【妄想小説】劇場版ポケットモンスターXY&Z ~異世界の扉と冥界の灯火《ゼノ・ジーヴァ》~ 作:睦月透火
未知の生物「アオアシラ」に襲われるが、長旅で鍛えられたポケモン達は頼もしく、早々に撃退成功……だが、喜びも束の間に謎の男が現れる。
「お前達、何者だ……? その奇っ怪な小型モンスターは……」
忍装束にも似た、防具に身を包む謎の男……ピカチュウ達を警戒しながらもサトシ達に問い掛けた。
「オレはマサラタウンのサトシ、ポケモントレーナーだ」
「私はセレナ、ポケモンコーディネーターよ」
「僕はシトロンです」
「私はユリーカ」
少し怪訝な感じだが、猫らしき生き物があまり警戒していない事……未知の生物として見られているピカチュウ達も興味深く見ている事から、サトシ達は少なくとも謎の男が敵ではないと感じ、自己紹介をした。
「……知らぬ土地の名だな、そして未知の生物……ソイツ等は危険じゃ無いのか?」
「ピカチュウはオレの相棒だ、危険なもんか!」
「まぁまぁ、ココの人達はポケモンを知らないみたいだし……少しは落ち着いてよサトシ」
男の物言いに少しばかりイラッとしたサトシが語気を荒げるが、セレナが取り成して収めさせる。
「……貴方、ハンターね……何処の所属?」
事のやり取りを黙って見ていたミラが、この地域が何処かを男に尋ねる。
「……俺はカムラの村付きのハンターだ。そういうお前達は旅人か? それにしては怪しい格好だが……あまり深くは立ち入るなよ?」
渋々、といった感じだが男はカムラのハンターだと告げ……奥には立ち入るなと警告してきた。
「ニャ、旦那さん! アイツがコッチに向かってきたニャ?!」
「ヴゥゥゥ……!」
「……チッ、リオレイアめ……こちらを嗅ぎ付けたか」
遠くから羽ばたく様な音が聞こえると、ハンターと名乗った男はそう悪態を吐いた。
「狩猟の最中か、私達は下がった方が良さそうね……皆、コッチよ」
ミラから手招きされ、サトシ達はその場から離れる……と言っても見知らぬ土地なので、ハンターから距離を取り物陰に隠れる程度だ。
「アイツ、何をしてるんだ?」
「背中に武器を背負ってましたね……」
「ハンターって言ってたわね……コッチに来るっていうポケモンを捕獲するのか?」
サトシ達はこの後の展開を予想するが、答えを返してきたミラの言葉と、その後に見る事になった光景に……人生最大の驚愕をする事になる。
グォアァァァッ!!
高音と低音が混ざった独特な咆哮……天から降ってきた声と共に空から降りてきたのは、全身緑色をした翼を持つドラゴンポケモンらしき巨大生物……ボーマンダ(1.5m)やカイリュー(2.2m)すらも優に超える17m級の巨体、それが自前の翼で悠々と空を飛んで来たのである。
「アイツ等は、物陰か……なら好都合だ。一気にココで仕留めるぞ!」
「ハイにゃ!」 ヴォンッ!!
お供のポケモン達がそれぞれ返事をし、男と共に散開……緑色……リオレイアと呼ばれた巨大ドラゴンポケモンを囲む。
「やったるにゃよー!!」
喋るニャース(?)っぽいポケモンが何処からか取り出したのは、幅広の
ワォン!! オオゥゥゥン!!
足元には既にヘルガーっぽいお供が潜り込んでおり、口で咥えている2本の鎖鎌を器用に操って連撃を重ねていた。
「良いぞ2人とも……オォォラァァァッ!!」
お供に気を取られ、リオレイアは足元の鬱陶しいヤツを蹴飛ばそうと片足を上げる……その隙を見逃さず、男は背負っていた巨大な得物……太刀と呼ばれる武器を走りながら抜刀、隙だらけとなっていたリオレイアの頭へ斬り付けた。
グギャッ?! ガァァァァァッ!!
