禁書厨な俺氏、チート勘違い系オリキャラになる -とある科学の物質誘導- 作:村ショウ
勘違い要素は次話から(タイトル詐欺)
「知らない、天井だ」
【悲報】俺氏、目が覚めたら知らない天井だった。
辺りを見回すと2人部屋で、ベッドが二つあり、テレビが置いてある。
しかし、隣のベッドは布団がしっかりと畳まれていて、どうやら空いているようだ。
内装から察するに病院のようだが、ゲームのスタートは病院という事だろうか。
カーテンが揺れて光が差し、窓が空いている事が分かる。直射日光が当たるためか少し暑い。
カーテンから漏れる光が眩しいので、窓を閉めようとベッド端の柵をつかみ起き上がる。
金属で出来ている柵は
まて、『ひんやり』や『暑い』だと・・・!?
このゲームに感覚まで再現する機能はない。そうなるとここはゲームではなく、現実世界という事になる。
ゲームを始めたらリアルに病院送りだった件。
まてまて、落ち着くんだ。というか、医者早くこい。
「おや、目覚めたようだね」
ファッ!?
そこに居たのは
確かに俺は医者を求めたが、コレジャナイ。
いや、考えるべきはそこじゃない。
考えるべきはここがゲームの中、禁書の世界だと言うことだ。
アレですか、最近流行りのゲームの姿のまま、異世界転移しちゃう例のアレですか。
【速報】禁書厨な俺氏、禁書世界の住人になる。
脳内にスレが立ちそう。スレ乱立し過ぎて、これは荒らしですわ…。
あ、そうだ。せっかくカエル顔とはいえ、医者が来たんだ。何か聞かないと。
「えぇ、まぁ。今、いつですかね?」
原作を知っている俺としては、時間よりも何月何日か知りたい。そのせいか『何時か』ではなく『いつか』を聞いてしまう。
「7月15日 8時30分ってとこだね。君は昨日の夜、ここに運ばれてきたから、そう時間はたっていないね」
カエル顔の医者は腕時計を確認して、時間まで告げる。普通、時間を聞いているのだと思うし当たり前の事ではあるが。
7月15日という事は、年がズレていなければ禁書の原作スタートが20日なので、5日前という事になる。
てか、15日ってなんかあったけ。超電磁砲で言えば『
「あの記憶が曖昧なんですが、俺はどこで倒れていたんですか?」
「脳への異常はないようだったけど、記憶混乱があるようだね。僕は学生寮の近くで倒れているのを
上やんと既に出会い果たしてたよ。クソが!!
え、何いきなり主人公と知り合いになってんの。某名探偵のコ〇ンと同じで、出会ったら嫌な予感するんだが。上やんの場合、不幸は上やんの身に降りかかるからコナ〇よりマシだが。
「それじゃ、問題ないなら今日の夕方には退院だね。見た所、財布なんかは持っていないようだし、お金は後でいいよ」
「ありがとうございます」
少し頭を下げて、お礼を言う。
多分、この人にはストーリーや上やんに関わった場合、お世話になるからしっかりと礼をすべきだ。
というか、折角禁書世界に来たのに何もやらず、何も起きないとかないだろう。
取り敢えずは状況整理でもすべきか。
まだ、只の夢とかの可能性も微レ存している。
なんか頭がこんがらかってきたし、顔でも洗って見ようかな。
100%、洗面台があるだろうトイレまで歩いていく。トイレまでの道のりは看板があったので直ぐに分かったが、何とも不思議な感覚だ。まるで、自分の体なのに自分のモノじゃないような…。
トイレに入りすぐさま、洗面台の鏡で自分の顔を確認する。そこに映し出されていたのは、幾つかのパーツから作り出した『木原 誘導』というアバターの顔だった。
何となく予想は着いていたが、ここまで来ると逆に冷静になっていた。しかし、まだ明晰夢の可能性も無くはない。
所謂、寝落ち説だ。まぁ、ゲーム起動時に永遠の寝落ちをしていて転生パターンもあるが。
というか、テンパってトイレまで来たが、これが夢の場合、その中で顔洗っても意味あるのか?
