「アスラン、起きたのね。よかったぁ……」
目を覚ますと、ミーアが横にいて頭を撫でてくれていた。真っ直ぐで長い髪が彼女の動きに合わせてかすかにサラサラと揺れている。ぼうっと何回か瞬きを繰り返してハッとする。思わず起きあがろうと上半身を起こした瞬間、喉に鋭い痛みが走り咳き込んでしまった。目を丸くした彼女が泣きそうな声で止めてくる。
「そんな急に動いちゃダメ! うんと酷い熱なんだから! 待ってて、フィルさんもついさっき合流できたそうなの! すぐ呼んでくるから! 大丈夫よ、ね、大丈夫だからね!」
慌てた口調と裏腹にゆっくりと背中をさすってくれる手が離れていくのが惜しくて思わず引き止めると、嫌がらずに座り直してくれた。どうしたの? と心配してくれる優しい声が聞こえる。一文字出すだけで灼けていくような喉をどうにか震わせて気になることを訊く。
「きみ、なん、で、ここに?」
ディオキアで別れてからは各地の慰問に飛び回っていたのは毎日のメールでもちろん知っている。どこかキリの良いところでプラントに帰るだろうと思っていたんだが、まだだったらしい。そんな忙しい中わざわざミネルバに来るのはどうしてだろう。
それにしても、我ながら酷い掠れ声だ。こんな情けない弱った姿は見せたくなかったと悔しく思いながら返事を待っていると、綺麗に笑ってくれた。
「アスランが心配で、ジブラルタルから飛んできたのよ。無事で本当に良かったわ」
本当に嬉しそうに笑みが深まる。何も言えないでいると、ごめんね? とこちらに断られ、なにやら片手で携帯を操作している。もう片方はどこだろうと視線を動かすといつの間にやら繋がれていた。いつも体温が俺より高くて暖かい手が触れている事すらこうして目にするまで分からない事に酷く感覚が鈍っている事が実感できた。久しぶりにここまでの風邪を引いてしまったなと反省する。不思議と振り解く気は起こらず、大人しくしていれば静かで広い部屋には彼女のよく通る声だけが響いた。
「もしもし、フィルさん? アスラン、今目を覚ましたわ。喉が痛そうなの……うん、お願いします。待ってるから」
さっき言っていたとおり姉様を呼んでくれたらしい。電話を切ってから額に手を当ててきた。先程感じたとおりまだ熱いらしく、まるで自分が体調を崩したみたいに辛そうな顔になる。
そんな顔はしてほしくないのに。せっかく会えたんだからいつもみたいに楽しそうにクルクルと表情を変える君を観ていたいのに。平気だと言いたいが、流石にこんな成りで言っても安心させてあげられないだろう。大丈夫だからねとまたしても繰り返し祈るように呟かれた。震える声と腕で抱きしめてくる彼女に何を伝えれば良い? 答えを出せずに上手く回らない口も、思い通りに働かない頭と身体も今はただ恨めしい。
自己嫌悪に陥っていく思考を断ち切るようにドアが音を立てた。
「はい、口開けて。……うん、よく出来ました。もう良いですよ。ちょっと待ってね。はい、どうぞ。この症状ならこのお薬ですね。一日三回、二錠ずつ飲んでね。飲むタイミングは何か口に入れた後です。ここに書いておくけど、ちゃんと忘れずに守れる?」
呼ばれて急いで来てみれば喉が酷く腫れていた。これでは声を出そうとするだけでもかなり体力を持っていかれる。相当に辛いだろう。実際、目の前の子は横になったまま赤らんだ顔でコクコクと頷いていた。昔の癖でつい撫でてしまうとまるであの頃に戻ったみたいにフニャリと笑みを浮かべる。
懐かしい気持ちをそっと置いて、ここに来てからアスランの所に真っ先に来てずっと寄り添ってくれていたミーアちゃんに顔を向ける。よくよく目を凝らせば彼女も疲労が見て取れた。密やかに知らされたディオキアでの件と、今回の一報が主な原因だろう。
