山内くんに転生したのでBADEND回避を目指します!   作:あまざらし

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【1年生】無人島試験編 その3

 

「そしてDクラス……。225ポイントで1位だ」

 Aクラスの担任、真嶋先生がメガホンを片手にDクラスの1位を告げた。

 オレの周りで歓喜の声が上がる。

 

 知ってた! ありがとな綾小路くん! 

 

 こうしてオレが山内に転生して、初めての特別試験は終了した。

 オレが何をすることもなく。

 強いて言うなら真面目に文句を言わずに作業したくらいだろうか……。

 

 オレはひとまずDクラスの皆とはしゃぐことにした。

 それこそが今のオレの役割だといわんばかりに。

 

 

 ◇  ◇  ◇

 

 

 無人島の特別試験から2日が過ぎた頃。

 

 

「堀北! あの時は本当に悪かった!」

 豪華客船のデッキの上で、オレは原作ヒロインの一人、堀北鈴音ちゃんに全力で謝罪していた。

 

「体調が悪かったなんて知らず……。

 いや体調とか関係ないよな。あんなことやっちゃいけないことだ。本当にゴメン!」

(そうだぞ綾小路くん!)

(良識人はあんなこと思いつかんぞ! まじで反省しろよな綾小路くん)

(あと山内も乗っかるなよな。メアドくらい自分で聞けよ!)

 

 そんなことを心の中で毒づきながらも、今回の本当の首謀者である綾小路くんの名前を出すのは後が怖い。

 

 いや、ここは友達を思って……。

 そうそう。友達思いのとても優しいオレは、堀北ちゃんにあくまでオレの犯行であることを認めて謝罪しているわけである。

 

 ちなみに今は全力で頭を下げているので目に映るのはデッキの床。堀北ちゃんの表情は全く分からない。

 しばらく反応がないな。あれ? おかしいぞ……

 

「山内くん。頭を上げなさい」

「はい」

 そんなことを考えていたら堀北ボスからの指令が下る。

 目上の立場には全力で従う元社畜。上長の指示は絶対なのだ。

 

 っと、冗談はさておき目の前の堀北ちゃんは何やら思案している。

 彼女はどう落としどころを付けようかと悩んでいる様子だ。

 

 それにしても美少女だよなぁ。

 顎に手をあて迷う堀北ちゃん。

 豪華客船のデッキ。

 晴れた海上と仄かな風。

 

 そんなラノベの表紙に出来そうな絵になる堀北ちゃんを眺めつつ、この世界に、『よう実』の世界に来たことを改めて実感する。

 もう彼女に謝っていたことも忘れて、オレは正直わくわくしていた。

 だって悪いのは”山内”だし……。

 

 でも待てよ。

 今回の特別試験の裏話。つまり綾小路くんがほぼ裏で操っていたことを堀北ちゃんはある程度は知っているはずだよな。

 だって彼が動いていないと、Dクラスが大勝利という結果にはならないのだから。

 

 ひょっとすると今回の『泥かぶりの事件』の主犯が綾小路くんってことも堀北ちゃん知ってる?

 そう推察すれば先程まで堀北ちゃんが、どう対応すべきか悩んでいたことの辻褄も合うからだ。

 それなら謝罪ではなく、綾小路くんに全て擦り付けても問題なかったかな……。少しミスったか?

 

「山内くん。確かに脈絡もなく泥をかけるなんて本来あってはならないことよ。ただね、詳細は説明出来ないのだけれど、あの件はDクラスが試験をクリアする上で仕方のないことでもあったの」

 

 OK、把握しました。

 もう綾小路くんが堀北ちゃんに全貌を話してましたか。

 

 つまり今オレが『泥を被ってること』堀北ちゃん既に知っているみたいですね。

 今もしかして上手いこと言えた? 

 何でも無いです。ごめんなさい。

 

 ならばオレがすべき返答として正しいのは……。

「じゃあ”アレ”って実は堀北ちゃんが指示してたってこと?」

「……そう捉えてもらってかまわないわ」

 

 オレは「えっ」っと演技して驚くと、彼女は「堀北ちゃん?」と睨みつつも頷く。

 

 しまった心の声が……。

 

 ”堀北ちゃん”

 基本クールだけど肝心な時に駄目で綾小路くんに助けられているからか、なんか可愛いんだよね。

 水筒イベントっていつだっけか。もう終わったんだっけ? 

 

「間違えました。堀北ボス」

「それもやめなさい」

 

「では、なんてお呼びすれば……」

「普通に名字でいいでしょ!」

 

 なんて軽い冗談で場を和ませつつ、オレはもう一つの頼み事をすることにした。

 何故か先程より堀北ちゃんの機嫌は悪くなっているようだが。

 

 どうやら泥の件は怒ってなさそうだしな。

 

「兎に角、あの行動を許してくれるってことだよな。

 正直、助かったぜ。それで堀北先生! 実は……別件で頼みがあるんだよ」

 

 オレの頼みに堀北ちゃんも泥の件をこれ以上深入りされたくないのだろう。

 不満気ながらも「早くしなさい」と、彼女は渋々、相談に乗ってくれるようだった。

 

 入学時なら彼女は時間の無駄と話を聞かずに帰っていたことだろう。

 綾小路くんによる堀北ちゃん育成計画は、少しだが進行しているようだ。

 

 そしてもう一度オレは頭を下げる。

 

「教科書か参考書、持ってたら貸してください」と。

 

 退学回避のため今のうちに少し勉強しようと思っていたんだよね。

 

 でもあの山内くんがバカンスに教科書なんぞ、当然持ってきてる筈もなかった。

 他の三バカも然りである。




流石にそろそろ女の子出したいと思って物語を書く。
次回若干のチート予定
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