PREACHTTY   作:ONE DICE TWENTY

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第6話 美少女は引く手数多で困る。

「何を」

「あぁちょっと君、黙っといてくれる? 今から藍染隊長がお話するから」

 

 言って──首に当てられる小さな刀。

 転移先はしっかり双極の丘。そして、阿散井恋次に抱かれたルッキーアも来ている。藍染隊長は彼に朗々と告げる。即ち朽木ルキアを渡せ、と。

 

「……」

「美少女の私が、殺される事を恐れて口を閉じるとでも?」

「閉じれないんなら、首から声でなくするしかないんやけど」

「上等」

 

 自ら、首に当てられた刀に首を突っ込む。噴き出る血は、けれど龍へと変じた首によって作り替わり、治る。

 多少は驚いたのだろう、緩んだ拘束を取って前に転がり、距離を取る。

 

「おっと……危ないことする子やわぁ。すんません藍染隊長。逃げられてしもた」

「構わないよ、ギン」

 

 そして、四番隊からの天挺空羅。

 不味いな、概ね原作通り。ただ、雛森ちゃんとシロちゃんがそこまで重傷じゃない事を考えるに、卯ノ花隊長は出来る限りの速度でこっちへ来てくれているはず。最悪イチゴが藍染隊長の攻撃を避け切れなくとも、織姫が間に合わなくとも、彼は生き永らえるかもしれない。

 ……そんな可能性を見る程私は薄情じゃないけど。

 

 さて、朽木ルキアを渡せ、と言われた阿散井恋次は、しかし。

 

「……断る」

「なに?」

「断る、と言ったんです。……藍染隊長」

 

 ルッキーアを抱え吠える阿散井恋次。

 それでこそだ。それでこそ。

 ならば、彼が傷つくのを黙って見ているなんてできない。

 

 彼の前に立つ。

 

「そうだ、赤毛の死神。君にはその子を守る使命がある。そして、私には」

 

 双槍を構えて。

 未だ瞑ったままの目で、宣言する。

 

「君達の味方をする使命がある」

「……誰だ?」

「通りすがりの美少女だ。大丈夫、君はともかく朽木さんには傷一つつけないと約束しよう」

 

 槍が炎を持つ。溢れ出る霊圧は黒く可視化され、時折火の粉のように光をも遮る黒となる。

 正直な話をすれば、藍染隊長にはルッキーアから崩玉を抜いてもらわなければならないので、ここで無駄に長引かせたくない感はある。もたもたしてると隊長格全員来ちゃうし。

 だからどうにかこうにか阿散井恋次と、そして後で来るイチゴを退避させつつの立ち回りをしなければならない。

 

「待て……オレも戦う」

「ダメだよ。相手は三人いるんだ。一人は朽木さんについてないと、後ろから奪われる」

「なら、オレが」

「そして私は君より強い。私の方がまだ奴らと渡り合える」

 

 ……なんて啖呵切ったけど、正直キツいと思ってる。

 私には、なんていうか、単体用超火力、とでもいうべき技がない。槍技は確かに一対一の技だけど、火力と呼ぶには少しばかり足りないし、かといってドラゴン状態での攻撃は他を巻き込み過ぎるし破壊しすぎる。

 もっと広い空間で使うならまだしも、双極の丘で使うのは不味いのだ、色々と。

 

 不意に、踏み込む。

 

「──!」

 

 ……ハ。

 完全催眠には、かかっていない、はずだけど。

 

 どうして──私の胴体が、泣き別れているのか。

 

「……おや。死んでいないのか。胴を断ち切り、心臓を貫いても死なないとは、頑丈だね」

 

 ああ、言われて気付いた。

 胸に穴がある。

 

「──華蔵!?」

 

 丁度。

 上がってきたらしい。オレンジ色の髪。黒い死覇装。黒い刀。

 お揃いだ。

 

 あぁ、だけど、ちょっと待て。

 今無策に突っ込めば、私の二の舞だ。折角、私が、代わりに斬られたんだから。

 もう少し身体を大事にしなよ。

 

「噛ませ犬も……良い所だったね……」

「あれま、君まだ動くつもりなん? ホントに死ぬよ?」

「死なないよ。美少女は……たとえ、胴体を千切られても……死なないんだ」

「あちゃ~、これ精神論に頭やられてますわ。……もうそろ、大人しくしとき、無理なもんは無理や。そない頭悪ないやろ、キミ」

 

