覚悟、やる気はとても良いものだ。少なくとも、これらが無ければ始まるものも始まらない。
だが、気持ちだけで何とかなるとは言っていない。
「ただの高校生に何ができるっ!?」
「お前は何を言っているんだ?ほら野辺、とっとと問3の答えを教えろ。」
せめて大学生ならば、航空機の研究もなんとか成っただろうに。クラスメイトにノートを見せながら回想する。
野辺拓人は、2周目の高校生活をロールプレイ中だ。つい先日、前世の記憶が戻ったは良いが、自分の立場が高校生だったことには少し絶望した。
時たま、「高校生活に戻りたい」なんてことは聞く。今の状況は正しくそれに近くはあるが、自分は嬉しくない。むしろ嫌気がさす。
高校生なんて社会的弱者、大したことできないじゃないかっ!?
考えてみろ、金がない。自由時間も少ない。これでどうやって飛行機をつくれと?
周りの協力も仰げない。無駄としか思えない事を飽きずに続けている組織に情報が漏れたらどうする?自分は暗殺されとうないっ!
大人になるまで我慢しろ?できるかそんなの!自分は今から飛行機に関わりたいんだ!
………何だか幼稚な性格になってしまった。精神的にはもうじき100歳に成ろうというのに。これでは100年分の記憶を持った青二才ではないか。肉体に精神が引っ張られているのだろうか?
まあ、三つ子の魂百までというし、というより前世からこういったことへの我慢は効かなかった。歳をとって落ち着いたのは、ただ気力が尽きただけなのだろう。
つまり自分は、一生涯を使い切っても大して成長しなかった人間ということにーーーーー
「おい野辺っ」
「へ?」
「他のやつ、もう帰ってるぞ?なにボーッとしてるんだよ」
「あ、ああ。」
「電気消すの頼むぞ。あとノートどうもなっ」
階段を駆け下りる音が聞こえた。見れば、もう教室には誰も居ない。遠くからかすかに運動部の掛け声が聞こえてくるのが、ここに誰も居ないことを際立たせていた。
よし、とっとと撤収するか。
速やかに荷物をまとめる。ただでさえ少なすぎる時間だ。これ以上減らしたくはない。
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高校生は大人に比べて、出来ることは少ない。だが、何も出来ないわけではない。足りぬ足りぬは工夫が足りぬということだ。負けフラグには目をつむる。
前世では、とある工業高校が数年掛けて飛行機を作りあげた実例があるが、あれは例外中の例外なので置いておく。高校生では、人が乗る航空機は到底作れない。
だが、ラジコン飛行機のレベルならどうだろうか?
それなら技術的な難易度は格段に下がるし、製作費用もたかが知れている。アルバイトでどうにかなる。
要は、ガスの類を使わなくても空を飛べることを実証すればいいのだ。なら、ラジコン飛行機で十分だろう。
もちろん、かの忌々しい組織にばれたら困るので、飛行機の製作は他の人には極力バレないようにする。
ついでに、航空関連の情報を書き残す場合は、暗号を使う。暗号と言っても、ローマ字に対応するアルファベットや数字の順番をバラバラにしただけの簡単な暗号だが、ないよりはマシだろう。一応、可能な限りの単語は符号化しておく。
………というか、飛行機嫌いの組織はふざけているのか?
何が何でも飛行機を作られたくないのか、インターネットを探しても、紙飛行機はおろか、竹とんぼなどのおもちゃレベルの情報まで消えている。やりすぎだろう。とことん人間を空から遠ざけたいらしい。
ふざけた組織に向ける、あらん限りの悪口を考えながら暗号をかく。慣れないためか、ペンの進みは遅々としたものだ。しかし、今は頭の柔らかい高校生だ。一月もすれば、普通の文書を書くのとそう変わらなくなるだろう。
そして、情報を纏めていると、あることに気が付く。
数式、全く覚えていない件について。
いや、理屈はなんとなく覚えているんだ。ただ、計算に必要な公式がわからないということだけなんだ。完全に戦犯だな!
この辺り、今まで完全に資料だよりだったのが裏目に出た。
これは、綿密な実験が必要だな……
アルファベットをバラバラにしただけの暗号、いくら符号化しようが解こうとすればすぐに解けそうな気がする。
できれば高評価、コメントおねがいします。