禁書厨な俺氏、チート勘違い系オリキャラになる -とある科学の物質誘導-   作:村ショウ

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那由他ちゃん視点になります。


03.学園都市最強との遭遇 - 那由他side-

 

 

 

 誘導お兄ちゃんは私の先を行っている人間だと思う。なぜなら、同じ『木原』で能力者であり、『木原』らしくないにも関わらず『欠陥品』でもないのだから。

 病理おばさんに諦めさせられなかった様に、他の『木原』ですら退ける力も持っている。

 

 本質を誘導(・・・・・)すれば、『欠陥品』と言われていた者でも成功・優れた者とする事ができる。誘導お兄ちゃんが言った言葉だ。

 

 その誘導により、誘導お兄ちゃんは『欠陥品』にもならず、病理おばさんによって諦めさせられることも無かった。

 

 誘導お兄ちゃんに今回の件を相談したのは、気まぐれだった。何かしらの解決策を出してくれるのではと思ったからだ。

 

 だけど、返事は答えではなく、自分で考えなくてはいけないとの事だった。

 

 それに理由は分からないけど、今回は関わらなく良いと言われてしまった。

 

 そして、今日の誘導お兄ちゃんは変だった。何かを隠しているような……。

 私に何か出来るとは思わないけれど、近い内に誘導お兄ちゃんにもう一度会った方がいいかも知れない。

 

 

 

 

 ──木原 那由他は完全下校時間に合わせて出ているバスに乗るため、近道として裏道(・・)を通る。

 

 ──本来(原作)なら、那由他は木原 誘導という存在に合わず、起きなかった筈の事が起きる。

 

 

 

 

 

 

 

 暗い裏道、ここが誘導お兄ちゃんの寮からバス停に向かう近道だが夜は薄暗い。

 しかも、ここの地面は砂利道であり、すれ違うのがギリギリの道幅でほとんど人は来ない。

 

 そして、私はやっと道が交差していて多少広い所に出る。そこは十字路状になっていて、右に行くと小さな広場で行き止まりなっている。ここは道幅も横に二人並んでも余裕があるくらいはある。

 

「──これより、────回実験を行います。宜しいですか? とミサカは対象、一方通行(アクセラレータ)に確認を取ります」

 

(え…常盤台の超電磁砲?)

 

 交差点の物陰から見たその小さな広場には、常盤台中学の制服を着た超電磁砲と瓜二つの少女がいた。そして、数多おじさんの資料で盗み見た学園都市第一位の一方通行(アクセラレータ)も。

 誘導お兄ちゃんは第一位に気をつけろと言っていたがこの事だったのだろうか…。

 誘導お兄ちゃんがどこでそんな情報を入手したのか気になるが今は状況確認が先だ。後にしよう。

 

 誘導お兄ちゃんが気をつける場所を指定しなかった事から未確定な情報だと思うが、それでも誘導お兄ちゃんが関わっているなら知りたい。

 

「俺が絶対能力(レベル6)になる為に、お前ら『欠陥品』が潰れてくれんのはありがてェけどよォ。こっちとしては楽過ぎて張合いがねェーつか、弱すぎるんだよなァ」

 

 ──『欠陥品』

 私が聞いた言葉は、私に過去の出来事を思い出させるには十分だった。

 それに絶対能力(レベル6)という単語。そんな大それた事が見つからずに行われているという事は学園都市の暗部が関係している事は確かだが、絶対能力(レベル6)となると木原や統括理事会が関係してくる可能性が高い。

 考えているうちに、圧倒的威圧感からか私は自分の体が緊張でまともに動かなくなっているのを感じた。

 

「既に実験開始時刻より、30秒が経過しています。とミサカは確認します」

 

「そういう所が張合いがねェーつてんだろうがよォ! 」

 

 そう第一位(化物)が言うと、超電磁砲と瓜二つの少女は吹き飛んだ。

 

 その少女が『置き去り(チャイルドエラー)』の子供達に重なって見えた。

 

置き去り(チャイルドエラー)』の子達とは状況も姿形も全然似ていないが、『欠陥品』という言葉を聞いて過去の事を思い出した性なのかも知れない。

 

 状況なんかは全然違う。だが、それでも欠陥品と蔑まれ、痛めつけられる少女を見て、何も思わない訳がなかった。

 

 彼女を放って置けないと思った。そして、何も出来ないのに助けたいとも思った。

 

 だが、学園都市第一位の前に自分が出ていって何が変わるのだろうか。学園の闇を知る身として助けられる気がしなかった。

 私がそう考えている内に、超電磁砲に瓜二つの少女は罵倒されながら、傷つけられていく。

 

 

 ──足が1歩前にでる。

 

 パキパキ

 

 砂利を踏み、足音が鳴る。私は何も出来ないのに前に出てしまっていた。

 

「…あァ? オイ、一般人が来てるじゃねェーか。こういう場合は口封じが基本だよなァ 」

 

