禁書厨な俺氏、チート勘違い系オリキャラになる -とある科学の物質誘導-   作:村ショウ

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木原とかいう最初は善意で御大層な目的を掲げるけど、悪用してしまう哀しき性をもつ奴ら…。
木原脳幹や加群、合計みたいにあまり近づきすぎないのが、正解というのがホントに…。

というわけで、今回は誘導くんの善行回です。


27.木原なりの善行を①

 ─誘導side─

 

 まさか、那由他ちゃんがまた一方通行に絡まれているとはな。

 状況から察するに、御坂美琴は『妹達(シスターズ)』の血痕を見て、原作通り一方通行に勝負を仕掛けたのだろう。だが、その場にいる那由他ちゃんはまだ一方通行に気づかれてはいなさそうだ。A.A.A. OS内蔵のFive_Over:Mental_Outが有効に機能しているらしい。

 

 那由他ちゃんの様子を見るに、『妹達』の一人を庇っているようだ。今日という日付と、彼女が大切そうに握りしめているゲコ太の缶バッジ……。間違いない、庇っているのはミサカ9982号か。

 

 それはそれとして、煽ったはいいが学園都市第一位をどう退けるか。

 Five_Overで姿を隠す手もあるが、一方通行ほどの頭脳があれば、すぐに解析されて逃げる前に見つかるのが関の山だ。

 ならば、『妹達』が御坂美琴との戦闘を止めに来るまで、時間稼ぎをするのが最適解か。

 俺は待機させていた駆動鎧を起動する。これはA.A.A. OSの輸送時に警備員(アンチスキル)のコンテナ輸送に見せかけるため、外装を警備員仕様に偽装したものだ。

 この駆動鎧には、テレスティーナ姉さんの物に近いが、ガトリング式よりも一撃の威力を高めた特製の超電磁砲(レールガン)を搭載している。

 時間稼ぎにレールガンで倒すことを宣言したが、通るかは五分だ。

 

「──Five_Over Model:Railgun」

 

 閃光が一方通行めがけて走る。

 それに加え、俺自身の能力でさらなるブーストをかける。物質誘導で弾丸と空気を反発させ、弾道上に真空に近い空間を作り出すことで空気抵抗を限りなくゼロにする。そして、目標地点である一方通行の目の前の空気を対象に誘導し、弾丸をさらに加速させる。

 

 これならば、窓のないビルを貫いた『液状被覆超電磁砲(リキッドプルーフレールガン)』クラスの速度は出せる。一方通行を模倣した『演算型・衝撃拡散性複合素材(カリキュレイト=フォートレス)』すら打ち破る逸品だ。

 

 だが、これだけでは足りないだろう。物質誘導のレーダー機能で彼の反射ベクトルを到達までに計算し、『木原神拳』の要領でそれに合わせて超電磁砲の弾道を操作する。

 数多おじさんのように、反射ベクトルそのものを変えられた場合は対応できないが、油断している一方通行への初撃ならば確実に決められる。

 

 本来なら、この一撃で頭を撃ち抜くことも、四肢を切断することもできた。だが、それはしない。一方通行に大きなダメージを与えれば、各方面から目をつけられる。何より、彼は原作における重要人物だ。ここで彼を害してしまえば、俺が望む『幸せな結末(ハッピーエンド)』は決して訪れない。

 

 高速の弾丸が、一方通行の頬を掠めた。

 彼は血を流しながら、射殺さんばかりの視線でこちらを睨みつけてくる。

 このまま殴りかかられたら死ぬしかないが、その心配はない。こちらのレーダーには、すでに多数の人影が映っているのだから。

 そう、『妹達』である。彼女たちは原作通り、戦闘を回避するための説明を始める。

 

「チッ、テメェが前に使ってた言い訳と同じかよ」

 

 一方通行は忠告を聞き入れ、引き下がってくれるようだ。

 

「こちらも戦闘は避けたかったので助かります。学園都市最強の一方通行を本気で打ち倒したりしたら、後が面倒ですからね。それでは、空間移動(テレポート)でドロンさせてもらいますかね」

 

 空間移動(テレポート)と言いつつ、実際はFive_Overで姿を消すだけだ。だが、能力を誤認させ、今回の反射突破のトリックに気づかれにくくするには丁度いい。最悪、トリックとFive_Overの存在に気づかれたとしても、今日この場では手を出してこないだろう。その時は今回の手が使えなくなるだけだ。対一方通行の作戦は、まだいくつかある。

 

 一方通行がその場を離れたのを確認し、俺は再び那由他ちゃんの前に姿を現す。

 

「那由他ちゃん、大丈夫か?」

 

「うん……。でも、誘導お兄ちゃん、この人が……」

 

「あぁ、分かってる(・・・・・)。早くあのカエル顔の医者のところへ行こう」

 

