魔法生物使い、ホグワーツ魔法魔術学校にて   作:Mr.メトロノーム・改

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正直今回はやりすぎた気がしないでもない
果たして「大まかなストーリーは変わらないが主要人物複数人の性別が違う状態」を原作微崩壊と呼んでいいのだろうか



魔法生物使い、組み分けられる

 

(……やっとか)

 

階段を登り続けてしばらくすると、ようやく入口らしきところにたどり着いた。入口の前にはいかにも魔女といった感じの帽子を被った先生――ミネルバ・マクゴナガル先生が立っている。

 

「ようこそ、ホグワーツへ。さて、今からこの扉をくぐり、上級生と合流しますがその前にまず、皆さんがどの寮に入るか組み分けをします。グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、そしてスリザリン。学校にいる間は寮があなた方の家です。良い行いをすれば寮の得点となり、規則を破ったりすれば、減点されます。学年末には最高得点の寮に優勝カップが渡されます」

 

(…なるほど)

 

ハリポタについて知っているのは精々登場人物に関してだけだったので、こういう情報は非常に有り難い。まぁ、新入生に説明がなかったらそれはそれで学校としてアウトな気がするが。

 

「……ん?」

 

ふと足元に気配を感じ、見てみる。すると、一匹のヒキガエルがいた。

 

「あれ、こいつ…」

 

俺がそういったのとほぼ同時に、

 

「トレバー!」

 

と大きな声とともに、ヒキガエルの飼い主であろう人物、ネビル・ロングボトムが後ろの方から現れた。

ネビルはカエルを拾い上げると、

 

「……ごめんなさい」

 

と小声で謝って下がっていった。見つかったのは良かったが、あのカエルももう少しタイミング良く出てこれないものだろうか。いや、カエルにそこまで求めるのはやりすぎか。

 

「…間もなく組分けの儀式を始めます」

 

そう言ってマクゴナガル先生はドアの向こうに行ってしまった。そして十秒も経たないうちに――

 

「本当なんだ?汽車で聞いた話。ハリエット・ポッターがホグワーツに来たって」

 

という、()()の声が聞こえてきた。

 

「……あれ」

 

嫌な予感がする。確か原作では、このセリフはかの有名なドラコ・マルフォイが言っていたはずだ。が、今聞こえてきた声は紛うことなき少女の声。そして――

 

「この二人はクラッブとゴイル。私はマルフォイ。『()()()()()()()()()()』よ」

 

聞こえてきた自己紹介が、俺に無慈悲にも現実を教えてくれた。

 

「……マジかよ」

 

ハリーだけに飽き足らず、ドラコまでも女体化しているとは。二人がどういうキャラかは知らないのだが、二人も性別が変わっているとだいぶメインストーリーが変化しないだろうか。いや、俺という転生者がホグワーツに入ってる時点でメインストーリーに若干の変化を与えているが。というかさらっとクラッブとゴイルも女体化してないかあれ。

 

「クフッ」

 

何故かロンが吹き出す。割とダイナミックな自己紹介ではあったが、人の名前を聞いて笑うのは結構失礼ではないだろうか。

 

「私の名前がおかしいかしら? あなたの名前は聞くまでもないわね、その赤毛にお下がりのローブ。ウィーズリー家の子でしょう?」

 

「あ、やっぱ赤毛って珍しいのね」

 

電車であった時からなかなか見かけない髪色だなぁと思ってはいたが、やはり魔法界でも赤毛は珍しいらしい。

 

「魔法族にも家柄の良いのと、そうでないのがいるのよ。付き合う友達は選んだ方がいい。私が教えてあげましょう」

 

どうも、交友関係の選び方を教えてくれるらしい。まぁ、魔法族の中にも悪徳貴族とかがいるのだろう。そういうのをまだ魔法界に来たばかりの俺たちは知らないので、この申し出はありがたい。

 

「いいよ、友達なら自分で選べる」

 

が、どうもハリエットは断ったらしい。しかし、断るにしてももうちょい丁重に断るべきではなかろうか、初対面の相手なわけだし。

 

「おいハリエット、その断り方はないだろ。彼女―マルフォイは親切で言ってくれたんだから。俺達はまだ魔法界に来たばかりで右も左も分からないんだから、こういうのには乗っておくべきだと思うぜ?」

 

「でも、そいつはロンのことを馬鹿にしたよ」

 

「ロンだってマルフォイの名前聞いて笑っただろ、あれ結構失礼だからな」

 

すると、女体化マルフォイもといレイシアがこちらに声をかけてきた。

 

