ヴォルデモート卿、人生をやり直す。   作:八重歯

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12 ヴォルデモート卿、ホグズミードへ行く。

 

 

 

ホグワーツ3年生のビッグイベントと言えば?

そう、ホグズミード行きである。

 

 

 

リドルはテオ、ジュード、ルーク、アランと共に、イギリスで唯一の魔法族のみの村──ホグズミード村を訪れていた。

 

 

頭の後ろで手を組みながら「どこ行く?」とジュードがリドルに聞くが、リドルはこの村に対して興味は無かった。

他の子ども達が何よりも楽しみにしている三本の箒に行き、バタービールで乾杯!など、中身が70歳を越えているリドルにとってはちっとも楽しみではない。

酒が飲めるのなら行きたいが、流石にこの見た目で飲めるのはジュースかバタービールぐらいである。

それに、この村は沢山の魔法族で溢れているが、ノクターン横丁のようなアングラなものはあまり無い。

つまり、ヴォルデモートにとってこの村の好ましいところといえばマグルが居ない、その程度であり数々の店には興味が無かった。

 

 

「何処でもいいけど」

「トムはホグズミードはじめてでしょう?私たちは来た事がありますからねぇ」

 

 

アランがぐるりとホグズミードを見渡し、他の生徒達のように目を輝かせる事なく呟いた。

純血魔法族であるなら、1度はこの村に来た事がある者が殆どであり、この中で初めて村を訪れたのは──今回の人生において──リドルだけである。

 

 

「僕のおすすめはハニーデュークスかな!やっぱりあそこのチョコやヌガーは美味しい!」

「えースピントウィッチズスポーツ用品店は?試合で使う手袋買いたいんだよなぁ」

「僕は新しい羽ペンが見たいからスクリベンシャフトに行きたいなー」

「私はトムズ・アンド・スクロールズに行って新しい本を買いたいです」

「……」

 

 

4人は口々に行きたい所を告げる。どう見ても方向はバラバラであり、1日で全てを回る事は不可能だろう。

 

 

「…皆、好きなところを見ればいいんじゃないかな。僕は適当に見て回るから」

 

 

こうもバラバラならば共に行動せずともいいだろう。案内されずともここは何度も来た事があり何処に何があるのかはわかっているし、それに──ヴォルデモートは誰かに付き添ってウィンドウショッピングなどやるつもりはない。あんな地獄と屈辱は2度と経験したくは無い。

 

 

しかし、ヴォルデモートが1人で行動したくとも。彼らはそうではない。

 

 

「え?そんな事言うなよ、せっかくだからみんなで行こうぜ?」

「そうだよ!トムは何処に行きたい?」

「ここ、割と広いし迷子になりますよ?」

「お金が無くても楽しめるところはあるよ!バタービール飲んだこと無いよね?僕が奢るよ!」

 

 

彼らは、やや偏った思想を持つが、それでも普通の少年であり、普通に友達思いだった。

彼らに、みんな別行動だなんて選択肢は存在しない。

 

スリザリンだからなのか、集まった人間がそうであるのかはわからないが、彼らは一度心を許せば結束は固く、割と優しいのだ。

 

 

リドルは4人から優しい眼差しで見つめられ──少し固まったのち、「…じゃあ、バタービールというのを飲もうかな」と小さく呟いた。

途端に4人はぱっと笑うとすぐにリドルを三本の箒まで案内した。道すがらリドルの為にいろんな店の説明を口々にし、楽しそうに笑い合う。

 

ヴォルデモートは先頭を歩く4人の背中を見ながら、微かに眉を寄せる。

 

 

──何故だ。前回は…ここまでアイツらは頑なでは無かった。俺様が1人で過ごすと言えば、すぐに頷いたはず。俺様はアイツらの何かを、変えたのか。

 

 

 

前回、リドルは彼らを圧倒的なカリスマ性と闇の力を持って半ば盲目的に支配していた。

だが今回、彼らがリドルのそばに居るのは──単に友人だからだ。

 

勿論彼らの本質は変わらない。

彼らは由緒正しき聖28一族であり、ヴォルデモートが望むような純血思想を持つ。

今後、どう足掻いても彼らはヴォルデモートにより彼らが持つ純血思想を刺激され、ヴォルデモートの思うままにその思想を過激化し、行動に移すだろう。

 

 

だが、前回と異なりテオとジュードはヴォルデモートのイエスマンにはなり得ない。

 

 

 

「ほら!トム、ここが三本の箒だ!」

「…へえ、ここか」

 

 

ジュードが後ろで考え込んでいたリドルの腕をぐいっと掴み先頭まで引っ張ると、一番初めに入るようにと促す。

リドルは知っていたが、とりあえず頷くと店内へと続く扉を開けた。

 

 

ジュードとテオは、店内に踏み込んだリドルの後を、追った。

その後に、ルークとアランもゆっくりと続く。

 

