ライト戦記    作:村松藤兵衛

1 / 1
これは、一人の少年が出会いと別れを繰り返し、絆をつなぐ冒険譚である。


プロローグ

-冒険者-

自らの力を高め、仲間を信じ、未知を探求する者たち―

この世界において、冒険者として未知を解き明かすことは、至上の名誉とされた―

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 アヤカの村。人口500人程度の小さな農村。王国から離れているこの田舎の村より物語は動き始める。

 

 「まだかな、予定では今日帰ってくるハズなんだよな…」

何かを心待ちにしている少年。彼の名はリク。12歳の少年である。

 

「まったく、そんなにソワソワしていても、アイツは早く帰っちゃ来ないよ」

「そんなこと言うなよ、ばあちゃん。思いは届くっていうだろ?」

リクの祖母、キコが落ち着きのないリクをなだめる。その時―

 

「今帰ったぞ!息子よ!」

「ばあちゃん!やっぱり思いは届くんだよ!お帰り、父ちゃん!」

少年は、帰ってきた父に向って駆け寄る。父の名はダン。

「おお!息子よ、また背が伸びたんじゃないか?」

「そりゃそうさ、父ちゃんが冒険に出ていた間、オレもいろいろ頑張ってたんだから!」

親子の再会の会話に、キコが口をはさむ。

「感動の再会に水差すようだけど、ダン。まずは、体を洗っておいで。話しをするのは、それからでもいいだろう?」

「ちぇっ、母さんには敵わないな。よし!リク、久々に一緒に風呂に入ろうか!母さん、いいだろ?」

「本当!?久々の風呂だし、しかも父さんと一緒だなんて!なあ、ばあちゃんいいだろ?」

あんたら親子は仕方がないね、と言いたげな顔をしながら、キコは首を縦に振る。

 

 

風呂から上がり、3人で食卓を囲んでいると、村の郵便屋、ラッツォが訪ねてきた。

「ラッツォ、久しぶりだな」

「おお、ダン!帰ってきていたのか!今回の依頼はどうだったんだ?」

「ちょうど、今からその話をしようと思っていたところなんだ。よかったら聞いていかないか?母さん、構わないな?」

そうねぇ、とだけ答えると、キコは客人のための料理を用意し始める。

 

「さて、今回の冒険は巨大蜘蛛の巣への探索だったんだが・・・」

 

 

「なるほどなぁ。そんな危険な冒険をして、よく生きて帰ってこられたもんだ。」

ラッツォは感嘆の声を漏らす。リクも、さすがは父ちゃんだぜ!と興奮している。

「まあな。それもこれも俺の経験とウデがあってこそだな!」

ダンは得意げに話す。

「この家よりもでかい長老蜘蛛と闘りあったときは、さすがにもうだめかと思ったよ。」

 

ラッツォはふと窓の外を見やる。辺りはもう夕暮れていた。

「おっと、もうこんな時間だ。私は失礼させてもらおうかな。キコさん、いつもありがとうございます。じゃあな、リク。また寄らせてもらうかもな。」

キコに一礼し、リクの頭をなでて、ラッツォは帰っていった。

 

夜も更け、3人で川の字になって床に就く。

「明日には、アンヌ母さんにも2人で報告に行かないとな、リク。」

と、眠るリクの頭を優しくなで、ダンも眠りについた。

 

とある日、早朝よりリクが庭で枝を振り回していた。どうやら、剣の練習をしているつもりらしい。その様子をダンがほほえましそうに見ている。

「オレも、いつか、父ちゃん、みたいな、冒険者に、なるんだ!」

枝を振りながら、リクは声高らかに叫ぶ。

 

「リク。剣を振るときはそういう振り方をするもんじゃない。しっかりと腰を入れて振るんだ。父ちゃんが手本を見せてやらんとな。」

リクの横で、ダンも枝を持ち一緒に振るう練習をしていた。

 

またある日には、リクとダンは取っ組み合いになり、相撲をとった。

「ぐぬぬぬぬ~~~~~っ」

「おお、リク。また力が強くなったな。ばあちゃんの手伝いをしっかりしてるからかな?」

 

ぽい、とダンはリクを投げた。でもまだまだだな、と言いたげな笑みを浮かべながら。

投げられたリクは、土をつかみながら、悔し涙をためていた。

 

