睨まれでもするかと思ったが、思いの外大人しいので気にせず言葉を続ける。
「シミュレーターでの戦い方も近接か中距離メインだったろ。そりゃお前は射撃も上手いしセイバーの力も引き出せるから悪い訳じゃない。ただ、セイバーの方がお前の実力を完全に発揮させれないだけだ。いざっていう時、適正の問題で何かあったら嫌なんだよ」
「……議長から頂いた機体にアレコレ言うのはよろしくないだろう。射撃は得意な方だし、近接ができない訳じゃない。今実際問題はない。それで、何が言いたい?」
「うん。新しい専用機を作りたいんだけど、良い?」
「……大丈夫なのか、資金とか、材料とか、人員とか」
「スミスに連絡ついでに確認した。材料はあるし、人員も揃ってる。資金は、サジタリウスの貯蓄で足りる。ザフトとの協力体制もバッチリ。セイバーはレイに回してもいいしな。後ろめたく思うことは何もないよ、どこぞの条約違反したお姫様達とは大違い」
つい皮肉を言うと、若干顔を顰められた後、ふっと遠い目をして呟かれた。
「いつから、持っていたんだろうな。わざわざフリーダムを」
促すと、嫌そうな顔で言葉が続く。
「お前も言っていた通り、モビルスーツには金と時間と技術が要る。新造や改造だけで無く、修理でも同じだ。パーツを失っただけだから難度は下がるが、それでも部品は新しく造る。それに、作り終わった後も定期的なメンテや調整が必要だろう? 期間が長ければ長いほど、かかる費用も増えていく。一個人で賄える額を超えたら、団体を作って基金でも使うか、国家なら税金でも使うしかなくなってくる。ミネルバやセカンドシリーズだって議会で承認を受けたうえ、プラント市民の税金で公に製造されている。
直したのが開戦後なら条約は形骸化しているから問題ないが、開戦前なら条約が適用される。Nジャマーキャンセラーの兵器への搭載は重大な国際法違反だ。せめてエンジンをバッテリー仕様にでもしていれば良かったんだが、そうなると無事だったコクピット近くのエンジンを弄らないといけない。費用と手間から考えておそらくしていないだろう」
少し脈絡が無いが、言いたいことは伝わった。要するに、いつ直したか、で罪になるかどうか変わるから気にしているのだろう。すぐ直せるものでは無いから十中八九開戦前だが、それでも信じたいのか。大切に思う事情は知っているので理解はできるが、正しく認識が出来ないのは少し困る。今現在フリーダムが大人しくしているから問題は無いかと考えたところで、嫌なことに気づいてしまった。
「あのさ……オーブの帳簿の動きとか、向こういた時見た事あった?」
「無い。せいぜい噂で軍部のモビルスーツやムラサメの維持費が高い、という話を聞いたぐらいだが…… あ」
アスランも思い当たったようで息を呑む。俺もまさかとは思うが可能性はゼロでは無い。
「そう。その軍備費の中にフリーダムの維持費がこっそり含まれてて抜かれてた……なんて事もあり得る。直で脱税してるなら、アスハを目の敵にしてる文官が騒ぐだろうが、そういう動きは無かったんだろ? クラインの持ち金使ったのもあり得るけど……あそこもそんなに余裕はなかったはすだ」
「他家の財政状況をサラリと把握するな…… 可能性は否定しきれない。全く……」
その後、大きなため息とともに吐き捨てられた言葉には、心の底から同意した。
「そこまでしてフリーダムが欲しいのか? 何を考えているんだか」
フリーダム周り、色々と謎が多いんですよね。