「もしもあの時、ジョーが死なずに仮面ライダーの世界へ送られていたら?」と言う妄想を形にした作品になります。設定の不備等至らない点はありますがご容赦ください。
「002!」
「仲間なんだからよ」
「ダメだっ!!」
「死ぬ時は、一緒だぜ」
「止めるんだ、002!」
「おっと、もう遅いぜ。大気圏突入!」
「くっ、ジェット!」
「なあ、ジョー。君は、何処に墜ちたい?」
宇宙から大気圏へ。二人は何処までも墜ちていく。
諸悪の根源の細胞の一部を見事粉砕した英雄と、その英雄を迎えに来たもう一人の戦鬼。その肉体はやがて焔となり、地上で空を見上げる人々の目に流れ星として映る。
戦鬼として。地獄の使者として。機械の戦士として。戦いを忘れた人の為に戦い抜いた二人は、空を駆ける二筋の流星となり跡形もなく燃え尽きるのだった。
地上では、愛する人と戦友の帰りを待つ一人の女が何時までも慟哭の声を張り上げていた……。
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「俺は……ショッカーの戦闘員だ!!」
「くっ……」
「やっぱりそうかと思っているようだが……ふふん。あんたが俺の正体を見破るだろうことは計算済みなんだぜ」
窮地に立たされている仮面ライダー本郷猛。現在彼は、ショッカーの作り出した自身の成れの果てと相対している。
本郷ライダーと全く同じ能力を持つ、所謂ショッカーライダーが十二体。目の前で大胆不敵に笑っている男――一文字隼人――もショッカーライダーだ。
以前交戦した時は変身を完了していたから。そしてサイクロンに搭乗していたから如何にかなった。しかし、今は変身をしていない。変身をする暇もない。
さあどうするんだ? 何とかしなければ死んでしまうぞ、本郷猛。
そう自分を鼓舞するが、そう簡単に現状を打破する案が出て来る筈もなく。
「……死ね!」
「ぐ、くそっ」
ひとまず自身の命を繋ぐ為、本郷は一文字が持つ光線銃の射線を読んで何とか回避をしようと試みる。
その時であった。
ズゥドオオオオオオオオン!
猛烈な衝撃と共に、轟音が鳴り響いたのである。
超人的肉体を持つ本郷と、相対している一文字は空から何かが降って来た様子を確かに捉えていた。
「なっ!?」
「ちぃ、何者だ!」
本郷と一文字。そして、本郷を殺そうと辺りに潜伏していたショッカーライダーは皆同じように動揺と驚愕を露わにする。
超高速で飛来したそれは、本郷や一文字と全く同じ人間の姿形をしていた。
年は18ぐらいだろうか。非常に若々しい見た目をしており、また美形で整った顔立ちだ。全身真っ赤な服に黄色のマフラーと、少々変わった身なりをしている以外は何処からどう見てもその辺に住んでいる少年である。
だが、二人は透視能力を持つ瞳で彼を見ていたが為に、すぐ少年の正体に勘付く。
「まさか、増援か? だとしたらマズい……!」
「サイボーグか!? しかし、ショッカーにこのようなサイボーグは居なかった筈。とすれば、此奴は何者だっ」
少年は、本郷や一文字と同じ改造人間。またの名をサイボーグであったのだ。
それぞれが困惑の極みに達しそうになる。だが、すぐには冷静になれなかった本郷とは対照的に一文字は比較的早く平静を取り戻した。
「まあ何者でも構わん。ショッカーと無関係な人間であるならば、この場で死んでもらうだけだからな」
サングラスの奥から冷酷な眼差しを向ける一文字。その瞳には人間らしさの欠片も残っていない。
存在しているのは、ただ目標を殺そうとする純粋な殺意だけだ。
目の前の少年が殺される。そんな状況になり、本郷もやっと現実へ帰って来れた。
「まずは小僧。貴様が死ね!」
「させん!」
光線銃を一文字が発砲する。だが、魔の手が少年に届くよりも一瞬速く本郷が少年の元へ辿り着き、彼の身体を抱えて転がりながらその場を離脱した。
その拍子に本郷の左肩を光線が焼いたが、本郷は構わず転がり続けて少しでも離れようと必死に痛みに耐える。
「本郷、貴様はこんな時までバカな奴だなぁ!」
だが、一文字の反応も早い。そして、周囲に隠れていたショッカーライダー達の反応もまた素早かった。
すぐさまショッカーライダーは銃口を本郷に合わせ、思い思いに発砲を開始。彼らの命を刈り取るべく動き出す。
本郷は少年を抱えて転がった状態から急いで立ち上がり、改造人間の足を活かして猛ダッシュ。間一髪ながら光線銃を躱していく。
「野郎っ!」