ふと、そんな疑問を抱いたが、明晰夢でも意識の切り替えが出来るし、本当に禁書世界なら寝ぼけている頭をスッキリさせるには丁度いいだろうと思い顔を洗う。
センサー付きの自動で水が出るタイプの蛇口に手をかざすと、冷たく暑さを忘れさせてくれる様な水が出てきた。夏なのに冷たい水が出るのは学園都市の技術だろうか。
それと、一つ疑問が頭に浮かんだ。
「水道の蛇口から水が出る仕組みって、意外とどんな仕組み知らないよなぁ。どうなっているのだろうか?」と言うどうでもいい疑問である。
まぁ、水道の仕組みすら詳しくは良く知らないけど。そういうインフラ系エンジニアとかなら詳しいのだろうが。
………
あれ、なんか頭の中から浮き上がってきた。
やばい、頭の片隅にあった方程式から重力定数やら位置エネルギーやらそんな感じの物が浮かび上がり、一つの
説明が出来るかと言われれば微妙だが、少し考えただけで水道の仕組みが分かってしまったのだ。
そして、そこから応用したい・実験したいという気持ちが湧き上がる。幾つもの法則が浮かび上がり、さらにそこから別の法則が浮かぶ。それも幾人もの犠牲が出かねない方法論がである。
そして、抑えきれないほどの全てを壊してでも実験したいと言う気持ちが湧き上がる。
これが『木原』の力なのか。
落ち着くために、思考を
なぜか、誘導するという言葉が先に出てしまう。アニメや漫画でありがちな口癖とか決めゼリフみたいなものだろうか。
そして、無理やり思考をずらしたせいか、頭が少し痛む。
取り敢えず、ベッドに戻るとするか。
顔を洗い終わり、来た道を引き返す。
戻ってベッドで楽な姿勢になっていたが、ベッドに寝ているだけというのも暇だ。せめて、ネットがあればとも思う。
忘れていたが、設定画面で選んだ能力はどうなっているのだろうか。
厨二設定でなので、あまり使いたくはないが試さないと、命の危機が迫った環境での一発本場は怖い。
確か、能力設定ページのフレーバーテキストにはこんな風に書いてた希ガス。(一部抜粋)
『
レベル4ながらレベル5と変わらない出力を持つ。但し、能力診断時はレベル4になる様に
超電磁砲が『
仮にレベル5になった場合の科学的な有用性を含めた順位は第4位となる。
『
『
例えば、物体Aを物体Bに誘導する様に設定すると、物体Aは磁石が近づいた磁性体(鉄など)がくっつく様に物体Bに引き寄せられる様になる。さらに、設定次第で磁石の同極同士の様に物体同士を反発させ引き離すことも可能である。
この能力では、電子顕微鏡クラスでの物体操作と観測が可能。
ちなみに、いくつかの条件はあるものの生物を対象にすることも可能である。体の一部だけを対象に引き離すように設定すると悲惨な事になるのは言うまでもない。(バラバラ的な意味で)
この誘導の仕方によっては、
科学的応用性を含め『木原』としての力も合わさり、その可能性は無数に広がる。
念動力は汎用性が高いという理由で選んだけど、なぜ厨二地味たレベルで設定を盛り込んだのか。今になると恥ずかしくなってくる。しかし、そのお陰で能力は役に立ちそうだ。
まぁ、キャラ自体のフレーバーテキストはもっとひどいけれど…。
能力の話に戻るが実際問題、念動力は有用で海原(本物)は偽物から逃れるために体を固めて魔術を防いだりしてたし、同系統の力を持つ『スクール』のゴーグルの人こと誉望君も汎用性の高そうな事をしてたから選んだんだげどな。
何度も言うが能力は汎用性から選んだだけだ。俺はもう厨二病じゃない…筈。
今更だけど、こんな事になるなら王の財宝や無限の剣製とかチートが欲しかった。