 美少女が精神論。

 ハハ、それは違うよ、市丸ギン。

 美少女は絶対の法則だ。美少女は世界に守られる存在だ。

 

 ……なんて強がってもいられない。

 そろそろ。本当に。

 

 ああ、私は結局ここに何をしに来たんだ。

 何も変えられず。何も成せず。

 

 今、目の前で。

 イチゴが、阿散井恋次が。

 

「……双生樹(アンボース)

 

 ああ。

 ルキアから──ソレが、抜き去られる。

 もう少しだ。もう少し。

 

 それさえ抜いてくれたら、いい。

 

「まだ動く気なん? いい加減にせんと──」

「市丸」

「……あぁ、そやったね」

 

 抜かれた。抜かれたのが見えた。

 

「拝せ、双頭龍蛇(アンフィスバエナ)!」

「……!」

 

 噛みつく。

 ソレは──ルキアを掴む、藍染隊長の腕に。

 槍はない。今、私の体を繋いでいるから。だから武器は、この口しかない。

 そして、ちょっとかわいそうだけど、ルッキーアを藍染隊長の手から引き剥がし──あらぬ方向にぶん投げる。

 

「……まだ動くのか。これは予想外だったな」

「破道の九十六」

「!」

 

 発動しなくてもいい。してもいい。

 どの道同じことをやるつもりだから。

 

 私の顔が──罅割れて行く。

 

「一刀火葬!」

 

 双極に、炎の柱が立ち昇った。

 

 

 

 

「犠牲破道か。完成度は低いようだけど、独学で発動しかけるとはね。余程相性の良い体質なんだろう」

「──無傷か」

「いいや。君に噛まれた腕を、少しだけ火傷したよ」

 

 本当に少しだけだ。

 ()()()()()()

 

「……どうやら君は、とても不思議な身体をしているようだ」

「美少女の体に興味があるの? 残念、美少女の体を触って良いのは美少女だけだよ」

「霊圧も全快している。そこに転がっている彼とは根本から異なるようだね」

「美少女とあんなヤンキーもどきを一緒にしないで欲しいかな」

 

 双頭槍を頼りにくっついた身体は、うん、問題なく動く。

 

 はぁ。

 本当に──私は何をしていたんだか。

 阿散井恋次もイチゴも救えなかった。原作通り生きてはいるみたいだけど、虫の息だ。ルキアは……多分朽木白哉がキャッチしてくれたことだろう。

 

 本当に。

 調子に乗っていたんだろう。今まで、現世で、少しは立ち回れていたから。

 雛森ちゃんとシロちゃんを救えたから。

 

 見誤っていた。藍染隊長との、彼我の距離を。

 

「まだ、やる気はあるのかな」

「ううん。最後のワンチャンスに賭けただけだから。──後は、みんなに任せる」

「そうか──だが、君を逃がさないために、こちらも少々計画を早めたんだ」

 

 彼方より降ってくる兕丹坊と空鶴さんが、空の裂け目に弾かれたのが見えた。

 隠密機動の二人も、数瞬遅れてやってきた乱菊さんやその他隊長格たちも──藍染隊長に近寄れない。

 

 それは、私に対しても。

 

「……え」

「君はここに連れてこられた時点で気付くべきだった。いや……僕達が君に興味を示していると気付いていながら、君は朽木ルキアや阿散井くんのために時を使った。それが全ての分け目だ」

 

 光の出元。空間の裂け目。そこから現れる無数の大虚。

 ざわつく周囲に反し、藍染隊長は──諭すように、静かな声で言う。

 

「言っただろう。君が要を負傷させたせいで、計画の変更を余儀なくされた、とね。僕や浦原喜助が飽くなき研究の果てに辿り着いた一つの"結論"……。君はその『自然発生例』だ。だから、浦原喜助も君の体組織を欲しがった」

 

 地面ごと、身体が浮き上がっていく。

 白い膜。反膜だ。内側から触れても、外に出る事は出来ない。

 

