禁書厨な俺氏、チート勘違い系オリキャラになる -とある科学の物質誘導-   作:村ショウ

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原作読みながら書いてたけど、やはり1巻のここは名シーンすぎる。



21.魔導書図書館①

 

 あれから一日たった七月二十七日――いや、もうすぐ0時になるので二十八日と言っても良いだろう

 監視カメラで上条が原作通りに目覚めたのを確認できたし、一安心だな。

 そんなことを考えていると、携帯電話の着信音が鳴る。発信元は、確認しておいた小萌先生の家の電話番号だった。

 

「上条、どうした?」

 

 俺は何事もないように、電話に出る。

 

「木原、時間がないんだ。黙って聞いてくれ。完全記憶能力者ってのは1年で脳の記憶容量の15%を使ってしまうもんなのか? それじゃあ、完全記憶能力者は6〜7年で死んでしまうものか?」

 

 本来は小萌先生に聞いてくるはずだったそれ(・・)をこちらに聞いてくるか。早めに聞いてくれれば、アレの準備時間も増えたのだが仕方ない。倫理的な問題や唯一姉さんへの畏怖で決めかねていたプランBといこうか。

 

「なるほどな……。あの子の件か。科学的見地から言えば、記憶には色々な種類があるから一概には言えんが、完全記憶能力者が六〜七年で死ぬなんてことはない。人間の脳は百四十年分の記憶を保持できると言われているし、寿命と言われる年齢まで生きる完全記憶能力者も普通にいる。何なら学園都市には学習装置なんて研究もあってな、強制的に脳に知識を植え付けることも可能だ。それでもパンクで死んだなんて事故は聞いたことがない」

 

「けど、その装置なんかを超えるようなスピードで物凄い勢いで魔導…図書館の本を覚えていたら、どうだ?」

 

 明らかに魔導書と言いかけていたのは分かるが、そこにはこちらとしても触れたくはない。

 

「なんだ、そんなことか。それこそ“記憶にはいろいろある”と言った部分の一つだな。言葉や知識を司る『意味記憶』、運動や慣れなんかを司る『手続記憶』、そして思い出を司る『エピソード記憶』といった具合に入れ物が違う。燃えるゴミと燃えないゴミ、携帯本体の記憶媒体とSDカードみたいにな。だから頭を打って記憶喪失になっても赤ちゃんみたいにはならず、生活はできる。別人として暮らしていて家族と再会する感動エピソードとか、見たことないか?」

 

「て、ことは…?」

 

「そうだな。どれだけ本を覚えて『意味記憶』を増やしても、思い出を司る『エピソード記憶』が圧迫されるなんて脳科学上、絶対にあり得ない。上条、確認したいことがある。能力で一分以内に向かうから、何もせず待っててくれ」

 

 そう言っている間に、上条がショックからか電話を落とし、ガチャリと切れる。

 

 


 

 

「上条、大丈夫か?」

 

 鍵がかかっていなかったドアを明けて、突入する。

 まだ、インデックスの首輪は破壊していないようで何よりだ。

 

「ああ、来たのか木原。さっきの話が本当だとしたら、インデックスを苦しめている原因は他にあるんだよな? 俺の右手で体を触ってみたが、特に変化はなかった」

 

「ほう。とりあえず、コレをつけるのを手伝ってくれ。科学的に脳波を観測する装置だ。それが非科学によるものか、科学的原因かくらいはハッキリするだろう。前のアイツらもここの前にいたし、まずはそれくらいの証拠はあった方が良いだろ?」

 

「ああ、分かった」

 

 上条を誘導するのは気が引けるが、脳波観測用の電極と称して装置を取り付ける。

 

「木原、どうだ…?」

 

「間違いなくこの脳波の乱れ方は普通じゃない。これは非科学によるものだろう」

 

 わざとらしいほどに、モニターに歪んだ波形が映し出される。

 

「じゃあ、なんで俺の右手は反応しないんだ…?」

 

「何も分かりやすく体外に仕掛けているわけじゃないんじゃないか。外にいる奴らも体外に非科学があれば疑うだろうしな」

 