手早くメモを書き、持って来た薬箱の中からアスラン用のかなり強い薬に加えて彼女に必要な疲労を和らげる薬を選び取って包む。
「連絡ありがとうございました。ささやかですけれどほんのお礼です。受け取ってくれませんか?」
眉を下げてお願いしてみれば、気にしないでと言いながらも受け取ってもらえた。袋の中身を覗き込んだ彼女がほんの一瞬動きを止めた後、お礼を返してくるのに笑って同じ言葉を返してから部屋を後にした。
本当に気にしなくて良い。彼女がしてくれた事に対して今のじゃちっとも釣り合わない。あの寂しがりな子を一人ぼっちにしなかったのは、それだけ大きな事だから。
病は気から、なんて言葉があるくらいだ。心が弱れば身体も動きにくくなり、身体の不調で更に心が参ってしまうなんて悪循環に陥ってしまったらそう簡単には救えない。
こんな仕事をしていると、心が壊れた人達を診る機会はどうしたって普通の人より多くなる。
何かを壊さないと自分がダメになりそうで手当たり次第に周りを傷つける人や、自分が正しいと信じ込まないとやってしまった事の罪悪感に潰されてしまいそうだからと目を背けて物事の客観視が出来なくなる人、ストレスであまり眠れずに寝てる時の悪夢と現実の区別がつかなくなって、本当に助けたい一心で差し伸べられた手を疑心暗鬼と被害妄想に囚われて振り払ってしまい後戻り出来なくなってしまった人も中には居た。
そんな人達には長い長い時間をかけて、辛抱強く言葉を尽くして、ようやく治せる可能性が出来る。上手くいっても治せるだけで、元通りに出来るわけじゃない。どうしたって大きな変化は生じる。粉々に割れたコップを接着剤も何も使わずに元に戻せるだろうか? それと同じだ。どうにか欠片を集めて継なげて動くようにしても傷の無い頃と比べると継ぎ目のところの壊れやすさは上がってしまう。それでも放置したり下手に治すと嫌なものが混ざってしまうから慎重にしなくてはいけない。あの子は一歩遅かったらその段階まで行ってしまっていた。
ただでさえメンタルの影響が言動に顕著に現れるアスランの事だ。あのまま何もしなかったら独りが寂しくて悲しくて粉々になって訳もわからずに支離滅裂な行動を取っていた可能性は大いにある。誰かが側に居ることはそれだけで心の安定にも繋がって大きな力になる。
そうなった事に安心して大きく息をこぼしながら医務室に戻ろうと歩いていれば、良い匂いが鼻をくすぐってくる。匂いに釣られてなるお腹で気付く。そう言えばご飯がまだだった。私が倒れたら患者さん達に迷惑がかかる。少しだけ買って帰ろうと食堂を覗けば、意外な子が厨房に立っていた。
「フォリィ、あの子のところに居ないと思ったらここに居たんですか?」
突然呼びかけてきた声に視線を動かせば少し髪の乱れた姉が立っていた。中身を入れた鍋を見守りながら問いかけに答える。
「ここならあの子は安全でしょう。今のアスランでも食べれるの作ろうと思って、お願いしてキッチン借りてる。私が看病出来るの、これが最後かな」
大切な弟を同じくらい大事にしてくれる人がようやく現れた事は喜ばしい。コレのレシピもちゃんとメモしてあるから後で渡そうと楽しみにしていると、困ったように笑っていた目の前の身内のお腹が小さく鳴った。
火は通っているので味見にと取っておいた手近なお皿に少しよそって渡せば、近くで見学していたミネルバの人がパンも追加してくれた。お礼を言ってから目を離しても問題ない段階に来たので蓋をして火を弱め、一声かける。
気づけばすっかり追い抜いてしまった姉の隣に座れば話題はどうしたって決まっていた。
「それで、どうだった?」
