禁書厨な俺氏、チート勘違い系オリキャラになる -とある科学の物質誘導-   作:村ショウ

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 感想、誤字報告ありがとうございます!
 ロリ木原sは那由他ちゃんがランドセル少女で、円周ちゃんは中学生くらいと表現されているので、精神年齢はともかく円周ちゃんの方が年上ぽいんですよね…。
 閉じ込められてた性か、円周ちゃんは言動がだいぶ幼い感じですが。

では、那由他ちゃんsideからです。



10.暗躍開始②

 

 

 円周お姉ちゃんと解散した後、学園都市第2位 垣根帝督を救急車に乗せて移送した。

 垣根帝督が輸送中に暴れた場合を考慮してか直接研究所には運ばずに、誘導お兄ちゃんの研究所名義で借りている倉庫に運び込んでいる。

 そして、垣根帝督の頭にはヘッドセットや脳波を観測するための機器が繋がれていて、手足も精神病棟用のストレッチャーで拘束されていた。

 でも、誘導お兄ちゃんが垣根帝督の強襲作戦を決行するとは思ってもいなかった。円周お姉ちゃんのシュミレーションや()()()()()()()()という装置による誘導は確かに凄かったけど、確実ではなかったからだ。

 

「よし、『横紙破り(ULエクスプローダー)』。これで滞空回線は一時的に無力化出来ただろう。これくらいなら君の未元物質でも似たような事が出来たとも思うが」

 

 誘導お兄ちゃんが持っていたおもちゃの様な銃の引き金を引くと、突如として空間が爆発を起こした。それは粉塵爆発のそれと似ていた気がした。何を爆発させたか分からないが、そこに何かがあったのは間違いない。

 

「正直、唯一姉さんのものだからあまり使う気はしなかったが、まぁ仕方ないかな。流石に、第2位さんも目は覚めているのだろう?」

 

「クソ野郎が俺に何の用だ。殺るならこんなチンケなベットに括り付ける前に殺っておくべきだったな」

 

 誘導お兄ちゃんは脳波観測装置のモニターを見て問い掛けるように呟くと、以前に出会った第1位と近いレベルの殺気を垣根帝督は出しながら反応した。

 その瞬間、垣根帝督の近くAIM拡散力場が歪んだように感じた。だが、能力は発現しない。

 もしかしたら、この前に私の脳波制御の為として、誘導お兄ちゃんが導入したものと似たような仕組みなのかもしれない。

 

 この装置は脳波を変換することで複数人間の脳で演算・通信を可能にするものらしく、私の能力での空間への演算能力を誘導お兄ちゃんの能力で高めるための物らしい。

 たしか、どこかで研究されている幻想御手(レベルアッパー)という物の応用らしい。垣根帝督のAIM拡散力場の歪みをよく観察すると、最初に出会った時よりノイズや不釣り合いな振れ幅があり、実際に無理やり脳波を捻じ曲げて能力を防いでいる様にも見える痕跡は残っていた

 

「あぁ、もちろん能力は制限させてもらっているよ。それにクソ野郎は酷いなぁ。私の名前は木原 誘導、単なる科学者ですよ」

 

 誘導お兄ちゃんは交渉のためか、科学者らしい口調で垣根帝督に話しかける。

 

「そのただの科学者が何の用だ?」

 

 誘導お兄ちゃんを睨みながら、怪訝そうな表情で垣根帝督が質問する。

 

「垣根帝督君、わざわざ君を襲撃したのはこうでもしないと協力しては貰えないと思ったからに過ぎない。そこは理解して欲しい」

 

 当然といえば当然だけど、垣根帝督は誘導お兄ちゃんの言葉を聞いても怪訝な顔のままだった。

 

「誘導お兄ちゃん、さっきの爆発は何をしたの?」

 

 数秒の沈黙の後、私は耐えかねずにさっき起きた粉塵爆発らしきものについて尋ねる。

 

「学園都市統括理事長、アレイスター=クロウリーは滞空回線(アンダーライン)と言われるミクロな機械で学園都市中を監視している。先程の『横紙破り』はそれを破壊するためのもだ」

 

「テメェ、アレイスターの野郎の監視を振り切って何をするつもりだ?」

 

 そんなものが存在することすら私は知らなかったけど、誘導お兄ちゃんがそんな事をする以上はそれなりの目的があるはずだ。

 

