始まりの男、そして九人目の戦鬼   作:Hetzer愛好家

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原作を読み返し、ショッカーライダーの持つ「レーザー銃」の表記を「光線銃」に改めました。読みはレイガンですが、スーパーガンのレイガンモードと被るので漢字表記に統一します。


凍った時の中で

ガサ……

 

「其処か? ……いや、違うな」

 

 僅かな物音にも反応し、即座に手にした光線銃の銃口を向けるショッカーライダー達。動きには一切の無駄がなく、一分の隙もない様に見える。

 

 その様子を、少し離れていた場所で本郷は見ていた。

 

 最適化された動きは、確かに普通の人間よりは素早く動けるし反応もできる。最適化された行動は脅威に値するだろう。だが、唯一にして絶対の弱点があるのだ。

 

 それは……。

 

「想定外の動きに弱い……!」

 

ズバシャアアアアアアアアア!!

 

 レイガンモードで発射された稲妻が、閃光の様な速度で一体のショッカーライダーの胸を貫いた!

 

 まさか奇襲されるとは。よもや攻撃をされるとは夢にも思わなかったショッカーライダーは、無抵抗のままレイガンの銃撃を受けてしまった。

 

 レイガンの破壊力は本郷の想像以上であり、ショッカーライダーの装甲をいとも簡単に撃ち貫いた。そして、内部組織をメチャクチャに破壊して、遂には完全に一体のショッカーライダーを大爆発の後に撃ち滅ぼしてしまったのである。

 

 これ一発で倒せるとは思わなかった本郷は一瞬だけ困惑するが、すぐに立ち直って場を移動する。ショッカーライダーが倒された際に発生した大爆発は、すぐにでも他のショッカーライダーが発見するだろう。

 

 そして、この場に残りのショッカーライダーが全員終結したとしたら?

 

 とても、スーパーガンだけでは勝てない。

 

「居たぞ、こっちだ!」

「チィ!」

 

 発見次第、すぐさま光線銃を発砲を開始するショッカーライダー。

 

 本郷も走りながらスーパーガンを発砲するが、お互い銃から放った殺意は対象に命中しない。

 

 咄嗟にレイガンモードからフリーザーショットにスーパーガンを切り替えると、本郷はショッカーライダーその物に弾を命中させると言う行為を諦めた。

 

ヒュゥゴオオオオオオオ……!

 

 代わりに取ったのが、ショッカーライダーがこれから通りそうだと思われる場所目掛けての発砲である。

 

 想定外の行動により、ショッカーライダーの反応がコンマ数秒だけだが遅れた。それは致命の隙だ。

 

 現在の天気は大雨。フリーザーショットによって凍らせられる物体はそこかしこに存在している。

 

 地面へ着弾するまでの短い時間で、フリーザーショットは幾千幾万の氷を生み出す。雨粒を、葉露を、地面の水気を。全て氷に変えてしまった。

 

 結果として、フリーザーショットは目晦ましと攻撃を併せ持つとんでもない一撃へと変化したのだ。

 

 偶発的とは言え痛烈な一撃と化けたフリーザーショット。あまりの出来事に反応が遅れたショッカーライダーは、地面に生まれた氷に足を取られた。

 

 今が最大の好機。これを逃す手はない!

 

「よし、今だ!」

 

ブゥウウウウウウン……!

 

 何処からともなく、本郷の半身と言っても過言ではないサイクロン号が自立走行で現れた。

 

 幸運な事に、この辺は本郷邸の敷地内だったのである。敷地内であれば、本郷邸に安置されているサイクロンは何処からでも発進が可能なのだ。

 

 幾らショッカーライダーであっても、サイクロンの突進を真っ正面から受けたらひとたまりもない。

 

 故に、ショッカーライダーはサイクロンを躱す為にも滑る氷を強引に踏み抜いてその場を飛び退こうとする。

 

 だが、本郷はそれを待っていた。サイクロンの突撃を嫌って回避行動を取る時を!

 

「凍り付け!」

 

ヒュゥゴオオオオオオオ……!

 

 ショッカーライダーが飛び退いた先へ置く様にして、本郷はフリーザーショットを放った。

 

 空中での連続した回避行動は、例えショッカーライダーであっても不可能。ショッカーライダーがマズいと思った時には、既にフリーザーショットがベルト付近に命中している。

 

 大雨によって少なからず濡れていたショッカーライダーの身体は、ものの一瞬で全身凍り付けとなってしまった。

 

「サイクロン!」

 

バキイ!

