転生者は贈り物の演者を演じる 作:名無し
人は皆、仲間という存在に弱い。
何処かの誰かと一緒に共闘した。友達と一緒に馬鹿騒ぎした。…あるいは、特別な時間を過ごした。
だからこそ、人間は一度知ったあの感覚を手放せないのだ。
消えていく仲間。少しずつ寂しくなっていく周り。空いてしまった隣の隙間。
……それがあるから、私は“モモンガ”という登場キャラクターにとても同情をした。
「置いてかれたんじゃない。自分が追い付けなかっただけなのだ」
「でもいつか、皆が戻ってくるかもしれない」
二つの想いが心の中に浮かんで…そして待つという選択をしてたモモンガに、私はひどく同情した記憶がある。
きっといつか戻ってくるんだ。“理由”がないから、皆戻らないんだ。
…だから、“理由”が出来たら戻ってくる筈だ。
でも、最後まで仲間達は残ってくれる事はなかった。
……それを見て私は、心に決めたんだ。
『いつかモモンガみたいな人を見つけたら、私がずっとギルドに居てあげるんだ!』
……そう思っていたのが“生前の”話。
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エナドリ切れて買いに行こうとして車に引かれたのが…体感五分前。
そして今、私は……
「ウ…ウ、Wenn……なんだっけ」
パンドラズアクターに転生していた。なんで。
これがまだモモンガの隣にいるアルベドとかだったらいいよ?性別一緒だし!
なのにも関わず、どうしてパンドラズアクターなの?私ドイツ語喋れないんだけど!
「くそう。アニメ通しで1回しか見てないからドイツ語なんて覚えてる訳ないし、どんな風に動いてるかも覚えてないんだけど…」
とりあえず格好いいポーズでドイツ語喋ってモモンガに壁ドンされてたのだけは覚えている。
こんな事になるならちゃんとアニメ周回しておけば良かった。
どっかの型月ファンみたいなガンギマリガチ勢転生じゃないし、どうすればいいんだこれ。
「…とりあえず宝物殿にいる事だし、ちょっとだけ整理とかしてみる…かな」
多分だけど精神が身体に引っ張られてる気がする。
確かこのパンドラズアクターは整理整頓大好きっこだった筈だし、そもそも此処にはアインズ・ウール・ゴウンが永い年月をかけて集めたアイテムがある。
……正直、触る気がないと言えば嘘になる。だって憧れた世界のアイテムだし。
「…!いや、確か廊下の方に……」
記憶を頼りに、私は宝物殿を走って抜けていく。
…そう。記憶ではあった筈だ。モモンガが作ったというあの……
「…アヴァターラ」
皆の装備を飾る為に作ったこの石像を見ながら、私は一つ一つ姿を変えていく。
ゆっくりと刻み付けるように姿を変えているうちに、私の思考には幾つもの考えが通っていく。
……そして、最後の一人の姿をこの身に刻み付けてからパンドラズアクターの姿に戻りながら霊廟に移動した。
「…」
仲間を模られたゴーレムは、モモンガが作った物。
…
だからきっと、パンドラズアクターが宝物殿にいた理由は……仲間が何よりの宝だったから……なんじゃないかと思う。
勿論、私自身の想像でしかないから答えはわからない。
「…アニメで見た時のモモンガは、とても寂しそうだった」
それは、きっとアルベドやシャルティアを見てるというよりもその作った人達を見てるからだ。
“仲間”じゃない、“大事な仲間”の“子供”。だからこそ大事に接して、何よりも大事にする。
それを崩せるのは、良くも悪くもモモンガが作ったパンドラズアクターが適任だろう。
「でも私の魂が乗り移ってる時点で、パンドラズアクターの魂はいなくなってしまったかもしれない」
けれど、パンドラズアクターの
なればこそ、私はしっかりとその想いに応えなければいけない。
『「
小さく呟いた言葉に、何処か格好いいドイツ語の声が聞こえた気がした。