「君を殺し得るのならば。崩玉も同じ方法で壊せる──と。彼はそう踏んだのだろうね」

「だから──これ以上研究させないために、私を?」

「それもある。だが」

 

 続けざまに市丸ギン、東仙要にも反膜が降り注ぐ。

 

「──君は初めから、()()()()だろう」

 

 最中……イチゴと、目が合った。

 いや、他のみんな共だ。織姫とも、石田雨竜とも、茶渡とも。

 

 息を吐く。

 そして、胸を張る。

 

「……華蔵ッ!!」

「黒崎。知ってるだろ? ──私は美少女だからさ。モテモテの引く手数多なんだよ。攫われて当然ってね」

 

 だから。

 

「安心しなよ。こいつら全員殺して、とっとと帰ってくるからさ。──私が天に立つ」

「……」

 

 せめてもの反逆だ。

 台詞奪ってやったわ!!

 

 右斜め後方の市丸が若干吹き出しそうな雰囲気ある。

 

 遠のく。もう声も届かないだろう。

 最後の最後に、織姫を見て、目を伏せて。

 

 私は、黒腔の中に飲み込まれていった──。

 

 

PREACHTTY

 

 

「意外やね。あんな啖呵切っといて、暴れないんや」

「今暴れて勝てたら双極の丘でも勝ててたよ」

「あれ、なに? オモシロい事言いはるやないの。それ、負けを認めてる風に聞こえるけど」

「君達二人はともかく、藍染隊長には勝てないよ。まだね」

「あちゃ~、これ、ボク達なめられてるわ。多分東仙隊長が負けたからちゃう?」

「私のせいにするな。市丸、お前が軽薄な態度を取り続けているからだ」

「えぇ、ボクのせい? 責任転嫁はアカンわぁ。……それで、どっちのせいなん?」

「二人とも美少女じゃないから。藍染隊長も美少女じゃないけど、アレは別次元だし」

「東仙隊長、この子ずぅっと美少女美少女言うてるんよ。ちょっと頭の弱い子なんかなぁって」

「美少女を馬鹿にするな。私は全美少女の味方だ。それには勿論虚も含まれる」

「別に誰も馬鹿にしてないやんか。被害妄想もそこそこにしとき?」

 

 ……虚圏は虚夜宮。その、ある部屋の前で……なんだろう、雑談をする私達。

 こんなことができているのは、偏に藍染隊長がこの場にいないからだ。

 

「私を……虚に紹介する、と。そう言ってたけど」

「そやねぇ。でもま、必要なことだと思うよ? だって君、これからここに住むんやし」

「……」

 

 やっぱりですか。

 あー。

 まぁそういう流れだろうことはわかっていたけれど。

 

 でも現世側にいたかったなぁ。

 竜貴、守れないじゃん。あ、現世侵攻になんとかしてついていけばワンチャン?

 

「あ、ほら。扉開くよ? そない怖がらなくても大丈夫、君は藍染隊長が実験材料として連れてきたんやから、そう簡単に手は出されないと思うし」

「美少女に手を出したらダメってことくらい虚にもわかって欲しいものだけど」

「その常識は多分現世でも通じないんちゃう?」

「……まぁ、虚ならいくらでも殺していいだろうし、構わないよ」

 

 扉が──開く。

 その、明るい部屋の中へ進んでいく。

 

 

「ようこそ、華蔵蓮世。新たなる同胞として、歓迎するよ」

炎痕(ルラマ・ラストローズ)

 

 

 口から業炎を吐く。仲良くする気などサラサラない。虚はどうせ死ぬし、今の十刃には美少女もいない。美女はいるけど。

 だから、一人でも持っていければ後が楽になる。

 

 ──しかし。

 

「……」

「ウルキオラ。下がっていていいよ。今のは、彼なりの挨拶だろうから」

「はい」

 

 止められた。剣に。

 ……第四十刃、ウルキオラ・シファー。

 

「何か、言葉はあるかな」

「ないよ。美少女じゃない奴にかける言葉なんてない。……と、言いたいところだけど」

 

 部屋の隅を見る。

 そこには、壁にもたれかかっているぼさぼさ髪の無精ひげ。

 

「美少女の従属官には、興味あるかな」

「……」

「では、顔合わせはこれで終わりだ。各自戻ってくれたまえ。ギン、彼を部屋に案内してくれるかな」

「はぁい」

 

