ホウホウと梟の声が聞こえそうな夜の世界に男は寂れた街で腰掛けていた。
「さて、俺に何の様だ?カカロットの妨害の件か?」
「それに加えてやって欲しいことがあるの。ラディッツとその息子を処理して欲しいの」
歪んだ空間から人が現れる。この世界の住民と思えない風貌の女性と仮面をつけた男の二人だ。
「へぇ?あの坊主はあんたのお気に入りだと思ってたんだがなぁ」
「ターレスにやられる弱さじゃあ話にならないもの。あの子達はまずフリーザを倒せるくらい強くないとミラのサンドバックにもならないわ」
「放っておいても王子が始末すると思うが…いいぜ、あの時の餓鬼供がどれほどか俺も知りたいからな」
浅黒い肌の男は胡散臭くニヤリと笑うとマントを翻し目標の時空へ足を踏み入れた。
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「ッあ!」
じとりと張り付く汗と共に飛び起きたイコは嫌になる今日にドクドクと恐怖していた。
ツルマイツブリで感じた一歩間違えれば全てが終わる。そんな予感に思わず自分を抱きしめた。サイヤ人がやってくる日、一度も来てほしく無かったこの日の為戦士達は鍛えていた。
ぺたりぺたりとキッチンに向かう。もう鍛える時間がない今自分にできるのはここにいる全員分の食事を作ること。昨日が恋しくて歩みを止める。
「大丈、夫…死なない為に、死なせない為に出来るだけの事はした。いざとなれば、私が代わりになればいい…その為に私が生きている」
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「強い気がこちらに近づいてきたな」
荒野の中、Z戦士達は武者震いしながら身構える。悍ましいと言える気配にラディッツは昔を思い出していた。虐げられていた情けない己と比べ強くなった。…その筈なのに、差が縮まった気がしない。
「ここにいたかラディッツ…お前程度でも滅ぼせる星なのに何故人間が残っている?」
「俺は、もう2度とお前らの命令を聞くつもりはねぇ!」
ドス黒い雷を纏って見えるベジータとナッパは見下しながら笑った。
「おい聞いたか?あの弱虫ラディッツが一丁前に吠えてやがる」
「弱虫?」
彼奴が?
ダンは戦闘の基礎をラディッツから学んでいた。そこでイコと共に挑まないとまともに組手にならない程度に強いと知っている。それを弱虫と呼ぶこいつらはそれ以上に強いということなのか…
ああ、なんだかワクワクしてきた。
アディオス!