「そっちのあなたは話がわかるようで何より。あなた、名前は?」

 

「ん、俺か? 俺は……あー、また後でな。後ろ」

 

「後ろ…?」

 

レイシアが振り返った先には――マクゴナガル先生がいた。どうやら、音もなく帰ってきていたらしい。

 

「準備ができました。来なさい」

 

 

◇  ◇  ◇  ◇

 

 

「空じゃなくて天井よ。魔法で夜空みたいに見えるだけ。『ホグワーツの歴史』という本に書いてあったわ」

 

「なるほどね、プラネタリウムってわけだ」

 

現在マクゴナガル先生に導かれてホールらしき場所に着いたのだが、なんと天井をスクリーンとして夜空が写してあったのだ。流石はホグワーツ、魔法をふんだんに使っている。

 

「はい、ここでお待ちなさい。では、儀式を始める前にダンブルドア校長からお言葉があります」

 

その言葉と同時に、髪もヒゲもやたらと長い老人――アルバス・ダンブルドア校長が立つ。

 

「まず始めに、注意事項を言っておこうかの。1年生の諸君、暗黒の森は立ち入り禁止じゃ。生徒は決して入ってはならぬ。それから、管理人のミスター・フィルチからも注意事項がある。右側の3階の廊下には近寄らぬこと。そこには恐ろしい苦しみと死が待っている。以上だ」

 

「…いや、『まず始めに』というよりかは注意事項しか言わなかったな」

 

お言葉にしてはあまりにも短すぎる。いや、話が短いのは前世で長話にさんざん悩まされてきた身としては嬉しいのだが、ようこその一言も無いのはどうかと思う。

 

「名前を呼ばれた生徒は前に出てきなさい。この組み分け帽子を頭にのせます。帽子が寮を決めてくれます。……ハーマイオニー・グレンジャー」

 

そして組分けが始まった。どうも初手はハーマイオニーらしい。

 

「どうしよう…大丈夫、リラックス」

 

と呟き、かなり緊張しながら椅子へと座った。頭の上に組み分け帽子が置かれると同時に、帽子が喋り始める。

 

「ああ、そうだな…ん~、よろしい、決まった。グリフィンドール!」

 

組み分け帽子が告げた直後、グリフィンドール寮生たちから歓声があがる。一応なにか変化がある可能性もあるので、注意して聞いておかないといけない。

 

「レイシア・マルフォイ」

 

続いて女体化ドラコことレイシア。椅子に座ったレイシアの頭に帽子が――

 

「スリザリン!!」

 

――置かれる直前に帽子が告げた。その直後、スリザリン寮生の方から歓声があがる。触れなくても分かるとは、スリザリン適性が高すぎやしないだろうか。

 

「スーザン・ボーンズ」

 

「君の入る寮は…う〜ん、そうだな……よろしい、ハッフルパフ!」

 

(割と速く決まっていくんだな…)

 

そんなことを考えていると、どうやらロンの番が来たようだった。ロンの頭に帽子が乗せられると同時に、帽子がしゃべり始める。

 

「うはぁ! またウィーズリー家の子だな。君はもう、決まっておる。グリフィンドール!」

 

「家柄によって決まる…というよりは、同じ家系だから性格も皆似通ってんのか」

 

いくらファンタジーじみた世界とはいえ、家柄で所属する寮が決まってしまうなんてことはないだろう。仮にも1900年代後半なわけだし。

 

「ハリエット・ポッター」

 

そしてハリエットの番。名前が呼ばれると同時に、少し周囲がざわつく。流石は「生き残った女の子」というべきか。

 

「んん、難しい、こいつは難しい。勇気に溢れておる。頭も悪くない。才能もある。そして、自分の力を発揮したいと願っておる。さてどこに入れたものか」

 

口ぶりから察するに、ハリエットには複数の寮の適正があるらしい。そういう場合、本人の意志で決められるのだろうか。

 

「……だけは、どうか……」

 

「……ん?」

 

何かハリエットがつぶやいている。すると組み分け帽子も、それに応じて小さな声でなにか話し始める。

 

「何話してんだ…?」

 

そして、30秒くらいだった頃だろうか。

 

「……それならば、グリフィンドール!!」

 

一瞬の静寂のあと、これまでで一番大きいであろう歓声があがる。まぁ、かのハリエットを自らの寮に迎え入れられたのだ、あれぐらい喜ぶだろう。

そして、何人か呼ばれた後。

 

「レイ・ライビアード」

 

「……来たか」

 

ついに俺の番が回ってきた。少し緊張しつつ階段を登り、椅子に座る。そして帽子が俺の頭の上に乗せられ――

 

