PREACHTTY   作:ONE DICE TWENTY

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第9話 離反開始! 前々から言ってたことだし

 片や、冷気振り撒く氷の竜。

 片や、炎熱滾る黒鱗の龍。

 

 卍解・大紅蓮氷輪丸。

 そも、卍解とは死神として頂点を極めた者のみに許される、斬魄刀戦術における最終奥義。シロちゃんのこの大紅蓮氷輪丸も、完成状態ではないというのに凄まじい能力を揮う力の権化。具象化に至るまでの積み重ね、そして至ったとしてもさらなる鍛錬を必要とする──ホントのホントに最終奥義だ。

 

 対して私の黒龍化はどうだろう。

 これは結構考えていた事でもある。

 

 生身の私、というのは非常に弱い。たとえ霊子化しようとしていなかろうと、自身の蹴りの威力で自分の骨が折れたり、多少の傷や出血で意識を失ったりと、かなり脆いつくりをしている。人間の少年……美少女であると考えたら当然のことなんだけど。

 では双頭龍蛇はどうだろう。アレを解放だと呼ぶ人もいるけれど、私はそうは思わない。どちらかというとイチゴが死神になるような、死神が浅打を渡されるような、つまりマトモに戦えるようになるための解放であって、死神の始解、卍解や虚の帰刃のような、急激な能力の上昇を指すものではない。

 これはあくまで私が彼らと同じステージに立つための呪文のようなものでしかないのだ。

 

 ならば、龍になることは。

 

「──久しぶりだな。その姿を見るのは」

黒龍化(ダラゴネグロ)。私はそう呼んでる」

「その状態になったってことは──やる気がある、ってことでいいんだよな」

「仕方なくね。大丈夫、殺しはしないよ。ただ」

 

 口元に蓄えるは、メラメラと音を立てる炎。

 

「ちょっとは、熱いかもね。黒龍の吐息(アリエント・ディ・ダラゴネグロ)!」

 

 火炎を吹きかける。

 即座に飛びたち、その場を脱するシロちゃんに、けれど炎は追随する。彼の足、彼の翼。恐らくは体のほとんどが氷でできた彼を、そんなもの一瞬で溶かしきる炎が追い縋る。

 シロちゃんは冷静な目で私の炎を避け続けた後、かなり遠くにまで立って──止まった。

 当然そこに向けて炎を吐く。

 

 しかし。

 

「射程は、ここまでみたいだな」

「……!」

 

 届かない。

 炎の舌先はシロちゃんの眼前を舐めるばかりで、その身に辿り着かない。

 射程。そんなもの考えたこと無かった。

 

「だが、俺の卍解は四方三里に影響を及ぼす。──この程度の距離でついてこられなくなるなら、お前に勝ち目はねぇ」

「ご親切にどーも。なら、伸ばせばいいだけだよ。黒龍の噴炎(ラ・フォムローラ・デル・ダラゴネグロ)!」

 

 口から吐いたものが届かないのなら、砲身を絞ればいい。

 炎というよりは火炎放射だ。範囲は狭まるけど、射程は上がる。

 

「唸れ、灰猫!」

「ッ」

 

 咄嗟に翼をはためかせ、それを避ける。

 首筋に冷気。急上昇!

 

「範囲を狭めるってことは、今まで以上に顔を動かさなきゃならねぇってことだ。そしてよく狙わないといけなくなる。どこか一点に集中する事は、他に対して散漫になることと同義。二対一なんだ、つけ入る隙はいくらでもある」

「それに、巨体過ぎるのも難点よねぇ。どこでも簡単に斬れちゃうし」

「そうかな」

「ッ!?」

 

 それが弱点だというのなら、身体ごと動けばいい。

 ドラゴンが脅威となり得るのは、炎がどうとか、硬いからとか、爪がどうだ、とかじゃない。

 

 大きいから、やばいのだ。

 その翼をはためきで。その足の一振りで。

 世界へ多大なる影響が出る。巨体過ぎるのが難点? まさか。

 

 巨大なら、それだけ。

 

「リーチが長いってことだよ──龍皮の一撃(プノ・デ・ピエル・ディ・ダラゴン)!」

「く──氷輪丸!!」

 

