禁書厨な俺氏、チート勘違い系オリキャラになる -とある科学の物質誘導-   作:村ショウ

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ちょっと小説書く感覚が戻ってきました。



19.とある自販機の存在証明③

 

「木原 誘導、いわゆる親戚のお兄さんって奴だ」

 

 まずい、JCの腕を掴んでいるけど捕まったりしないよな?

 那由他ちゃんと御坂美琴の対決は傍観しておく予定だった。だが、改良したEqu.DarkMatter ver2.0 を使ったことで決着が変わりそうだったし、那由他ちゃんに電撃が流れて万が一ということがあったら後悔してもしきれない。

 そもそも、本来ならそろそろ削板軍覇の乱入があってもおかしくないのに、出てこないし。自分が出ていくしかなかった。

 今の段階ではあまり御坂美琴とは関わり合いになりたくなかったが、仕方ない。

 

「那由他ちゃんが超能力者(レベル5)に絡まれてるとなっては助けないわけにはいかない。それで、何してたの?」

 

「誘導お兄ちゃん、超電磁砲のお姉さんが自動販売機を蹴ってジュースを取ってたから捕まえようとしただけだよ」

 

「そっか。いくら超能力者とはいえ自販機強盗はまずいんじゃないかな」

 

「それについては弁解のしようもないけど、アンタの親戚の子も嫌に好戦的だったわよ」

 

「それでも、ここまでするかね…」

 

 やっぱ超能力者って、イカれてるよな。

 まぁ、今回は那由他ちゃんにもかなり非があるけど、データ収集の対象としては殺人をしてこない超電磁砲は最適だし、ダメとも言えない。

 

「というか、アンタもそろそろ腕を放しなさいよ!…ッ」

 

 美琴が軽く静電気程度に能力を使用しようとするが、発動しない。それはそうだ。なぜなら──

 

「能力が使えない…。さっきの子から感じたそれと似ている…。だけど、それだけじゃ説明がつかない。それともアンタ、アイツみたいな力が…」

 

 きっと御坂美琴はツンツンウニ頭の男を思い出しているのだろう。今回はそういうミスリードも込みでのデモンストレーションだが。

 

「不思議そうだね。君は那由他ちゃんがAIM拡散力場を見て干渉できるのを知っているようだし、俺の同級生であり友人でもある上条のことも知っているんだろ。なら、話は早い」

 

「やっぱり、アイツの能力と関係あるわけ? さっきの子じゃ暴発は出来ても、停止は出来なかったようだけど?」

 

「君なら既知の情報からそれについても導けるはずだけど。ヒント1:木山先生の知り合い」

 

「まさか、幻想御手(レベルアッパー)をさっきの子に…!?」

 

 険しい顔を見せる御坂美琴。一方通行、垣根帝督と既に出会っているとはいえ、凄まれると少し怖い。那由他ちゃんが昏睡状態になる可能性を考えて怒ってくれているんだろうけど

 

「心配しないで欲しい。那由他ちゃんに負荷は掛からない。実際問題、通常の幻想御手の方式なら、電気系能力者のように相互通信が可能な能力者のクローンでも作成しない限り負荷の問題はつきまとう。だが、那由他ちゃんのサイボーグパーツにつけた処理機能で脳波の差を吸収しているから負荷はない」

 

「だとしても、そう簡単に能力者を無効化できるっていうの? アイツの能力とも関係あるみたいだけど」

 

「そこは気になるよね。上条の奴の力っていうのは異能の力を打ち消す原石の能力みたいなものなんだ。ではなぜ、奴の力は打ち消すのか」

 

 興味津々といった様子で息を呑んで聞き入る御坂美琴。これだけ気になる情報を出せば、セクハラなんかで訴えられないだろう。

 

「それは“異能の力を使う者の怯え”にある。能力者の暴発は意図せずとも起こり得る。それが最悪の結果を生むこともある。能力者は開発を通して本来の認識を歪め、低確率なはずのミクロな変化を起こす。そうして本来は起きない電撃といった結果を得る」

