禁書厨な俺氏、チート勘違い系オリキャラになる -とある科学の物質誘導- 作:村ショウ
創約12巻、最高。
特に男達はこいつはこういう事するよなとなりました。
「でも、…欠陥品を蔑むことは許さない!!」
そう言い、会話を拒絶するかのように踏み込む木原那由他。
美琴は再び能力を暴走させられそうになるが、右手に溢れた電流を左手で作り出した磁場へ誘導して抑え込む。その結果、那由他の能力では複数のAIM拡散力場を同時には扱えないと確認できた。
だが、美琴は次の那由他の行動に驚愕する。暴走させる力は囮にすぎず、本来の力は精密機器を要するはずのAIM拡散力場の観測による行動予測だった。雷撃の槍を予備動作だけで瞬時に読み取り、生身とは思えない速度で躱す。
そう、本来なら前もって観測できても避けられるはずのない電撃を、だ
もっとも、美琴にも豊富な戦闘経験がある。予測されても避け切れない雷撃を放てばいい。
砂鉄の球体を浮かべ、瞬時に接近してきた那由他の目前で放電を拡散させる。
「…ッ!?」
普通なら鉄色の霧に身を躍らせるところだが、那由他はそれすら視認して速度を緩め、距離を取って回避した。
「帯電した私にあえて触ろうとするってことは、その手に何かあるみたいね」
電撃による単調な攻撃を切り替え、公園の土壌や砂場から集めた砂鉄の球体を数十、数百と浮かべる。
美琴はそんな奇妙な情景の中心に立ち、不敵な笑みを浮かべその無数の球体を一斉に少女に襲いかからせた。
だが一か所だけ、明らかに手加減したような空間があった。
力の流れが見える那由他には、その隙間には放電がないとわかる。ゆえに、砂鉄球の間をすり抜けて美琴へと迫れた。
しかし直後、自身の迂闊さに気づく。
砂鉄球がさらに細かく分裂しながら拡散し、美琴と那由他を取り囲むと青白い火花を噴く。球体間で放電が走り、美琴を中心に巨大な電撃の籠が形成された。
「くっ……!!」
那由他も能力を『暴発』させ、鉄球の間を広げようとするが、美琴はすぐに隙間を修正してしまう。
少女の能力では、『暴発』させる事はできるが、『停止』させる事はできない。美琴はそれを確認し、電撃の籠を高速回転させながら更にその範囲を狭めていく。
「どう?まだ続け…ちょっと!?」
降伏を促そうとした美琴だったが、そんな声を無視するかの様に那由他はその体を美琴の方へ踊らせた。
美琴は迎撃の放電で壁を作り、避けられる隙間はない。だが那由他はお構いなしに腕を突っ込み、青白い火花が体を走る。少女の顔に
美琴は自分の喉元にその手が届く寸前に体を捻り、電流で相手の手を反らせようと試みた。筋肉神経に電流を流し、反射を利用して意図的に動かすという、演算能力に物を言わせた力なのだが少女の腕は何故か止まらず、規則的な動きで美琴の眼前に接近してきた。
「ッ!?」
美琴はあわてて腕を伸ばし、那由他の手首を握る。
「やっぱり、アンタ、手になにかって…ちょ、なによこれ?」
那由他の突進をギリギリで受け止めた美琴は、相手の右手を見て声をあげる。
美琴の前に突きつけられた少女の右手。そこあったのは少女には似つかわしくない
「アンタ、この腕……」
少女の腕は今しがたの雷撃でノーダメージとはいかなかった。腕はあっちこっちに熱傷が生まれており、その内数カ所は皮膚がめくれてしまっている。
しかし、そこから漏れているのは血液でなく、潤滑油らしき透明の液体。捲れた皮膚の下に見えるのは赤い筋肉繊維ではなく、黒い人工筋肉繊維の束。
「言ったでしょ、お姉さん。…私は実験体なの」
めくれ上がったことで明らかに義手と分かる右手をギチギチと鳴らし、自分の境遇を誇らしげに語る。
「ちょっと
美琴を見据えてそんなことを呟く那由他と目が合い気づく。彼女の右目からキュルルと奇妙な音が聞こえることに。
「その後、別の実験を受けて体の7割が生身じゃなくなったんだけどね?」
言い終えるより早く、那由他は左目を閉じ右目を大きく開いた。瞬間、右目が眩い閃光を放つ。
機械眼だと気づいてはいたが、美琴も一瞬視界を奪われる。危険を悟り、つかんだ右手に電撃を流して拘束しようとする。
だが、その焦りで生じた精神の隙を那由他は見逃さない。
全身の人工筋肉をフル稼働させて、掴まれていた腕を相手から引き離す。