「単なる内緒話ですよ。先程も言ったでしょう? 協力したいと」

 

「協力だぁ? 襲ってきておいて何寝ぼけた事を言ってやがる」

 

 同調する訳では無いけど、私も誘導お兄ちゃんがいきなり強硬策をとった理由が、未だに分からなかった。

 もちろん、パフォーマンス的な意味合いもあるのかもしれない。しかし、一切の交渉をせず、叩き潰すようなやり方は本来の誘導お兄ちゃんのやり方ではない。そこには誘導お兄ちゃんらしい理由がある筈だ。

 

「まぁ、そう言われるのも想定はしていたが。我々と君の目的は一致していると思っている。それでも襲ったのは下手に勧誘しても、君は話に乗ってこないと思っていたからに過ぎない。

 そして、私から問おう。このクソな街の常識とやらをぶち壊したくはないか?」

 

 誘導お兄ちゃんの真意は分からない。口調なども研究者らしいそれに変えているから、何か誘導をしているのだと思うけど。でも、常識の破壊という言葉には何か引っかかる気がした。

 

「ハッ、テメェにそんな力があるとでも言うつもりか」

 

 誘導お兄ちゃんの言葉に、垣根帝督は小馬鹿にした態度で返す。

 

「やはり、君を一度打ち破った程度では力を認めてはくれないか。実際問題、それほどの出力は今の私たちにはないが、その手立てはあると言っておこう。

 そもそも、なぜ君が学園都市第2位で、一方通行が第1位か理解しているか?」

 

 垣根帝督も聞くだけ聞いて、反撃のチャンスを狙っているのだろうけど、誘導お兄ちゃんはそうはさせない。興味を引くであろう言葉で誘導する。

 

「気に食わねぇが、単なるアレイスターの野郎の優先順位の問題じゃねぇのか」

 

 いかに学園都市第2位と言えどコンプレックスの様なものがあるのか、誘導お兄ちゃんの言葉に垣根帝督は機嫌が悪そうに答えた。

 

「確かにそうだが、アレイスターはどうやってその優先順位をつけたのか、その基準を考えたことはあるかい?」

 

 誘導お兄ちゃんはニヤリと笑みを浮かべ、話しの中で垣根帝督の心理を掴みっとたかのように次なる誘導の手を打つ。

 

「こんなことは知っているか。アレイスターの目的が科学の外にある力の殲滅だということを」

 

「科学の外にある力だと……?」

 

「それは学園都市の超能力とはまったく別の法則で働く、非科学的な能力だ」

 

 誘導お兄ちゃんが垣根帝督に説明しているそんな力に、私は心当たりがあるような気がした。

 

「アレイスターの野郎は何故そんなことを目的にしてやがるんだ。単純なその勢力との利権争いか?」

 

「そうだな。理由と言うならば、学園都市統括理事会はともかく、理事長はその外の力に娘が殺された復讐という俗物的なものだ」

 

 捕えられているのに、余裕がありそうな顔をしていた垣根帝督の表情が明らかに変わった。誘導お兄ちゃんがなぜ学園都市統括理事長の目的を知っているかは謎だけど、誘導お兄ちゃんがこの空間と主導権を完全に掌握し、誘導に成功した雰囲気が伝わってきた。

 

「そんなに不思議かな。学園都市統括理事長が復讐という『人間』らしい理由で動いているのが」

 

「テメェは何故アレイスターの野郎の『計画(プラン)』への反逆を企ててやがる? 外の力を扱う側の人間か」

 

「いや、『木原』というものはこちら側の科学の産物だし、木原を管理する上でもこの学園都市はなくてはならないものだ。そうでもしないと、世界はしっちゃかめっちゃかになるしな」

 

 誘導お兄ちゃんの言葉の雰囲気が少しずつだが、垣根帝督との距離を詰めるように柔らかくなっているを感じた。

 

「だが、アレイスターの野郎の目的がそうだとして、何故外の力とやらを利用出来るものが学園都市には出てこない?」

 

 垣根帝督も気になる話題だったのか、誘導お兄ちゃんの話に耳を傾ける形となっていた。

 