 

「能力開発の基礎みたいな話が何だっていうのよ」

 

「では、歪められた認識の中に『あの時に能力を発動しなかったら…』なんていう願望も発生しているんじゃないだろうか。木山先生は複数の能力者の脳波を調律することで巨大なネットワークを生み出したが、異能の力を持つ者の怯えが一つの指向性を持って現出するとは考えられないか。簡単に言えば、ミクロとはいえ世界を歪めることに恐怖を抱かないか、という話だ」

 

「アイツの力はその怯えの結果、ってわけ?」

 

「あくまで推測の域を出ないけどね。とはいえ、あの右手が異能の力を透過や受け流すのではなく『壊す』のは、そう考えたほうがわかりやすい」

 

「それでアンタはどうしてそんな力を使えるわけ? アイツに幻想御手でも使ったの?」

 

「アレは特殊な原石みたいなものだし、AIM拡散力場すら打ち消す彼に使っても、幻想御手では幻想殺しは(・・・・・)取れないだろう。だったら、似たようなものを用意すればいい。能力者を科学技術で再現するあのプロジェクト(・・・・・・・・)のように。あの右手はAIM拡散力場ごと打ち消している。ならこちらはAIM拡散力場を観測し、逆位相の力を与えることで打ち消せばいい」

 

「本当にそんなことが出来るの?」

 

「出来るか出来ないかで言えば、すでに失敗は終えて出来ている。実験とは積み重ね。失敗から法則を導き、正解への誘導を探ること。幻想御手の時はAIM拡散力場の制御に失敗したが、必要なパラメーターは手に入ったし、こうして能力の無力化を実現できた。つまり、最終的にはこのAIM拡散力場の制御は能力者の代替ができる。学園都市の能力開発を一人で賄える“学園個人”なる能力への道を開くことすら不可能ではない。少なくとも、那由他ちゃんの方向性の一つとしても検討の余地はある」

 

 もっとも、那由他ちゃんの能力を借りて干渉している以上、能力の無効化クラスの干渉には相手に触れている必要がある。一カ所にしか能力が適用できないのは変わっていない。触れることで能力者を一個体と括ることはできているが。

 

「なるほどね。アンタの目的は分かったわ」

 

「目的? 勘違いしてもらっては困る。別に強大な能力者が欲しいとかそういうわけじゃない」

 

「どうだか。そこの子はともかくアンタからきな臭い感じがするのよねぇ」

 

 えっ、スピンオフ主人公にもう不信感を持たれるくらい好感度下がってる。

 

「そう思われても仕方ないが、ここはお互い痛み分けとして解散といかない?」

 

 これ以上ヘイトを買わないように、少しでも早くこの場から離れたい。特にバトルは避けたい。

 

「イライラするのよね。アイツといい、力があるくせにのらりくらりと躱そうとするやつ」

 

 御坂美琴に対しては逆効果だったわ。

 まずいな。まったく勝てないわけじゃないが、御坂美琴に危害を加えたら原作崩壊がより早まる可能性が高い。

 そもそも、あの子達を助けるためには上条さんより御坂美琴の活躍のほうが大切なのだ。敵対する理由はまったくないのに、戦いたくはない。

 

「挑んでくるか、超電磁砲…」

 

「そうさせてもらうわ」

 

 腕を振り払われる。流石にこれ以上握っているわけにもいかない。

 

「現れよ、擬似 Five_Over OS!!」

 

「私相手に機械で挑もうなんて、良い度胸ね」

 

 こちらも対策はしている。未元物質による電磁波防御とスタンドアローン機能だ。音声認識に気づかれたら何かしら穴を突かれる可能性はあるが、すぐにはバレないだろう。

 

「翼を展開し、AIM拡散力場のガイドを作成せよ」

 

 駆動鎧のライトが赤く輝き、十メートルほどの白い翼が展開される。

 

「白翼による攻撃を開始せよ」

 

 AIM拡散力場関連の準備をするために、翼による攻撃を命じる。人命尊重するセーフティをかけてるので、特に御坂美琴相手なら大怪我させるなんてことはないだろう。

 

