ち、ちちとコンロの音と匂いに誘われてダンは部屋を出る。このホイポイカプセルは4LDKで使用者は彼と、その姉とハリネズミな男だ。
廊下を歩いているといい匂いが鼻をすぎる。これはロールパンと牛乳の匂いだろうか。昨日の晩御飯のミートパイは残っているだろうか。食べ物を考えていたからか腹の虫が鳴って飯を寄越せと言ってくる。空腹のいうがままに少年はキッチンへ向かう。
「イコおはよう!昨日のミートパイって残ってるかな?」
「おはよう、ダン。確か一切れあった気がするな」
エプロンと三角頭巾をつけた少女が振り返り言葉を返す。少年の後ろにはオーブンから取り出したロールパンの大群を皿に詰めているラディッツが一つ味見していた。
ここでは彼が基本的に料理を作っている。そのどれもが二人にとって絶品で、この星の料理にもすぐ詳しくなった。胃袋をつかまれたダンはよだれを溜め込みながら、食卓に朝ごはんを並べるのを手伝う。
大量のロールパン、ジャム、バターやミートパイ、牛乳などが食卓に乗っかっている。この星の一般家庭では食べきれる量ではないが、その全てが吸い込まれるように彼らの口に次々と消えていった。
「んぐ…!ぎゅ、牛乳!」 ゴクゴクゴク!
「もご、いそいで…ムグムグ…ごくん。食べたら喉に詰まるからやめろと言っただろ」
「食いながら話すな。キサマら行儀悪いぞ」
修行の効率さを求め、荒野に住み始めて二週間は過ぎている。この朝も彼らは慣れ始めていた。
食事が終わった後、すぐにそれぞれの修行場へ向かう。と言ってもイコとダンを互いに見えない場所で鍛えさせるだけであるが
風が吹き荒れる中、ラディッツとダンが向かい合い今日行う修行を確認している。彼が学んでいるのは近接型ヒットアンドアウェイ戦法だ。せめてナッパにやられないように鍛え、フレンドリーファイアをしないよう気をつけるべき点を説明している。
まず繊細なエネルギーコントロールを上げるため中に浮いて、色んな箇所にある的へエリートシュートを打ち、破壊する。その後投げられる岩を避けたり、正面から殴りつける。
午前中はそれをダンの体重の十倍の重りを身につけながら昼休憩まで続ける。
「惑星ベジータはこの星の十倍の重力だぞ。キサマらの技は先手を使われたらほぼ無駄。それを無駄にしないためにはこれが一番マシだ」
そう言ってラディッツは自分の分の重りをつけたままエネルギー弾でお手玉をしている。以前このトレーニングを彼がやるように言った時、イコが私たち二人だけではやる気が出ないと言ったところ、彼も参加するようになった。ダンは正直言って、この男が子供の面倒を見て修行をして強くなるなんて思いもしなかった。よくわからないが、本来ならこんな事は死なさそうと、そんなイメージを彼は持っていた。
「何であんたは俺達の手伝いをしてくれるの?そんなことする奴とは思えない」
「…キサマから修行をつけろと言っただろうが。だが言いたい事はわかる。オレは、アイツに出会わなければキサマの想像通りの人間だっただろうな」
アイツって奴が誰か知らないけど、そのことを喋ったラディッツはどことなく悲しそうだった。今でも隠し事の事を考えているイコと似た顔だ。イコは、なんで俺たちがあの星にいたのか教えてくれないし、そもそも俺がイコの弟って事とサイヤ人って種族しか教えてくれてない。
けど、もっと聞こうとすると顔が青くなる。頭の中にすぎる青い人間たちと比べたらそこまで青くないけど、すぐにでも泣きそうになる。
だから今は聞かなくていいやと思う。ラディッツもイコに聞きたいことがいっぱいありそうだけど、彼も聞いてない。困惑しながら街で見かける親子の父のように接してる。
そう思い耽っていたら岩が頭の上の方に________
(あ、なんだか見覚えが…?)
一応イコちゃんは、ニーアマル星で大猿になっていなければ精神は弱くないです。ショックの積み重ねでサイヤ人では珍しいちょっと過保護な心が出来ました。これがなくすにはは、イコちゃんは母に会わないとどうにもなりません。
子供だからね