 確かに炎の噴射だけが私の能力なら、そうだったのだろう。

 けれど、違う。私の龍化はただそれだけで強い。ただそれだけで、大いなる破壊を齎し得る。本来は拳で行う、けれど今は翼で行ったただの打撃が、シロちゃんを彼方にまで吹き飛ばす攻撃になれるのだ。

 

「隊長! このっ、唸れ──灰猫!」

 

 灰が付着する。

 ──意識しろ。私の皮は、人間の頃とは違う。

 

 この黒鱗が、どれだけ硬いか。

 

「はぁ──……ッ!?」

 

 刀身の無い刀が、何かに弾かれた。思わず仰け反る乱菊さん。

 灰がついても、巨体故に避けられなくても。

 

 私は硬いのだから、斬れない。

 問題ない。

 

「──ちょっとは、冷てぇぞ」

黒龍の吐息(アリエント・ディ・ダラゴネグロ)!」

 

 暗雲には気付いていた。

 原作を知らなかったら食らっていただろう、降雪。その雪花一枚一枚が、触れたものを瞬時に凍り付かせる凶悪なる雪。

 だけどこれも、溶かしてしまえば問題は無い。

 

 ……ふと、シロちゃんの顔が目に入る。

 冷静な、冷たい目。

 技を打ち破られた時のそれではなく。

 

 ただ対象を観察するかのような、そんな──。

 

「……言ったはずだ」

 

 身体の自由が利かなくなる。

 背中だ。翼や身体じゃあない。背中。首。頭部。意識外の至るところ。

 

 冷たささえない、小さな小さな雪霞。

 

「そんな程度で払ったつもりなら──お前に勝ち目はない」

 

 それが華を咲かせる。一つや二つではなく、無数に。私の巨体を、氷の花が埋め尽くす。

 氷に埋もれていく私の前に、シロちゃんは──日番谷冬獅郎は、ゆったりと降りた。

 

「まだ、名乗ってなかったな。……護廷十三隊十番隊隊長、日番谷冬獅郎だ。お前には礼がある。だから、痛み無く──その命を終わらせる」

 

 凍り付く身体は、次第に、感覚がなくなって行って──。

 

「氷天百華葬」

 

 私は巨大な氷華となった。

 

 

 

「拝せ、双頭龍蛇(アンフィスバエナ)

「!」

 

 

 全身が炎に包まれる。

 私の炎は虚閃の延長線上にある。亜種といってもいいだろう。ゆえに、別に口からでなくとも出せる。スタークのようにノーモーションで、となるとかなりの集中がいるけれど、その時間は今シロちゃんが与えてくれた。

 背中に氷の華が咲いた時点で、準備をしていたんだ。

 

 氷の華が溶けていく。

 燃え盛る黒龍は、果たして彼の目にどう映っているだろうか。氷の竜にとって、私は。

 

「やっぱり、相性は最悪──そうでしょ?」

「……チッ」

 

 技術的に劣る部分は多々あろうが、それをごり押しできるパワーが私にはある。

 

 藍染隊長に監視されているかはわからないけど、何かしらで記録されているだろう今、まだアレを見せるわけには行かないのだ。

 なので、黒龍化だけでなんとかしたい。

 

「お礼にね、一つ、良いものを見せてあげよう」

 

 でも多分それだけじゃあお気に召さないだろうから──私からも、奥義を一つ。

 

 口に集束させるは虚閃の光。

 だけどただの虚閃じゃあない。

 

波状延焼虚閃(セロ・ルラマーズ)

 

 私の炎をこれでもかと練り込んだ虚閃。跳ね回る虚閃(サルタ・ソブレ・セロ)から更に派生した、弾性と粘性を併せ持つ虚閃。

 それは、次から次へと燃え移る破壊の力。波状に広がる虚閃だ。

 

「ッ、遅い!」

 

 あぁ、そう。

 だから、早い事は早いけど、避けるのは簡単だろう。

 

 問題は──避けて良いものか、という点。

 

「……ッ、不味い、松本! 灰猫で止めろ!」

「はい!」

 

