-冒険者-
自らの力を高め、仲間を信じ、未知を探求する者たち―
この世界において、冒険者として未知を解き明かすことは、至上の名誉とされた―
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
アヤカの村。人口500人程度の小さな農村。王国から離れているこの田舎の村より物語は動き始める。
「まだかな、予定では今日帰ってくるハズなんだよな…」
何かを心待ちにしている少年。彼の名はリク。12歳の少年である。
「まったく、そんなにソワソワしていても、アイツは早く帰っちゃ来ないよ」
「そんなこと言うなよ、ばあちゃん。思いは届くっていうだろ?」
リクの祖母、キコが落ち着きのないリクをなだめる。その時―
「今帰ったぞ!息子よ!」
「ばあちゃん!やっぱり思いは届くんだよ!お帰り、父ちゃん!」
少年は、帰ってきた父に向って駆け寄る。父の名はダン。
「おお!息子よ、また背が伸びたんじゃないか?」
「そりゃそうさ、父ちゃんが冒険に出ていた間、オレもいろいろ頑張ってたんだから!」
親子の再会の会話に、キコが口をはさむ。
「感動の再会に水差すようだけど、ダン。まずは、体を洗っておいで。話しをするのは、それからでもいいだろう?」
「ちぇっ、母さんには敵わないな。よし!リク、久々に一緒に風呂に入ろうか!母さん、いいだろ?」
「本当!?久々の風呂だし、しかも父さんと一緒だなんて!なあ、ばあちゃんいいだろ?」
あんたら親子は仕方がないね、と言いたげな顔をしながら、キコは首を縦に振る。
風呂から上がり、3人で食卓を囲んでいると、村の郵便屋、ラッツォが訪ねてきた。
「ラッツォ、久しぶりだな」
「おお、ダン!帰ってきていたのか!今回の依頼はどうだったんだ?」
「ちょうど、今からその話をしようと思っていたところなんだ。よかったら聞いていかないか?母さん、構わないな?」
そうねぇ、とだけ答えると、キコは客人のための料理を用意し始める。
「さて、今回の冒険は巨大蜘蛛の巣への探索だったんだが・・・」
「なるほどなぁ。そんな危険な冒険をして、よく生きて帰ってこられたもんだ。」
ラッツォは感嘆の声を漏らす。リクも、さすがは父ちゃんだぜ!と興奮している。
「まあな。それもこれも俺の経験とウデがあってこそだな!」
ダンは得意げに話す。
「この家よりもでかい長老蜘蛛と闘りあったときは、さすがにもうだめかと思ったよ。」
ラッツォはふと窓の外を見やる。辺りはもう夕暮れていた。
「おっと、もうこんな時間だ。私は失礼させてもらおうかな。キコさん、いつもありがとうございます。じゃあな、リク。また寄らせてもらうかもな。」
キコに一礼し、リクの頭をなでて、ラッツォは帰っていった。
夜も更け、3人で川の字になって床に就く。
「明日には、アンヌ母さんにも2人で報告に行かないとな、リク。」
と、眠るリクの頭を優しくなで、ダンも眠りについた。
とある日、早朝よりリクが庭で枝を振り回していた。どうやら、剣の練習をしているつもりらしい。その様子をダンがほほえましそうに見ている。
「オレも、いつか、父ちゃん、みたいな、冒険者に、なるんだ!」
枝を振りながら、リクは声高らかに叫ぶ。
「リク。剣を振るときはそういう振り方をするもんじゃない。しっかりと腰を入れて振るんだ。父ちゃんが手本を見せてやらんとな。」
リクの横で、ダンも枝を持ち一緒に振るう練習をしていた。
またある日には、リクとダンは取っ組み合いになり、相撲をとった。
「ぐぬぬぬぬ~~~~~っ」
「おお、リク。また力が強くなったな。ばあちゃんの手伝いをしっかりしてるからかな?」
ぽい、とダンはリクを投げた。でもまだまだだな、と言いたげな笑みを浮かべながら。
投げられたリクは、土をつかみながら、悔し涙をためていた。