 

 そして凍り付けになった所をサイクロンが改めて突進。完膚なきまでに粉砕する。

 

 これで三体。変身をしていない状態だが、スーパーガンの活躍もあって何とか三体のショッカーライダーを無力化した。

 

「行ける……!」

 

 サイクロンに跨がると、本郷は僅かに見えた希望の光を目指してアクセル全開にするのだった。

 

──────────────────

 

 ざあざあ。雨音が耳元を撫でる。

 

 夢も見ないぐらい深い眠りについていたサイボーグ009島村ジョーであったが、結構な騒音であったので強制的に少しずつ意識を覚醒させていった。

 

「ん……ここ、は」

 

 覚醒して真っ先に感じたのは、あの時確かに死んだのではなかったのか? と言う疑問。

 

 無抵抗に大気圏に突入して生き残るとは到底思っていなかったので、こうして普通に生を受けているのが不思議でならない。

 

 だが、悠長に思考を巡らせる余裕は残念ながら存在しなかった。

 

「おい、見つけたぞ」

「殺せ。目撃者は皆殺しにしろ!」

 

 身を起こした途端、得体の知れない奇っ怪な人物に物騒な言葉を投げ掛けられたジョーは、即座に思考を放棄して戦闘態勢に入る。

 

 身に染み付いた嫌な習慣が、この時ばかりはジョーの命を救うとは何とも皮肉な事だ。

 

 腰に普段提げているスーパーガンを手にしようとするジョー。しかし、彼が寝ている間にスーパーガンは本郷に拝借されてしまっている。

 

 当然、その事を知らないジョーは焦りを顔に浮かべた。

 

「死ね、愚かなサイボーグ」

「くっ!」

 

ダアン! バババッ!

 

 咄嗟に身をよじって光線銃の一撃をジョーは間一髪回避する。

 

「馬鹿め」

 

 回避先に予め光線銃を構えていたもう一人のショッカーライダーは内心ほくそ笑みながら引き金に指を掛けた。

 

 しかし、ジョーに諦めの表情は全く浮かんでいないのを、側から見ていたショッカーライダーは目撃していた。同時に何か嫌な予感めいた物を感じる。

 

「加速装置!」

 

カチリッ

 

 途端、一筋の風と共にショッカーライダー達の視界からジョーが消えた。

 

 そして、次の瞬間にはショッカーライダー達の真後ろにジョーが颯爽と現れ、更にそれとほぼ同時にショッカーライダー二人に痛烈な衝撃が奔る。

 

「ぎっ」

「があ!?」

 

 とんでもない衝撃に思わず声を上げて倒れるショッカーライダー達。予想外の攻撃に、全く反応する事なくマトモに受けてしまった。

 

 一方、ジョーは攻撃を決めたにも関わらず渋い顔をしている。

 

「な、何て硬さなんだ。加速装置の勢いを使っても装甲を完全には破壊できなかった」

 

 ショッカーライダーに有効打こそ与えられたものの、決定打とはならなかったのである。普通のサイボーグや機械相手なら、加速装置を入れた状態での攻撃一発で破壊ないし戦闘不能に出来るので、ジョーは敵の装甲の硬さに少なからず驚いていた。

 

 しかし、今の攻撃で幾らかジョーには心の余裕が生まれている。

 

 ショッカーライダーは加速装置を発動した途端にジョーを認識しなくなった。即ち、敵は加速装置の速度には付いて来れない!

 

「くっ、小癪な!」

「待て、迂闊に行くんじゃない!」

 

 一体が激昂しながら電磁剣を抜き放ち、ジョーへ向かって猛然と突進を仕掛ける。もう一体のショッカーライダーは迂闊に近寄る事を恐れて静止の声を上げたが、激昂したショッカーライダーの耳には届かない。

 

(しめた。遠距離と言う優位を捨てたのならば、何とか出来る!)

 

 ジョーはキッと顔を引き締めてショッカーライダーを迎え撃った。

 

 振り下ろされる電磁剣を躱してまずは拳打一発。装甲の厚さ故に特段ダメージを負った様子ではないショッカーライダーだが、ジョーは気にせず敵の首筋狙って強烈な跳び回し蹴りを放った。

 

「ぐぅ」

 

 蹴りの拍子にショッカーライダーは電磁剣を手から零す。

 

 それをジョーは見逃さず、更に追撃の拳打を数発見舞ってから電磁剣を拾い、そして……

 

「加速装置っ!」

 

 凍った時の中へと飛び込んだ。

 

 幸い、電磁剣は凍った時の中でも燃え尽きる事なく存在している。ジョーの加速装置と併せれば鬼に金棒となるだろう。

 

「セェヤアア!」

 

 我武者羅に電磁剣をショッカーライダーの腕と首に振り下ろし、更に走って後方でジョーの隙を探していたもう一体の方へも突進。喉元に電磁剣を突き立てた所で加速装置を解除した。

 

 糸の切れた人形の様に、二体のショッカーライダーはバタリと倒れる。

 

「よ、よし。心音も聴こえない」

 

 また襲われては面倒なので、早急にジョーは移動を開始する。加速装置を入れなくても時速三十キロ程度で走れるので、ショッカーライダーであってもサイクロンから降りていれば簡単には追い付けない。

 

 ジョーも動き出した。偶然ながらも生き永らえた自身の命を守る為にも。




次回、邂逅します。
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