 9982号を連れ、俺たちはすぐさま冥土帰し(ヘブンキャンセラー)の病院へと移動する。

 その間、9982号の生存が研究者たちに気づかれ、一方通行に伝わらないよう対策を講じる。物質誘導で電波を遮断してミサカネットワークへの接続を阻害し、さらに那由他ちゃんの能力借りて幻想御手(レベルアッパー)の理論を応用で、彼女自身のAIM拡散力場も遮断する。

 これで9982号は、ネットワーク上では完全に『ロスト』した扱いになるはずだ。

 人命第一のあの医者なら、きっと彼女を匿ってくれるだろう。それよりも、急がなくては。

 

 


 

 ーとある病院ー

 

「やれやれだね。ついこの間、君が急患で運ばれてきたばかりだというのに、今度は君が急患を連れてくるとはね。もっとも、前に君を運んできた少年も、入院してファンタジーな回復力を見せてくれたけどね?」

 

 そういえば、上条はアウレオルスと戦って腕を切断されたんだったか。

 アウレオルス相手では俺に出る幕はない。魔術と科学の均衡を考えれば、あの件は上条に任せるのが最善だった。下手に目立ってイギリス清教やローマ正教に目をつけられるのは得策ではない。

 

「それで、彼女の容態は?」

 

「応急的な処置はしたよ。だけど、彼女は追われる身になるんじゃないのかい? 義足に慣れるまで、ウチの病院で匿うくらいはできるだろう…それからはどうするつもりだい?」

 

「それなら、一つ提案があります。俺が研究している未元物質製の生体サイボーグパーツを使っていただけませんか?」

 

 もともとは那由他ちゃんのために開発していたものだが、被験者は多い方がいい。那由他ちゃんには、さらに改良したものを渡せばいいだけだ。

 なにより、被験体であれば薬味久子にも言い訳が立つ。

 

「君がそれで何をしようとかまわないけどね。だが、一つだけ忠告しておく。僕は医者として、何があっても患者の命を守る。それで構わないのなら、使わせてもらおう」

 

 釘は刺されたが、すんなり受け入れてもらえた。良かった。

 しかし、このカエル顔の医者は、一体どこまでこちらの情報を掴んでいるのだろうか。

 

 ……そうだ。どうせなら、この9982号を『対一方通行特化型』にチューニングするのはどうだろう。やはり、あの第一位は脅威すぎる。

 実験後、『妹達』は一方通行にとってトラウマの象徴となる。対策されるまでは、未元物質の義足から繰り出される攻撃も多少は通るだろう。さらに、那由他ちゃんのAIM拡散力場観測能力を幻想御手で付与し、ミサカネットワークに再接続させた後、演算能力を組み込んだ『対反射用シミュレーション機能』を搭載すれば、『木原神拳』の習得も可能かもしれない。

 となれば、シミュレーション作成のために『暗闇の五月計画』あたりのデータが欲しいな。良い被験体がいれば……。

 

(そうだ……垣根帝督と、木原相似をぶつければ……)

 

 そんな邪悪な発想が、次々と頭に浮かんでくる。

 

「誘導お兄ちゃん…? 誘導お兄ちゃん!!」

 

 思考に耽っていたらしい。那由他ちゃんの呼びかけに、気づくのが遅れてしまった。

 彼女の顔を見ると、先ほどまでの邪な思考が嘘のように浄化されていく。やはり、那由他ちゃんは天使か?

 

「どうかした、那由他ちゃん?」

 

「う、うん。さっきの、超電磁砲のお姉さんのクローンの人が、病室で目を覚ましたみたい……」

 

「そうか……。なら、話を聞きに行こうか」

 


 

 ー那由他side−

 

 誘導お兄ちゃんは何やら考え事をしていたようだけど、明らかに悪い顔をしていた。一体、何を企んでいるんだろう。

 私たちはカエル顔のお医者さんに許可をもらい、超電磁砲のお姉さんのクローン……9982号さんに会うため、病室のドアを開けた。

 

「あなたは誰ですか……? と、ミサカ9982号は率直な疑問を呈します」

 

「俺は木原誘導。こっちが君を助けた、俺の親戚の那由他だ。『木原』の情報がインプットされているかは分からないが、俺たちはその一族だよ」

 

 誘導お兄ちゃんは、わざわざ『木原』であることを明かして自己紹介する。

 

「このミサカは第9982回実験において処分されるはずでした。ミサカネットワークにも接続できません。あなたは何か知っているのですか? と、ミサカは理解不能な状況について、目の前の人物に情報提供を求めます」

 

 困惑した様子の9982号のお姉さんに対して、お兄ちゃんは一体何を話すのだろう。

 