「今のところは風邪。酷いものです。レイ君が早めに気づいてくれて良かったです。一歩遅かったらあの日と同じくらい悪化してたでしょうから。治った後も要観察です。メンタル面は彼女が来てくれたので変な方向には行かないと思いますけど」
ミーアを連れてきたのは良かったらしい。通話を聞かれてしまった彼女に頼まれたのもあってシャトルを限界まで飛ばした甲斐があった。速度は平気か聞いたらもっと速くできないかと急かされもした。ホッとしつつも容態に眉を顰める。
あの日がいつを指すかは決まっている。血のバレンタイン。
ニュースを見たのか震える声でレノア様の所在を聞いてきたアスランにユニウスセブンに居たとどうにか答えれば、そのまま帰って来なかった。気象システムの故障で大雪のディゼンベルを走り回って見つけた時には発着ゲートで帰って来ないかとずっと探していた。意固地になったアスランをラーナスと力づくで連れて帰り、次の朝は死ぬんじゃないかと思う程の熱を出して魘されていた。精神的なショックが大きかったのか一週間程度拗らせてようやく治った。その次の日にちょっと外出したと思ったらザフトへの入隊手続きを済ませて帰ってきた。
あの時みたいに思い切りの良さが嫌な方向に発揮されない事を願ってから今一番の懸念事項を口に出す。
「あの子、嫌えるかな。キラくん達の事」
アスランは良くも悪くも他人に興味が薄いから、良い噂も悪い噂も何の影響も与えない。アスランの好感度を左右するのはいつだって本人の行動だ。
そして、この船で何かと助け合っているらしいシン君や、同期で競い合っていたとよく聞くジュール隊長のように、苦手だった人が好きになる事はある。その反対に、今まで好きだった人を嫌いになった事は一度もない。諦めの悪さも手伝って、一度懐に入れた相手を放り出した経験が無い。
ここまで情が深いのはどちらに似たのだろうと遠い記憶が甦る。
ブルーコスモスによるテロはあれど、戦争なんてまだ遠い世界だと思っていた頃の話だ。研究ばかりであまりにも家に帰って来てくれないレノア様に直訴しに行った事がある。あいにくアスランはカレッジの研究発表か何かで都合が付けられず、一人での訪問だった。ずっと待っているアスランの気持ちも考えてくださいと憤慨しながら言ってしまうと、申し訳なさそうに言われた。
「あの子には悪いと思ってる。でもね、今パトリックの話をしたらどうしたって悪く言ってしまいそうになるの。あの子、あの人の事も好きでしょう? 話題に出るのは避けられないわ。せっかく会えたのに悲しそうな顔なんか見たくないもの。
好きだからこそ離れる事も必要なのよ。
あの人が好きだった事を嫌な顔して思い出すなんて、悲しいじゃない。あの頃は確かに、あんなに幸せだったのに。
大丈夫。あの子は強いし、あなた達もそばにいてくれるでしょう? プラントの未来に関わる、あの子の将来を少しでもより良くするための大事な研究なの。手を離す訳にはいかないのよ。もう少しだけ我慢してちょうだい。今度のバレンタインには可愛いアスランの顔を見に絶対に帰るわ、約束する」
あの方が約束を破ったのはアレが最初で最後だった。
あの時は怒ってしまいそうになった言葉が大人になった今なら少しだけ理解出来てしまう。
こちらの気持ちを考えないで、自分を大事にしてくれない人の側にいても幸せになれない。どれだけ好きでも良いから、離れないと傷ついていくばかりだ。コレだけであんなにボロボロなんだから。
分かりたくもなかった言葉の意味を噛み締めていると、珍しく不快感を隠そうともせずにパンが乱雑にちぎられた。
