ガンダムSEED ELPIS   作:明日希

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滲み染む不穏

「ラクス・クラインのシャトルが偽者にハイジャックされた、だとぉ!?」

 

 ミゲルの縁で贔屓だと、少し前に宇宙に上がってきた先輩が衝撃的な事実を教えてくれた。内容を伝えると予想した通り同期の叫び声が自室に響き渡る。慣れた事なので制しつつ詳細を伝えた。

 

「おいおい。気持ちはよく分かるけどさ、声抑えてくれよ、イザーク。まだ公式発表前だぜ。知らせを受けて、グラスレー隊がシャトル自体は見つけたけど中はもぬけの殻だったとよ。ちなみにディオキア基地からまわってきた連絡によると顔も声も瓜二つ。まさかあの歌姫様がねぇ……ファンのお前としてはどう?」

「歌が好きなだけだと何度言わせれば気が済む、ディアッカ! それにしても今更表舞台に出てきたか……この件、地球には?」

「ハイネから聞いた感じ、余計な混乱を防ぐために片付くまで内密にする方針らしいぜ? ま、今地上にいるラクス・クラインが無闇に疑われたらマズイから仕方ないだろ」

「それは分かっている。しかし、フリーダムも再び現れたとは、一体何を考えている? 国に帰った方が良い道理はアイツから聞いて分かったはずだろうが。奴は嘘はつかん。口が達者な方では無いし、言葉が足りないから厳しく聞こえた可能性はある。が、相手を案ずる気持ちは確かにあったはずだ。その場にいたわけでは無い俺が察せる事を昔馴染みのキラ・ヤマトなら直に聞いて分からない訳がない」

 

 眉を寄せながら呟かれた言葉には同意を込めて頷きを返す。アスランは本気でアイツらを案じている。幼馴染で親しいキラなら分かって当然だ。一度自分達の行動やアスランの言葉を振り返って立ち止まる事を望みつつ、アスランから送られてきた過程も内容も鮮烈な報告書を思い出す。

 連絡できるよう繋げた借りを返せとせっついたまでは良かった。その数日後にアスランから国家機密もかくやのガッチガチのプロテクトをかけられたメールが送られてきた。ようやっと開けたら文字化け文書。そう、念には念をと言わんばかりに暗号化まで施されていた。俺とイザークの二人がかりで解読に追加でもう何時間か要したレベルだ。本人にその気は無いだろうが嫌がらせかと疑う程のあまりの堅牢さに、天才とナンタラは紙一重という言葉はこういう事を指すのかと一周回ってもうなんだか笑うしかなかった。イザークは途中から煮詰まると防音完備の射撃場に行っていたし。そんなこんなで四苦八苦しながらやっと開けた内容を見ると、あの措置も納得の代物だった。今のラクス嬢が偽者だという事は二人揃って前から薄々分かってはいたので問題はない。だが、彼女が暗殺されかけた上にその犯人が議長だと疑われているなんてのは心底驚いた。嘘が苦手なアスランからじゃなければちょっと信じられなかっただろう情報だ。

 

 クライン派内部に不穏分子が居るのは少なくとも確定。フリーダムを修復した事からクライン派が独自に他にも戦力を隠し持っている可能性も否定はできない。ラクスの意向通りに動くかも不明。くれぐれも注意を。

 

 そんな嫌な文面で締め括られていた文書を思い返していると、苦虫を噛み潰したような顔をしていたイザークが真剣な顔つきに変わる。珍しく言い淀むように何度か開け閉めされていた口が悔しそうな声音で動かされた。

 

「今回の行動から、彼等がオーブへの被害軽減目当ての戦闘停止以外の目的でも武力行使を辞さないと上層部は判断するだろう。そうなったらエネミー判定も時間の問題だ。全く、余計な混乱を引き起こしている今の奴等からは平和を望む想いが微塵も感じられん」

 