「そうだね…。こちらも別に最初から目的があってこんなことをしたわけじゃないんだけどね。君が関わっている実験が、なぜ行われているかは理解できているか?」

 

「それは機密事項です。お話しすることはできません、とミサカは回答を拒否します」

 

 誘導お兄ちゃんが私を探しに来たのは事実だろうし、9982号さんを助けたのは偶然だったのも本当なんだろう。でも、今の誘導お兄ちゃんがすでに何かを企んでいるように見えて、嫌な予感がしてしまう。

 

「回答はなしか。まぁ、君たちに知らされている目的は、一方通行の『絶対能力進化(レベル6シフト)』だろう。だが、この街の王……学園都市統括理事長アレイスター=クロウリーの真の目的は、どうやら違うらしい」

 

「……一体、何の話をしているのですか? と、ミサカは突然の内容に疑問を呈します」

 

「あぁ、そこから話さないとね。学園都市統括理事長の目的は絶対能力(レベル6)なんてものではない。あの程度、本気でリソースを注ぎ込めばいつでも作れる。なのに、なぜ二万体もの『妹達』を犠牲にするような実験を許可したのか?」

 

 絶対能力ですら、まるで大したことではないようなお兄ちゃんの発言に、私は息を呑む。誘導お兄ちゃんがテレスティーナおばさんの計画を軽く見ていたのは、絆理お姉ちゃん達を利用していたからというだけでなく、こういう理由もあったんだ。

 

「誘導お兄ちゃん、それって…」

 

「あぁ、那由他ちゃんには垣根帝督がいた時に話したな。……そう、学園都市外部の『非科学』勢力の殲滅。それが奴の目的だ。そのために、統括理事長は絶対能力を超えた先にあるというSYSTEM...『神ならぬ身にて天上の意思にたどり着くもの』を目指している」

 

 絶対能力進化の話はともかく、『妹達』がどうして外部の力の殲滅に関わるのか、私には分からなかった。

 

「外の力を殲滅するためには、AIM拡散力場の完全な掌握が必要不可欠なんだ。そのための鍵こそ、ミサカネットワークという巨大な集合意識によって生み出される、同一指向性を持つAIM拡散力場。それが力場を自在に誘導するための触媒になる。しかも、それには一方通行のベクトル操作能力と解析能力は最も適している。」

 

 だから、絶対能力進化なんて計画が動いていたのかと、納得しかけちゃったけど、一つ疑問に思うことがあった。

 

「……だが、おかしいだろう? そのためには、一定数の『妹達』を生かしておくべきはずだ。なのに、二万体すべてを殺させる計画を立てるなんて」

 

 そこが引っかかていた。それでは実験の意味があんまりない。ただクローンを作るだけでいいはずなんだ。

 

「誘導お兄ちゃん、この実験はそれだけじゃないんだよね?」

 

「あぁ。この実験は、初めから『失敗』することが組み込まれている。まぁ、成功すればしたで絶対能力者が生まれるわけだから、それなりの成果ではあるんだろうがな。重要なのは、その『失敗のさせ方』にあるかな」

 

 誘導お兄ちゃんは全ての結末がわかるような、含みのある話し方をする。

 

「それでは、ミサカは……何をすれば……。と、ミサカは突然かつ真偽不明の情報に、思考を巡らせます」

 

 私だってお兄ちゃんが何をしたいのか分からないし、9982号さんの気持ちも、痛いほど分かる。

 

「君は、本来の実験が真実だったとしても『用済み』だったわけだ。これからは、自由に生きるべきだと思う。……もし、こちらに協力してくれるなら、報酬も住処も用意するが、どうだろうか?」

 

「この状況では拒否権ではないのでは…?、とミサカは現在の状況を冷静に判断しつつ、渋々ながら一旦は了承します」

 

 誘導お兄ちゃんの言い方は、少しズルい。

 すでにネットワークから切り離され、誘拐同然の状況なのだから。カエル顔のお医者さんを頼る道もあるけれど、9982号さんはそのことを知らないはずだ。

 

「そう言われると心苦しいが、君が協力してくれるなら、こちらも色々と選択肢が増える。すまないね」

 

「誘導お兄ちゃん、9982号さんをどうするの…?」

 

 私は誘導お兄ちゃんの「すまないね」という言葉に、私は不安がこみ上げてきて、思わず問い返していた。

 

「心配するな、那由他ちゃん。木原らしい非道な実験をするつもりはないさ。ただ……那由他ちゃんのAIM拡散力場への干渉能力を向上させる、良い実験を思いついただけだよ」

 

 それは、私の不安をさらに加速させるだけの言葉だった。

 誘導お兄ちゃんだから酷いことはしないと信じている。でも、今のお兄ちゃんは少しおかしい。何をしでかすか、分かったものじゃない。

 





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