「学園都市に表立ってそういった能力者がいないのにも勿論理由がある。そもそも、学園都市の能力者が外部の力を使うと、異なる力であるためか反発し、内部から破裂してしまう為だ。過去にはそういった実験が行われている。

 そこにいる那由他ちゃんにも似たような実験が行われてしまった訳だが……。この話はよそう。

 後は魔術と科学の間にもある程度の取り決めがあるのも大きいだろう」

 

 やはり、私に埋め込まれたアレは外部由来の力だったようだ。誘導お兄ちゃんは私の方少し見て、一瞬だが辛そうな表情をしていた。

 

「しかしだ。娘を失った筈のアレイスターが作った学園都市は、何故こんなにも子供を使った実験や悲劇に溢れていると思う?」

 

 誘導お兄ちゃんは続けて言葉を紡ぐ。私は不意に木山先生の実験の性で寝たきりなった置き去り(チャイルドエラー)の子達の顔を思い出す。

 

「それは1人のある少年の為だ。私の目的はそんな悲劇を消し去りたい」

 

「1人の少年? 学園都市第1位の野郎か」

 

「そんなものでは無いよ。確かにアレはメインプランの中にあるものだが、所詮は表に出した第1位だろう? 

 まさか、第1位になればアレイスターと対等に交渉出来ると思っていないかね? 

 所詮は第1位も第2位という第二候補が存在しているものでしかない。わざわざ本命のプランの中核を表に出す必要は無い」

 

「そんな物が存在しやがるのか?」

 

 垣根帝督の表情は更に驚きの表情に変わっていた。私にもまったく検討がつかない。逆に、垣根帝督と同じで誘導お兄ちゃんの話であってもそんなものが存在するのか疑ってしまう。

 

「その少年は単なる『無能力者』に位置付けられている存在だが、あらゆる異能を打ち消す右手を持った少年だよ。だからこそ、その右手故に無能力者と判定されてしまう訳だが。

 学園都市第1位のベクトル操作だろうが、未元物質だろうが、学園都市の外の力だろうが、関係なくその右手はあるべき形の基準点として壊す。正直、闇を持つ我々のような存在に対する天敵といえるまでの善性、真正面から挑めば勝ち目はない。

 言うなれば、悲劇や闇に対する特攻兵器だ。まだ、対戦相手を任意にぶつけて、善性をもった無能力者と戦わせた方が勝算がある。そんな彼を活躍させる為だけに作り上げた舞台装置がこの学園都市だ。能力者がいなければ彼は彼自身の能力にも気づくことは出来ないのだがら、必要なものではあったのだろうがな」

 

「そんなもんが存在するって言うなら、テメェが言う第1位と第2位の差はなんだ?」

 

「あぁ、それか。単純な話だよ」

 

 誘導お兄ちゃんは忘れていたことを思い出すかのように呟いた。

 

「それは相性とも言うべき、能力の性質の違いだ。第1位の理由はベクトル操作とその演算能力によるものがもっとも大きい。アレにAIM拡散力場の値を代入させ、虚数学区五行機関の制御を行わさせることが、アレイスターのプランの一部だ」

 

「虚数学区五行機関だと……? 単なる都市伝説じゃねぇのか」

 

「確かに、始まりの学区・研究所なんて話は都市伝説に過ぎない。だが、虚数学区・五行機関は実在している。

 その本質は、能力者のAIM拡散力場が作り上げた陽炎の街というべきものだが 」

 

「能力者が作り上げた陽炎の街…? どういう意味で言ってやがる」

 

 学園都市第2位の頭脳でも完全な答えに至っていないのか、誘導お兄ちゃんに問いただす。

 

「例えば、電波塔から出した電波は障害物を避けて通る訳だが、レーダーの様にその電波の形を見えるようにすれば、障害物となった街の形が分かる。つまり、街がデータ化されている訳だ」

 

「では、炎や電気、挙句の果てには未元物質など多種多様な学園都市の能力者から発せられるAIM拡散力場を電波塔として、学園都市中を覆ったらどうなると思う?」

 

 誘導お兄ちゃんの言わんとすることが何となくだが分かった気がした。今私に見えているAIM拡散力場が形作っている世界の意味が。垣根帝督も何らかの考えに至ったのか、熟考している。

 