ちょうど奥に誰も座っていない広いテーブルがあり、5人はそこに座るとテーブルの端にあるメニューを回し見た。

 

 

「バタービールで乾杯しようぜ!」

「うん、僕5人分頼んでくるね」

「あ、私何かつまめるものが欲しいです。バタービールは甘いので…」

「ここのソーセージ美味しいよ?ちょっとピリッとしてるけど」

「それにしましょうか。…トム、他には何か頼みますか?」

 

 

アランがメニューをよく見えるようにリドルに手渡したが、リドルは少し沈黙した後首を振った。

 

 

「いや。…僕、手持ちが少ないから」

 

 

それは嘘ではない。苦学生であるリドルは毎年一定の支援金を受け取る事ができるが、新年度の教材を買うだけでほとんど尽きてしまう。ホグズミードに来たものの、これといって買い食いする事も、好きな本を買う事も出来ないのだ。

 

 

「ああ、そんなの俺が払うよ!好きなの頼めって」

「……それは、施しを受けてるみたいで嫌だな」

 

 

リドルは有無を言わさない低い声で呟き、しっかりと忠告したつもりだった。

将来的に、彼らの莫大な資金を使い10年間旅するのは事実だが、今、この場で金欠だという理由で奢られるのは、ヴォルデモートの自尊心を傷付ける行為だった。物乞いのような事はしたくない。それをきっぱりと伝えたが、ジュードは特に気にする事なくきょとんとすると笑った。

 

 

「施しとかじゃねーよ!いつも課題手伝ってもらってるし、そのお礼だ。何でもいいぜ?」

「そうそう、今後も手伝ってもらわなきゃいけないしね?」

 

 

テオとジュードは顔を見合わせるとくすくすと悪戯っぽく笑い。「ほら、どれにする?」と再度リドルに問いかける。

 

ヴォルデモートは本気で何も頼みたくは無かったが、彼らの課題に散々付き合い、その対価としてなら──まぁいいか。そんな風に思い直し、メニューに目を通し、最も高いものを指差してにっこりと笑った。

 

 

「じゃあ、これで」

「うっ…。…いや、いいけど!」

 

 

金額を見たジュードは少し顔を引き攣らせたが、払えない金額でも無く、頷くしかなかった。

 

 

 

テオが注文をまとめて女店主に伝え、数分後5つのバタービールが届く。

それぞれがジョッキを持ち、ジュードは笑顔で「乾杯!」と掲げた。

 

 

──バタービールで乾杯など。こんな馬鹿げた事をする時が来るとは思わなかった。前回、こんな事はしなかった筈だ。

 

 

 

リドルはじっとバタービールの白くクリーミーな泡を見ていたが、ふと4人の視線が自分を見ていることに気がつき──それも、何故か期待のこもった眼差しであり、仕方がなくバタービールを一口飲んだ。

 

 

「……甘すぎる」

 

 

ぽつりと呟けば、何が楽しいのか4人はくすくすと笑った。

 

 

 

 

テオとジュードはヴォルデモートのイエスマンにはなり得ない。何故なら、2人はリドルに対し栄光のおこぼれを貰おうなどという打算的友情を持っているのではない。

真の友情を持つものならば、勿論反抗や意見を言う事もあるだろう。

 

まだアランとルーク、この2人はリドルに対し打算的友情を持っていると言える。成績優秀であり、優れた才能を持つリドルと共にいれば今後プラスになる事が多いだろう、テオとジュードがここまで気に入ってるんだし。と、そう思って近づいたのは事実だ。

だが、これなら先ヴォルデモートがテオとジュードに対するように、アランとルークにも対応し、絆を深める何かがあれば、アランとルークもまた、2人のようにリドルに対し親愛を向ける可能性もある。

 

 

ヴォルデモートは前回の失敗を避ける為に、最善を尽くしている。

さらに、この4人は自分にとって10年間共に旅をする部下になる事や、彼らは裏切らないだろう事をわかっているからこそ、慎重に、丁寧に取り扱った。

 

 

テオとジュードがどれだけ馬鹿だろうが見捨てず。

アランとルークが共に課題をしたいと言えば頷き長時間付き合った。

 

 

 

運ばれてきたソーセージと山盛りのローストビーフをつまみながら、彼らは取り止めのない話で盛り上がっていた。

それを見ながらヴォルデモートは、再度「甘すぎる」と思っていたのだが。

 

 

はたして──甘いのはバタービールだけなのだろうか。

 

 

 





ヴォルデモートは誰から何を言われようと魔法界を征服したいしマグル殺したい、その気持ちは前回同様揺らぎません。とりあえずハリー殺すマンです。

今の所は。

ってかドロホフっていつ頃ヴォルデモートとあったんでしょうね。彼だけ聖28一族じゃないので扱いに困ります。トム・リドルの一団メンバーでも無いし…。
ダンブルドアのいう、無法者の雑多のよりあつめですかね?
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