「……?」

 

――たのだが、何故か30秒以上黙りこくっている。

 

「あのー……大丈夫ですかね?」

 

まさか、特徴が無さすぎてどこの寮に入れればわからないとか言われないだろうか。いや、この帽子に限ってそんなことはないだろうが。

 

「……難しい」

 

「……へ?」

 

「先程のハリエットよりも難しい。四寮の生徒の適正をどれも併せ持っておる。グリフィンドール、スリザリン、レイヴンクロー、ハッフルパフ。どの寮に入っても君は活躍するだろう」

 

「…えぇ…」

 

ディスられるかと思ったら褒められてしまった。

 

「こればかりは君に任せるしかあるまい。君はどの寮がいい?」

 

どの寮がいいと聞かれても、登場人物以外ほとんどハリポタの知識がない俺にはそういうのははっきり言ってわからない。

 

「……あ」

 

思考を巡らせつつ前方を見渡していると、ふとスリザリン寮にいたレイシアと目があった。丁度いい、スリザリンに入って彼女に色々と教えてもらおう。

 

「じゃ、スリザリンで」

 

「よろしい――スリザリン!」

 

そう組み分け帽子が高らかに告げる。が――

 

「「「「……………………」」」」

 

先程まで少しざわめいていた空気が、一瞬で静まる。まずい、何かやらかしてしまっただろうか。と、俺が思った矢先、

 

「「「「わぁぁぁぁぁ!!!」」」」

 

スリザリンからひときわ大きな歓声が上がる。どうやら、やたら長い時間がかかったことに驚きでもしていたらしい。少なくとも、何かミスしてしまったわけではないようだ。

 

「いやぁ、やたら長いから何か起きたのかと思ってしまったわ! スリザリンへようこそ、レイ」

 

スリザリンのテーブルにつくとすぐ、レイシアが声をかけてくる。

 

「ああ、これから色々よろしく頼むぜ」

 

恐らく、これから俺は彼女にいろんなことでお世話になるだろう。そのためにも、彼女とは仲良くやっていかないといけない。

 

「でも驚いたわ、まさかあなたがライビアード家の出身だったなんて!」

 

「ああ、そういや結局名乗ってなかったな。まぁ、カイニス叔父さんとは面識ないんだけど」

 

「でも、魔法生物は扱えるのでしょう?」

 

「そう。叔父さんが残しておいてくれたからな」

 

『魔法生物誌』を取り出し、レイシアに見せる。すると、周囲のスリザリン生もわらわらと集まってきた。

 

「すげぇ…」

 

「あれが本物か、じゃあ実際に…」

 

と、スリザリン寮のテーブルが騒がしくなったところで、

 

「皆さん、お静かに」

 

とマクゴナガル先生。そして、

 

「――では、宴を始めよう」

 

入学を祝う宴が、幕を開けた。

 

 

◇  ◇  ◇  ◇

 

 

(……嘘だろ)

 

現在、監督生――ジェマ・ファーレイに導かれ、スリザリン担当の先生と対面しているのだが……

 

「はじめまして、新たにスリザリン生となった諸君。私は()()()()()()()()()()、スリザリンの寮監だ。授業は魔法薬学を受け持っている」

 

驚くべきことに、スネイプ先生までもが女体化していた。おまけに、やたらと美人になっている。元の、というより原作に出てきたスネイプ先生は、そこまでイケメンというわけではなかった。が、今前で話をしている女体化スネイプ先生――もといフェルシア先生は、整った顔立ちにグレーの瞳、そしてきれいな白い肌とえらく美人になっている。

 

「君たちには、伝統あるスリザリンの一員として恥のないような行動を――」

 

フェルシア先生が色々と話しているようだが、余りにも衝撃すぎて全く頭に入ってこない。

 

「……ねぇ、大丈夫?」

 

レイシアに声をかけられて、ようやく我に返る。気づくと、もう大方話は終わっているらしかった。

 

「悪い、ちょっとな」

 

「ずっと固まってたけど、気分でも悪いの?」

 

「いや、そういうわけじゃない。まぁ、色々な」

 

「――以上で、話を終わる。就寝時間が来るまで、自室に行くなり談話室で知り合いと話すなり好きにするといい。ただ、騒がしくはしないように。……それと、レイ・ライビアード。君は少し残りなさい、話がある」

 

「え」

 

話を切り上げたと思ったら、呼び止められてしまった。ほとんど話を聞いていなかったのがバレたのだろうか。まぁ確かに悪いことではあるが、割と仕方ないことなのでなんとか見逃してほしい。と言っても、「僕の知ってるあなたは男の人で、そこまで美人ではなかった」なんて言っても、信じてもらえるわけがないが。

