフト艦が気になっているようだった。
「ああ。ここまで追ってきていて何もしないとは思えない」
しかも相手はラウ・ル・クルーゼだ。
原作通りにアスラン達をコロニー内に潜入させているはずだ。
「それじゃあ、お前が指揮官ならどう動くんだ?」
「俺なら………コロニーに少数部隊を潜入させる」
「おいおい、ここは中立国だぞ?」
「あっちにとっては連合に協力してる時点で中立とは思わないだろうさ」
「だとしてもどうするんだ?」
「できるなら俺も上陸して、Gの安全を確保すること最優先で動きたいが」
アスラン達の狙いがGであることはわかっているため、奪取されないようにしないといけない。
「だけど、俺達には上陸許可が下りていない」
問題はネム達には上陸許可が下りていないことだ。
下手に上陸して問題になったら面倒な事態になる。
「はぁ~これ以上考えても逆にもやもやする。俺は機体の整備をしてくる」
「まぁ、俺の方から艦長に警戒するよう伝えておくよ」
「それはありがたいが、いいのか?」
「ああ、そのかわりといっちゃなんだけど………俺のゼロの整備も頼めるか?」
「え?」
「そんじゃ頼んだぞ」
そう言って肩を叩くと、ムウは艦橋に戻って行った。
「ああいういいところは勘弁してほしいな」
仕方ないと諦め、ネムは格納庫に向かうのであった。
「あ!中尉!どうしたんですか?」
「念のために機体の整備をしようと思ってな」
格納庫に到着すると、整備兵がネムに近づいてきた。
「工具を貸してくれるか?」
「わかりました。少しお待ちください!」
整備兵が工具を取りに離れ、ネムは格納庫に鎮座する4機のMAを見上げる。
2機は宇宙での連合の主力兵器“メビウス”。
もう2機はメビウスの前身機である“メビウス・ゼロ”。
片方はオレンジ色に塗装され、もう片方は赤色に塗装されている。
オレンジ色の方はムウのゼロで、赤色の方はネムのゼロだ。
“赤い彗星”なんて二つ名がつけられてから、それに合わせるようにネムのゼロは赤く塗装されたのだ。
「お待たせしました中尉!」
「ありがとう。さて、取り掛かるとするか」
袖をまくり上げ、ネムは最初に自分の機体の整備を始める。
最初は整備の知識なんてなかったが、この戦時下の状況ではそんなことは言ってられなかった。
そのため、否が応でも整備の知識を覚えたのだ。
そして、自機の整備を終えてムウのゼロを整備していると、艦内にアラートが響き渡る。
「ちっ!やっぱり来たか!」
ネムは工具を放り投げると、赤いゼロに搭乗する。
「これだったらパイロットスーツ着とくべきだったか?」
機体のセッティングを行いながら、艦橋に通信を繋げる。
「艦長!発進する!ハッチを開けてくれ!」
「何!?だが……」
「ええい!開けないならハッチを破壊しても発進するぞ!」
「………わかった。おい!ハッチを開けろ!」
ネムのとんでもない発言に、艦長は諦めたように指示を出し始める。
「ネム、無茶するなよ!俺達もすぐに向かう!」
「了解!それくらいわかってますよ!」
格納庫から整備兵が退避すると、ハッチが開き始める。
「ネム・レイ、ゼロ……出るぞ!」
マルセイユ三世級から赤いメビウス・ゼロは発進すると、ヘリオポリスの港から宇宙へと飛び出す。