 確かに今のアイツらが何をどうしたいのかさっぱり見えてこない。内容に関しては言葉を濁しながらも電話で会談が無事に終わったと知らせてくれたミリィも何かを感じ取ったのか、アークエンジェルの誘いを断ったと言っていた。彼等を案じている者が距離を置いていっている事の意味に果たして気づいているのだろうか。自分の知っている事がこの世の全てで正しいのだと思っていると、末恐ろしい間違いに繋がる。俺だって、先の大戦で視野を広げられたからこそこんな考えを持てるのだけれど。 俺自身にはアスランほどの思い入れは無いが、それでも一度は背中を預けた相手だ。自分の正しさを疑ってみる事で見えてくる物もあると気付けるように願うばかりだ。ふと一つ厄介な案件が発生した事に気がついた。我が隊が目下抱えるこの問題をどうしようかと気分転換も兼ねて隊長サマに問いかけてみる。

 

「隊員達にはどう説明する? 平和の歌姫が来るからってどいつもこいつも浮かれ足だぜ。今更無しって伝えるのは流石に気が引ける」

 

 隊員達の希望で今活動している方の歌姫に来てもらう予定だった。マネージャー補佐だという美人さんが応対してくれ、了承が取れた瞬間ブリッジが沸いたのは記憶に新しい。モニター越しに見た彼女は確かザラ家の使用人だったと、まだ色鮮やかな懐かしい記憶が呼び起こされる。

 アカデミーの休養期間に入る前から同室のラスティにねだりにねだられ、情もあってかアスランは根負けした。俺は興味本位で乗っかり、折角だからと着いてきたニコルもいれた三人で行く事になった。滅多に人が呼ばれないディゼンベルのザラ家だ。数多くいる使用人の中でもアスランの側近は特に優秀だと言うのはアイツ個人に少しでも興味を持てばすぐ手に入る情報だった。無理に押し切ったせいでどこか複雑そうな顔をしていたアスランを先頭に門をくぐると出迎えてくれたのが彼女だった。あの特徴的な髪色はそう滅多といないはずだ。一度行って会えばそうは中々忘れられない。外敵が多いためザラ家の従者達は結束が強いとも耳にしていたが、色々あって随分と数が減ったと風の噂で聞いている。暇をもらった後の再就職先だろうか。しかし、側仕えの人間まで去っていたらアイツはこうして連絡を返す余裕も無くなっているはずだ。気にはかかるが他家の内情を態々聞くのはマナー違反という事もあり二の足を踏んでしまう。つらつらと考えていると、思案していたイザークが一つため息を落として言葉を紡いだ。

 

「仕方あるまい。不安が広がるのを避けるために些細は伏せるしかない。不慮の事故で本人は無事だがスケジュールが遅れると説明する。折角だから代わりに旨い飯でも振舞うとするか」

「そっちも充分に喜ばれると思うぜ。しかし、全員となるとかなりの量だろ。俺も少し出そうか?」

「俺を甲斐性無しにする気か。これぐらいは何の問題もない。良い案はあるか?」

 随分と太っ腹な代替案に財布の心配をすると、機嫌良さそうに返された。どうやら貯蓄は充分なようだ。肉の取り寄せやシェフのケータリングなどいくつか候補を挙げながら、仲直りしたばかりの彼女は眼下の地球で今頃どうしているかと想いを馳せた。

 

 

 

「次はオーブだな。いつもなら平和な写真と洒落込む所だが、今回はそうもいかねぇ。ミリアリア、お前にとっちゃ里帰りだろ。家族さんに顔見せに行く暇はやる。こんなご時世だ。親孝行はやれるうちにやっとけ」

