禁書厨な俺氏、チート勘違い系オリキャラになる。(木原) -とある科学の物質誘導-   作:村ショウ

9 / 15

 再び日間に入れました!ありがとうございます!!
 昨日投稿出来なかったので、既に落ちてますが()
 書いていると、キャラの口調が分からなくなってくる…。黄泉川先生とかジャンジャン言うイメージが先行してしまう。

 最初は那由他ちゃん視点からになります。

 


08.始まりの日④

 

 

 私が気づいたときには誘導お兄ちゃんは私に覆いかぶさるように身を呈して守ってくれていた。大半がサイボーグであるこの体ならある程度は治せるし、破片程度なら殆ど傷つくことはないのに。顔が傷つくのは確かだけど…。

 誘導お兄ちゃんが少し斜めを向いたとき、背中が見えた。そこから流れるのは大量の血だった。

 いつの間にか、私は誘導お兄ちゃんに何で私を守ったのか聞いていた。

 答えは木原らしくない優しい理由だったが、そんな木原としては間違っている理由を聞いて、あんな状況ではあったけど、何故か私は嬉しく思っていた。

 

 風紀委員としての後始末をした後、誘導お兄ちゃんのお見舞いにいくと、カエル顔の医者がいて状態を教えてもらうことが出来た。火傷や破片による傷はあるものの後遺症はなく、学園都市の医療技術もあり、安静にすることが条件だけど明日には退院も可能という話だった。

 

「誘導お兄ちゃん。大丈夫?」

 

「あぁ、大丈夫だよ」

 

 誘導お兄ちゃんはいつものような優しい笑顔で、答える。本当はまだ痛いはずなのに。

 そして、ドアを閉めて誘導お兄ちゃんが寝ているベッドの横まで歩く。

 

「那由他ちゃん、重要な話があるんだ。幻生先生の件や様々な危険に那由他ちゃんを巻き込んでしまった。これ以上踏み込んだら、よりリスクが伴ってしまう。だから…」

 

 私が横の椅子に座ると、誘導お兄ちゃんは辛そうな表情で言葉を紡ぐ。それは私をより深い学園都市の闇、地獄から遠ざける為の優しい言葉なのかもしれない。それでも…。

 

「まって、誘導お兄ちゃん…。それ以上は言わないで欲しいかな」

 

 私は誘導お兄ちゃんの言葉を遮る。

 きっと、私の為に言っているその言葉の続きを聞いてしまったら、これ以上は暗部に関われなくなってしまうと思う。もう、誘導お兄ちゃんが悲しむ顔は見たくない。これは木原らしくない理由だ。我儘なのかもしれない。

 だけど、出来れば誘導お兄ちゃんの傍に立っていたかった。

 

「ねぇ、誘導お兄ちゃん。私は実験台として失格かな?」

 

 次に口にしてしまったのは、酷く狡い言葉だった。

 だけど、戦力にならないかもしれないけれど、一度関わったからには一緒に戦いたかった。

 

「そんなことは…」

 

 誘導お兄ちゃんは言葉に詰まる。やっぱり、これは聞くべきではなかったものだった。

 

「いや、違うな。那由他ちゃんは実験台としては失格だな」

 

 誘導お兄ちゃんから出たのは予想外の言葉だった。

 

「那由他ちゃんは実験台でなく、成功例、完成体になるべきだ。単なる実験でなく、技術の発展に合わせて常にアップデートを続ける最強の個体に。それじゃあ、駄目かな? 」

 

 話し方はいつものままだったが、誘導お兄ちゃんは覚悟を決めたかのように言葉を続ける。私の我儘がその覚悟をさせてしまったのは間違いない。

 

「もちろんだよ、誘導お兄ちゃん。その為なら私は何だって手伝うし、地獄だろうがついて行くつもりだよ」

 

 我儘でも良い、学園都市の闇(地獄)でも何でもついて行く覚悟で、私はそういった。

 