 ま、そこ以外とは積極的にかかわる事もないだろう。

 心苦しいけど、イチゴたちが来るまでの間……あるいは現世へ侵攻するまでの間、宛がわれた自室とやらでゆっくり過ごさせてもらいますかね。

 

 

 

 

 

 どこまでも続く砂漠。いつまでも続く夜。

 珪砂の砂丘。亡霊の大陸(レムリアンシード)

 

 ある程度歩いた頃合いで、振り返る。

 

「それで、何用かな。ルピ・アンテノール」

「あれ、ボクの名前知ってるんだ。どっかで会った事ある?」

「ううん。ただ、君は惜しいからね」

「……惜しい?」

 

 私を尾行していたのは、長い袖で両腕を隠した少年だった。

 中世的な見た目の、少年。

 非常に惜しい。

 

「もう少し髪を伸ばして、もう少し人を小馬鹿にした態度を抑えていれば──美少女だったのに」

「……ナニソレ。ボクを馬鹿にしてるの?」

「惜しい」

「……ムカつく奴。ま、いいや。──とっとと死んじゃえ」

 

 砂の中から、触手が突き出る。

 

 それを双頭槍で縫い付けた。

 

「!」

「やっぱり暗殺? 理由は……次に空く可能性のある十刃の後釜に、私が任命されそうだから、とか」

「……チ」

 

 まぁそんな感じはしていた。

 グリムジョーの失態は予測できていなかったとはいえ、ずっと十刃になりたがっていたルピだ。

 彼がそれにあこがれた時期がわからなかったけれど、まぁこのタイミングで仕掛けてくるなら彼かノイトラ・ジルガだろうなぁという予感があった。前者は、弱そうだから。後者は、女みたいだから。どっちも理不尽だけど、理不尽なのが虚というものだろう。

 

「縊れ、蔦嬢!」

「別て、双頭龍蛇」

 

 そして、ソレを考えていたのは私も同じ。

 

 もし、私がルピの位置に入る事が出来たら──現世侵攻に入れてもらえるかもしれない。まぁ十中八九無理なんだけど。

 それはさておいといても、彼をここで殺しておくことは非常に大きな意味を持つ。無駄な犠牲……というほど犠牲にはなってなかったかもしれないけど、シロちゃんや乱菊さんの苦しみを減らせるのだ。ハゲとナルシは別にいいんだけど。

 

 考えれば考える程、ここでルピを消すメリットがある。

 

「……それ、死神の始解?」

「私は死神じゃないよ」

「なら──キミは、何?」

「私は」

 

 彼我の距離を一気に詰める。

 迷いなく穂先を向けるのは、ルピの首。迎撃態勢に入った触手群の全てを無視して、彼の体を貫く事を優先する。一撃。二撃。三撃。

 四撃目をギリギリで避けた彼に、槍先から高密度の炎を発射。直撃した。

 砂煙が大きく立ち昇り、同時に黒煙も空へ浮かぶ。

 

「この──虚閃!」

十字痕(クルサール・ラストローズ)

 

 八本の触手より放たれた虚閃を、X字にクロスさせた双槍で叩き斬る。そのままお返しに槍をルピに向け。

 

黒点の虚閃(エンフォーク・セロ)

 

 撃ち、貫く。

 

 煙の中からバッと身を出したルピは、その身を焼き焦がしながらも──笑っていた。

 

「虚閃。今のは、確実に虚閃だね。──ということは、キミは人間でも死神でもなく──虚だ」

紅の射槍(ランサドール・ローホ)

 

 炎纏う赤い槍を射出する。

 するも──避けられた。

 

「ア・ごめーん! ──図星突かれて、動揺しちゃった? 触檻(ハウラ・テンタクーロ)!」

 

 それを好機と見たのだろう、ルピは八本の触手全てを用いて私を囲う。

 さらには。

 

「これで死ね! 鉄の処女(イエロ・ビルヘン)!!」

 

 触手の檻の内部に、無数のトゲを生やした。

 

 

 

 

 

「……手応えアリ。これは、死んだね」

「うん。私が美少女じゃなかったらね」

「! ──ガ、ァっ!?」

 