「ありがとうございます。でも無理に時間取らなくても大丈夫ですから。両親も分かってくれてます」

 気遣ってくれる班長の言葉は有難いけど申し出は辞退する。家族に会いたい気持ちが無いわけじゃない。でも、私だけなんてダメだ。先日立ち寄ったディオキアの街を思い出す。

 先日大規模な戦闘が近くで起こった事もあって取材に行く判断が下された。ザフト側の対応はどの地域も丁寧だし安全だろうからって言うのも理由の一つだ。実際、本当に街の人達は良くしてくれた。少し前に基地の襲撃があったそうで、周辺のあちこちで傷だらけの人を見かけた。中には義肢を身につけてぎこちなくしている人もいた。恐る恐る話を聞くと、戦闘員では無いけど襲撃の際に落ちてきた瓦礫に潰されてしまった、命があるだけまだ良いと悔しそうに話してくれた。戦争が終わったらまた絵が描きたかった、動かすのは問題無いが筆を持つと上からまた何か降ってくるんじゃ無いかと思ってしまう、好きなのにもう描けないと嗚咽まじりに零された最後の言葉が忘れられない。震える手でシャッターを切った写真は本部に送られて、反戦記事に使われるらしい。

 私がまだ知らない世界にはあんな風に辛い思いをしている人がまだ多くいるんだろう。そんな中で私だけ家族に会うのは申し訳ない。困ったように笑った班長は船が手配出来るまで休むよう言ってくれたから、御礼を伝えて自室に戻る。

 考えるのは基地の人達がチラホラと溢していた言葉。フリーダム。信じられないけど、基地を襲ったのは多分キラだ。どうしてそんな事したんだろう。先の大戦で巻き込まれた際、こんな風に何もされていないのに自分から攻撃するなんてしてなかった。随分会っていないけどラミアス艦長も一緒に居るはずだ。らしくない事をするなんて、やっぱり今のキラはどこか変だ。あの日も感じた思いに確信を抱く。でも、まだ上手く言葉に出来ない。あの場にいた流れで聞いてしまった話はまだ誰にも伝えられていない。相談しようにも話せる相手が見つからない事に心細さを覚えていると、ディアッカからメールが来た。アスラン経由で内容を知ったみたい。こちらを気にする文面に一人じゃない事を思い出してひどく気が軽くなった。今度お母さん達に会う時はコイツを一緒に連れていこうかな、なんて考えが思い浮かんで気づけば口元に笑みが浮かんでいた。

 

 

 

「また兵達を死地に追いやれと?! あの仮面男は死んだのでしょう!」

「僕等が同盟を結んだのはあの男じゃなくて連合! アイツが地球軍のボスじゃないんだ、代わりはいくらでもいる! あんな男だなんて……ううん、とにかく出なきゃオーブ焼かれちゃうよ、良いわけないよね?!」

 怒鳴りつけると、目の前の一佐は敬礼しつつも不満そうな雰囲気を隠しもしなかった。だって、しょうがないじゃないか! 素顔も解らずじまいのアイツがいなくなって気が休まったのは一瞬だった。新しい指揮官に挨拶しに行った矢先、化け物みたいにデカいMAを背後にコイツをオーブの地で踊らせましょうか? なんてモニター越しにチラつかせてきたヤバい男。アイツはその土地で生きている人が見えていない。一度顔を見たらそれぐらいは判る。首を横に振った瞬間に躊躇いなく出撃させるだろう。そうなったらオーブはまた焼け野原に逆戻りする。復興にどれだけの時間とお金が必要だったと思っているんだろう。またアレを味わうのは二度とごめんだ。渋々頷いたら、監視役としてその指揮官をタケミカヅチに載せるよう追加で要請が来た。こっちの戦力だけで戦えって事だ。新しい船が間に合わずすまない、とかちっとも悪いと思っていない見てるこっちまで気分が暗くなるような仏頂面で挨拶された。全く、せっかく国のトップになれたはずなのに、貧乏くじを押し付けられた気分だ。噛もうとした爪がボロボロになっているのに気づく。コレもアレも厄介事はカガリに返してしまいたい。本来ならどれも彼女がやるべき事じゃないか? 本当、フリーダムのヤツは早くカガリを返して欲しい。そしたらそれを建前にあんな奴から逃げ出せる。そんな事を望みつつ、嫌すぎる現実に頭が重くなった。

 

 

 

「確かなのですか? オーブ艦隊がクレタに向けた進路をとっているというのは」

「残念だけど、間違い無いわ。今のところ地球軍艦は見当たらず、オーブ軍のみの編成みたい。ジブラルタルへ行くためにはあそこを通らない訳にはいかない。最大船速で向かっているけど、戦闘になってしまう可能性は否定できないから、念のために伝えておくわね」