 一度は避けたシロちゃんたちも気付いたのだろう。

 この炎の波は、止まらない。どこまでもどこまでも広がり続け、どこまでもどこまでも大きくなっていく。回転すればするほど破壊と炎を練りこんで、大きく大きく──強く。

 

 氷で追い縋ろうと、止められはしない。

 灰で追いつこうと、止められはしない。

 

 その輪は──さて。

 どこの山にぶち当たるまで、止まらないかもしれない。

 

「啼け、紅姫!」

 

 ──……え。

 いともたやすく止められた。止められた、けど。

 

 あ、そっか。

 原作と違って、ヤミーの相手を班目ハゲが、ワンダーワイスの相手を綾瀬川弓親がしているから……浦原喜助の手が空いているんだ。

 

 って、ワンダーワイスの相手を綾瀬川弓親?

 ──無理、じゃない?

 

「ふぃー、危ない危ない。段々容赦がなくなってきてますねぇ。今の、どこぞの山にでも当たってたら……地形、変わってたんじゃないスか?」

「浦原さん。こっちにはアピールというものをする必要があるんだよ。藍染隊長にね」

「あっけらかんとしてますねぇ。そんなんでいいんスか? アイゼンサマに怒られちゃったりしないんスかぁ?」

「しないしない。意外と放任主義だからね、彼。それに──」

「それに?」

 

 紅姫に止められた炎の虚閃を。

 再稼働、させる。

 

「!」

「成果は十分だし。──そろそろいいでしょ、ウルキオラー!」

「ああ。丁度、完了したところだ」

 

 案外近くから聞こえた声に、龍化を解除する。

 波状延焼虚閃(セロ・ルラマーズ)に浦原喜助が手間取っているのを見届けつつ──空から降り注ぐ光、反膜につつまれて、ほっと一息。

 

 うん、今回も無事、誰に致命傷を与えるでもなく終われたね。綾瀬川弓親と班目一角は知らないけど。

 

「ネガシオンか……」

「うん。……じゃーね、日番谷さん。雛森ちゃんによろしく。あと、なんか気に病んでたら、気にしないでって言っといて。それじゃ、ばいびー!」

 

 こうして。

 私の無理矢理介入☆現世侵攻は、特に何もなく終わったのだった。

 

 

PREACHTTY

 

 

「んー、織姫! 会いたかったよ~久しぶり! この前ぶり!」

「か、華蔵ちゃん……他の人見てるから……」

「見せつけようよ、私達の仲良しさ! あ、前も言ったけどこの子に手ェ出したら殺すから。藍染隊長でもね」

「……華蔵蓮世。少しは口の利き方を」

「構わないよ、要。それに、井上織姫の能力を求めたのは私だ。華蔵蓮世同様、彼女に傷をつけることは、この私も許さない。いいね?」

「織姫織姫織姫~……あぁ、この美少女力。流石すぎる。流石私に匹敵する美少女……!」

「華蔵ちゃん、い、今偉い人がお話してるんじゃ……」

「知らない知らない。あ、じゃあ織姫の部屋行こうか。そこで色々お話しよう。積もる話、いっぱいあるし! いいよね、藍染隊長」

「構わないよ」

「わぁい」

 

 今後織姫が使うことになる監禁部屋に彼女を連れて行く。

 その際様々な視線を感じたけど無視無視。特にノイトラとグリムジョーから鋭い視線を感じたけど無視無視。

 

 

 そうして、部屋に入って。

 

「ふぅ……織姫~!」

「お、落ち着いたんじゃなかったの~!? ちょっと華蔵ちゃん、痛い、痛いよ。そんな強く掴まないで~!」

「いやぁ、だって、久しぶりの織姫だもん。あと竜貴もいてほしかったなー、とか思わないでもないけど、織姫だけでもじゅーぶん嬉しい。安心してね、織姫。私が生きている限り、織姫に傷はつけさせないから。他の十刃でもぜーんぶ殺してあげるから!」

「う……う、うん」

 

 アレ。

 引いてる。

 あ、私学校でこんなテンション高い奴じゃないんだっけ? もう忘れちゃったなぁ。

 

「……本当にね、大丈夫だよ、織姫」

 

 もうちょっとテンションを下げて、言う。

 そして──改造死覇装の一部はだけて。

 

 胸を、出して。

 

「か、華蔵ちゃん!? ……って、え、それ……」

「今の私は、第七十刃(セプティマ・エスパーダ)。数字は能力の優劣じゃないよ。大丈夫、六番にも五番にも勝てる自信はあるから」

 

 右胸に掘られた七の文字。美少女の胸を見られるなんて、同じ美少女の特権だぞ!

