漫画的世界の"悪役"になろうと思う。   作:十期

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ifネタ書きたくて始めたやつ。
厳しめじゃなかったらこんな感じかなと。ただオリ主の性格は破綻済み。


"常識"など捨てて生きるが吉。

 

 

 

 

 

 

 

 いきなりだが、私美咲ジゼルには前世の記憶というものがある。

 名前は少々キラキラネームくさいが、そこは気にしないでいただきたい。

 これにも訳があるのだ。

 

 

 さて、名前の件はひとまず置いとて、前世の話をしよう。

 私の前世は至って普通のオタクで、趣味の同人活動として文字書きを営んでいたレベルだ。アニメも漫画も歌劇みるし、小説もよめば邦画や洋画の映画も嗜んでいた大人でもあった。

 だからだろうか、過去の記憶が今の私へと流れ始めた時、どれが今で昔だかわからなくなっていた時期もある。

 この記憶が流れ始めた3、4歳頃は、私の行動はおかしかったと後々母は語っている。

 そして同時にその頃から私はこの"世界"の人間を人として見れなくなったのだと思う。

 日本人なのに青い目や緑の目、はっきりとした顔立ちの人間と、ぼんやりとした顔立ちの境目の激しい街。そして何より異様に犯罪の多い町、"米花町"と名前のついたこの場所に背筋が凍る思いをしたのは、今でもはっきりと覚えていた。

 

 米花町といえばあの有名漫画の主人公の住む町だったはず?そう思えばなんとなく感じていた違和感は違和感ではなく、確実なものへと変わってしまったのである。

 私からみるこの世界の人間は漫画のキャラで、私が知る人間とは少し、いや、かなり違う顔の作りをしていた。

 やけにハイライトの大きく入った、これまた大きな瞳。

 所謂登場人物とされるキャラの顔立ちはハッキリとしているらしく、テレビ越しにみる工藤新一の両親は他の有名人たちとは違いキャラ立ちする顔。

 否、漫画家が描くキャラそのものだったのだ。

 私もなかなかキャラ立ちする顔であったが母はそこまでクッキリとした顔をしておらず、もしかしたら私は彼らと出会わなくてはならないのではないかと考えてしまった程だ。

 それくらい、私の顔は"漫画的"であったのだ。

 ここは私の知っている漫画の世界であると気づいてしまうのと同時に、そんな不確定事実の未来に絶望した。

 そして同時に、私はどうしてこの世界に生まれてきたのだと深く自身の生を恨んだ。

 

 

 人生に絶望した沸々と世界と記憶に怒りを抱いた幼少期。

 さらにそこへら追い討ちをかけるように私を底辺まで陥れた出来事がさらにもう一つあった。

 もしこの時この出会いがなければ、私は早々にこの世界からのリタイアを決めていただろう。

 

 

 私の名前美咲ジゼル。

 顔のぼんやりした母しか知らない、前世持ちの異界人。

 私は父親の顔を知らないし、存在のそのものも当たり前なのに知らなかった。

 父親がいなければ私が生まれてこなったということは理解しているが、見たことのない人物を父とは呼べないだろう。

 だがしかし、これはきっとあの人と出会うまでまでの布石にしかすぎなかったのだ。

 

 父親を知らずに気にもしなかった私に"父親ができた"のは5歳のある日だった。

 母と同じくハッキリとしない顔つきの男性は"高遠"と名乗り、私には5歳上の兄ができたのである。

 兄の名前は"高遠遙一"。

 知る人ぞ知る、かの有名な"地獄の傀儡師"の名前だったのだ。

 

 瞬間、私の脳はまるで"何か"に支配されたかのように"そうなるべきだ"だと理解してしまったのである。目の前にいる人物があの"地獄の傀儡師"ならば、その妹である私は"犯罪者側"なのだと。

 私ではなかった美咲ジゼルがそうなったように、そうなるのが当たり前でそれが世界に望まれていることなのだと。それが私の存在意義なのだと。

 

 今までの苦しみが全て剥がれ落ち、私がこの世界を愛せないのは全てそうなるように決定づけられていた結果でしかないと、私は兄となる人を目の前にして自身の"キャラ設定"を正しく理解した。

 

 理解してしまえばそこからは楽だった。

 

 私は作り笑いをする兄にどうやって弟子にしてもらうかを考えた。きっとこの世界の高遠遙一はまだ誰も殺していないだろう。もしかして"地獄の傀儡師"にならない未来もあるかもしれない。