「なら、これからは那由他ちゃんと一緒に計画(プラン)を実行していかなきゃな」

 

 覚悟を決めた声を聞いて、久々に誘導お兄ちゃんの本音を聞いた気がした。

 だけど、誘導お兄ちゃんの『計画(プラン)』とはなんなんだろうか。

 誘導お兄ちゃんは私のサイボーグ化にも関わってはくれていたけれども、それがメインではなかった筈だ。

 

 だって、誘導お兄ちゃんの()()()()()は ──

 

 そんなことを考えていると、病室のドアの方からコンコンとノックが聞こえた。

 

「木原、入るじゃんよ」

 

 そして、病室のスライド式のドアが勢いよく開いた。

 

「黄泉川先生!?」

 

 誘導お兄ちゃんは驚いたようなリアクションを取る。

 どうやら、誘導お兄ちゃんの学校の先生で警備員(アンチスキル)らしかった。

 

「まさか、木原に妹がいたとは、驚いたじゃん」

 

「いえ、妹ではないんですが…」

 

「確かに顔も似てないじゃんよ。まさか、学校で浮いた話がなかったのは…」

 

「黄泉川先生、それは冗談になってないです。ただの親戚ですよ」

 

 誘導お兄ちゃんは苦笑いしながら答える。学校ではこんな感じなのだろうか。

 

「特殊学校法人RFO所属の風紀委員、木原 那由他です。誘導お兄ちゃんがお世話になってます」

 

 誘導お兄ちゃんの学校の先生と合うのは初めてだったので、挨拶をする。

 

「お世話してやってるじゃん。上条達とつるんでるあの木原の親戚にしてはしっかりもので良いじゃんよ」

 

 誘導お兄ちゃんはどうやら、問題児だったらしい。

 

「それじゃあ、そろそろ事情聴取を始めるじゃんよ」

 

 そんな話をしていていていると、そろそろ事情聴取始めるみたいだったので私は病室を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 ── 誘導 side ──

 

 

 とりあえず、黄泉川先生からの事情聴取は終わった。どうやら、風紀委員から警備員に引き継がれたようだった。

 

 問題は巻き込まれた事件の聴取より、病室での那由他ちゃんとの会話の方だ。

 今回の一件で力を手に入れることが急務だということが分かった以上、安全な手段での研究では間に合わない。

 それこそ最悪、原作ブレイクになるような事を行わなければならないかもしれなかった。あの子達の意識を取り戻すためにも何かが変わっている可能性がある以上、万全の力・環境を整える必要があるからだ。

 原作で知っていた強盗犯ですら、那由他ちゃんを上手く守れなかったのだ。原作にない行動をするのに、那由他ちゃんを巻き込むわけにはいかなかった。そこだけは守ると決めたのだから。

 そんな気持ちをもって那由他ちゃんに理解してもらう為に、説明をしようとしていた。だが、その言葉は那由他ちゃんに遮られてしまった。

 

 俺は原作知識という意味で、木原那由他という存在を知っていた。その力は第三位の御坂美琴や第七位の削板軍覇には勝てないようなものであることも。

 だからこそ、暗部の深くにあるような力を手に入れる為に遠ざけるべきだと考えていた。だが、原作を思い出してみて欲しい。遠ざけた筈の存在でも危険に晒されていなかったか。

 

 インデックスや打ち止めなどは特にそうだ。もちろん、彼女らに価値があり、それが目的という場合もあった。たが、一方通行ですら打ち止めやその周りの生活を守るためには、暗部での暮らしを余儀なくされていた。

 

 俺は主人公(ヒーロー)ではない。

 だが、もはや単なる一般人でも無くなっている。俺たちは木原だ。逆に考えればよかったのだ。那由他ちゃんが弱点となってしまうのなら、那由他ちゃんを強化して狙われなくすれば良い。これは他の周りの人間でも同様だ。