「おうおう、泣くな。父ちゃんの方がリクよりずっと体鍛えてるんだぞ?勝って当然だろう。それにしても、リクも本当に強くなった。このまま鍛えれば、俺を超えられるかもな。」
本当?と、べそをかきながらリクは訊ねる。ああ、とダンは笑顔で答えるのだった。
そして月日は流れ、リクは17歳の誕生日を迎えた。
「父さん、行くんだね?」
「ああ、息子の17歳の誕生日も祝えないなんてな。父親失格だ。」
「そんなこと言うなよ!父さんは、オレにとってあこがれの存在なんだ!だから胸を張って冒険に行ってくれよ!オレ、また待ってるからさ!」
「ああ、ありがとうな、リク。それじゃあな、ばあちゃんの手伝いはしっかりやるんだぞ?」
「ああ、わかってるさ!行ってらっしゃい、父さん。」
気を付けるんだよ、とキコとリクに見送られながら、ダンはまた冒険に旅立つ。王国の開発庁より、直々の依頼を受けたのだ。
この時は、ダンはいつもの通り帰ってくるだろう。リクとキコはそう思っていた。
ダンが冒険に出かけて3か月が経過したある日、真っ青な顔をしたラッツォが息を切らせて駆け込んでくる。
「どうしたんだ、ラッツォおじさん?そんな怖い顔してさ。」
「おお、おお、リク。こ、こ、こ、これが・・・」
ラッツォが震える手でリクに差し出したのは、血に濡れた手紙だった。
差出人は、ダンだった。
「この手紙が届いているということは、なにか良からぬことが起きているということだ。詳しいことは記す時間がないため、ライト王国にいる、「ヤータ」という男を訪ねるのだ。今回の出来事について、何か知っているかもしれぬ。・・・」
これ以降は血がついているせいで、読むことはできなかった。
「と、とりあえず、ばあちゃんと相談してみる…だ、大丈夫だよ、ラッツォおじさん。あのダン父さんだぜ?きっと、元気に帰ってくるよ・・・」
最後まで言い終わる前に、リクの声は細く消え入りそうになっていた。
ラッツォは、何も言わずうなづき、ふらふらと帰路へ着いた。
キコとリクは血濡れた手紙を卓に乗せ、押し黙っていた。
「ばあちゃん、オレ行くよ・・・ライト王国に。行って、父さんに何があったのか確かめてくる。」
重たい口を先に開いたのは、リクだった。
「アンタ、父親がこんなことになったのに!まだ、村の外に出たいとかぬかすのかい!?」
キコは、普段では出さないような荒げた声を上げ、机に拳を叩きつけた。
「ああ・・・父さんが生きているかどうか、それを確かめに行かないと。その、ヤータっていう父さんの知り合いに会いに・・・」
「そんなことはわかっているよ!でもねぇ、ダンに続いて、アンタまでいなくなってしまったら・・・ワタシは、お前の母さんに合わせる顔がないよ・・・冒険バカ2人はアタシに任せなって、言ったのに・・・」
荒げていたその声は、次第に震えていった。握りしめたキコの拳の震えが大きくなる。
リクの母、アンヌはリクが9つの頃に亡くなっていた。
「だからだよ、ばあちゃん。父さんまで失うわけにはいかないんだ。オレが言って父さんを助けられるなら、助けに行きたいんだ!」
リクも声を荒げる。キコとはたびたび喧嘩することはあったが、こんなに真剣に声を荒げたのは初めてのことだった。
「どうしても、行くんだね?あんたら親子は、本当によく似てるわね・・・」
リクの想いを察したキコは、リクに旅の支度をさせた。この家で食べる最後の食事になるかもしれないとのことで、リクの好きな羊肉の煮込みを作ってくれた。
そして、翌日。父の残した長剣を帯刀し、背中に巨大な鞄を背負い。
「ばあちゃん。行ってくるよ。」
こうして、リクの冒険の第一歩が踏み出されたのだった。
気力がある限り続けます。
右も左もわからずに書きなぐったので、読みにくかったところもあるやもしれません。
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