爆弾投擲により音を掻き消され、足元で撹乱……そして頭を狙って不意討ちされたリオレイアは堪らず転倒……あらゆる手を駆使し、ハンターは自身よりも巨大な
「……何なんだよ、ココは……」
『……
サトシ達には衝撃的過ぎた光景……生き残りを掛けた死闘、明日を生きる為の生存競争が日常であるこの世界へと落とされた子供達は、目の前で繰り広げられる生死を掛けた戦いを呆然と見ているしかなかった。
……先の戦闘でリオレイアは瀕死へと追い込まれ、無益な殺生をしないというカムラの里の方針もあって捕獲と相成った。
現在は里から捕獲したリオレイアの運搬役が来るまで、近くのキャンプへと移動し全員で休息を取っていた。
「……俄には信じられんな……その……異世界というのは」
「あら、
サトシ達の持つ道具の数々……特にモンスターボールの
ミラの言葉に「……まぁ、確かに……」と頷かざるを得ない男ハンター……サトシ達は先の戦闘の衝撃から少しは落ち着き、ミラと男の会話をずっと聞いていた。
「……というか、名前くらい名乗りなさいよ……」
男ハンターはミラの言葉に、あっ……と思い出し、咳払いの後にこう名乗った。
「俺はハンターのレクスだ……コッチは相棒の……」
「ボクは旦那さんのオトモアイルーで
ウォンッ! ハッハッハッ……クゥン
レクスに頭を撫でられ、嬉しそうに頭を寄せるヘルガーっぽい……もといオトモガルク。
ニャース(?)っぽい子はアイルーという種族だと説明され、本格的に異世界転移したという事実を信じるしか無くなった全員……ただ一人ミラだけ、サラッと何でもない顔をしているが。
「……経緯はどうあれ、お前達は迷子と同じだ……迎えが来たら、俺と一緒にカムラの里へ来れば良い。
そうすりゃ少なくとも、行き倒れだけは回避できる……」
この世界では右も左も分からない為、サトシ達は提案に乗るしかなかった。
森をしばらく歩き、山間部の獣道を辿った先……大きな川に近い窪地に、カムラの里はある。
「おや、もう帰ってきたのかい? その様子だと、無事に仕事は終えたんだね……っと、その子達は? 見掛けない格好だね……」
「あぁ……少し面倒事はあったが、全員無事だ。コイツらは大社跡で迷子になってたんだ……土地勘が無いってんで、一先ず連れ帰ってきた訳さ……」
里の入口の橋で傘を売る女性と話し始めるレクス。彼女はすぐサトシ達に気付いて訪ねたが、レクスは異世界の事は上手く誤魔化して説明してくれた。
だが、迷い子なのに変わりはない為彼女はそれを聞くと心配そうな表情だ。
「大丈夫だったかい? あんた達……まだハンターには早い歳の様だね、里長に事情を話しときなよ」
「あぁ、勿論そのつもりだ……」
傘売りの女性と別れ、村の中へと足を進める……奥の方の建物からは黒煙を吐く煙突が数本伸びており、先端は竜の頭を模した形になっていた。
カムラの里とは、古くから伝わる“製鉄技術”を主要産業に独自の発展を遂げた
「里長、リオレイアの狩猟……終わらせて来たぞ」
「おぉ、早かったな……む? その子等は?」
「近くで迷子になってた……土地勘も何も無いってんで、連れて来たんだが……」
レクスすら上回る身長に筋骨粒々、といった感じの大男……里長と呼ばれた彼は、サトシ達を一目見ると少しだけ怪訝な表情を浮かべたが、すぐに笑顔になり、声を掛けてきた。
「そうか……見知らぬ土地ならば、さぞ心細いであろう。見たところハンターではないが、旅慣れているな……儂はこのカムラの里で長を勤める『フゲン』だ」
「オレ、サトシです」
「セレナです」
「シトロンと言います」
「ユーリカだよ」
ポケモン達にあまり動じない所を見ると、長年の経験から敵意を持っていないと割り切ったのだろう……ピカチュウ達にも軽く微笑むと、フゲンは傍らのガルクに何やら頼み始めた。
「それじゃあ俺は集会所に寄ってくる」
「む、そうか……ならばついでにオテマエ殿にこの
フゲンはレクスに手紙を渡し、受け取ったレクスはポチとタマを引き連れて引き返して行った。
見送るサトシ達の後ろでフゲンは手を叩き、サトシ達の気を引くと……
「さて、特に変わった物は無いが、今後の宛てが決まるまで……ゆっくりしていくと良い。
儂の屋敷に、空き部屋が幾つかある……手狭だが、寝るくらいには使えるだろう」
「「「「ありがとうございます!」」」」
フゲンはサトシ達を自分の屋敷に案内する途中、サトシ達の旅の話を対価として求め……全員が快諾。
途中でフゲンの隣に居たガルクが戻って労われるシーンに、サトシ達はポケモン達と似てると感じるのだった……
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フゲンの屋敷には大きな庭と池があり、最初は枯山水かと思われたが……
「広い庭だが、世話できる者は里に居らぬのでな……もう何年も荒れ放題よ、ワハハハッ!」
……と言っていた為、サトシはポケモン達と協力して荒れ果てた屋敷の庭から邪魔そうな物を片付け、シトロンは使われていた古い道具を修理し……セレナとユーリカで片付けられた庭を自然に近い形で見映えよく整えていった。