 だからこそ、このインフレ環境に適時対応できるような『計画(プラン)』を立てて、実行する覚悟を決めた。

 実際には魔神まではいかないまでも、学園都市崩壊規模の事件でも耐えうるほどの力を。暗部連中だろうが、統括理事会連中だろうが消し飛ばせるだけの力を手に入れるために。

 まぁ、心持ち的に那由他ちゃんには『最強の個体』と言ってしまったが、やれるだけやってみるしかない。

 

 流石に、那由他ちゃんの事ばかり考える訳にはいかない。これから、原作が開始されてしまうのだから。

 

 しかし、白井黒子などの超電磁砲組に関わりを持ってしまった訳だが、暗部的な研究や仕事中で出会わなかっただけましと考えるしかないか。

 第一印象だけなら親戚の子を庇う善人より見えているはずだろうし。流石に、原作ブレイクに一歩近づいた気がするが、あまり神経質になり過ぎるのも良くないだろう。

 しかし、どう考えても原作乖離が避けられないなら、逆に先手を打っていたほうが良いのかもしれない。

 

 それを判断するのは禁書目録原作の開始の7月20~21辺りが山だ。上条当麻の一度目の死、そこに介入してしまって良いのかどうか。

 個人的な観点や感情だけなら上条さんの記憶は無くならない方が良いに決まっている。だが、物語的な齟齬が発生するのは間違いない。そうなれば、知識との乖離が必ず起きる。

 俺という存在がいる以上、既にバタフライエフェクトの様な原作崩壊は始まっているのかも知れないが。

 上条さんの記憶喪失の回避はともかくとして、そもそも介入すべきかどうかと言う問題もある。

 これに関しては、現状は介入するべきだと感じる。アレイスターが施した原型制御による科学と魔術の分離、単なる木原という枠組みから抜ける意味でも、このタイミングが一番だ。

 早い話、土御門のように科学と魔術の両知識を持っている存在になっておく為には必要だ。

『とある科学の一方通行』に登場した菱形はローゼンタール式の死霊術を利用していたし、表にバレなければある程度は見逃されるのは間違いない。それに最悪、魔術知識がそこまで得られなくて、上条さんの記憶が消えようとも禁書目録に恩が売れる。

 アレイスターに脅威と思われない範囲でだが、僅かでも魔術との関わりの有無は大きい。滞空回線を気にする部分が確実に減る。

 

 とはいえ、介入するにしても命がなくてはどうにもならない。

 今後の脅威に備えた戦力と保険を、アレイスターよろしく複数同時並行で進めなければならない。

 そうなれば、まずは着実に科学での地盤固めだ。そんな決意を元に、とあるサイトに隠された音楽ファイルのダウンロードが終わったことを確認した。

 

 

 

 

 

 

 

 ── 学園都市某所 ──

 

「誘導君が動き出したようですよ、先生」

 

 白衣の女は機械的な装置がついたゴールデンレトリバーに話しかける。

 

「誘導君はある意味ロマンだ。とはいえ、危うさの方が大きい。今後次第といった所だね。研究対象が似通っていた唯一君が興味を示すのも分かるが…」

 

 喋るゴールデンレトリバーこと、木原脳幹は誘導が木原としての性質に飲み込まれるのか、木原加群のような例外的な木原となるのか、また別の可能性を取れるのかを期待しながら様子を見守る。

 

「先生、誘導君に嫉妬ですか?」

 

「そういったものでは無いよ、唯一君。さて、その誘導君から教えて貰ったご当地土佐犬アイドルの動画とやらを見るとしよう」

 

 キッチンで調理をしていた木原唯一の問い掛けに、葉巻を吸いながらも答える。

 

「唯一君。君は何故、今用意してくれていた私のご飯用の皿を片付けているのかね?」

 

 そこには余計な事を言ってしまったと、後悔するゴールデンレトリバーの姿があった。

 

 






感想、誤字報告ありがとうございます!!

木原唯一の口調、円周のシミュレーションと上里編で違う感じが強いんですよね…。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。