ざあざあ ざあざあ
雨の中を走り続ける。抱えているものを冷やさない様に慎重に、そして大胆に。目的地はすぐそこだ。
急いで 走って 生きてほしくて
私を探す音が聞こえ続ける。ジャミングでスカウターの効力を落としているのに気づかれた。だがたどり着いた。これで懸念材料は減った。思い切り身体を動かせる
でも、ここで戦ってはいけない。知られてしまうから
ここで捕まってはいけない。探されてしまうから
幸いこの星の周りに船はない。探知不可能なポッドを買ってよかった。これで狙われにくい。あと少し待てば、ポッドは別の星に向かう。私はあの子達が生きれる事しか願えない。私にできる最後の事はこの星の基地を破壊すること。
少しでも、可能性があるから追えないようにしよう。宇宙を見ると一つの流星がながれた。これで迷う事はもうない、人生最後の大暴れを始めよう。母という強さ、舐められては困る。
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『目的地ニーアマル星。残リ五分デ着陸シマス』
「んぅう゛…」
ポッドの中で眠っている二人の赤ん坊の片方がアナウンスを聴いて唸った。小さな眉に前髪以外重力に逆立つように生えている髪の毛の女の子は目が覚めかけていた。
『カウントダウン、開始シマス。5、4、』
残り5秒でこのポッドは着陸する。降り立つ場所は森近くの草原のようだ。爽やかな風がぴゅうぴゅう言いながら草原を横切り森の中に入る。のどかで、危険な場所では無いと見てわかる。
しかしこの間もポッドは落下し続けていた。
『3、2、1…0』 ドガァアアアァン!!!!!
大きな音を出してポッドが着陸した。その音でもう片方の赤子が泣き始めた。太い眉にモサモサとした頭部の男の子が尻尾を揺らしながら大きな声で泣いている。
「うぁあ“あ”ぁ“ん!!!!」
女の子が涙を浮かべながら必死に片割れをあやしている。それが姉の意地なのかわからないが
てんやわんやしている内に、ポッドの扉が開いた事に気がついたのか、赤子達が腹をすかせものすごい音を鳴らして外へ出た。男の子は今まで見たことのない色を見つめながら近くにあった花を食べようとした。だが、
「うぉん」と鳴いた狼のような生き物が前脚で制した。
「ゔぉふ」
ついて来いと言わんばかりに一鳴きし、森に入って行った。二人は首を傾げながら、這いずりながらついていく。赤子といえど、何と無く理解できていた。
森の中に入ると一気に暗くなって、狼を少し見失いそうになっていた。その度狼が声を出し、居場所を知らせた。
はいはいし続けて手のひらと足が傷だらけになり始めた頃、どこかに着いたようだ。木の隙間から日が差し、赤ん坊より大きな二つの葉っぱが置いてあった。近くには洞窟もある。狼はヘトヘトの二人をそれぞれの葉っぱに乗せ、果実を渡した。
勢いよく食べ出した赤ん坊を狼は見守りつづけた。果実を五つ食べ終わり、顔を汁だらけにした女の子は一息ついたようだった。狼は汁を舐め、汚れを取っている。どうやらこの狼は双子を育てるつもりの様で、寝こけ始めた二人に寄り添い狼は目を閉じた。