ガンダムSEED ELPIS   作:明日希

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王を決めるもの

 

「オーブ政府は連合との同盟を破棄しろ! このままじゃこっちまでロゴスの一員だと見られる! 金の亡者に屈した意気地なしの国になる気か!?」

 

「カガリ様、私達のカガリ様はどこ?! 婚約者なんでしょう!? どうして探しに行かないの?」

 

「おい、セイラン! 俺達国民はどうでも良いのか?! そうじゃないって言うなら出てきて話を聞いてくれよ!」

 

 

「ヤバいなぁ……」

 

 列をなして歩く人達を眺める。ここ最近は毎日こうだ。デモ隊の様子を写真に撮ってるカメラマン達もチラホラ見えてきた。

 俺だって気持ちは分かる。みんなアイツの横暴な振る舞いが腹に据えかねてるんだ。アスハ代表が居なくなって直ぐの頃のセイランに抱いていた信頼はとっくのとうに底をついている。でも、ああやってたら玉座に座ってる裸の王様に睨まれるかもしれないのに。

 面倒くさい今にため息をつく。いつもならグビグビ飲める大好きなジュースもなんだか味がしない気がする。向かいに座ってた友達がハンバーガー片手に俺の目線を辿って苦笑いした。

 

「だな。やべぇよな。アスハ代表はまた帰って来ないし、セイランの支持率はあんな風だし? 行政府内でもあの野郎の陰口大会開催中だとよ。

 お、この限定品美味いぞ。ちょっといるか?」

 

「マジかよ……アイツ、もうオシマイじゃん。おっ、サンキューな」

 

 直接聞かれるかもしれない政府の人達さえそんな風なら、いよいよこの国も本当にヤバそうだ。歳の離れた弟がいるからか面倒見の良い親友の手から甘辛いタレが絡む肉をもらう。美味い肉を味わいながら、礼にポテトを差し出せばまぁまぁの量が持っていかれた。慌てて取り返していると、そばを通った小さい子に楽しそうだね! と声をかけられた。手を引いたお母さんに謝られる。笑って手を振った親友が俺に手招きしてこっそり告げてきた。

 

「実はさ、今度この国に何かあったら俺、プラント行こうと思ってるんだ。弟が居るのも理由だけど。ほら、今のデュランダル議長は良い人そうだろ。ヘブンズベースの戦い見てたけど、連合とザフトが一緒に戦ってるの見て感動したもん。前は俺達行く場所無かっただろ。なぁ相棒、お前も一緒に来ないか?」

 

 思いもよらない提案に目を瞬かせて考え込む。先の大戦での苦い記憶が再生された。

 

 オノゴロが連合の手に渡った後は本当に散々だった。プラントって逃げ場があるコーディネーター達はまだ良い。俺達ナチュラルは何処に行けば良いか分からなかった。

 変な理由付けて攻めてきた連合傘下の国なんか行きたくもない。だけど、同じ中立のスカンジナビアも受け入れ人数に限界があった。迷ってどうする事も出来ずに留まってたら酷い目にあった。あんなのはもう二度とごめんだ。

 

 ヘブンズベースの一件はこの世界の全員が見てた。あんな大企業の重役ばかりが属してるロゴスなんて組織、普通は相手にするの諦めてしまいそうだ。なのに敵だった連合の奴等とも手を組んで立ち向かった。そうして見事に勝った議長には俺も感動した。あの人がいる国なら、俺達が行っても悪い扱いは受けないだろう。

 

 とはいえ、優秀なコーディネーターばかりのプラントでは食い扶持を稼ぐのも難しいはずだ。でも、希望したら自分の適職をAIが診断してくれるって聞いた。ソレを使えば良いかもしれない。どうせ仕事なんてどれを選んでもしんどい事に変わりはない。行った後にどう動くかも決まったから頷いて手を取れば、嬉しそうに笑われた。

 