「……よし、これで皆を出しても安全だろ。みんな出てこ~い♪」
片付けの済んだ広い庭に、サトシ達のポケモンが勢揃いする……
「……そう言えば、この子も……傷の具合を診ておかないと」
シトロンも、向こうで傷を負っていた謎のドラゴンポケモンの容態を診る為に外へ繰り出した。
『……ッ、あ……ココは……?』
暫く暗がりに居た様に外の光に目が眩んだシオンだったが、感じる感覚と匂いから、自身の居場所に近いと感じて安堵した。
「……怪我の方はどう?」
ミラが近寄り、シオンの首を撫でる……優しげなミラの所作に、少しの間されるがままであったシオン。そのまま翼や足を動かして確認し終えると……
『体表の傷だけですが、半分くらいは塞がりました……動かせはしますが、飛んだり……は無理です』
「そう……一応は一安心、ね」
「結構酷い傷でしたが……元々、回復力が高いんでしょうか」
『この土地にも、少しですが龍脈が通っています……そこからエネルギーを分けて貰って、回復に充てましたので』
シオンの言葉に、サトシは旅路で出会った伝説のポケモン達を幻視した……彼等は超絶なる力を以て自然との共生を体現しており、一部には枯れた山海を甦らせ、死すらも覆す程である。
シオンと呼ばれるこの銀色の巨大なドラゴンポケモンも、そんな力を秘めた存在なのかもしれない……そう思ったのだった。
それから、サトシ達の手持ちポケモンとも交流しているシオンの姿に、戻ってきたフゲンは驚愕……しかも言葉が通じる事から、“神の使い”だとか“伝説の古龍”ではないか一時騒然となったのは想像するに難くなかった。
無論、シオン自身が否定し“新大陸で生まれた”と説明した事で、誤解はすぐに解けたのだが……
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その日の夜、カムラの里長フゲンの言葉“行く宛て”の事を聞きにサトシ達と話を始めたミラ……昼間の内にミラは、この世界の出身である事を打ち明けており、サトシ達を早く元の世界に戻す為に身の振り方を考える予定だったのだが……当のサトシ達からは、何とも驚愕の行き先を告げられてしまった。
「……新大陸に行きたいだって!? 何であんな所に?!」
「何でって……そりゃシオンの為さ」
サトシの発言に“訳が分からないよ”状態のミラは、納得が行かないのか語気を荒げた。
「俺達の世界ならポケモンセンターを利用すればすぐだけど、こっちじゃその……“龍脈”って奴が通ってないと、治るのに時間が掛かるってシオンから聞いたんだ」
(……シオン?! アンタ何で……!!)
(スミマセン……この子達があまりにも甲斐甲斐しいので、ついうっかり……)
視線で会話するシオンとミラ……半ば呆れたミラの顔に、シオンは目を伏せて申し訳なさそうな挙動……セレナは2人を取り成す為にも、あくまでも自分たちの考えだと主張する様に話を続けた。
「私達は最初、シオンの怪我を治す為に動いてたから、先ずはシオンの治療をする為にこっちの
そこへシトロンの援護も入る。
「何らかの方法で世界の壁を超えたのなら、戻る手段だってある筈です……僕達の旅は、急ぐものでは無いですし……不測の事態とはいえ、せっかく別の世界に来たんですから、此方の世界の事をもっと知ってからでも遅くはありませんしね」
「私、アイルーちゃん達ともっと仲良くなりたい! ね、ぷにちゃん♪」
ユリーカのポシェットから、転移に巻き込まれていたのか……ジガルデ・コア(ユリーカ命名:ぷにちゃん)が顔を出していた……コイツの正体は伝説のポケモン『ジガルデ』の中枢なのだが、当然ユリーカやサトシ達は全く知らない。
「……っ……本気……なのね……。……はぁ~っ、分かったわよ……私がこっちの世界を案内するわ……まったく、人の気も知らないで……!」
子供故の好奇心からか、異世界旅行気分である……ミラは、この殺伐としたモンハン世界の現実をサトシ達にあまり見せたくはなかったが、当の本人達がまったく言う事を聞いてくれないのでもはや自棄気味に案内すると宣言したのであった。
(……ア◯セ◯スめ……まさかとは思うけど、世界修正の為にとか言ってコイツ等を押し付けたわね……? ……もし事実だったら、絶対にシバいてやる……!)
な~んか話がイヤな方向に……新大陸に向かうとか正気ですか?!
なおサトシ達、ミラがこの世界出身と聞いたが普通にスルー……
おまいら深く考えてねぇな?
新大陸への旅路……途中、想い出の各村とか行ってみる?
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是が非でも行く!
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行かない、直行便
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後でも良いなら……