「分かりました。ご配慮ありがとうございます」

 

 敬礼を返して艦長室を出る。念のためと言われたが、あの言い方はかなり可能性が高いと見ていい。しかし、あちら側の行動は想定より早かった。先日の作戦ではステラの命を助けるのが主目的だったが、もう一つ狙いがあった。

 彼等は対峙していた地球軍の船で主力だった。それらを削ぐ事で地球軍はしばらく動けなくなる。指示出しの地球軍が動けなくなる事によってオーブが使われる戦闘を少しでも減らせはしないかと目論見があったのだ。指揮官だったネオさんもこちらに引き込めた事でより可能性は高まったはずだった。だが、結果的には少しの期間だけだった。

 地球軍の上層部は何を考えているのかと眉を顰める。自分の戦力が無くなったからと言って他の戦力を使うと、先々良くない。他国の兵を無駄死にさせたと戦後の遺恨になる。理念や思想はともかく、今のオーブはすっかり連合の一部と化しているということか。理解していたはずの事が改めて突きつけられ、気が重くなった。進んで武器を向けたい訳ではない。しかし、そうしなければシンやルナマリア、レイ達の負担が増してしまう。ハイネに諭された事が思い出されたが、そう簡単に割り切れるものでもない。やるしかないと決めながらも足が重くなっていくのを感じていると、突然視界が揺れる。驚いて横を見ればどこか慌てた顔でシンが肩を揺さぶっていた。

 

 

 

 

 フィルさんから今日も送られてきた元気そうなステラの様子を見ながら歩いていると、反対側からアスランさんが向かってきた。そう言えばもうすぐお昼時だ。せっかくだからご飯に誘おうと声をかけると、気づかなかったのか素通りされた。いつもならすぐ足を止めて振り向いてくれる。慌てて小走りで横に並ぶとめちゃくちゃ思い詰めた顔をしていた。心なしか顔色も良くない気がする。まさか体調崩してる? とにかく気づいてもらおうと肩を揺すると、驚いた顔でやっと目が合った。心配になって相手の反応も待たずに聞いてしまう。

 

「ちょっとアンタ、大丈夫なんですか?! さっきから呼んでも反応無いですし、もしかして気分悪いんですか?」

「あ、いや、大丈夫だ。悪いな、少し考え事してて……それで、何か用か?」

「体調良いなら良かったです。歩いてる時は危ないので気をつけてくださいね? 用ってほどじゃ無いですけど、昼飯一緒に行きましょ。それにしてもアンタをそんなに悩ますなんて、一体何なんですか?」

 

 瞬きをゆっくりと何回か繰り返した後、ちゃんとした声で言葉が返ってきた。集中してただけみたいだ。安心して肩が軽くなる。気になって聞くと、一瞬悩むような顔をしてから口が開かれた。

 

「また、オーブが向かって来るそうなんだ」

「は? なんで……ネオさんはこっちに来ましたよね?!」

 

 一瞬頭が真っ白になった。慌てて確認すると頷きの後、どこか遠い目で自分に言い聞かせているかのように言葉が紡がれる。

 

「別にあの人だけがオーブを指揮できる訳じゃ無い。とは言え、船は奪ったし、急拵えの指揮官じゃ粗が出る。こっちだって弱くないのは向こうも分かっているに決まっている。もう少し体制を整えてから来るだろうと考えていた。その間に彼女が帰って来てくれたらどうにかなったかもしれないが、こうなると難しいな……お前は」

「引っ込んでろ、とかゴメンですからね。アスハなんぞが居ようがいまいが、どうせこうなってましたよ。クレタに着くまでにインパルスのチェックしっかりしときます。ほら、腹が減ってはって言うでしょ、ご飯行きますよ!」

 

 言うであろう言葉を奪って話題を変えようと飯に急かしたら、そんなにへってるなら先行ってていいぞ? とか言ってきた。アンタも食べないとダメでしょうと突っ込めばハイハイと返事して着いてきてくれた。