みすみすと少年を守りながらも逃げる事を許した事実に一文字は半ば激昂しながら引き金を引く。
先程の冷静さは何処へやら。少しだけ焦る一文字に、本郷は敢えて真正面から向かっていった。
「バカめ!」
千載一遇のチャンス。そう意気込んで一文字は嬉々として引き金を引こうとした。
しかし、冷静さを失って直線的になりだした射線を読んだ本郷が少年と共に地面へダイブ。転がりながら一文字の横を通り抜ける。
咄嗟に一文字は反転して本郷を撃とうとするが、視界が狭くなっていた事が仇となった。
「ぐっ!?」
本郷を狙って放たれた光線が、一文字の頭を掠ったのである。
これにはたまらず、一文字は前のめりに倒れた。
敵が一人同士討ちによって減った事をこれ幸いと、本郷はまた全力疾走する。
やがて奇跡的に見つけられた大木と大木の陰に本郷は飛び込んだ。
「探せ! まだ近くに居る筈だ!」
持ち場を離れてショッカーライダー達は動き出す。全てはショッカーに反逆を続ける本郷を狩る為に。
一方、偶然見つけた死角に身を隠し、息を潜めながらも本郷は少年の事を改めてまじまじと観察する。
少年は着地の衝撃からか気絶しているが、傷は一つもない。相当な速さで落下したにも関わらずだ。
その事実から、本郷はこの少年が本当に改造人間であるのだと悟って悲痛な面持ちになった。
「また、またこんな……」
自分と同い年ぐらいの人間が悲劇に巻き込まれている。自分と同じ辛い思いをしている人間が目の前に居る。
その事実が本郷の胸をキツく締め付けた。
だが、何時までもナイーブな感情に浸る時間はない。死角に隠れているとは言え、ショッカーライダーなら自分達を発見するまでそう時間は掛からないと本郷は分かっていた。
だから僅かに生まれたこの短時間で、彼はこれからの対抗策を練らなくてはならないのである。
生憎な事に、本郷が今持っている武器は何もない。その辺の石ころなら使えるかもしれないが、ショッカーライダーを撃退する程の破壊力は期待できないだろう。
サイクロンを呼べる腕時計は保持しているが、無計画に召喚しても意味がない。呼ぶついでに一体ぐらいはショッカーライダーを倒しておきたい。
何か、何か案はないのか。
「……ん?」
ふと下を見た本郷は、少年の腰に何か提げられているのに気が付いた。
手に取ってみると、それは銃であった。一文字やショッカーライダーが保持している光線銃とは全く異なる形状だが、しかし銃には違いない。
更にそれを調べてみると、どうやらとんでもない性能を持っているとまで来ている。
本郷はこの銃が何なのか知らないが、これはスーパーガンと言う物だ。一部を除いて戦鬼が標準装備で持っている、唯一にして強力な携行武器である。
全貌は分からなかったが、それでもIQ600と言う卓越した本郷の頭脳はスーパーガンのある程度の用途。そして機能を理解した。
同時に、彼は死中に活を見出す。
「これなら……!」
本郷が理解したスーパーガンの機能は「レイガンモード」「フリーザーショット」の二つ。しかし、今はこれだけでも十分だ。
「すまない。少しだけ借りるぞ」
気絶している少年から武器を拝借するのは少々気が引けたが、背に腹は代えられない。本郷はスーパーガンを手にし、少年を陰の深い場所まで転がしてからその場を離れた。
相変わらずショッカーライダーは辺りを索敵している。発見次第攻撃し、更には仲間に連絡を入れて一網打尽にする心づもりだ。
しかし、変身していない本郷と生身のサイボーグ程度なら簡単に殺せる。そう油断しているのか、彼らの動きには隙が多い。
「……行くぞ!」
歴史が変わり始めた。
テクノロジー的には009の世界の方が進んでます。ショッカーライダーが持っていたレーザー銃よりもスーパーガンの方が遥かに高性能ですし、戦闘においても設定上は存在する仮面ライダーの加速装置よりも更に強力な加速装置を使える009はかなり有利に戦えます。また、未変身時の本郷で009には勝てません。
一方で加速装置未使用時の純粋な肉体の火力は仮面ライダーの方が上です。加速装置も旧式とは言え保持していますので、002のように障害物が多い場所を戦闘の場に選べば何とかやってけるポテンシャルを本郷は持っています。風力エネルギーを限界まで蓄えた状態なら加速装置の性能差も覆せるかも。
どっちが強い、弱いはありません。どっちも強い。互角。どっちが勝つか分からない。条件次第で如何にでもなる。これで通そうと思います。