 今考えた計画を話せば口笛を吹いて賞賛される。最近ヤバそうだから行く準備だけでもしとこうぜと提案したら勿論だと頷かれた。食べ終わったので席を立つ。そのまま動こうとした瞬間、デモ隊の行進が止まっている事に気づく。何だと二人して近づけば、俺らと同い年ぐらいの男が息を切らして走ってきた。携帯を掲げて大声で叫ばれる。

 

「大変だ! ロゴスの最後の一人、ジブリールがこの国に居る! 情報を知ったザフトが向かってきてる! 行政府で働いてる妻が教えてくれたんだ、間違いない! セイランがジブリールを引き渡さなかったら、また酷い事になるぞ! 奴は僕等に何も知らせてくれてないが、頼む、信じてくれ!」

 

 辺りが俄かに騒がしくなる。見ず知らずの人だが、俺達に何の説明もしない奴よりは信頼できる。マイナスよりはゼロの方がマシだ。

 そんな事を考えてたら、携帯を見た相方が本当らしいと呆れたため息をついた。行政府にいる知り合いから同じ情報を教えられたとメールを見せてきた。知り合いに一斉転送するコイツを横目に気を引き締める。さっき話した計画を直ぐに実行した方が良さそうだ。無二の友と顔を見合わせて走り出した。

 

 

 

 

 

 

「まさかジブリールがオーブに居るなんて……シン、大丈夫?」

 

 今向かっている国から来た相手に問いかける。ジブラルタルを発進してからシンの手を離さないステラが心配そうに覗き込んでいた。小さな子の頭を撫でてからシンがようやく顔を上げる。頼もしい笑顔を浮かべた同期のエースがしっかりした口調で返事してくれた。

 

「ルナもステラもありがとう。大丈夫。だって俺達は何もオーブを攻撃しに行く訳じゃない。ジブリールを捕まえに行ってるだけだから。カーペンタリアの部隊だってそうだろ? 

 アイツを野放しにしてたら、また僕の家族みたいな人が増えるかもしれない。そんな事絶対にさせるもんか。何処の国だって、普通に暮らしてる人は何も悪いことしてない。上の奴らが好き勝手するのに巻き込まれてるだけだ」

 

 優しい言葉で本当に大丈夫そうだと安心する。シンの背後で柔らかい眼差しで見ていたアスランさんが励ますように声をかけた。

 

「大丈夫だ。今回のジブリールはセイランにとっても厄介な悩みの種といった所だろう。世界が血眼になって探しているロゴス幹部なんて面倒事は一刻も早く手放したいだろうから此方に引き渡してくれるに決まっている。まぁ迎え入れている時点で既に阿呆ではあるが、腐っても彼だって施政者だ。あんな奴を庇い立てして民衆を危険にさらす程愚かな真似はしない。大丈夫、戦闘になんかならないよ」

 

 優しい声を聞いたシンがホッと大きな息をついた。サジタリウスからの電話に出ていたラーナスさんがこめかみが痛そうな顔で部屋に入ってくる。ため息をついてから口を開いた。

 

「セイランの奴、随分と楽観的だな。俺らはともかくカーペンタリアの部隊は領海近くに居るって言うのに避難勧告一つも出してない。有事の際なんて何も無かったらラッキーぐらいでとりあえず逃げさせときゃ良いのに。よっぽど自信があるのか? 

 まぁ、協力してくれてる人達はコレじゃマズいと思ったみたいだ。こっちが頼むより先に情報を伝えてまわってくれてる。知った途端に航空券取ったりして何人も自主的に避難始めてるってさ。全く、国民の方がよほど危機管理しっかりしてるぞ……」

 

 心底呆れた口調で自分の髪を乱雑に扱っている。せっかく綺麗な髪なのに勿体ない。アスランさんが困ったような顔で見たら手が止まった。言われなくても分かったのか、はいはいと苦笑している。

 

 オーブの人達がちゃんと逃げている事を聞いたシンの肩がやっと下がった。ステラが嬉しそうに抱きついている。見ているこっちの心が暖かくなる光景をレイと並んで眺めていると、スピーカーから大切な妹の声がした。

 

「オーブ行政府から回答きました。艦内放送で流します」

 

