ガンダムSEED ELPIS   作:明日希

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少しルナマリアに厳しいかな?と思われる描写があるので、念のためご注意ください。


艦長挨拶と同室相手

「でも、なんで急に復隊されたんですか? あ、いえ、さっき色々あったって聞いて、とっても気になるなぁって」

 

 ……この子は遠慮とかデリカシーとか知らないのか。コイツに余計な詮索受けないように、シンとか言う奴の問いに答えたさっきの俺が水の泡だ。……まぁ、若いし英雄サマのご帰還にテンションと好奇心が上がっているのだろう。睨まないよう表情筋に気を配りつつ、嫌味付きで答えてやろうとすると、先にアスランが口を開いた。

「色々あって、議長にお会いする機会があったんだよ。えっと、ルナマリア、だったよな? これからよろしく。

 それより、ミネルバはオーブからいつ出たんだ? オーブが条約に加盟する前に出られたのか?」

 バカ真面目なコイツも、話のすり替えぐらいは出来るようになったらしい。よろしくお願いします、と笑った後、問われたルナマリアは憤慨したように眉を吊り上げた。

「少し前に出たんですけど、地球軍に待ち伏せされてたんです! シンが頑張ってくれなきゃ、間違いなく沈んでたわ。滅茶苦茶ですよ、あの国! あんなにシンが怒るのもほんのちょっとわかる気がします」

 

「うっわぁ……」

 思わず、声をあげてしまう。仮にも自国首長を送り届けた恩のある船をオーブは大西洋連邦に売ったらしい。バカの所業にも程がある。

 声をあげた俺に視線が向く。そういえば、と前置きして彼女の瞳が爛々とした。

「ラーナスさん……って呼んでも良いですか? アスランさんとはとっても仲が良いみたいですけど、どういったご関係なんです?」

 先程の行動で、やっぱり気になってはいたらしい。特に隠すことでもないが、アスランに良い? と軽く確認すると頷きが返ってくるので、遠慮なく答える。

「良いぜ。俺からもよろしく、ルナマリア。家の関係でコイツとは産まれる前からの付き合いでさ。まぁ、いわゆる腐れ縁、幼馴染って奴だよ。ちなみにコイツのプライベート写真なら条件次第であげるので、欲しかったら言いな?」

 おい、と横から滅茶苦茶睨まれるが、まぁまぁ、と笑って流す。バレないように足を蹴られたが、追撃は無いのでそれほど機嫌は損ねなかったらしい。正面からは、へぇーっと感心したような声が上がる。

「そうなんですね、写真については後で詳しく聞かせてください! こちらが艦長室になります」

 ありがとう、と、そろって返して部屋に入った。

 

 

 はぁ、と目の前の女性は大きくため息をついて口を開いた。

「貴方をFAITHに戻し、最新鋭の機体を与えて監視組織の協力員と共にこの艦に寄越し……私までFAITHに。一体何を考えているのかしらね、議長も、それを受けた貴方も」

「あ…… 申し訳ありません」

「いえ、謝ることでは無いわ。私もごめんなさい。それより貴方、中身の指令書には目を通した?」

「いえ、自分は何も……」

「そう。中々に面白い内容よ? 

 ミネルバは出撃可能になり次第、ジブラルタルへ向かえ。現在スエズ攻略を行っている駐留軍を支援せよ、ですって」

 

「我々がスエズに、ですかぁ?!」

 後ろに控えていた副官の方が素っ頓狂な声をあげる。

 にしても、スエズ攻略、か。

「ユーラシア西側での分離独立紛争もあって、中々ややこしい事情の地域ですよね? 開戦以来、地球軍と地元民の戦いが泥沼化してるとか聞きましたよ」

 横のコイツへの説明も兼ねて確認のため口を挟む。

 アスランも確かに火種はずっとありましたね、と続けてきた。

「そう、開戦で一気に火がついたの。徴兵されたり制限されたり、そんなことはもうごめんだと言うのが、抵抗してる地域の住民の言い分よ。かなり酷いことになってるみたいね。

 我々の戦いは、あくまでも積極的自衛権の行使である。プラントに領土的野心はない。そう言ってる以上、下手に介入は出来ないでしょうけど。行かなくてはならないのはそういう場所よ。覚えておいてね」

 敬礼を返し、失礼します、と部屋を後にする。後ろからため息が聞こえた。最新艦の艦長も楽ではなさそうだ。

 

 ひとまず与えられた自室に向かうため歩きつつ、横に対して言葉を投げる。

「で、どう思う。スエズ攻略にわざわざ地上艦でないミネルバが向かう理由」

「議長は、ミネルバに大層期待していらっしゃったからな。手っ取り早く大きな成果を挙げさせたいのかもしれない。この艦が最新鋭で戦力になることは確かだよ。ただ、地球で戦闘を行うには、ザクの装備が心許ない。空中戦を可能にしないと、本人達も動きづらいだろうな」

「オッケー、そこはウチの工場のパーツ製作班に聞いてみる。ザクは基本構造が単純だしな、改良しやすいだろ。元からあったパーツ回してもらっても良いし。お前が案あるなら、3日後迄に出したら間に合うと思うけど、それ以降は無理だぞー。MS開発、改良に要るのは時間と金と技術なんだから」

 ロボット工学担当のマイウスで学んでいたコイツには釈迦に説法だが、一応釘をさしておく。分かってるよ、と笑われたのでまぁ良し。

 自室は、ツインベッドに広めのデスクがある、普通の部屋だ。荷物を出しながらアスランが苦笑した。

「まさかお前と相部屋とはな」

「まぁ、別部屋だと何やかんやで行き来増えそうだし、一緒の方が良いだろ。俺は嬉しいけど、お前イヤだった?」

 まさか、と返ってきたことに安心する。コイツは何かあった時、とにかく一人で抱え込むので、相部屋になったのは好都合だ。頼んではないし、他にも部屋はあるが、空部屋が多いと倉庫として使いやすいし、知っている仲なら相部屋でも問題はないだろう、という判断だろうか。

 荷物の整理も話している内に終わった。MSの整備に行くのも良いが、少し確認したい事がある。

 

「そういや、ザフトは訓練規定あるんだろ? せっかくだから一緒にやらねぇ?」

 こう言った呼ばれ方を本人は好まないだろうが、ヤキン・ドゥーエの英雄であり、アカデミー歴代トップ成績保持者であるのは事実だ。そんな自慢の弟の実力がどれ程のものになっているのか、どうしても確認したかった。

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