先を知るだけの男   作:emiya halucon

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死なせない

クラインと別れてから1時間弱、俺とキリトはホルンカの村に辿り着いた。

 

着いてから俺たちは真っ先に武具屋へと向かい、防具を新調する。クラインと共にモンスターを狩って、手に入れた素材をまとめて売却し、それによりわずかばかり増えた金貨(コル)をほぼ全額使い、そこそこの防具を購入する。

 

キリトは茶皮のハーフコートを、俺は初期装備とあまり変わらない見た目の皮装備を着用し、次の目的である道具屋へと駆け込む。

 

そして、回復ポーションと解毒ポーションを有り金全てをはたいて購入。これによりこの村に来た一番の理由をこなす準備が出来た。

一番の目的とは、アニールブレードを手に入れる為のクエスト────重病で床に伏した娘を治す為に、西の森に生息するネペントの胚種を取ってきてほしい。というクエストだ。

 

このクエスト自体は少し手間がかかるが難しい訳ではない。

 

重要なのは、話しかけてくる人物(プレイヤー)だ。

 

噂をすればなんとやら、俺たちがクエストをこなしていた時、一人のプレイヤー

 

━━━━━━━━コペルが話しかけてきた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

あの後、コペルと話し、協力してクエストをこなすことになり俺たちは花つきのネペントを探して大量のネペントを倒していた。

 

「これで、八、十!」

 

「早すぎるんだよ!」

 

キリトがとてつもない速度でネペントを倒しているのを尻目に俺はようやく七十体目を倒した。

コペルは慎重にネペントを倒していくものの常に周りを見渡し、()()()を探しているようだ。そうして順調に倒していくと、遂に目的の[花つき]を発見した。

 

俺たちは互い互いの顔を見合わせ、すぐさま接近しようとすると、キリトが手で制止してきた。

左手の人差し指を立ててみせ、それを遠ざかっていく[花つき]の奥に向ける。

その場所をよく見ると、木々に遮られ見えにくいものの、その方向にネペントの影がもう一つーーーーーー[実つき]のネペントがそこにはいた。

 

その後、キリトはしばらく逡巡した後、口を開いた。

 

「どうする……」

 

無意識に呟いたであろう言葉に、コペルが瞬時に反応する。

 

「ーーー行こう。僕が実つきのタゲをとるから、キリトとハルが速攻で[花つき]を倒してくれ」

 

そうして、コペルは返事を待たず、足を踏み出す。

 

「………解った」

 

キリトが答えると同時に俺も花つきへと歩を進める。

 

コペルの接近を察知した花つきがぐるっと体を反転させ「シャアアアアッ!」と吼える。右に迂回し、実つきを目指すコペルを、花つきが追う。

その隙を利用し、俺とキリトは花つきに肉薄。お互いの剣を振りかぶった。出現率一パーセント以下だったかなんだったかのレアモンスターとはいえ、花つきのステータスは通常のネペントとさほど変わらない。

攻撃防御共に多少高いとはいえ、1時間以上の狩りでレベル3に達した俺達には無視できる差だ。

 

ベータ時代に、積み重ねた戦闘経験のお陰で俺たちの連携に隙はなく、ネペントのツル攻撃を弾き(パリィ)跳び(ステップ)で回避し、スイッチを繰り返し、最後はキリトの《ホリゾンタル》によりトドメを刺した。

 

キリトがネペントの胚種を拾い上げた後、俺たちはすぐさまコペルの元へ向かう。

 

「すまん!待たせた!」

 

キリトがそう叫ぶのを横目に、俺はコペルの一挙一投速を見る。キリトがコペルの目付きから何かを感じ取り立ち止まった瞬間、俺は飛び出し、実つきの茎に向けて、《ホリゾンタル》を叩き込んだ。しかし、削りきれず、コペルの《バーチカル》は正確に実を切り裂いた。パアァァン!と、凄まじい音と共に異様な臭気が立ち込める。

 

「クソッ!」

 

悪態をつきながら俺は辺りを見渡すと、いくつものカーソルが出現するのを見た。総数は三十程だろうか。そうして、この状況から脱出する方法を考えていると、コペルが近くの薮へと走り始めた。キリトが「無駄だよ……」と、声ならぬ声を出していた。ーーーーーそう、正しく無駄なのだ。コペルが今使った(隠蔽)《ハイディング》スキルは、便利ではあるものの、()()()()()()()()()()()()()()()には効果が薄いのだ。今この場にいる、リトルネペントみたいなモンスターには。

リトルネペントの一部は、明らかにコペルの隠れる薮を目指している。コペル自身も自らが狙われていることに気づいているだろう。

それを見たキリトが俺に何かを言おうとした瞬間。俺はコペルのもとへ走る。

俺はこの世界に来てから、ステータスの振りを全てAGI(敏捷性)に振っていた。理由は、俺の戦闘スタイルがヒット&アウェイ中心のものであった為である。それを発揮し、ネペント達に一撃づつ攻撃する。当然、タゲは攻撃していないコペルではなく、俺に向く。それを確認した俺は、キリトに向けて叫ぶ。

 

「こっちは俺が引きつける!キリトはコペルと一緒に切り抜けろ!」

 

「なんでそんなことを!」

 

「コペルにはしっかりと謝罪するまで生きててもらう!」

 

「なっ?!」

 

その声はキリトの声か、コペルの声か。雄叫びをあげるネペントに邪魔をされ分からなかったが、続けてキリトに指示を出す。

 

「クエストを受けた民家で会おう!」

 

そう言って俺は森の奥へとネペントを引きつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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