「どうでしょうね。あの子にとっては初めて接した普通のお友達、普通のご家庭です。家に帰ったら毎日お母さんが出迎えてくれて、何かに巻き込まれてないかなんて思いつきもせず当たり前にお父さんが帰ってくる。そんな絵本に出てくるみたいに幸せそうなおうちは平和の象徴に思えたでしょうから」
淡々とした声を溢しながら、あっという間にお皿は空になった。ごちそうさまの挨拶をして医務室に走っていく姉の背中を見送ってから奥に戻る。
手洗いをして鍋の様子を見ると十分柔らかくなっていた。コレなら負担をかけずに口にできるはずだ。少し多めの二人分をジブラルタルでなんとなく買っていた保温容器にいれておく。あれもムシノシラセというやつだったのかもしれない。姉さんのお皿と一緒に鍋を洗ってから、幸せになってほしい子達のところへ冷めないうちに届けに行った。
「アスラン、眠れそう? どこか痛いところない?」
「いいから、君はでてってくれ」
彼が起きて直ぐに聞いた声より随分と聞き取りやすくなってきている。その事にホッとしながら、不器用な気遣いに思わず笑ってしまう。私にうつすことを心配しているみたい。そんなの良いのに。
試しにここに来てからほぼ握られたままの手を少しだけ緩めると、一瞬だけギュッと握り返してきた後すぐ離された。もう一回繋ぎ直せば無意識だろうけど肩の力が抜けていく。
誰だってしんどい時は心細くなって一人は嫌だろうから、そんな時ぐらいはうんと甘えてほしい。かっこ悪いなんて思わないし、むしろ嬉しくてもっともっと好きな気持ちが増えるばかりなのに。
ただでさえ今はしんどいアスランをワガママで困らせたくはないから元気になってから伝えようと決めて今は口を閉じておく。
診察を受けた後はフォリィが持ってきてくれたお料理も食べたし、フィルさんがくれたお薬も飲んだ。あとはたっぷり寝たらもっとはやく元気になれる。近づけてもらった横並びのベッドに寝っ転がって、彼の方を向くと綺麗な翡翠と眼があった。
「心配しないで? 私、身体は丈夫なのよ。ライブの後にボランティアだってこなせちゃうし、病気うつされた事も無いわ。それとも、私がいたら嫌?」
不安になってつい尋ねてしまうとブンブンと頭が振られる。慌てて止めれば息を整えた彼が拗ねたような顔で口を開いた。
「手慣れてないか?」
少し考えて読み解いていく。抜けてる言葉は看病に、だろう。もしかして、他の人の世話をした経験があるのにヤキモチを妬いてくれてるのかしら。
思い当たった瞬間、今度こそ可笑しくなって耐えきれずに笑い声をあげてしまうと小さな子みたいにほっぺたが膨らんでいく。本当、アスランったら何をしてもカッコいい時と可愛い時しかないの? 手を伸ばしてほっぺをムギュッと押すと少しまだ熱い、思いのほかしっかりした感触が返ってくる。そんな事すら愛おしく思いながらこっそりと囁いた。
「ボランティアで病院に行くとね、どこも手が足りないからってよくお手伝い頼まれるの。昔、施設で小さい子達の面倒も見てたし。だからよ」
今はもうすっかり遠い話もしてしまうと、安心したのか小さく息をついた。やっと眠くなってきたのか瞼と瞼はもう少しでくっつきそう。眠りを妨げないよう静かにすれば、眠そうな声でアスランが呼んできた。
「そうだ、メール……最近の、返せてない……悪い……」
「気にしないで? 私が好きで送ってるだけだもの。おやすみなさい、アスラン。大丈夫よ、一人にしないから。眼が覚めても側にいるからね」
こんな時まで謝らなくていいのに。寂しそうなアスランにもう一度手を伸ばして頬を撫でると、気持ちよさそうに擦り寄ってくる。おやすみの挨拶をすればフニャリとやわらかい笑顔を浮かべる。