「いきなり仕掛けてきたわね。やってやろうじゃない!」

 

 無人機械だからか、いきなり超電磁砲をぶっ放してくる。とはいえ、翼や装甲は未元物質製だ。通常のコインによる超電磁砲程度では破れない。

 

「学園都市を覆う虚数学区・五行機関を持って顕現せよ。幻想猛獣(AIMバースト)

 

 さぁ、前回手に入れたAIM拡散力場のパラメーターを使って指向性を誘導し、幻想猛獣(AIMバースト)を呼び出してみるが、成功するかな。なんだか実験が楽しくなってきた。

 

「それはまさか…」

 

 胎児のような巨大な化け物を見て反応する御坂美琴。

 

「ご察しの通り、幻想猛獣(AIMバースト)だ。あの時現出したものに近いやつだ、やっぱ実験はしないとね」

 

「いいわ。アンタがそんなもんを使うならこっちも本気で行かせてもらうから」

 

 御坂美琴が原作と同じように電撃を電子レンジのようにして焼き切ろうとする。

 

「まさか、再生してる…?」

 

 そういえば、一回目の戦いはこっちで自壊させたから、詳しくは知らないのか。御坂美琴が倒したのは幻想御手が切れた幻想猛獣(AIMバースト)になる。

 

「そりゃAIM拡散力場は学園都市中を無地蔵に覆っているのだから、エネルギーを一点に誘導する指向性さえあれば成り立つ」

 

「なるほどね…。もしかして、その三角柱がアンタが言ってる一点(・・)てやつかしら。なら──」

 

 御坂美琴は再び代名詞である超電磁砲を構えて、放つ。

 

 だが、それに対して幻想猛獣は白翼による防御を実施した。夜中までパラメータ調整をしていた深夜テンションで、未元物質関連まで入れていたのを思い出す。あの時は早く仕上げなきゃと考えてどうかしていた。

 原作以上に強化しちゃったけど、これ誰が倒すの……。

 

「なんだ、能力者の暴走か? 根性が足りないんじゃねーか。今助けるぜ!」

 

 この声は!超能力者のあの男に違いない。

 まてよ、状況だけみたらこちらが殴られたりしない…?

 

「すごいパーンチ!!」

 

 あっ、白翼で超電磁砲や電撃をガードしてたから、パンチで三角柱ごとぶっ飛ばされた。

 

「学園都市第7位の削板軍覇が出てくるか」

 

「もう大丈夫だ!よく分からないが安心しろ!」

 

 原作のイメージそのままに力強い声で白学ランを肩にかけて、腕を組み宣言する。

 

「誘導お兄ちゃん、アレが第7位?」

 

 那由他ちゃん。分かるけど学園都市の超能力者なんて大概どこかおかしいから慣れてくれ。第3位や第5位は表に近いから表面上はまともだが。

 

「あぁ、あの男が世界最大の原石、削板軍覇」

 

「いきなり割り込んで人の獲物を奪ってくるなんて、いい度胸じゃない」

 

 やはり、学園都市第3位。好戦的すぎる。

 

「名乗るほどの者じゃねーんだが、言われちまったからには名乗らせてもらうぜ──俺は削板軍覇だ!」

 

「お姉様!これは一体なんですの!?」

 

「げっ、黒子!?」

 

 遅れてテレポートで現れる白井黒子。

 確かモツ鍋さんと喧嘩している削板軍覇を捕まえようとして追いかけてきたんだったか。

 

「公園の中でこんなに派手に能力を使うなど、一体どのような……って、あら?」

 

「…風紀委員(ジャッジメント)? よく見てみれば、貴女はいつぞやの銀行強盗犯を取り押さえていた子じゃありませんの。それと怪我をされていた殿方ですわね」

 

 御坂美琴については犯人の車に超電磁砲をぶっ放していたからあまり見られていなかったが、白井黒子とは普通に話していたな……。怪我の件はもう話さないで欲しい。那由他ちゃんが思い出してこっちを見てくるから…。

 

「あの時の風紀委員さんでしたか。その節はどうも」

 

 よし、善良な一般市民の顔を作って、この場を収めよう。

 

「四九支部、特殊学校法人RFO所属の木原那由他だよ。自動販売機を蹴り壊してジュースを盗んだお姉さんがいたから、拘束しようとしてたの。協力してくれますよね、先輩?」

 

 那由他ちゃん。メッ、煽らない煽らない。

 そんな子に育てた覚えはありませんことよ。えっ、育てられてない?