 オーブの事は気にはかかる。でも、あの国には護りたいものはもう何も残ってない。大切な人がたくさん居るミネルバの方が今はうんと大事だ。まもりたいものを再確認して、前に一歩踏み出した。

 

 

 

 

 

 

「ネオ! 見てみて! 今日ステラ一番問題解けたんだよ!」

「代わりに間違えた数もトップだろ! 見てよネオ、僕の方が点数良い!」

「分かった分かった、ちゃんと見てるよ。二人ともよく頑張った、凄いじゃないか! スティングは? 今日の勉強、どうだったんだ?」

「俺は今日で基礎が終わったから、専門的なのどれが良いかって聞かれた。どの科目も面白いから迷ってる。参考に聞いてこいって言われたんだけど、ネオ達はどうやって夢とか決めたんだ?」

「なんとなくこれやりたいとか、ああなりたいとかざっくり。そんなに難しく考えなくて良いんだよ」

「私は親が代々そうだったからな。何の理由もなく、大人になったらそうなれると思っていたな……」

「ふぅん。なぁ、ナタルのお母さんってさ、どんなだった? 似てたの?」

 

 アウルの投げかけた問いに苦笑して答える女房役を横目に、強張っていた肩から力が抜ける。フィルさんからブロックワードの解除に成功したと言われたのは先刻の事だ。指定された忌々しい言葉を口にしても可愛い子達は叫び出す事も無く、何も変わらない。信じられない気持ちだが、本当に良かった。礼を言いに行きたいが、何やら真剣な顔で先程ラーナスに呼ばれていた。今は家族の時間を楽しむとしよう。気持ちを切り替えて、下の子達と一緒にスティングの進路希望表を覗き込んだ。

 

 

 

「それ、本当なんですか?! ほんも、いえ、あちら側の歌姫がそんな真似を……」

「簡単には信じられないけど、姉ちゃんもそんな嘘つく理由無いだろ。ったく、奴等一体何が目的だ? とにかくアスランには内密に。三人の内でしかメール回ってないし。ところで、どうする? 姉さんから頼まれた探しもの……正確にいや探し人か。機械の側に居なかったんなら、他に心当たりある?」

 

 メールでまわってきた知らせに苛立ちが募るが、目の前の姉に八つ当たりなんてしたら後が怖い。これ以上アークエンジェルについて話してると気分がよろしくないので話題を変える。

 姉さんから探すよう頼まれていたのは例の機械ともう一つ。ゆりかごと共に消えた姉さんの友達。どう考えても連合のスパイだが、上手く行けば今回みたいに引き込めるかもしれない。ネオさんとナタルさんに聞いたけど、そんな人物は見ていないとの事だった。ブルーコスモスの奴等にとっては機械の操作方法を知ってる唯一の人物だ。そう簡単には殺さない筈だから生きているとは思うけれど、居所が掴めない。どうしたものかと思って今後の方針決めのために問うと、小部屋にはモーターの音だけが響く。難しい顔して考え込んでいた姉は、少し寂しそうに目を伏せてから口を開いた。

 

「恐らくはあの機械の雛型のところでしょう。三人分ありましたからね、複製されてるのは間違いないです。でも、もう無理して見つけなくて良いですよ……マリィは、次会ったら敵ですから」

 

 搾り出されるような声で言わせてしまった最後の言葉に否定を返せない。ただ、これ以上被害を出させないために捜索は続けてもらおうと決める。取り敢えずは頷いた瞬間、ポケットに入れっぱなしの端末が鳴った。アスラン専用機の進捗情報だ。このペースなら、合流する時に持って行けるだろう。今しがたメールで知らされたディオキアの一件から、キラ・ヤマトもラクス・クラインもアスハも、アスランの言った事なんかこれっぽっちも気にしてないと伺えた。それが何よりも腹立たしい。アイツを護るためにも、しっかりと適性に合わせた機体は必要だ。早く届けるためにも、少しでも手伝おうと下の工場に足を向けた。

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