 小さなノイズが走った後、ねちっこい男の声がする。ユウナ・ロマ・セイランだ。あの人、あんまり良い印象が無いのよね。思わず眉を顰めている私に構わず音声が流れる。

 

「オーブ政府を代表して回答する。貴殿らが引き渡しを要求するロード・ジブリールなる人物は我が国に存在しない。無いものを差し出す事は出来ない。また、軍を展開したうえでの要請は恫喝に等しい。主権国家としての尊厳を侵害するような行い、甚だ遺憾である。直ちに領海近くからの撤退を要求する」

 

 信じられない言葉に目を見開く。ジブリールがオーブに居るのは情報部が掴んできた事実だ。証拠もある。こんな分かりきった嘘をつくなんて。シンが唖然とした声を出す。ラーナスさんとアスランさんの表情が綺麗に凍りついた。手にしていた端末を操作した黒髪の人は冷え冷えとした声を出す。

 

「もしもし? セイランの馬鹿阿呆トンチキな回答聞いた? このままじゃマズい。メディアでも何でも使って市民に知らせろ。

 ハァ? ジブリール匿ってる情報聞いた人達が何も言わない政府にキレて行政府へのデモが激化したぁ?! 暴動一歩手前? 

 暴走してるなら逆効果だ。前言撤回して悪いけどメディアに流すのやめといて……他の職員がタレコミして今流れてる真っ最中?! クソッ、マズいな。いや、情報ありがとう。ザフトに連絡入れる。攻撃開始はどうにか待ってもらう」

 

 大きな舌打ちを一回だけして別の所に電話をかけながら部屋を出ていった。オーブの人達も相当怒ってるみたいだ。シンがさっき口にしてたとおり、これ以上政治家の好き勝手で被害を受けたくは無いんだろう。これじゃあ中も外も火の車だ。昔は地上の楽園なんて呼ばれてた平和な国の今がそんな風だなんて信じられない気分だった。

 

 

 

 

 

 

「セイランは何をしている!! 避難船の一つも手配してくれないのか?! ザフトが軍艦に乗って来ているんだろう!? ジブリールさえ渡せば全て終わるのに! あんな回答しやがって!!」

 

「直談判してやる! オーブはお前のオモチャじゃない! 俺達の国だ! みんな、行こうぜ!! アイツを引きずりおろしてやるんだ!!」

 

 誰かが言った言葉に人々が呼応する。行政府に向かって突き進む怒れる民衆を呆気に取られながら見ていると肩を叩かれた。懐かしい顔が視界に映る。かつてのクラスメイトが嬉しそうに笑いかけてきた。

 

「やっぱりミリィだった! 久しぶりね! 今はカメラマンしてるんだっけ?」

 

 首から提げてるカメラを見た旧友に頷く。視線を動かせば彼女の手にプラカードが握られてる事に気づいた。私の目線を追って苦笑いされる。

 

「驚いた? でも、当たり前でしょ。私達、あの侵攻の後から解放されるまで思い出すのも嫌な酷い事されたのよ。またあんな目に遭うぐらいなら今度こそ自分で舌噛み切ってやる。あんな返答するダメ男、許しちゃおけないわ」

 

 苦しそうな顔でユウナ・ロマ・セイランの信じられない回答を繰り返し流している街頭テレビが睨まれる。昔から美容に詳しくてお姉さんぶってた子は拳を震わせながら話してくれた。辺りを見回してハッとした顔を見せる。

 

「いけない。皆に遅れちゃう。あのね、お願いがあるの。そのカメラで今の私達ちゃんと撮って。キレイじゃなくても良いから、ありのままを伝えてちょうだい。偶然だけど会えて良かった。どうか無事で。今度は一緒にカフェでも行きましょ? じゃあ、行ってくる」

 

 走って列に加わる彼女へ何も言えずに見送る。車の用意が出来たと呼びに来たらしい班長が撮ってやれよと頷いた。息を吸って構える。燃える瞳で綺麗にセットした髪が乱れるのも構わずに拳を振り上げる彼女の姿をカメラに焼き付けた。

