山内くんに転生したのでBADEND回避を目指します! 作:あまざらし
【1年生】春休みのある日 その1
やあ、オレの名前は『山内春樹』
Cクラスのリーサルウェポンもしくは救世主、或いは『勇者』かもしれない一般生徒だ。
そう、勇者山内がクラスを救ってから20日後──
あれ? でも待てよ?
オレって別にクラス救っていないのでは?
あ、考えてみたら救ったの己の運命だけだった……。
……。
さて茶番は置いといて、今は終業式を終えてホームルームの時間。
これが終われば明日からは俺達は春休みだ。
約半年前。
何故か”よう実”のモブキャラ、原作では1年の最後に学校を退学するキャラクター、山内春樹にオレは転生していた。
もしオレが何もしていなかったら、同じ運命を辿っていたかもしれない。
だが頼れる仲間の協力を得てオレはその未来を捻じ曲げることに成功する。
具体的には退学回避のために2000万ptを支払い追加特別試験をクリア。見事、皆と進級することができたってわけだ。
めでたしめでたし。
うん。だから送別会で皆と『乾杯!』した後、現実世界に戻るかなって思ったりもしたんだよ。
でも変わらずだったわ。ハハハ。
神様、オレに何させたいの? 怒らないからそろそろ出てきてオレにチート特典用意してくれません?
ま、無いものねだりしてもな。現実見よう。
3月下旬時点での1年を通じてのクラス成績は以下の通り。
坂柳 Aクラス:1,111pt
一之瀬 Bクラス:545pt
堀北 Cクラス:430pt
龍園 Dクラス:483pt
今はCクラスだが3月終了時点で龍園率いるDクラスに再度逆転されてしまった。
だから新学期になればオレ達はDクラスに逆戻りとなる。
ただ記憶が正しければこれも原作通り。ここから幾らか減点されるだろうがクラスの順位に変動はないだろうからな。
オレが関与したことで多少はクラスポイントが上乗せされているはずだが……。原作と比較しようにも流石に細かいポイントは把握してない。
それに目先に限れば、そんな細かい点はさしたる問題にはならないだろう。
だって最大の難所である退学を回避して、南雲パイセンから突如振られた雑用係もこなしたオレは現在フリー。
基本的にはもう身軽な状態なんだから。
ま、いくつか悩み事も抱えているけどね……。
最近の一番の悩みは「山内、お前も生徒会役員にならないか?」と何度か南雲パイセンに生徒会役員の推挙をされていることだろう。
どうやらオレが社会人だった頃に培った下っ端としての雑務力を高く評価してくれたようだ。使い勝手がいいらしい。
確かに社会人になったら誰もが経験する雑用って、学生時代だと大抵の人は無縁だしな……。
生徒会か……。
数カ月後ならまだいい。だが今の段階でオレが生徒会に入るのは何かと都合が悪い。
なぜなら原作から逸脱するかもしれないから。
二年生最初の特別試験の後、主人公の綾小路くんの依頼で『堀北鈴音』が生徒会に強制加入するのが原作の流れだからだ。その流れは崩したくない。
正直、近頃は原作と辻褄が合わないことも増えて来ている。何より山内がまだ学校に居る時点で原作を考慮する必要性はあるのかと思ったことも何度だってある。
それでもオレは原作の大きな流れを崩したくはなかった。
なぜなら魑魅魍魎が巣食う高度育成高等学校で生活するオレにとって、『原作知識』は唯一のアドバンテージだから。
それ無かったら、ただの一般人なんだぞ!
ひとまず現在は南雲パイセンから生徒会の話題が出る度に、オレは「検討します」などと官僚ばりに曖昧なワードで逃れている。が、その言い訳もいつまで持つのやら。
その前に痺れを切らした南雲パイセンが悪巧みする可能性が高すぎる。
どうせ山内の周辺の交友関係から攻めるんだ。
多分、搦手で麻耶、佐藤麻耶の退学とか狙ってくるんだろ?
或いはパイセンが麻耶を口説き落とすとか? うん、パイセンならそっち採用しそうだな。
え、そりゃ予想は出来るって……あの南雲パイセンだもん。
そういや南雲パイセン。送別会報酬の追加ポイントまだ受け取っていないのですが。
送別会終わったら追加で150万ポイント渡すって約束してましたよね! 南雲パイセン!
今、生徒会室に押しかけたら成り行きで役員になりそうで問い詰められないんだけどさ。
もし即日で300万渡すから生徒会に入れって誘惑されたら?