 

「そ……そう、じゃなくて……胸、それ」

「ん? ──あ、もしかして」

 

 もうちょっと開ければ。

 ──心臓の、ちょっと上らへんに、ぽっかりと開いた孔。

 

「そりゃ開いてるよ。だって私、虚だし」

「……え、な……なんで」

「というのはうっそー!」

 

 再生させる。

 孔なんか空いてない。双生樹(アンボース)。ウルキオラとは違う、能力として分離した超速再生だ。身体が千切られようが串刺しにされようが、潰されようが凍らされようが──霊力ある限り瞬時に再生する。まぁ限度はあるけど。

 

「……華蔵ちゃん」

「ブラックジョークだよ、織姫。だからそんなに怒らないで」

「やっぱり……もう、元の華蔵ちゃんじゃ、ないんだね」

 

 ──……。

 

 うん。それは、もうね。

 

「何度も言うけど、大丈夫だよ。安心して、織姫。私は……うん。変わっちゃったと思う。元々そうだった、が正しいかな。人間の体は……枷でしかなかったから。だけど、ううん、だからこそ。私は虚側として、君を守るよ。君が誰かを守るためにここへ来たのはわかってる。だから、私は誰かを守っている君を守る」

「……ありがとう、華蔵ちゃん」

 

 大丈夫。

 変質している自覚はあるから。

 

 それでも、私が美少女の味方であることに変わりはない。

 

「それじゃ、私は行くよ。織姫、欲しいものがあったら私に言ってね。第七十刃権限で色々作らせたりできるから」

「う、うん。……あの、華蔵ちゃん」

「ん?」

 

 織姫が、何かを言いかけた。

 けど。

 

「あのね、黒崎く──!?」

「あ……来たね」

 

 虚圏を激震させる霊圧。巨大な二つの霊圧と、そこまででもない一つの霊圧が──この世界に入り込んだことを知らせてくる。

 

「な……なん、で」

「なんでかは、教えてあげない。じゃーね、織姫。君に着くのはウルキオラっていう表情筋死んでる奴になると思うけど、まぁ悪気はないから許してあげて」

「別に許す必要はない。許される理由もない。俺がお前たちに許しを乞う事も無い」

 

 あぁ、来たね。

 

「それじゃ、後は任せたよ、ウルキオラ。わかってると思うけど──」

「何度も言うな。わかっている」

「ならいいや」

 

 部屋を後にする。

 さて……それじゃ、諸々の用事を済ませに行きますか。

 

 

 

 

 

「ドルドーニ」

「む……おお、嬢ちゃん(ベベ)か。久しぶりだな。吾輩に何か用か?」

「別れの挨拶をね」

「……フフ、これはまた随分と、はっきりものを言うようになったな。吾輩と嬢ちゃん(ベベ)は友人……ではなかったか?」

「そうだけど、君は、私に助けられることを望まないと思って」

 

 ここに向かう霊圧。

 覚えのあり過ぎるそれと──救いたいソレ。

 

「その通りだ、嬢ちゃん(ベベ)。吾輩の死に場所は戦いの中だと決めている。誰ぞ彼その庇護など受けない」

「うん。だから、お別れ。私は人間として虚の存在意義を否定するけれど──同時に、その最期にこそ輝くものがあると知っている」

「……全く甘いな、チョコラテのように」

 

 生きている内に輝くのが人間なら、死に際に強い光を発するのが虚だ。死後は死神の領域。

 

「これからどこへ行く」

葬討部隊(エクセキアス)とアーロニーロを潰してくる」

「──は?」

「君の言う通り、もう甘さは捨てるよ。──仲間だと思えないモノには、存在価値を見出さない事にした。ハイエナと失敗作。どちらも必要ないよね」

「ベ……嬢ちゃん(ベベ)、どうしたのだ。吾輩の知っている君は」

 