「それによって産まれるのはもう1つの学園都市。それが虚数学区・五行機関の正体だ。電波によるレーダーでは形のデータにしか分からないが、あらゆる能力により形づくられた街は本物と遜色ないものとなるだろう。いや、能力の性質を持ったもう1つの異なる世界、異世界と言うべきものに。

 そこに産まれた物質やエネルギー、法則をこの世界に展開・適応することが出来るとすれば、こちら側にも能力由来の力で満たされた虚数学区・五行機関を顕現させることが出来る。そして、外の力と学園都市の能力は相反する物であることを思い出して欲しい。当然、外部の力を使うものはそんな法則で満たされたら自滅する訳だ。

 さらに、これが全世界に行える様になったのなら、外の力を殲滅するアレイスターの目的は達せられるだろう。

 これが私の今の考えだ。もしかしたら、何か間違えている可能性もあるが」

 

 誘導お兄ちゃんの考えを聞いて、今まで見ていたAIM拡散力場が別物のように感じてしまった。そこには、無限へと繋がる成長の可能性が広がっているような──。

 

「さて、後は君の頭脳ならある事に気づいたんじゃないかな」

 

 誘導お兄ちゃんは熟考を続けていた垣根帝督に質問を投げかける。

 

「まさか、未元物質の正体はその虚数学区・五行機関由来とでも言うつもりか」

 

「さぁ、そこまでは何とも言えない。私としても未元物質の研究はまだまだなものでね。

 しかし、未元物質は純粋な物質でもあるが故に、私の計算では逆に外の力との相性が良いとは思われる。未元物質の科学的性質を限りなく除去していけば、外の力の利用も可能かもしれない。流石の未元物質でも、加工無しで外の力をそのまま使うことは出来ないだろうが。

 もし、これが成功すればある種の壁を破ることが出来るだろう。学園都市第1位しか安定して到達出来ないとされている『絶対能力(レベル6)』だが、これは樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)の計算によるものでしかない。

 アレには外の力を利用した場合の計画(プラン)は入っていない。私の『計画』に参加してくれるのなら、君にその可能性を与えよう。

 学園都市統括理事長の『計画(プラン)』を都合よく誘導出来るほどの力を」

 

「それで俺が力を手に入れたとして、テメェは何を手に入れようとしてやがるんだ」

 

「そうだな。それは理不尽な世界に対する最低限度の防衛力といったところだ。いかに絶対能力と言えども、この世界に絶対はない。外の力にはそれを凌駕するような『何か』があるかも知れない。

 そういった物に対する対抗手段を予め用意しておきたいというのと、単純に科学者として未知を解き明かしたいという気持ち、それによって得られる達成感が欲しいだけだよ」

 

「本気で絶対能力以上の『何か』が存在すると考えてやがるのか」

 

 誘導お兄ちゃんの言葉が嘘ではないように感じたのか、垣根帝督は少し驚いた表情をしていた。

 

「あぁ、あり得ると私は考えている。230万人から1人生まれる可能性がある絶対能力と、世界人口80億人から生まれるものでどちらがより希少かを考えればね。それで、どうだろうか協力してくれるかな? 

 少なくとも、ここで非協力的な態度を取るよりも、力をつけてからこちらに反逆した方が、まともな結果を得られるとは思うけど」

 

「チッ、協力してやる。で、第1位の野郎みたいに人形潰しでもさせるつもりか 」

 

 第1位の実験、それは誘導お兄ちゃんから聞いた超電磁砲のクローンを2万体虐殺する非道な実験。あんなものを誘導お兄ちゃんが主導するようには思えないけど、垣根帝督に協力してもらい何をするつもりなのかは気になっていた。

 

「いや、あんなものは必要ない。必要なのは外部の力を利用する為の最適化。垣根帝督君、君には未元物質のサンプルを提供して欲しい。そうしてくれれば、君に成果物を渡そう。

 とはいえ、妹達といったDNAなどを付随した価値を含めたアレイスターの『計画』への重要度でいえば、今のところは未元物質より君が言った人形の元である超電磁砲の方が上かもしれないがな。だが、私に協力してくれれば、いずれはアレイスターが無視できないレベルの力へと至れるだろう」

 

 そして、誘導お兄ちゃんは不敵な笑みを浮かべながら、垣根帝督に契約書のサインを促す。

 

 

 

 

 





 そろそろ色々と考えている原作本編の時系列までいきたいところ。
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