 上条の視線が下にいくのが見えた。

 

「上条、今はセクハラする時間じゃないぞ。奴らの言葉に引っかかるものはなかったか?」

 

「確か、教会はインデックスに首輪を…そうか」

 

 原作通りの結論にたどり着くように誘導する。

 上条がインデックスの口に右手の指を突っ込んでいく。

 

「がっ………!?」

 

 パキンと何かが壊れるような音ともに、上条が後ろに吹き飛ばされる。

 その瞬間、ぐったりと倒れていたインデックスがムクリと立ち上がり、両目が開き目が赤く輝いていた。眼球の色ではないそれは血のように真っ赤な魔法陣だった。

 

「──警告、第三章第二節。Index-Librorum-Prohibitorum──禁書目録の『首輪』、第一から第三まで全結界の貫通を確認。再生準備……失敗。『首輪』の自己再生は不可能、現状、10万3000冊の『書庫』の保護のため、侵入者の迎撃を優先します」

 

 やっとお出ましの自動書記(ヨハネのペン)

 ワンミス即死の可能性があるのは本当に怖い。

 

「そういやぁ、一つだけ聞いてなかったっけか。超能力者でもないテメェが、一体どうして魔力がないのかって理由」

 

 吹き飛ばされていた上条は立ち上がる。これこそが、主人公(ヒーロー)と言わんばかりに。

 

「──『書庫』内の10万3000冊により、防壁に傷をつけた魔術の術式を逆算……失敗。該当する魔術は発見できず。術式の構成を暴き、対侵入者用の特定魔術(リーサルウェポン)を組み上げます」

 

「──侵入者 上条当麻と、現在『書庫』へのアクセスしている木原誘導に対して、最も有効な魔術の組み込みに成功しました。これより特定魔術『聖ジョージの聖域』を発動、侵入者を破壊します」

 

「──   。    」

 

 インデックスが人の頭では理解できない『何か』を歌う。

 瞬間、両目を中心とした2つの魔法陣が輝き、爆発した。

 厳密には、インデックスの眉間を中心にスパークのような亀裂が現れ、内部から膨張していく。

 

 ゴッ!!と、亀裂から光の柱が襲いかかってきた。例えるなら、直径1mのレーザ兵器だろう。

 

 一つ一つが術式である聖ジョージの聖域には、上条の幻想殺しも完全に押されている。粒子状なのだから、食い込んでくるのは当たり前か。神裂やステイルが来るのが少しでも遅れたらまずいか。

 

「生体用Equ.DarkMatter、全翼を展開せよ。6翼3対の翼を広げ、AIM拡散力場を誘導する10の球体と22の小径をもって、虚数学区五行機関と接続を確立し、その鎖を辿り幻想猛獣(AIMバースト)よ、顕現せよ」

 

 那由他ちゃんの為に開発中の生体用Equ.DarkMatterの試作品を展開する。翼サイズを2m程度に小型化した製品だが、魔術の様な不確定要素がある場所でうまく動くかは賭けだった。

 だが、しっかり起動し、AIM拡散力場が形を形成するのが分かる。

 小型の幻想猛獣(AIMバースト)が顕現した。前回のデータにより、本体すら未現物質製にしたので強度はかなり上がった。

 

「白い閃光を受け止めよ、幻想猛獣(AIMバースト)

 

「警告、第六章第十三節。新たな敵兵を確認。戦闘思考を変更、戦場の検索を開始……完了。現状、最も難度の高い敵兵『上条当麻』の破壊を最優先します」

 

 割り込ませた幻想猛獣(AIMバースト)は崩壊しながらも、再生能力を駆使してなんとか受け止めている。

 

「──同時並行して、新たな敵兵の術式を逆算します……失敗。視覚情報から類推、黄金に連なる近代西洋魔術の派生および生命の樹を曲解したモチーフを用い、テレズマに類した力を核に供給することで天使に類する存在を使役可能な術式であると推測。──対抗術式を構築します。断定のため、上条当麻と天使に類似する敵兵へ同時攻撃を実施します」