 

 

 

 

 

 

「議長、どうしますか? オーブ市民が抗議に動いており、避難完了していないため攻撃は待ってほしいとサジタリウスから嘆願がありましたが……」

 

「ううむ……我々とて何の罪もない一般市民に危害を加えたい訳ではない。それではあの卑劣な行いをしたジブリールと変わらない事になってしまう。しかし、彼をオーブから引きずりださない訳にはいかない。あの国のマスドライバーを利用して月の軍と合流されたら最悪だ。

 民衆を巻き込んでしまうかもしれない砲撃はせず、モビルスーツ隊だけ向かわせよう。目標はジブリールが潜伏しているであろう軍本部、行政府、セイラン邸。それ以外への攻撃は決して行わず、無辜の人々に被害を与えないよう厳命を」

 

 指示を出せば次々と船からモビルスーツが飛び出していく。この状況になってもオーブ側は軍艦の一隻どころかモビルスーツすら出撃させて来ない。愚者の行動にも程があるが、障害無くジブリールを捕らえられるならそれに越した事はないか。心の中で呟きながら眉を顰める。地上の楽園はすっかり枯れ果ててしまったようだ。空を行く友軍を見送りながら一刻も早くこの不要な戦闘が終わる事を祈った。

 

 

 

 

 

 

「なんでモビルスーツが向かってくるんだ?! アークエンジェルの時はあの回答で上手くいったじゃないか!」

 

「あの時とは状況が何もかも違います! 我等ですら分かるそんな事すら代理はお分かりにならぬか!? 国民の避難の手配すらなさっていないとは……おかげさまで空港や港は大混乱です」

 

 向かってくるザフトに驚いていると、何度も呼び出してきた指揮官が怒鳴ってきた。情報統制はしいてたのに、どこから漏れたんだろう。王様になれた後から良いことが一つもない。何もかもに腹が立って叫んでしまった。

 

「あぁもう、うるっさい!! とにかく防衛体勢を取るんだよ! 何ボーッとしてるの?! 護衛艦軍出動! 迎撃開始! モビルスーツ隊発進! 奴等の侵攻を許すな!」

 

「せめて一時間前に聞きたかったですね。総員、ようやく許可が降りた。出撃を」

 

 最後のわざわざ聞かせたのは嫌味だ。この戦闘が終わったら何か厳罰与えてやる。今はとにかく移動しようと立ち上がれば、部屋の扉が乱雑に叩かれた。いったいなんだと開ければ、目が真っ赤に血走った安っぽい服の男がプラカードを突きつけてきた。背後には目を釣り上げた人々が沢山いる。

 

「ユウナ・ロマ・セイラン!! 今日がお前の年貢の納め時だ! 俺達国民をないがしろにした報いを受けろ!」

 

 持ってた板が振り上げられる。慌てて軍本部直通の隠し通路に逃げて扉を閉める。ドンドンと大きく叩かれる音から必死に逃げながら端末で職員を呼び出す。

 

「ちょっと! お前達何してるの?! 暴徒化した民衆を止めもしないなんて、職務怠慢だ!」

 

「何を言ってるんですか? 職務には真面目に取り組んでいます。代表代理へ嘆願に来た方々に居場所をご案内しただけです。あ、みなさん、クソ親父の方はあちらでーす」

 

 受付共もグルか! 電話を切って警備に繋げる。

 

「助けてくれ! 暴徒と化した人達に襲われかけた! 父さんも狙われてる!」

 

「相手はザフトですか? それとも民衆ですか?」

 

「関係ある、そんな事?! 民衆だよ! 良いから早くとっちめて!」

 

「出来ません」

 

 信じられない返答に目を見開く。軍人なら命令は絶対のはずだろう!? 