とりあえず、使ってみてるか・・・。(カッコつけながら)
「案外、普通にできるんだな」
能力を布団にかけると、布団は無重力空間に置かれたように浮いた。もっと難しい演算が必要かと思っていたが、何故か容易にできてしまった。単なる念動力でなく、ベッドと布団の両方を反発の対象にした形だが。
それにしても、念動力と言えば物を浮かすイメージだから、反発が重力に釣り合うように浮かしてはみた訳だが…。案外、シュールで地味だ。
そして、いくつか能力を試しているうちに時間が過ぎていく。時計を見ると退院する時間となっていた。
持ち物は殆ど無かったようなので、直ぐに支度を終え退院する。
病院の自動ドアが開き、足を踏み出す──
しかし、足を踏み出したは良いが、俺は自分の家の場所が分からない。というか、そもそも設定段階で決めていない以上、知らない。
携帯は持っているようなのでポケットから取り出し、マップアプリを開く。携帯はゲームの初期アイテムだと思われる。
マップアプリにはよくある機能だが、自宅が登録されていないかを確認する。
その携帯で自宅らしきアイコンをマップで見た瞬間、思い出すように家の場所や間取り・その他、色々な情報が頭の隅から出てきた。それは最初からは記憶していたように自然に頭に入っていた。
それからはまるで、知った道を歩くような感覚だった。さっき、記憶が入ってきたからだろうか。
そして、体が赴くままそのまま歩くと、学生寮の部屋の前についていた。
表札には『木原』と書いているので自分の家で間違いないだろう。表札だけなら他の木原一族の家の可能性も考えられるが、マップの位置からすればここのはずだ。
鍵は開いているようで、ドアノブを回すと開いた。
「おかえり、誘導お兄ちゃん」
そこには、金髪ツインテールランドセル
え、なんで。どういうことなんだ。
あ、厨二炸裂フレーバーテキストに木原那由他と知り合いと書いてたわ…。
木原那由他──『とある自販機の存在証明』で出てきたキャラだった筈だ。
さらに、AIM拡散力場の流れを読める能力も持っている。
一応、原作にも木原の可能性として名前は出てきている。
しかし、どうしたものか。
こういう時には、『Yes,ロリ No,タッチ』だ。(絶対、違う)
ロリに優しくするのは真理だよなぁ。
記憶に
本来あるべき記憶が呼び戻されたというべきか。
「ただいま、那由他ちゃん。今日は何か用があって来たのかな」
俺は初対面にも関わらず、自然に『那由他ちゃん』と呼んでいる上に、声色すら変わっている事に気づく。追加された記憶がそうさせているのだろうか。
「いや、用事があってきたのはそうなんだけどね。誘導お兄ちゃんこそ、今日遅かったけど何かあったの?」
やばい。誘導お兄ちゃん呼びはナニか来るものがある。
シスコン土御門の気持ちが分かった気がした…。
「昨日、倒れたみたいでさ。ちょっと入院してたんだ」
「大丈夫? 誘導お兄ちゃん」
倒れるというのがトラウマなのかも知れないな…。ほら、状況はかなり違うけど『
「ああ、何も無かったから大丈夫だよ。あのカエル顔の医者がそう言ってたし」
そう言えば、那由他ちゃんもカエル顔の医者とはサイボーグ化の時に関係があった筈だ。
「それなら、大丈夫そうだね」
「で、那由他ちゃんの用はなにかな?」
「それは…ね……」
何だか言いづらそうだな。原作知識をフル動員して先に言うべきか。
ゲームで選択肢を選んでいる気になるな。これ。
「いや、言いづらそうだな。木山春生の件かな」
これしかないだろう。『
「誘導お兄ちゃん知ってたんだ。じゃあ、どうするべきかな」
え? 俺に聞くの?