 

「くそ、何をやっている!! この期に及んでまだ悪あがきを─」

 

 神裂とステイルが今頃になって登場してきたか。

 神裂は言葉すら出ない絶句状態だが、致し方ない。

 

「おい、光の柱が何だか知ってんのか!!」

 

 上条は後ろを振り返らず、大声で問う。

 

「コイツの名前は? 正体は!? 弱点は!? 俺はどうすれば良い、一つ残らず全部まとめて片っ端から説明しやがれ!!」

 

「……けど、だって……何が」

 

「じれってえ野郎だな、んなの見りゃ分かんだろ! インデックスはこうして魔術を使ってる、それなら『インデックスは魔術を使えない』なんて言ってた教会が噓ぶっこいてたってだけだろうが!」

 

 幻想猛獣(AIMバースト)が受けている一発目の攻撃とは別に飛んできた、光の柱をはじきながら、上条は叫ぶ。

 

「冷静になれよ、冷静に考えてみろ! 禁書目録なんて残酷なシステム作りやがった連中が、テメェら下っ端に心優しく真実を全部話すとか思ってんのか! 目の前にある現実を見ろ、何ならインデックス本人に聞いてみりゃ良いだろうが!!」

 

 それでも二人の魔術師は、呆然とインデックスの方を見ることしかできない。

 

「──『聖ジョージの聖域』は侵入者に対して効果が見られません。他の術式へ切り替え、引き続き『首輪』保護のため侵入者の破壊を継続します」

 

「……、──Fortis931」

 

 ステイルの漆黒の服の内側から、何万枚というルーンカードが飛び出す。そして天井や壁、床を隙間なく埋め尽くす。

 上条を助けるためではない。インデックスを救うために立ち上がったステイルが、上条の背中に手を突きつける。

 

「曖昧な可能性なんて、いらない。あの子の記憶を消せば、とりあえず命を助ける事ができる。僕はそのためなら誰でも殺す。いくらでも壊す! そう決めたんだ、ずっと前に」

 

「とりあえず、だぁ? ふざけやがって、そんなつまんねえ事はどうでも良い! 理屈も理論もいらねえ、たった一つだけ答えろ魔術師!!」

 

 上条は大きく息を吸って──

 

「────テメェは、インデックスを助けたくないのかよ?」

 

 逆に魔術師達の吐息は停止した。

 

「テメェら、ずっと待ってたんだろ? インデックスの記憶を奪わなくても済む、インデックスの敵に回らなくても済む、そんな誰もが笑って誰もが望む最っ高に最っ高な幸福な結末(ハッピエンド)ってヤツを!」

 

 グキリッと嫌な音が上条の手から発せられる。いくら原作より分散したとはいえ、原作よりも長い時間受け止めている右手への負荷は相当なものだ。

 それでも上条当麻という男は諦めないだろう。

 

「ずっと待ち焦がれてたんだろ、こんな展開を! 英雄がやってくるまでの場つなぎじゃねえ! 主人公が登場するまでの時間稼ぎじゃねえ! 他の何者でもなく他の何物でもなく! テメェのその手で、たった一人の女の子を助けてみせるって誓ったんじゃねえのかよ!?」

 

 バキン、と右手の人差し指の爪に亀裂が走り、真っ赤な鮮血があふれるが、上条は諦めない。

 

「ずっとずっと主人公になりたかったんだろ! 絵本みてえに映画みてえに、命を賭けてたった一人の女の子を守る、そんな魔術師になりたかったんだろ! だったらそれは全然終わってねえ!! 始まってすらいねえ! ちっとぐらい長いプロローグで絶望してんじゃねえよ!!」

 

 こちらにも刺さるようなことを言うなよ、上条…。

 魔術師の声は完全に消えていた。

 

 

「──手を伸ばせば届くんだ。いい加減に始めようぜ、魔術師!」

 

 

 

 





誤字報告、感想ありがとうございます!
多分、誘導君は普通にステイルが警戒しているタイプの科学者…。
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