 

「なっ……僕は代表代理だ! 今のオーブ軍の最高司令官だ! お前達の上司だぞ! 命令が聞けないのか?!」

 

「先代のウズミ様のご意志と今は亡きトダカ一佐の教えにより、我等オーブ軍は守るべき国民に向ける銃は持ち合わせておりませんので。それより今どこにいらっしゃいますか?」

 

「今は僕が偉いんだぞ!? そんなの教えるわけないだろ!? お前も奴等の味方だな?!」

 

「国防を担う我々が民の味方につくのは当然の道理でしょう? では貴方と話す事はこれ以上何もありません。さようなら」

 

 無慈悲にも電話が切られた。どいつもコイツも! 最悪の気分で通路を出る。

 まだ民衆は軍本部に来てないみたいだ。一目散にエレベーターに乗り込んで司令室に入れば、モニターには黄金のモビルスーツが映っていた。冷めた目で一佐の階級を付けた男が報告してくる。

 

「随分と遅い到着ですね。第二次防衛ラインが突破されかけています。たった今現れたあちらの機体は友軍です。所属はタケミカヅチ。司令官とお話ししたいと」

 

 かつて乗っていた船の名前に、生まれて初めて僕を殴ってきた男が脳裏に蘇る。どうあれ友軍は有り難い。上手く取り込めば民衆を黙らせられるかも。藁にもすがる思いで回線を繋げさせた。

 

「もしもし? 助けに来てくれてありがとう! すごく助かるよ! 勇敢な君、お名前は?」

 

「私はウズミ・ナラ・アスハの子、カガリ・ユラ・アスハ! その声はユウナだな。私を本物と、オーブの首長代表と認めるか?」

 

 本部に響き渡った明朗な声に目を見開く。モニターにはヘルメットを被った彼女の凛々しい顔が映る。あんなバカな真似をしに来たわけじゃない。ここは認めた方が得だ。一も二もなく頷いた。

 

「もちろんだよ! 帰ってきてくれたんだね、ダイスキだよ、僕の女神様!」

 

「そうか。ではその場にいるオーブ軍に代表として命ずる! ジブリールという悪魔をこの国に招き入れたセイランを国家反逆罪で逮捕、拘束しろ!」

 

 ここまで必死に頑張ってきた僕に対するあんまりな命令と、追いかけてきた国民が本部になだれ込むのはほぼ同時だった。

 

 

 

 

 

「カガリ様……? カガリ様、カガリ様だぞ、みんな! ご無事で何よりです! 国の危機に帰ってきてくださったんですね!」

 

 プラカードを持った民衆が私を認めて歓声をあげた。ニュースにあったデモ隊だろう。オーブ軍が拘束したユウナにはゴキブリでも見るような冷たい視線が向けられている。彼等には私のせいで辛い思いをさせてしまった。後悔しても埋め合わせが出来る訳では無いが、心の底から謝罪を述べる。

 

「すまない。私のせいで皆には辛い思いをさせてしまった。本当に申し訳ない」

 

 皆が口々に慰めの言葉をくれる。民の優しい心に泣きそうになっていると、一人の女性が前に出て問いかけてきた。

 

「カガリ様! 私達のカガリ様! もう、何処にも行かないでくれますか? ずっとオーブに、私達と一緒にいてくれますか?」

 

 目を潤ませた切実な訴えに胸が締め付けられる。その気がなくとも見捨てるような真似はもう二度とするわけにいかない。決意を込めて頷けば、彼女は泣き出した。良かったなとその肩を抱いた青年がハッとしてこちらに教えてくれる。

 

「ありがとうございます、カガリ様。そうだ、ウナトの野郎を行政府に転がしてるんですけど、ジブリールはアイツの屋敷に居たらしいです! 今からみんなで向かおうと思ってるんですけど……」

 

 有益な情報に目を見開く。民衆の力は凄まじいものがある。礼を述べれば頬を染めてはにかまれた。危険なので止めるよう頼めば、皆して帰ろうとする。将校達には前線を立て直しつつ地上部隊をセイラン邸に向かわせるよう告げ、彼等に避難用の船を手配するよう行政府に連絡を回す。電話を取った人は嬉し泣きしていた。彼等を守るためにお父様から受け取ったアカツキを反転させる。頑張ってくださいという民の声を背に、一気に加速した。

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