「おうおう、泣くな。父ちゃんの方がリクよりずっと体鍛えてるんだぞ?勝って当然だろう。それにしても、リクも本当に強くなった。このまま鍛えれば、俺を超えられるかもな。」

本当?と、べそをかきながらリクは訊ねる。ああ、とダンは笑顔で答えるのだった。

 

 

そして月日は流れ、リクは17歳の誕生日を迎えた。

 

「父さん、行くんだね?」

「ああ、息子の17歳の誕生日も祝えないなんてな。父親失格だ。」

「そんなこと言うなよ!父さんは、オレにとってあこがれの存在なんだ!だから胸を張って冒険に行ってくれよ!オレ、また待ってるからさ!」

「ああ、ありがとうな、リク。それじゃあな、ばあちゃんの手伝いはしっかりやるんだぞ?」

「ああ、わかってるさ!行ってらっしゃい、父さん。」

気を付けるんだよ、とキコとリクに見送られながら、ダンはまた冒険に旅立つ。王国の開発庁より、直々の依頼を受けたのだ。

 

この時は、ダンはいつもの通り帰ってくるだろう。リクとキコはそう思っていた。

 

ダンが冒険に出かけて3か月が経過したある日、真っ青な顔をしたラッツォが息を切らせて駆け込んでくる。

 

「どうしたんだ、ラッツォおじさん?そんな怖い顔してさ。」

「おお、おお、リク。こ、こ、こ、これが・・・」

 

ラッツォが震える手でリクに差し出したのは、血に濡れた手紙だった。

差出人は、ダンだった。

「この手紙が届いているということは、なにか良からぬことが起きているということだ。詳しいことは記す時間がないため、ライト王国にいる、「ヤータ」という男を訪ねるのだ。今回の出来事について、何か知っているかもしれぬ。・・・」

これ以降は血がついているせいで、読むことはできなかった。

 

「と、とりあえず、ばあちゃんと相談してみる…だ、大丈夫だよ、ラッツォおじさん。あのダン父さんだぜ?きっと、元気に帰ってくるよ・・・」

最後まで言い終わる前に、リクの声は細く消え入りそうになっていた。

ラッツォは、何も言わずうなづき、ふらふらと帰路へ着いた。

 

キコとリクは血濡れた手紙を卓に乗せ、押し黙っていた。

「ばあちゃん、オレ行くよ・・・ライト王国に。行って、父さんに何があったのか確かめてくる。」

重たい口を先に開いたのは、リクだった。

「アンタ、父親がこんなことになったのに!まだ、村の外に出たいとかぬかすのかい!?」

キコは、普段では出さないような荒げた声を上げ、机に拳を叩きつけた。

「ああ・・・父さんが生きているかどうか、それを確かめに行かないと。その、ヤータっていう父さんの知り合いに会いに・・・」

「そんなことはわかっているよ!でもねぇ、ダンに続いて、アンタまでいなくなってしまったら・・・ワタシは、お前の母さんに合わせる顔がないよ・・・冒険バカ2人はアタシに任せなって、言ったのに・・・」

荒げていたその声は、次第に震えていった。握りしめたキコの拳の震えが大きくなる。

リクの母、アンヌはリクが9つの頃に亡くなっていた。

 

「だからだよ、ばあちゃん。父さんまで失うわけにはいかないんだ。オレが言って父さんを助けられるなら、助けに行きたいんだ!」

リクも声を荒げる。キコとはたびたび喧嘩することはあったが、こんなに真剣に声を荒げたのは初めてのことだった。

 

「どうしても、行くんだね?あんたら親子は、本当によく似てるわね・・・」

リクの想いを察したキコは、リクに旅の支度をさせた。この家で食べる最後の食事になるかもしれないとのことで、リクの好きな羊肉の煮込みを作ってくれた。

 

 

そして、翌日。父の残した長剣を帯刀し、背中に巨大な鞄を背負い。

 

「ばあちゃん。行ってくるよ。」

 

こうして、リクの冒険の第一歩が踏み出されたのだった。

 




気力がある限り続けます。

右も左もわからずに書きなぐったので、読みにくかったところもあるやもしれません。
感想等残していって下されば励みになります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。