《将也視点》
「何から手を付けりゃいいんだよ。」
手当をした赤茶毛の女を調べる?無理。マジでデカい秘密組織なら爆弾に火を付けるようなもんだ。
為綱の車を調べる?情報を消す?止めとこう。防衛省の秘密組織とやらが、万が一の対策や秘密保全がガバガバだとは思いたくない。
事件隠蔽のために起こされた爆破事件を調べる?勘弁してくれ。多分、情けないがこの関係は警察が調べるまで手は出さないほうがいい。
(謎の組織に差し障りのない事からやるしかないか。)
俺は為綱と違って、命のやり取りが得意じゃない。パンドラの箱を開けて怪物に襲われる可能性があるなら、事前準備は石橋を叩くより、要塞まで建てるタイプなんだよ。俺は。
(まずは新しい身分と戸籍。次に生活場所。都心。いや、最低でも東都の外に出すのはマズイ。)
大学を出て、今の仕事を続けているので慣れたもの。……偽造と隠蔽は慣れたはマズイよな?いや、気にしたらやってられんよな。
(まだ死にたくねえし。取っ掛かりを得るまでは我慢。それに、)
夜勤組が3人。同じ部屋で、他の作業を行っている。作業内容はわからない。
(官公庁にスパイが入ってるかもしれないしな。ウチの面々に入ってたらマズイからな。……入ってたら、諜報関係ガバガバで終わるけど。)
内閣府まで入ってたら、為綱には悪いがあの女を処理して見なかったことにしよう。命の重さも価値も人によって違うからな。
「朝河さん。休みじゃないんです?」
「ニュースでやってたろ?爆発事件。19人死んだやつ。功績狙いで来たら上司は居ない。それなら他の仕事やろうってね。」
「相変わらず出世の鬼ですね。出世したらよろしくお願いしますよ?」
「はいはい。」
ふう。怖い怖い。ブラインドの上から話しかけてきた同僚を適当にあしらいつつ仕事を続けた。勝手に覗くなっての。
まぁ、バックグラウンドで処理しているので見られては無い。とは思うが、もう少し気を張っておくか。
与えられた公的な仕事と、私的な仕事をうまく切り替えつつ処理していく。その様子は周りに溶け込み、休日出勤していた将也を気にする人間は居なくなった。
「リアルマインスイーパーかな。踏んでもすぐ爆発しないのがタチが悪い。」
仕事を始めて丸2日。隠蔽工作は見落としなく終わり、どこまで踏み込んでいいのかわからない情報収集を始めた。
と言っても、組織に関係ありそうな人ではなく行方不明者と資産状況の変化がある人間を調べるのが精一杯。
(変装して、他の国の情報盗んでる方が気が楽だ。なんにも分からないのが怖いわ。マジで。)
一年に8万人が、行方不明になってるこの国。砂漠で砂金を探す方が、まだ楽かもしれない。
(誰も彼もが怪しく見える。過去10年で行方不明になった名簿だけでももらっていくか。)
もらっていくと言ってもコピー機やプリンタはつかえない。履歴が残る。写真を撮って名前と年齢、職業だけを持っていくのギリギリセーフであってくれ。
(職場の隠しカメラの位置は変わってない。……はず。)
家を出てキッカリ60時間後。いつも数倍の疲労感を覚えつつ将也は親友とオマケが隠れている自宅に向かった。
「自分の車をココまで調べ上げることになるなんて。ホントにこの借りは高くつくぞ。」
2回道中で寄り道し、マイクなどを調べる手間を加わり自宅に到着した頃にはソファーに崩れ落ちた。
フィクションの無理な人事や配置は……
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許せる。
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許せない。
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もっと派手にやるべき