 そのような暗い顔を、していなかったぞ。

 

 ──言葉は天へと導かれ、消える。

 押し黙ってしまったドルドーニに、けれど続けたい言葉は読み取った。

 

「お互い、良い最期を遂げようね」

「……」

 

 手を振って。

 私は、三ケタの巣を後にした。

 

 

 

 

「これは、これは……第七十刃(セプティマ・エスパーダ)様。何か御用でしょうか?」

跳ね回る虚閃(サルタ・ソブレ・セロ)

「──!?」

 

 遠慮はしない。迷いもない。

 数多の人骨を虚閃で、砕き、中心にいるルドボーンに双頭槍で斬りかかる。

 受け止められたら足払い。空中に避けられたら虚閃。それさえも防がれるなら。

 

紅の射槍(ランサドール・ローホ)

 

 投げる。

 轟音と共に射出された紅の槍は、ルドボーンを捉え。

 

「っ、生い上がれ、髑髏樹(アルボラ)!」

炎痕(ルラマ・ラストローズ)

 

 解放しても攻撃の手休めない。

 

「ご──ご乱心、ご乱心だ! 第七十刃(セプティマ・エスパーダ)様が、我々を裏切っ……」

「初めから、仲間じゃない」

「!」

 

 大口を開ける。

 小さな身体。美少女の体に。

 

 巨龍の口が、帳を上げる。

 

「何故──何故、何故ですか!?」

「何度も言っているけれど」

 

 燃やして、噛んで、飲む。

 無限に生まれようと関係ない。根から引き抜いて、食べきればいいだけ。

 

「私は美少女の味方だから。──可能性の芽ですら、許さない」

「なに、を……」

「恨めばいい。嘆くといい。未遂であろうとなかろうと、私は美少女を傷つけるものを許さない。乱心ではない。離反でもない。謀反ですらない。私は美少女ではない藍染隊長の味方をした記憶は、ひとかけらも無い」

 

 だから。

 

「──美少女でないお前は、死ね」

 

 周囲の砂ごと。

 焼いて──食べた。

 

黒龍虚食(ボラフィダッド)

 

 さて……次だ。

 

  

 

 

「ナ……ナンダヨ、カグラレンヤ」

「侵入者のいるこの時分に、何用だ?」

「君を殺しに来た」

 

 アーロニーロ・アルルエリ。

 十刃の中では唯一のギリアンであり、どちらかというと破面もどき、と言った方がしっくりくる見た目の十刃。第九十刃だ。

 その能力は食した虚の力を自分の物にできる、という能力。食した数は33650体。確かに彼を考えれば、私がどれほどギリアンを共食いしたって進化ができるはずもなかったか。彼がこれだけ食べて、これだけ弱いのだし。

 

 第九十刃(ヌベーノ・エスパーダ)

 その名は、最弱を意味する。

 

「言っている意味が分からないが」

「ドウシチャッタノ? アタマオカシクナッタ?」

「私の司る死の形は知っているでしょ? ──もう、来ちゃったからさ。なりふり構ってられなくなったんだよね」

 

 私の司る死の形は、陶酔。

 これは原作のゾマリ・ルルーでいう藍染隊長への陶酔ではなく、自己陶酔、そして美少女への陶酔だ。ああ、藍染隊長はよくわかっているのだろう。

 そして、いつからか。

 

 抑えが利かなくなってきているのが、わかる。

 

「く──水天逆巻け、捩花! ハ──どうだ、この力。お得意の炎も水の前では」

九番目の太陽(エル・ヌベーノ・ソル)

 

 作り出すのは、超巨大な炎の球体。

 圧縮に圧縮を重ねたソレは、波状延焼虚閃(セロ・ルラマーズ)の逆。内側へ内側へと入り込み続ける液体炎の虚閃が、己自身で強くなり続ける塊。

 

 もっとも、これが太陽光になるとは思えないけれど。

 ただ──単純な破壊力として。

 

黒虚閃(セロ・オスキュラス)

 

 更に追撃をして。

 

 解放される前に、そして認識同期が為される前に──アーロニーロ・アルルエリは絶命した。

 志波海燕の斬魄刀は、一旦預かっておこうかな。

 

 

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