山内くんに転生したのでBADEND回避を目指します! 作:あまざらし
クラス内投票試験終了後も休む暇もなく、オレたちは1年最後の特別試験『選抜種目試験』を実施した。
オレが退学を回避したからといって、今回の試験の結果は変わらず。
Aクラス VS Cクラスは(4-3)でAクラスの勝利
Bクラス VS Dクラスは(2-5)でDクラスの勝利
原作通り、来月からオレたちはDクラスへと落ちる。
Cクラスの司令塔だった綾小路くんは前回獲得したプロテクトポイントを奪われたし、オレは数学テストに配置されたが、結果は覆らずAクラスの勝利で終わった。
別に坂柳が怖くて介入しなかったわけではない。
いや少しは怖いと思ったが今回のテストは介入が難しい試験だったのだ。
善戦したことを評価するべきだとオレは思う。
こうして無事、オレたちのクラスは誰も退学者を出さずに一年を過ごすことが出来たのだった。
◇ ◇ ◇
「おい山内。『送別会』の出欠表はまとまってるか」
「はい。南雲先輩こちらに」
なぜかオレは3年生送別会の取りまとめの『幹事』とは名ばかりの雑用係として、生徒会と一緒に日々奔走していた。
当初は混合合宿の大グループで一緒になった皆と開く、小さな送別会を予定していた。
しかし一之瀬経由で知った南雲パイセンが、俺達も噛ませろと生徒会ごと巻き込み今に至る。
当初は多くて30人規模だったはずが膨れ上がって現在400人弱。
全校生徒の8割強が参加する想定外の大型企画になってしまった。
あれから南雲パイセンは、混合合宿の時にオレが裏で暗躍していると勘づいた様子はなさそうだ。
ただ堀北先輩と口裏を合わせた上で、オレは先輩から『200万pt』貰ったことになっている。
送別会の幹事と妹の面倒事を引き受けたことが、表向きのポイント受け渡し理由だ。
南雲パイセンは堀北先輩とこの件で話でもしたのだろうか。
「言っておくがな山内、ポイントの件はお前が真面目に仕事するか怪しかったからな。『50万pt』は前払いだ。
堀北先輩と比較して、器が小さいだなんて勘違いしないことだな」
でも堀北先輩は前払い『100万pt』だったんです。南雲パイセン。
ちなみに本当は1100万pt受け取ってるんです。南雲パイセン。
そんなこと言えるはずもなく、
「ええ当然ですよ。それに堀北先輩は妹さんとの友人関係も含めてのことでしょうから」
とオレが言うと、
「知ってるぞ山内。俺がお前に”かけるらしい”迷惑料も含んでることくらい。全く堀北先輩は何を勘違いしてるのやら……」
「勘弁してくださいよホントに」
最近のオレは、こんな感じで南雲パイセンのお小言をよく聞かされるのだった。
ただオレのことは全く驚異にならないと思っているのか、正直南雲パイセンとの関係は悪くない。
明確に敵意のない人物には比較的いい先輩なのだ。でないとたった2年でここまでの権力を得ることなど不可能だっただろう。
たまに送別会ではなく、これ絶対に生徒会の仕事と疑いたくなる仕事も降ってくるが。雇われのオレは従うしかなかった。
この幹事の役割は生徒会主導になった時、南雲パイセンに引き渡しても良かった。むしろ渡せるなら渡したかった。
しかしクラス内投票の時、50万ptを渡すから幹事も続けろとの命を受けたため、オレの幹事継続である。
その50万ptのおかげで退学取り消しにも一役買っているのだ。
馬車馬のように働くしかなかった。やっぱり堀北先輩に泣きつけば良かったかな……。
オレは少しだけ後悔していた。
「会場の手配はどうなってる」
「そちらは一之瀬さんが中心となって細かいメニューの調整中です。
全生徒の8割以上が参加するため、会場は予定通り学校の食堂一択になりそうです。融通も利きますからね」
現在、最も重要な箇所を優秀な一之瀬が担当していることもあり、ひとまず安心した表情の南雲パイセン。
「ところで南雲先輩。企画の景品は完全に任せてしまっていいのですか?」
「ああ俺が主導で動くんだぞ。豪勢かつ盛大に先輩方を送ってやるさ」
なんかこの人に任せたらゼロサムゲーム始まりそうなんだよな……
「オイオイ安心しろよ山内。送別会で特別試験みたいなことをするかよ。それじゃみんなが気兼ねなく参加できないだろ」
オレの不安そうな表情を読み取ったのか南雲パイセンが突っ込む。
「ですよね。ええ、信頼してますとも」
「ッチ、調子のいいやつだな。参加費についてはどうなってる」
「各学年の代表から前日までにまとめて受け取る予定です。
要望通り、飛び入り参加も受付で支払えば参加可能になるよう調整してます。
でも参加費1000ptでホントに良かったんですか? 生徒会予算は分かりませんがどう計算しても大赤字ですよ」
「こういう時のために生徒会予備費ってのがあるんだよ。
詳しく知りたいなら山内、やっぱりお前生徒会に来るか? いつでも歓迎するぜ。
お前、思ったより有能だったからな。たっぷり教えてやるよ。それに生徒会に入るんだったら、同額と言わず堀北先輩の2倍ポイントを渡してもいい」
不敵な笑みを浮かべ南雲パイセンが勧誘してくる。
一之瀬を彼女にできなかった腹いせに、この人、面倒な雑務ばかり押し付ける気だな……。
ちなみに参加費1000ptでも参加率が高い理由は、南雲パイセンの交渉により、食事を食べ放題かつ持ち帰り可で押し通したからである。
そのため想定では参加率が低いDクラスの生徒の参加率が一番高いという事態になっている。
普段食べられない美味しい料理を安く食べられるわけだから当然といえばそうだが。
この人、敵対しない限りはホントに気のいい兄ちゃんだよな。
生徒会に巻き込まれるのは避けたいところだが。
「こんにちわー、聞いてたよ山内くん生徒会に入るの!
いいねいいねー生徒会に来るなら気軽に私たちとも遊べるでしょ! それに生徒会には1年の男子がまだ入ってないみたいだしね。雅、絶対に後輩から怖がられてるでしょー、ねっ山内くん」
『ねっ』って言われても『はい』って言えるわけないんですがね。朝比奈先輩。
でも多分正解です。
朝比奈先輩、生徒会でもないのによく遊びに来るから仲良くなってしまったよ。
「お前の場合はからかって遊びたいだけだろ なずな」
「そうとも言うかも。山内くんは今日も送別会の調整なの? 偉いわね、雅のせいで仕事増えちゃったのに」
「引き受けたのはオレですから。それに生徒会の皆さんや朝比奈先輩のサポートで、きっと良い送別会になりますからね」
「素直な子は好きだよー山内くん。生徒会に来なくてもお姉さんが可愛がってあげよう」
「あーそういうのは送別会終わってからで。立て込んでるので」
本日も送別会の準備とその他雑用に励むオレなのだった。
準備まで。
次回、1年生編最終話