……それなら入るかも生徒会。
悩むけどオレは原作の流れより『お金』を選びそうだ。
だって今さ、金欠なんだよ。
プライベートポイント残り2万ptって何さ……。
辛い近況を振り返るのも疲れたので、一度思考をやめて音だけに集中する。
数秒間目を閉じると、教室の窓の隙間から春らしい鳥のさえずりが聞こえる。
ああ、なんて幸せなんだろう。
先生の形式的な連絡を流し聞きしつつ、オレはゆったりと時が流れる幸せを噛みしめていた。
これが悠々自適な転生ライフってやつだよな。
神様、もう困難は不要ですからね!
とは言え二年生に進級出来ても、怠け続けるわけにもいかないのがこの学校だ。
何故ならこの学校が『実力至上主義』であるから。
そして何よりオレは松下千秋との約束(契約)があるから。
去年の夏、オレと松下は一つの取り決めをした。
1年生の間、松下はオレの退学回避に全面協力する。
その代わりに2年生からはAクラスに上がることにオレは全面協力する。
そんな契約を。
松下か……。
そっと横目で斜め後ろにいる松下を観察すると、背筋を伸ばして模範的な優等生然とした振る舞いで彼女は配布された資料のページを捲っていた。
(あなたの事好きよ山内くん)
数週間前。
まるでドラマのワンシーンのような真剣な表情で告白されたあの件。
その後すぐに「なんちゃって冗談!」と茶化されて結局は有耶無耶になってしまったあの一件は一体なんだったのか?
退学回避で慌ててたから後回しにしてたが、ハッキリ記憶として残っている。
ただ変に意識するのもどうかと思うので、学校では松下とは普段通りを心がけている……はずだ。
うーむ。未だ松下が何故あんな告白ドッキリをしたのかよくわからない。
イケメンがご所望の松下がごく平凡な山内のことを好きになるとも思えないからな。
なんでだろう。
言ってて悲しくなってきたよ……。
思い当たるのは他クラスとオレとの関係性の変化だろうか。
オレは3学期以降、送別会でクラスの垣根を超えて働いていたこともあって、交友関係は格段に広まった。だからオレがAクラス入りを目指さないと思っている?
いや、もしくは坂柳の件か?
オレがAクラスのリーダーの坂柳有栖と2人で密会したことは一時クラスでも注目されていた。勿論、松下もあのときのことは把握してるだろう。
そう、つまりあの告白。
『まさか約束を破って一人でAクラスに引き抜かれるつもりじゃないでしょうね』という松下なりの牽制な気がしてきたな。
だとするなら察しがいいな松下。
実はAクラスに来ないかと、あの時、坂柳に打診されてたからな。
まあ安心してくれって松下。
最善は尽くすからさ。
だから松下さんや。
(なんでこっち見てるの? 何か用?)
みたいな怪訝な表情でこちらを見ないでください。
まあ、新学年の作戦はおいおい考えよう。
今日はゆっくりしたいし平和でいたい。
この世界に来て、久々に何もしない自堕落な1日を過ごせそうな、そんな期待と喜びに満ちたホームルームをオレは過ごすのだった。
◇ ◇ ◇
しかし放課後の教室で。
「あ、あの山内くん。二人きりで相談したいことがあって……。この後少し時間もらえないかな?」
早々に、オレのゆったり休暇計画は脆くも崩れ去る。
でも相談してきた人物。
それは全くの想定外な相手だったので、気になったオレは相談を受けることにしたのだった。
最近、ようやく『よう実0巻』を入手しました。
文庫本一冊としてはあまりに高価(BDのおまけです)
少しでも元を取るため、お話を書くモチベーションが上がりました。
■ヒロイン候補アンケート
今更ですが山内くんのヒロイン候補アンケート実施させてください。
なんで1年生編終了直後にアンケート取らなかったのしょう……。ごめんなさい。
一位がヒロイン確定になるわけではなく、参考にしたいだけなので、もし良かったらお気軽にご参加お願いします。
なんならヒロインは一人とも限らないし、0もあり得る山内だし。
ちなみにこのお話の2年生編プロットは未だに真っさらです。
もし原作でヒロイン候補の誰かが退学になったら物語書き易いのでは…って悪魔のようなトンデモ発想をし始めました。
■原作とのクラスポイント比較
原作【1年3月末時点】
坂柳 Aクラス:1,131pt
一之瀬 Bクラス:550pt
堀北 Cクラス:347pt
龍園 Dクラス:508pt
今回
坂柳 Aクラス:1,111pt
一之瀬 Bクラス:545pt
堀北 Cクラス:430pt
龍園 Dクラス:483pt
ざっくり計算
Aクラス:混合合宿等で若干マイナスになる予想で-20
Bクラス:混合合宿等で若干マイナスになる予想で-5
Cクラス:干支試験で+50、混合試験で松下を優勝グループに放り込んだので+3、山内成長し過ぎのため色々+30
Dクラス:山内のせいで干支試験で-50、混合合宿でDクラス女子多数グループが優勝したため+25