多分、それ間違ってますよ。『木原』の皮被った一般人ですよ。
ゲームしようとしただけで、何の努力もせずに力を手に入れただけの一般人なんです。
それに、学園都市の闇とか知らないから答えようがない。
そして、小説を読んでいようが体験した訳では無いのだから、悲しみや辛さを知らない自分ではアドバイス出来ない。
が、せめて原作を壊さずに事件を解決させて、『
「難しい質問だね。月並みだけどそういう事は自分で決めるべきだと言いたい。が、今回は関わらなくて良さそうだよ」
関わらなくて良い本当の理由は言えない。なぜなら、アニメや漫画で知っているとは言えるわけないし、それに下手にこれから起きる事を言うわけにはいかない。
なぜなら、『
「えっ…!?」
驚いた顔の那由他ちゃん。
そりゃ、驚くよな。いきなり、関わらない方がいいと言われてもな。
「誘導お兄ちゃんを見くびってもらっちゃ困りますよ。能力者でありながら実験体ではなく、『木原』でありながら『木原』らしくないのに病理おばさんに諦めさせなかった
頭に出てきた記憶と木原 誘導のフレーバーテキストに書いた内容の一部を言いつつ、置き去りの子達を助けると言ってしまった。
原作通りならば絶対に回復すると言いきれるが、俺という異物が存在する世界で言えるのか?
普段、
そもそも、この感情が偽善で独善であったとしても、身の回りの悲劇くらいは回避したいのが、人の情というものだろう。
だから、俺はどうにかして原作の様に『
そんな決心を含めて言ってしまった。
「誘導お兄ちゃんは私が欠陥品と言われても、視点を
「木山先生が失敗して、それに関わらなくていいってどういう事?」
動揺しているのか、那由他ちゃんは続けて質問をしてきた。
「今回の件はじきに解決するさ。それに木山先生の方法では遠回りで成功しない。いや、成功してはならない。見通しだと、あの子達を助けるのは次の機会にするべきだ。理由は情報源的に厳しいから言えないけど。情報と『
『
もし、それで作れたら『
妹達を使えば、1万人もの脳を使ったコンピューターが即座に出来て、
アレイスターのプラン的には確率は低い(というか殆どありえない)が再演算の結果、実験再開なんて笑えない事が起きるかも知れない。
適当に那由他ちゃんへの理由を付けたけど、
それと今回何度も口にしたが、『誘導』という言葉が頭によぎるんだよな。
「誘導お兄ちゃんが言うから信じるけど」
「信じてくれて嬉しいよ。そうだ、那由他ちゃん。何か食べていく?」
実は一人暮らししていたから、料理は出来る方だと思う。
不思議な事に冷蔵庫にある食材の記憶がちゃんとある。
最近の男として、モテる為には料理くらいは出来ないと駄目だと思うのだ。
で、モテたかと聞かれたら、やっぱり顔には勝てなかったよ。(諦め)
「いや、いいよ。完全下校時刻が近いし。でも、誘導お兄ちゃん何か隠してる事ない? 変だよ」
異世界転移風な現状や原作を知ってる事などありありです。
「まぁ、ないと言えば嘘になるけど、心配しなくても大丈夫だよ」
あえて、本当の事をいう事で言えない事だと思わせる
「分かったよ、誘導お兄ちゃん。聞かないよ」
那由他ちゃん、聞かないでくれてありがとうな。
「それじゃ、またな。学園都市第一位とかには気をつけろよ」
「なんで、学園都市第一位がそこで出てくるの?」
「なんとなくだ」
何となく頭に一通さん=ロリコンが出てきたなんて言えない。まるで
やっぱり、
「ふーん、またね。誘導お兄ちゃん」
靴を履いて、ドアを開け那由他ちゃんは帰っていった。そして、この時の俺はある勘違いをしていた。