 

「……さて」

 

残っているのが俺とフェルシア先生の二人になったところで、先生が口を開く。

 

「君はライビアード家の血を引くと聞いている」

 

「はい」

 

「では聞くが、カイ…ニスとはどのような関係に当たるのだ?」

 

「関係? …親戚関係って意味なら、あの人はちょうど俺の叔父さんに当たりますね。もっとも、俺が生まれる前には行方不明になってしまってたみたいですが」

 

するとそれを聞き、一瞬嬉しそうな顔になったが、直ぐに先程までの顔に戻る。

 

「……行方不明、か。手がかりはないのか?」

 

「あったとしても、俺は知らないですね。叔父さんが残してくれたものって、現状これだけですし」

 

そう言って本を見せる。

 

「少し貸してもらえないかね?」

 

「いいですけど…」

 

先生は本を受け取ると、しばらくまじまじと拍子や中身などを見つめていたが、しばらくすると俺に返した。

 

「……魔術的な仕掛けが施されていないかと思ったのだが、何もなかったな」

 

「はぁ…」

 

「呼び止めてすまなかったな、就寝時間まで自由に過ごしたまえ」

 

そう言い残して、フェルシア先生は去っていった。自由に過ごしていいと言われたので、せっかくだから談話室に向かってみる。

 

「すげぇな…」

 

談話室は大理石に囲まれた地下室で、緑色で統一されたランプが幻想的な雰囲気を醸し出していた。

 

「大丈夫だった? 何故か呼び止められていたけど」

 

声の方を向くと、レイシアが立っていた。

 

「いや、別に大丈夫だったぜ。俺とカイニス叔父さんにの関係について聞かれただけさ」

 

「関係? それって、親戚関係ってこと?」

 

「そう。確認したかったらしい」

 

「ふーん……あっ、そうだ。明日は魔法薬学の授業があるから、教科書をよく読んでおいたほうがいいわよ」

 

「そりゃまたなんで? そんな難しいのか?」

 

「いえ、授業中にスネイプ先生が当ててくれるのよ。その時に正答できれば、スリザリンに加点されるってわけ」

 

「……なるほど、そいつは理にかなってる」

 

自寮贔屓と言えなくもないが、それぐらいなら別に他の寮もやっているだろう。

そんな感じの他愛もないことをしばらく話していると、やがて眠気が襲ってきた。

 

「悪い、そろそろ眠くなってきたから寝るわ。付き合わせちまって悪いな」

 

「いえ、こちらも暇だったから。それじゃ、おやすみなさい」

 

「おう、おやすみ」

 

 

◇  ◇  ◇  ◇

 

自室のベッドに横たわると、壁に描かれているタペストリーが目に入った。監督生の話によると、有名なスリザリン生の冒険について描かれているらしい。

 

「……疲れたなぁ…」

 

思い返せば、今日は色々ありすぎた。魔法界に関することもそうだが、何よりハリーとドラコ、それにスネイプ先生が3人とも女体化していたことにはかなり衝撃を受けた。

 

「…上手いこと物語が進むといいんだけど」

 

性別が変わってしまったことで、何か致命的な違いが起きている可能性もある。もっとも、原作のストーリーを知らない俺にはもし何か違いが起きてもわからないのだが。

 

「まぁ、ハリエットが闇落ちとかそういうあからさまにヤバそうな事態が起きたら止めに行くか」

 

そう呟くと同時に、再び強烈な眠気の波が襲ってきた。

 

「ふぁ〜…今日はもう…寝るか」

 

目を閉じた後、打ち寄せる波の音が聞こえたのを最後に、俺の意識は途絶えた。





またしても補足

・レイシア・マルフォイ
女体化ドラコ。原作と比べてほんの少しだけ丸くなっているが、基本の性格は変わらず。因みにロンが彼女を笑ったのは、父親からマルフォイ家のことを聞いており、純血主義の人間がハリエットと仲良くなれるわけがない、と思ったため。別に名前を笑ったわけではない。

・ベロニカ・クラッブ ・グレース・ゴイル
絵面の都合上ドラコとまとめて女体化された子たち。割と見た目は良くなっているが、頭の悪さは相変わらず。多分そんなに出てこない。

・フェルシア・スネイプ
女体化スネイプ先生。やたらと美人。カイニスとはスリザリン生時代の知り合いだった。ひょっとしたら1番原作より丸くなっているかもしれない。でもハリエットは憎い。
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