 燃える。燃える。

 ルピの触手が燃える。トゲの一本一本が、八本の触手が、それを伝い、ルピの本体が。

 

「な……なんでだ! 刺さったはずだ、全身に! それを、人間が……生きてられるはずがない!」

「え? さっき君が言ってくれた通りだよ」

 

 身体に幾本のトゲが刺さっていても。

 どれほどズタボロのぐちゃぐちゃになっていても。

 

 たとえ胴体が上下で泣き別れても、犠牲破道によって頭部が炭化しても。

 

 関係なく、再生する。

 関係なく、生きていられる。

 

「知らなかった? ──美少女は死なないんだよ。それが虚なら、尚更ね」

 

 双頭龍蛇(アンフィスバエナ)が、その両方が一文字に割ける。

 私の目が、縦に割れる。私の口が、大きく開く。

 

「ああ──でも」

 

 ひきつった顔が見える。それは恐怖か。それとも──おぞましさか。

 

「食事の時だけは、私。──美少女じゃないかもしれない」

 

 私は、彼を。

 

 食べた。

 

 

 

 

 

「いやいつなん時でも美少女だが?」

「え、なに? 怖いんやけど。唐突に喋り出して唐突に怒るのやめて? ボク、君の事すっごく苦手やわぁ」

「同じ爬虫類同士仲良くしようよ」

「こわっ、その同族意識こわっ!」

「市丸隊長は蛇でしょ。私は龍。似た者同士じゃん?」

「嫌やわぁ、その括り。というかボクは蛇みたい言われることはあってもホントの蛇じゃないから。君、ホントのトカゲやろ? 一緒にされたらアカンわ」

「自分で自分の事蛇だって思ってるくせに」

 

 ルピを食べてからそれなりに時間が経ったけど、特に何を言われる事なく過ごしている。

 とりあえず美少女には全員声かけてるけど。八割無視される。残り二割は睨まれる。

 まだ十刃が最上級虚で埋まり切ってない時期だ。そうなってくると、必然知性ある話し相手というのが限られて来る。今の十刃は喧嘩っ早いギリアンばっかなんだよね。

 

「正直、暇してるよ。実験材料にする、とか言ってきたから身構えてたんだけど、何にもしてこないし」

「ん-。まぁ藍染隊長には藍染隊長の考えがあるんやろね。ボクにはさっぱりわからんけど」

「それともどっかでモニタリングされてるのかなぁ。いやまぁされるのはぶっちゃけどうでもいいんだけど、だったらもう少し虚くれないかな。私もそれなりにお腹空くんだけど」

「下級虚用の配給なら出してくれると思うよ? ボクにはあんまし美味しそうに見えないけど、必要なら要……東仙隊長に言うてみたら?」

「そんなのあるんだ。……んー、でも、私まだちょっと東仙隊長苦手なんだよね」

「自分がボコボコにしたから……やったりする? それ」

「そそ。惨殺とかはそっちの工作だったんだろうけど、私も私でちゃんと焼き焦がしたし。少しは思う所あるなーって」

「あの人そういうん気にしないと思うけどなぁ。それで一定個人に配給しない、なんて子供のいじめみたいなコトするとも思えないやろ?」

「あぁ、確かに。そういう事に関してはむしろ粛する側か」

 

 ちょっと。

 不味いなぁ、って。思ってる。

 

 ──市丸ギンも、死んでほしくなくなってる。

 会話はダメだってのにね。情が湧くから。

 

「逃げようとは、思わないん?」

「全然。なんならこの天蓋突き破ってどこまでも飛んでいける自信はあるけど、必要性を感じないかな」

「そか」

「私は美少女だからね。引き留められる理由もわかる」

「でも自分男やん」

「──男の娘、というジャンルを知らないと見た」

「うわ、自分今こっわい顔しとるよ?」

「失敬な。私はいつなん時でも美少女だが?」

「顔のこっわい美少女もおるよ」

「それはそう」

 

 ……。

 あぁ、ダメだこれ。

 色々と──計画、変更。

 

 

PREACHTTY

 

 

「あの炎。そして……あの、気配」

「ん、どうしたぁウルキオラ」

「……いや、なんでもない」

 

 どこかで。

 昔、というものを思い出す虚がいたとか、いなかったとか。

 

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