おかしな世界
転生しました。
いや、なにをふざけた事をって思わないでほしい。確かにありえない。目の前にそんなことを言うやつが居たら、優しい目を向ける程度にはイカれたことだ。
だが事実だ。真実だ。今でも狂っていると思う。世界か、頭の方かはわからない。脳みその方であって欲しくはないな。
まあ、今まで何人とは数えられないほど、人間が死んでいるのは確かだ。一人ぐらい輪廻の輪がバグっても仕方がないのかもしれない。
幼い頃から違和感はあった。脳裏に浮かぶ、懐かしさを感じる情景。年齢不相応な、妙に成熟した精神。誰も知らないはずの知識。
何気なく空を見上げていたとき、飛行機雲が見当たらないことが不思議に思えた。そんなもの、あるはずがないのにだ。
そこから断片的な記憶が繋がり、すべて思い出した。
前世があったこと。
今の世界は前とは違うこと。
……この世界には飛行機がないこと。
この世界には、航空機が存在しなかったのだ。正確には、水素やヘリウムなどを使った、軽航空機しかないと言うべきか。
自分は、飛行機好きだった。いや、思い出した以上、今でもと言うべきだ。
前世では、航空関連の仕事にこそ着かなかった。しかし 、自分なりに調べて、オリジナルの飛行機を夢想する程度には好きだった。
この世界には飛行機がない。ならば自分が作って見せよう。自分がこの世界のライト兄弟になってやるんだ!
…… と、昨日まで考えてました。
『ブルーマーメイドの切り札、07式垂直発射噴進魚雷の実力に迫る!』
ネットニュースを見て、頭にハテナマークが浮かんだ。
ーーーー噴進魚雷って要はロケットだよな?ロケットがあるのに、なんで人を乗せていないんだ!?
一人ぐらいいるだろ!「ロケットに乗って空を飛んでやったぜw」 とか考える、頭のいいバカは!!
技術はある、手段も少ないながらある。なのにだ。未だに空を飛ぶ手段が気球か飛行船しかない。
これ、おかしいよな?
人は未知に憧れるものだ。なのに身近かつ壮大な未知であるはずの空に向かおうとする人が、あまりにも少なすぎる。まあ、確かにロケットのみで空を飛ぶのはリスキーだが、それでも疑問だ。
鳥という実例があるにも関わらず、なぜ誰も翼で空に向かおうとしない?
ライト兄弟が飛行機を作らなかったからか?
いや、違うだろう。
航空機関係でライト兄弟は重要と言うのに異論はない。しかし、必須の人物というわけでもない。
ライト兄弟の初飛行の3年後には、技術的な交流のなかったアルベルト・サントス-デュモンがヨーロッパでの初飛行を果たしたし、電話で有名なベル博士だって飛行機を飛ばしていた。
ライト兄弟がいようがいまいが、誰かは飛行機を作っているはずなのだ。
なのにない。飛んでいるのは気球や飛行船ばかり。
もはや、すべて偶然だと考える方が不自然だろう。
絶対にいるはずなのだ。
100年単位で組織だち、航空機の発達を邪魔するなにかが。
……………さて、どうしようか。
現に飛行機は存在しない。相手は諜報においてかなり優秀なのだろう。そして実行力もあるのだろう。妨害するなり暗殺するなりしなければ、今頃は飛行機が飛んでいるだろうから。
その能力を別なところに活かして欲しかった。100年以上もこんなことしなくていいのに。
問題は1つだ。
飛行機を飛ばしたい。
この夢に、命をかける価値はあるだろうか?
相手は実績がある組織だ。ただの個人を事故死させるぐらいは出来るはずだ。
狙われる危険を背負ってまで、飛行機を飛ばしたいか?
育ててくれた親には悪いが、覚悟は決まっている。
07式垂直発射噴進魚雷は適当です。
できれば高評価、コメントおねがいします。