到着してレイ達に代わってもらって直ぐ、酷く魘されはじめたアスランに思わずかけたのと同じ言葉を伝えれば離さないと言わんばかりに一際強く手に力がこもり、安心しきったように全身の力が抜け切っていくのが分かった。
かすかな寝息を立てはじめたアスランの胸が動いているのを確認して思わず大きな息をつく。生きていてくれて本当に良かった。心も体もとっても疲れてるから、今はとにかくゆっくり休んでほしい。
魘されていたアスランが怯えたように叫んでいた姿が頭から離れない。キラって人の名前を呼んで、置いて行かないでと、お前まで嫌だと泣きながら喉をつかえさせていた。どうにか落ち着いた頃、艦長さんに事情を説明し終わったフォリィが様子を見にきた。誰なのか聞くとアスランの幼馴染だって教えてくれた。少し迷ってから、あんな事をしたフリーダムのパイロットだと伝えられた。
どうして友達同士で争うなんて事になっているんだろう。一体どんな心でアスランにこんな事をしたんだろう。名前だけ知っている彼に一度会えたら問いただしてみたい。今何しているのかなんて知る訳ないけど、うんと後悔していてほしい。他の人と同じように扱っていたら許さない。
物思いに耽っていると、アスランが呻き声をあげて少し身じろぎした。身体を起こして横に置いていた冷たい水に浸かったタオルを絞ってから顔の汗を拭うと、呼吸が落ち着いていった。安心してもう一度横になる。これ以上怖い夢が来ないように祈って、繋いだ手は離さないまま目を閉じた。
すっかり何も見えなくなった窓をぼんやりと眺める。さっき意識が落ちて嫌なものを見た。
ザクザクと砂浜を歩いていると、大きな何かが流れ着いてくる。気になって近づけばモビルスーツの灰色のコクピットで、助けようとどうにか開けるとたくさん身体に穴があいて変わり果てたアスランが落ちてきた。アレは流石に悪い夢だ……と思う。たぶん、きっと。
アスランがあれぐらいで死ぬもんか。生身で爆風浴びても無事で、僕みたいな大怪我もしてなかったのに。あんな風に昔から運も良いし、きっと大丈夫。機体を無くしたら戦わなくて済む。今はゆっくりしてるはずだ。
最近は嫌な事ばかりだ。ラクスを狙いにモビルスーツなんて来るし、アスランもザフトに行ってしまった。僕だって、またこんなモノに乗っている。一番守りたかったフレイを守れなかった役立たずの機体に。
コクピットを、人のいる所を狙おうとすると、あの日守れなかった彼女の顔が浮かんでくる。それが苦しくて辛くて悲しくて、今じゃすっかり避けるようになった。
彼女に言われた言葉が蘇る。あの頃の僕の辛さに気づいてくれて寄り添ってくれたのはフレイだけだった。大好きなのに守れなかった。
いつだったかなんて整理されない頭じゃもう分からないけれど朦朧とする意識の中で聞いた言葉が脳内で響く。
「いい? キラは戦って、戦って、戦って、戦って戦って戦ってそして死ぬの。じゃないと許さないんだから」
あれはさっきみたいに意識を失った時に見る悪い夢だったんだろうか。それとも現実にあった記憶?
たぶん後者だ。だって僕はフレイのお父さんを助けられなかったから彼女は僕が憎いはずだ。世界はこんなにも優しくないから、あれもきっと本当にあった事なんだろう。悲しくて忘れてしまっていただけだ。戦って死んだら、君に許してもらえるだろうか。守れなかったフレイに呼びかけても当然返事なんて返って来ない。それでも、もう君との間に残されたのはこんな言葉しか無くて。せめて彼女に頼まれた事ぐらいは果たそうと思う。
考えているうちに、いつも通りにゆっくりと窓の外が白くなっていく。膝を抱えていた腕をといて、外に出る。これから、どうしたらいいんだろう。どこに行けばいいんだろう。分からないまま、歩き出した。