 そもそも、そんな誘導するような煽りを誰から教わったんですか。

 

「壊して盗んだって、そんな大袈裟な……」

 

「いつかは…いつかは…こんな日が来ると思っておりました」

 

 あっ、黒子がその場で膝を落として、この世の終わりみたいな顔をしだした。

 

「く、黒子…?」

 

「申し訳ありませんお姉様!わたくしがもっと強くお姉様を戒めていれば! ですが、やはり罪は罪……見過ごして来た私もお姉様と同罪ですの! 同じ檻に入り、ともに禊を行いましょう!しかも風紀委員に抵抗をするなんて……初春達が悲しむとは思わないのですか!」

 

「え、いや、ええと……抵抗っていうか、半分ケンカを売られたような……」

 

 那由他ちゃんがその喧嘩を売った理由については嘘じゃないから言い訳はできないよな。よし──

 

「そうなんです。親戚の子が学園都市第3位の超電磁砲の犯罪行為を咎めたところ、抵抗されてて」

 

 削板軍覇に殴られたくはないし、その話に乗らせてもらう。

 

「なるほど……話はよく分かった」

 

 そんな御坂美琴の肩を叩き、諭すように語る削板軍覇。

 

「確かに、自販機荒らしなんざ根性が座ってねえ真似だ。だが、ジュース一本買えないってのが辛い事だってのも解る。でも犯罪だけはいけねえよ。その自販機を造った人にも食わせていかなきゃいけない奥さんや子供達ペットの犬や蜥蜴やサメがいるかも……」

 

「え? ええッ?」

 

 やはり、親身になって的外れな説教をする削板に困惑する御坂美琴。

 

「…ええと、黒子? こちらはどなた?」

 

「傷害と器物破損の容疑者ですの」

 

「人のこと言えないじゃない!」

 

 黒子の答えを聞き、ツッコミのつもりでパシリと右手で払おうとした御坂美琴だったが─

 その右手に、ゾワリと先ほどまで何度も感じた嫌な感覚が走ったのだろう。すぐ手を引き戻そうとする。だが、遅い。

 

「えっ……」

 

 次の瞬間、那由他ちゃんによって暴発させられた電撃が勢いよく放たれ、削板軍覇を直撃した。

 那由他ちゃんも好戦的すぎるよ。これじゃあ巻き添えを食らう。

 とはいえ、那由他ちゃんからしたらAIM拡散力場が不安定で観測不能な存在だし、確認したくなるのも分かる。

 もしかしたら、AIM拡散力場以外の何らかのエネルギーが観測を阻害している可能性すらあると那由他ちゃんは考えているだろう。実際問題、オッレルスの説明不能な力に近いしいものでもあるわけだが。

 それに那由他ちゃんは木原研究所の資料で削板軍覇が解析不能なことを知っているのだから、調べる方法は実地試験しかない。

 

「お、お姉様!!ツッコミにしてもそれはいささかやり過ぎでは!?」

 

 何が起こったのか分からない黒子が、驚きの声を上げる。

 

「今のは、私がやったんだよ」

 

 那由他ちゃん、これ以上ヘイトを集めるのは辞めよ…?

 

「二人とも犯罪者なら…どっちも拘束しなくっちゃ」

 

 せっかく那由他ちゃんが原作通り一時的に行動不能になる前にトンズラしようとしてたのに…。ここはアイツのセリフを借りよう。

 

 

ふ、不幸だ──

 

 

 





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