 だがしかし目の前の兄は既にキャラとしては成立しているし、探偵側になるような性格ではないはずだ。

 

 それならばと私は賭けに出た。

 私が頭がおかしな子を演じればいい。使いやすいコマになれば、きっと私はこの世界で与えられたキャラクター設定をいかして正しく生きていけるに違いない。

 

「ねぇ兄さん、なんで人は殺しちゃいけないの?」

 

 あどけない表情を浮かべて、私はゴム人形の首を引きちぎって兄に問いかけた。ギョッとした顔でこちらを見遣る兄は優しげな口調でオブラートに包んだように殺してはいけない理由を教えてはくれるが、説明しつつもそんな事をこれっぽっちも思っていないに違いない。

 仮に今彼に前世の記憶ともいえるものが無い可能性も捨てきれないが、それはまず無いだろうと私は踏んでいる。

 

 だってここは米花町だぞ。犯罪者が蔓延る街だぞ?そこにただ単に漫画と瓜二つの顔をした同姓同名のキャラクターがうまれる訳がない。

 この世界の神は、作者はきっと地獄の傀儡師をこの世界に再現するために生み出したに違いない。

 

「ねぇ兄さん、私にとってこの世界は人形みたいものなの。人も景色も世界そのものも、全部作り物。なのになんで人とカテゴリされるものは壊しちゃいけないの? この人形と何も変わらないじゃない。 もしかして血が出るから? 動いているから? じゃあオイルの入った機械壊すこともダメなの? 違うよね? なんで人という"キャラクター"は壊しちゃいけないの? ねぇ、なんで?」

「──君にとって人は、世界はなんだというんだい?」

「人はキャラクター、世界は漫画そのもの。私はね兄さん、否、高遠遙一さん。地獄の傀儡師を名乗る犯罪コーディネーターさん。物心ついた頃からこの世界が嫌いだったの。憎らしかったの。なんで生まれてきたんだって恨んで、目に見える全てを偽物だと判断して。でもね、貴方に会ってようやくこの世界に生まれた理由がわかった気がするんだ。私はきっと“そちら側"にいるべき存在。"名探偵コナン"の世界で“金田一少年の事件簿"側のキャラクターにならなければならないいけない異端児。記憶を所持しているのはこの世界を更に混沌させるためなのかもしれない。だからね、高遠遙一さん、私にキャラクターを殺す理由をちょうだいよ。きっとそれがこの世界が望んでいる事だから」

 

 別に私は人を殺したいわけでは無い。

 でも何故彼ら殺しちゃダメなのか既にわからなくなっていたのだ。だってこの世界の人間はキャラクターで、犯罪に巻き込まれなきゃ顔や名前さえも曖昧。そんなモノを人と呼べるのだろうか。

 

 私はそれ故こう考えた。

 

 私はきっと、彼らに顔と名前を与えるためにこの世界に生まれたきたのだと。全てを憎むように恨むように。そして私をそうなるべく引き合わされたのが兄である高遠遙一なのだと。

 

 

「ねぇ教えてよ。彼らは人間なのかキャラクターなのか。はたまた私が狂っているだけなのか。人と呼ばれるモノを壊せばわかるかな? 腹かっ開いて臓物取り出して、肉を削ぎ落として骨だけにすれば私は彼らを人と認められるの? 眼球抉って観察して頭蓋骨の作りを記憶と照らし合わせれば、私は彼らを人と認識できるの? どうやれば私はこの世界を正しく理解できるの? ねぇ、どうすればいいの? 何にこの憎しみを向ければいいの」

 

 はちゃめちゃな事を言ってることは分かっている。でもこうでもして伝えなければ、私が高遠遙一と同質か、それに連なるモノだと説明できないとおもうのだ。手っ取り早く理解させるには嘘と建前を混ぜるのが一番で、本音を言えば別に進んで殺人を犯す気はない。

 それに彼らは動いているだけの空想上の生き物でしかないと考えているし、私が殺したところでそれが殺人と言えるのかさえわからない。

 

「──君はなかなか愉快な考えを持っているようですね。それに私の過去を知っているとは。いいでしょう、貴方が私にこの世界を教えてくれるので有れば、私は貴方に知識を与えてあげましょう」

「それでいいよ、兄さん。これから"も"よろしくね」

 

 

 

 

 

 

 きっとこれが正しかったのだ。

 抗わないのが正解だったのだ。

 これで私は"前"のように苦しまずにすむ。

 

 

 

 

 アレ? 

 

 前ってなんのこと?

 

 

 

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