すんでのところで本命の電撃が来たが躱し、そのまま大きく距離を取る。そして、楽しそうに美琴に語る。
「あーあ、アースの役割もあるから大丈夫だと思ったんだけど、やっぱりお姉さんの電撃半端ないや。結構しびれちゃったよ。はやく、誘導お兄ちゃんに未元物質製に変えてもらわなきゃ」
「なるほどね。アンタの本命は、その体を生かした格闘ってわけね」
「私の一族にはね、唯一お姉ちゃんが生み出した能力者の力の流れを読んで、その隙を突くっていう格闘技があるの。私はまだ覚えたてだから、機械の体と自分の能力で補ってようやくだけど…、極めたら勘と経験だけで相手の力の流れが見えるんだって」
ツインテールを揺らしながら首をガチャリと鳴らし、まだ閃光の残滓が残っている右目を瞬かせながら、話を続ける。
「私にこれを教えてくれた数多おじさんは『これを極めれば学園都市第一位の奴も怖くない。少なくとも俺は勝てる』なんてい言ってたけど、どうなのかなあ?」
そう言いながら、那由他は笑顔のまま美琴を睨みつける。
「お姉さんに恨みは無いよ。だけど、私は自分の強さと正義を証明したいの……。絆理お姉ちゃん達が、笑って起きてこれるように」
詳細な事情まで知らないので意味は分からないが、それでもどこか寂しげな色と強い決意の込められた言葉を聞いて、美琴は全身に一層強力な電撃の蛇を迸らせる。
「詳しい事情は知らないけど、アンタが単なる冷血動物じゃなさそう、ってことは分かったわ。自分の力を堂々と明かして挑んでくる所も、黒子なら素人臭いといか言うけど、私は結構好きよ」
「……」
「いいわ。年下の子に決闘を挑まれるのは初めてじゃないていうか、私も年上に喧嘩を売っているし、こういうの自体嫌いじゃないからね」
美琴は電撃のドームを生み出している砂鉄球とは別に、地面から別の砂鉄を引き寄せ、黒い剣を生み出した。
「私に挑むっていうなら受けて立つわ。お互い悔いが残らないように、ちょっとだけ本気で相手して上げる」
「こっちも本気でいくよ、『超電磁砲』のお姉さん」
美琴と那由他はお互い不敵な笑みを浮かべ、さらなる闘争にその身を溺れさせる。
「次はこれなんてどうかな!?」
那由他のランドセルから6翼3対の白翼が展開される。
「まだ、隠し球があったわけね」
「誘導お兄ちゃんの実験の成果でもあるから使うつもりなかったんだけど、このままじゃ勝てそうにないからね」
通常の電撃を悉く遮る白い翼。
美琴は砂鉄の剣での攻撃に切り替えるが、AIM拡散力場を読んで行動を先取りする能力と無敵に近い盾の組み合わせは圧倒的だ。
「これじゃあ、埒があかないわね」
そう言い、美琴は自身の代名詞──超電磁砲を構える。
「きなよ、超電磁砲のお姉さん!!」
コインが舞い、青い稲妻をガイドに超電磁砲が発射された。それに対し、白翼が一か所に重なり那由他を包み込む。
そして──
「この翼は未元物質で出来てて、超電磁砲くらいなら防ぐんだって」
土煙が晴れると、無傷の那由他が立っていた。
「へぇ……面白いもの持ってるじゃない。それじゃ、これはどうかしら」
言葉と同時に地面が抉れ、那由他の足場がせり上がる。超電磁砲の発射と同時に砂鉄球を消し、舗装の隙間へ砂鉄を送り込んでいたのだ。
「……ッ!?」
浮かび上がった足場とは別の砂鉄塊が那由他へ襲いかかる。未元物質の盾は貫通されないが、巨大な運動エネルギーまで無効化はできない。硬い車が事故の時に安全性が高い訳では無いように、強い磁力でぶつけられる砂鉄のエネルギーは受け流せない。
美琴の攻撃はそれだけではなかった。
砂鉄で動きと視界を封じた隙に背後へ回り込み、那由他の手をつかむ。
「この状況で直接の電撃には対応できないわよね。人体にダメージはいかないようには手加減してあげるから、おとなしくしてなさい」
そう言って那由他に電撃を流そうとした瞬間──
「そろそろ、止めさせてもらおうかな」
「アンタ、急に出てきて何者……そういえば、木山春美の時にいたわね」
美琴の腕をつかみ、割って入ったのはもう一人の木原。
「木原 誘導、いわゆる親戚のお兄さんって奴だ」
今回のシーンを書いてて、ランドセルの天使のはねのCMを思い出してました。
記憶にある人は世代が近いかも。
いつも感想・誤字報告ありがとうございます。