1 ヒーローアカデミア
特訓開始から数カ月が経ち、個性の扱いにもだいぶ慣れてきた。日常生活でも個性を活用しており、電子レンジの代わりに個性で温めることもある。
ただ、個性に依存しすぎるのもよくないので頻度は高くない。あくまで訓練の一環だ。
そして、空一面に広がる雲が日光をさえぎり微妙な明るさとなったこの日、布団から出てカーテンを開けた俺は何気なく今日の日付を確認しようとそばにかけてあるカレンダーを見る。
「あと3日か…」
入試当日まで残り3日となっていた。座学の方ももしものことを考えて高校の範囲を復習したり、ニュースを普段より積極的にみるようにしていた。どうせなら満点を取ってやろうという魂胆である。
しかし本当のことを言えば、受験に向けて必死になる学生の気分を存分に楽しみたいだけである。なかなかに貴重な体験だと思うから。
復習なんかしなくたって大学の内容じゃないと手ごたえがないし、簡単すぎてただの作業にしかならないのである。今更感がすごくてたまに何でこんなことをするのかわからなくなるほどである。
しかし、自分が漫画やドラマに出てくるような学生だと感じられるからやめる気は起きなかった。そして結局入試直前までやり続けたのである。
やれることはほぼやったつもりなので、残り3日は何かすることもなく適当に家事だけをして過ごしていた。
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ついに迎えた入試当日。俺は最寄りのバス停から路線バスに乗り、入試会場である雄英高校の前に到着した。いざ実際に学校へ来てみると、そのあまりの広さに圧倒される。
日本最高峰のヒーロー育成校へと足を踏み入れると、だいぶ前から見かけていた緑髪の少年が目に入った。しかし様子がおかしい。
緊張しているのか、全体的に動きがカクついているなんだか嫌な予感がしていたが、その予感は的中。石に躓いてしまった。そして転びそうになったところを茶髪の少女に助けられている。
とても不安になる光景だ。このままいくと少し危ない気がする。しかし、いつまでも気にしてはいられないので入試の会場へ向かうことにする。
試験場に来てみると、多くの生徒で埋め尽くされていた。元裏社会の人間である自分がこの瞬間に立ち会えていることを感慨深く思いながら俺は自分の受験番号の書かれた席を探す。
(2741…あった)
受験人数が多いため番号もけた違いだ。俺は自分の席に座り、適当に持ってきた参考書を開いて筆記試験が始まるのを待った。
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その後筆記試験が始まり、ちょうど今終わったところだ。やはり高校の受験など簡単だった。10分ぐらいで解き終わり、あとは周りにばれないように眠っていた。
次は実技試験の案内があるので俺はその場所へと向かった。適当な席に座って待っていると、斜め後ろの方にいた二人が言い合いを始めた。
そしてなんとさっきの緑髪の少年がだ。そしてしばらくしてほかの受験生に注意されるまで言い合いは続いた。
その後暫くして実技試験の説明が始まった。そして案内担当はまさかのマイク。この受験の雰囲気に一番合わない人間だ。親友のイレイザーの方が絶対に適役だと思う。
「今日は俺のライブへようこそ!エヴリバディセイヘイ!」
いざ受験という時にこのノリに応える輩がいるだろうか。いやいない。いるはずがない。
「こいつはシヴィー」
当たり前である。こんな中「イエーイ」などとぬかすものがいるなら相当肝が据わっているか世間知らずである。
その後試験についての説明が行われた。演習場には仮想ヴィランなるロボットを多数配置。それらは4つの種類が存在しており、攻略難易度に応じて1~3Pのポイントが与えられているものとポイントを持たないただひたすらにこちらを襲ってくる者がいる。
当然だがほかの受験生の邪魔などは減点対象。そしてなぜポイントの入らないターゲット外のヴィランを配置するのか。もちろん難易度を上げるというのもあるのだろうが、逃げればいい話なので大した難易度にはならない。だとすると立ち向かうことを前提としていると考えられる。もしそうだとすれば一つの可能性が出てくる。もう一つのポイントにつながる可能性が。
「俺からは以上だ!最後にリスナーに、我が校校訓をプレゼントする。かの英雄ナポレオン・ボナパルトは言った!『真の英雄とは人生の不幸を乗り越えてゆくもの』と…さらに向こうへ…Plus Ultra!それではみんな、良い受難を…」
そんな訳で試験の説明が終わった。ほかの受験生が次々と演習場に向かいだし、俺もその流れに乗る。
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演習場には様々な生徒がいた。緊張に身を震わせる者。友達と喋っている者。目の前から目を離さない者。そして俺はずっと開始の合図がないか耳を澄ませていた。
「ハイ、スタート」
合図が聞こえた。俺はそれと同時に走り出す。ほかの生徒はまだ戸惑っているようだ。素人ならこんなもんだろう。
しばらく走ると早速ロボットがお目見えだ。俺はずっと練習していた技を繰り出す。バチバチと音を立
てながら電磁波を飛ばす。するとロボットは動きを失う。
「あとは…」
再び電磁波を飛ばす。するとロボットは自分の足をつかみそのまま引きちぎった。そのままロボットはその場に倒れ動くことはなくなった。
「よし成功」
何をしたかというと、高周波の電波を飛ばしてロボットを乗っ取り、遠隔操作で自爆させた。いわゆるハッキングである。この調子で次々とロボットを倒してゆき、たまにほかの受験生の救助も行いながらポイントを稼いだ。
そして気になっていたのが緑髪の少年。ずっと見ていたがポイント稼ぎができていない。おそらく渡されたばかりの個性を扱えていないのだろう。
しばらくすると0Pヴィランが現れた。逃げ惑う学生たち。その中の一人が転んでしまった助けに行こうと思ったがその必要はないようだ。先に緑髪の少年が飛び出した。
そしてそのままロボットの眼前まで飛び上がり思いっきり拳を叩き込んだ。ロボットは吹っ飛び、少女は無事だった。どうやら彼の見込み通りだったようだ。考えるよりも先に体が動いていたのだから。
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試験が終わって数日。俺の下に封筒が届いた。封筒には[
「私が投影された!!!」
オールマイトが投影された。おそらくドッキリの意味も込めてあるのだろう。
「さて、神野少年!私が映されたことに驚いているだろうがまずは結果を話そう。……余裕で合格だ!おめでとう!!」
知っていた。あれほど点数稼ぎをしたのだから受からないはずがない。
「筆記は…オール満点…実技は135P…優秀すぎる…ここで種明かしなんだが、実技には通常ポイントのほかにレスキューポイントというのもあるんだが、こちらも2/3を占めている。総合的にみても文句なしの結果といえる。素晴らしいな!HAHAHA!」
予想的中だ。気になるのは最後に点を譲った少年だが、あれで取り返すことを祈るしかない。
「それと、私が投影されている理由なんだが、雄英に勤めることになったからなんだ。君のクラスにも先生としていくと思うからその時はよろしく頼む!」
オールマイトの授業に対しては少しばかり不安を覚える。未経験の可能性が高いからだ。
「さあ来い!ここが君のヒーローアカデミアだ!ではまた学校で!」
メッセージムービーが終了した。これから忙しくなりそうなので俺は少しずつ入学のための準備を始めた。
最後まで読んでいただきありがとうございます!入学試験が終了しました。次回からはついに学校生活が始まります!ほかのクラスメイト達とどうかかわっていくのでしょうか。次回もぜひ読んでいってください