僕の姉はナイスネイチャ   作:ネイチャは下半神

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続いた。
感想、評価、本当にありがとうございます。


僕は姉と一夜を共にする

 

 

「……ねぇ、起きてる?」

 

 夜もふけた時間帯。僕の部屋に来た姉は真剣な眼差しで僕に問いかける。

 

「起きてるよ。どうしたの?」

 

 久しぶりの姉の顔。久しぶりの姉の姿。けれど初めて見る姉の様子に、僕は戸惑いを隠せないでいた。

 (しばら)く会えなかったからだろうか? それとも、トレセン学園に入学したせい? 

 数年ぶりの姉はとても大人っぽく、それでいてどこか色気があるように感じられた。

 

「ほら、久しぶりに帰ってきたから……ね?」

 

 部屋に入った姉は真っ直ぐこちらへ向かうと、僕へとその腕を伸ばした。

 ゆっくりと伸ばされたその手は(ほお)に触れ、優しく僕を包み込む。

 

「ちょっ……お姉ちゃん……!?」

 

 やっぱり、いつもと何か違う。

 笑顔を見せる姉とは異なり、僕の内心は穏やかではなかった。

 妖艶(ようえん)な笑みは僕の心臓を掻き立て、強まっていく大人の色気が、いまにも噴き出しそうなくらい僕の(ほお)を真っ赤に染め上げるのを感じた。

 

「ふふっ、可愛い」

「ど、どうしたの、急に、こんな」

「えー? 言ったでしょ、久しぶりだからって」

 

 久しぶりも何も、こんなこと初めてだ。

 僕が姉の部屋に行くことはあっても、姉が僕の部屋に来ることなんて数えるほどもない。

 

 (ほお)から身体へ、姉の手が動く。

 

 ベッドに横になる僕の身体の上に、(また)がるように乗る姉。

 訳も分からず押し倒された僕はドキドキするばかりで、見上げる位置にいる姉から顔を()らすことができないでいた。

 

 

「そ、そういえばお姉ちゃん、どうして菊花賞に出ようと思ったの?」

 

 そもそも姉の性格からすれば、自分からG1に出ようなんて言い出すとは考えにくい。

 今日だって照れ隠しをするのが早かった。

 勝てると応援はしたものの、レースの勝ち負けとはまた違うことで何か不安になる要素があるのだろうか? 

 姉の心境が分からない。

 

「言ってなかったっけ。テイオーが出るかもしれないんだ」

「テイオーって、あの? ダービー後に怪我したんじゃないっけ?」

「うん。でもテイオーは頑張ってる。だから……」

「一緒にレースがしたい。2人とも出れるか分からないけど、ってことか」

「っ……よく、分かったね」

「分かるよそれくらい。姉弟だもん」

 

 ようやく納得がいった。

 姉は心配なんだ。自分だけじゃなく、トウカイテイオーが菊花賞に出れるかすらも。

 ライバルのことですら不安になるなんて、優しい姉らしい。

 

「心配、なんだね。トウカイテイオーのこと」

「うん……不安はあるよ。テイオーに勝つのは、夢だから」

「昼間にも言ったでしょ? お姉ちゃんなら勝てるって。信じて、待っていることも大切だよ」

 

 僕も、信じることしかできないから。

 そう付け加えると姉は考えた素振(そぶ)りを見せた後、どこかすっきりしたように昼間以上の笑顔を見せた。

 

「ありがとね。本当に」

 

 

 ちなみに、ここまで押し倒されたままだ。

 

 

「…………やっぱり、我慢できないわ」

「わっ、ダメっ……お姉、ちゃん……んっ……!」

 

 身体から(ほお)に、戻ってくる姉の手があまりにも心地よくて。

 姉が何をしようとしてるか、もうとっくに気づいていて。

 魅力的すぎるその提案に、僕は抵抗することすら忘れていた。

 

「それとも、嫌だった?」

「嫌も何も……僕の力じゃ……」

「力入れてないの、気づいてるよね?」

「そ、れは……」

 

 ゆっくりと近づいてくる姉の顔。

 ダメだと、頭ではわかっているのに、身体はもはや言うことを聞かなくて。

 理性は押し返すべきと言っているのに。

 