 見つかってしまった。一方通行の能力について、調べたことがあった。

 そう、ベクトル操作という脅威的な能力について。

 

 だからこそ、勝てないと悟った。

 

 自らの好奇心と木原には相応しくない正義感が招いた事態だが、それでも私は助けを求めてしまう。

 

 誘導お兄ちゃんが助けにくる都合の良い幻想(・・)を抱く。

 学園都市の闇を見た者の最後は決まっている。ヒーローが現れるなんて事はまずありえない──

 

 筈だった。

 

 

「おい、ロリぺドリョナ野郎。 …いや、学園都市第一位さん。そこで何をしているのかな?」

 

 誘導お兄ちゃんの声が後から聴こえてきた。

 振り向くと、そこにはさっき別れたばかりの誘導お兄ちゃんがいた。

 さらに、誘導お兄ちゃんは注目や標的が全て自身に向く様に学園都市第一位を誘導(ちょうはつ)している。

 

「あァん? この俺、一方通行(アクセラレータ)に向かって何言ってやんがだァ。あまりにもぶっ飛び過ぎて笑えねェなァ。ヤクでも決めてんのかァ」

 

 誘導お兄ちゃんに殺意をむき出しにする第一位(化物)

 私はその眼光に何も出来ずに立ちすくんでしまう。

 

(誘導お兄ちゃん、何するつもり?)

 

「君と戦いたい訳じゃないんだ。安心してくれていい俺は木原 誘導。ある意味、『絶対能力進化(レベル6シフト)計画』の関係者さ。数多おじさんは君の能力開発の担当だった筈だけど覚えてるかな?」

 

 誘導お兄ちゃんから放たれた意外な言葉(・・・・・)に、私は息を飲んだ。

 

「それで? オマエが関係者だとして、俺がこのガキを殺しちゃいけない理由にはならねェーよな」

 

 誘導お兄ちゃんは意外な反応された様に肩を落とし、少し呆れた様に説明する。

 

「そうだね。だけど、その子も木原一族の1人なんだ。それに特殊な力を持った能力者でもある。ついでに俺自身も出力的にはレベル5とそう変わらない力を振るうことができる。そして、君がそんな特異な力を持った者と戦えば、戦闘経験に誤差が生じて『樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)』での再演算が必要となり、その演算結果に応じて『妹達(シスターズ)』も調整が必要になるんだ。つまり、実験が長引くことになる訳だ。そんなにこんな実験を長引かせたいなら攻撃すればいいさ」

 

(なんで、誘導お兄ちゃんは『実験台(モルモット)』の私を見捨てないで助けるの?)

 

 私の力はそこまで特異な力ではない。物自体は珍しくはあるが、意図的に量産する(作る)ことが出来るだろう。

 

 普通の『木原』なら切り捨てる筈の事。

 

 だが、あえて特異と言う誘導お兄ちゃんには困惑するしかない。しかも、数多おじさんの名前まで出してまで助ける事に意味があるのか。

 

 幾ら誘導お兄ちゃんと言えど、勝ち目のない第一位を前にしてまで私を助けるなんて事をする意味は無い。

 

 第一位(化物)を敵に回せば確実に殺されるだろう。

 

 

「チッ、そうかよ。ならさっさと目の前から失せろ」

 

 一方通行は舌打ちをして、諦めたように誘導お兄ちゃんと私を解放する。

 

 

 その行動によって私は気がついた。この行動全てが誘導お兄ちゃんの『誘導』だという事に。

 

 

 

「いくぞ。那由他」

 

 誘導お兄ちゃんは目線を私の方に写した。

 

(いつもの誘導お兄ちゃんじゃない?)

 

 いつもの優しい言い方では無く呼び捨てだという事に戸惑う。まるで、人格が変わった(・・・・・・・)ように強い言い方だった。

 

 

 …………

 

「救えなくてすまない」

 

 横に倒れているもう助かりそうにない凄惨な少女の姿を見て、誘導お兄ちゃんは顔を落として呟いた。やるせなさそうに悲しそうな顔をしていた。

 

「え?」

 

 どう見ても、この状況では超電磁砲に似た少女に対しての言葉で、誘導お兄ちゃんが優しいのは分かっていたが、それは木原としての違和感があった。

 この場でその言葉を口にするのはデメリットしかないからだ。

 実験の関係者と言うならば、その言葉が相手に聞こえてたら怪しまれてしまう。小さく呟いた程度なので聞こえていないみたいだったけど。

 はっきり言って、らしくない発言だった(・・・・・・・・・・)

 

「何でもない…。一度、家に戻るよ」

 

 そう言った誘導お兄ちゃんはいつもの顔に戻っていた。




 因みに、那由他ちゃんが一方通行の能力を知ってる理由は、木原君が自販機SSのセリフで第1位を殺れる自慢したりしてる事から知っててもおかしくないかなぁという想定になります。
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