「おね、え……ちゃん……」

 

 もう、いいんじゃないか。

 姉から誘ってきたんだ。僕も受け入れる準備はできている。

 

「ん……」

 

 目を閉じても、感じる姉の吐息。近づいてくる姉に自分の唇を重ねるように。

 

(お姉ちゃん、大好き……)

 

 

 そうして、僕は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────目を覚ました。

 

 

 

「…………」

 

 目を、覚ました。

 

「夢、か……」

 

 なんだろう、この気分は。

 お預けでも食らったような、この感覚はそう、すごく、キレそう。

 

 ────弟は、本気(シスコン)だった。

 

 

 とはいえ姉の話はどれも本気に思えた。

 あれが僕の妄想? それこそ有り得ない。

 どこまでが夢だったのだろう。

 そんなふうに考えてしまうくらい、夢の中にいた姉はリアルで、触れた手の温もりがまだ残ってるような感覚が(ほお)を伝った。

 

「ん……」

 

 声がした方へ反射的に振り向く。

 そこにいたのは、僕の横で眠る姉の姿だった。

 

「なんだお姉ちゃんか……えっ、お姉ちゃん!?」

 

 あぁ、そうか。まだ夢の中か。

 

 ────弟は、思考放棄し(シスコンだっ)た。

 

 

 姉の顔を改めて見る。

 数年ぶりの姉はやっぱり綺麗で、僕にはもったいないくらい自慢の姉のままだった。

 

「ん……あ、おはよう」

「おはよう。これって夢?」

「それ、アタシのセリフじゃない? たぶん、現実?」

「そっか……」

 

 危なかった。昨日の夢もあって、あのままだと姉に手を出しかねなかった。

 

「それで、なんでお姉ちゃんは僕の部屋にいるの?」

「うぇ!? い、いやー、えーっと、お、起こしに来たら寝ちゃって!!」

 

 ということは、来たのは朝からだろうか。

 昨日の夜が気になって仕方がない。

 

「お姉ちゃん、昨日の夜のことだけど────」

「き、昨日!? 昨日は、テイオーの話をしてすぐ帰ったけど!?」

「あ、やっぱ部屋には来たよね」

「う……」

 

 姉の顔はリンゴのように真っ赤で。それがより一層、何かあったように感じられた。

 

 聞いてもいいのだろうか? 

 けれど姉はそれを望んでいない。聞いたら最後、僕と姉の関係が変わってしまうような気がする。

 それが分かるから、僕は質問するのを躊躇(ためら)ってしまう。

 でも────

 

(知りたい)

 

 姉が何をしたのか。

 夢だと思っていた内容が夢じゃなければ、姉が何を考えてあんな行動を取ったのか。

 

「お姉ちゃん、昨日僕に何かした?」

「……え?」

 

 思い切った質問。この返答で、僕と姉の関係が壊れようとも。

 そんな決意のもと聞いたはずが、姉には想定外の内容だったのか、呆気にとられたように固まった。

 

「んー? あー……はいはい、なるほどね。いや、何も無かったよ」

「何もって、部屋には来たんでしょ?」

「うん、だから、話をして、何もせず帰ったよ。それとも、何かされる夢でも見た?」

「あれが夢……やっぱ、夢、か……」

っし……まだ寝ぼけてる? ほら、朝ご飯にするよ」

 

 結局、トウカイテイオーの話までが本当で、そこから先は僕の夢の中のできごとだったらしい。

 夢なら最後までさせてくれれば良いのに。

 そう思わずにはいられなかった。

 

「痛っ……」

 

 そういえば、今朝から首元が少し痛む。

 腫れてるみたいだし、虫にでも刺されのだろうか? 

 

 ────弟は、鈍感(シスコン)だった。

 

 

 

*************************

 

 

(あっ、ぶなー……き、気づかれてないよね? いやでも、本当に、()()()()()()からな……ははっ、バカだなーアタシ……)

 

 ────姉は、ヘタレ(ブラコン)だった。

 

 

 

 

 




この後どうするか何も考えてないし、なんならこの回も書く予定なかったから本当に続くか未定。
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