「もー、二度とやりたくねぇ。そんで、そこの女はなんか喋ったか?」
帰宅して一時間ほど仮眠をした将也に、おにぎりとお茶を渡す。うんざりした顔をしつつ、食事を始めた。
「それで?なんか喋ったか?あの女。」
「先に謝っておく。すまん。」
「何も喋らない。ってか?怯えてるのか。それとも忠誠心があるの――「全部喋ったんだ。本当にゴメン。」
「ズコー!!」
喋りながらソファーから滑り落ちた将也を見て、もう一度頭を下げだ。
「連絡しろや!!」
「通じなかったんだよ。ゴメンって。」
「オレの2日と緊張感返せ!」
きっちり15分。荒れ狂う将也に殴られた為綱。
「何やってるのよ。あなた達。」
「怪我人に仕事させんな!拘束を解くな!!」
訂正しよう。女性が荷物を持って現れたため、さらに15分殴られるとこになった。
「正直スマンかった。結構全力で殴ったんだけど、ビクともしないな。お前。」
謝りつつ恨みがましい目で見てくる将也に頭を下げつつ、荷物。いや、パソコンを持ってきた女性が電源をいれた。
「アナタもこの怪物に苦労しているようね。朝河さん。聞いたわ。傷口を処置してくれたのはアナタだって。」
「その怪物のお願いされなかったら見捨てたから感謝は不要ですよ。」
ふふふふ。二人共?顔が笑ってないのに、声だけで笑わないで?
「どういう心境の変化かな?急にベラベラ喋るなんて。」
「無駄な足掻きだろうけど、組織にあっさり殺されるよりマシだからよ。本音を言えば、もう少し嫌がらせを行いたかったわ。」
「余計なお世話とでも言いたそうだな?」
「あら?半分ぐらいは、余計なお世話って言いたいのよ。」
ふふふふふふふ。いや、怖いって。その顔でドコから楽しそうな声出てんの?
「じゃあ、アナタに話さないでコチラの怪物さんにもう一度丁寧に、教えた方が良いかしら?」
「それも良いんじゃないです?理解できないと思うがね。」
ふふふふふふふ。ほほほほほほ。ナニコレ?鉄火場に居た方が気が休まりそう。
「お茶入れるから落ち着いて話しましょう。な。な?」
「「一時休戦だ。」」
争ってたのかい。お前ら。ともかく旨い茶を入れるから落ち着け。
「……以上が、私が知ってる組織と、仕事の内容よ。」
「本気でマズイ組織みたいだな。……踏み込まなくてよかった。話を聞いて本気でそう思うよ。」
話を終えた宮野志保と、内容を理解した将也が青い顔をしながら冷えたお茶をすする。
「APTX4869。証拠が残らない毒薬なんて、恐ろしいモノ作るなよ。他にもコイツは知らないこと。つまり倫理的にアウトなことが行われてる。」
「使われ方としては納得してないわよ。私としては、毒薬にするつもりは無かったんだけどね。組織としては行ってない悪行は無いと思うわよ。良かったわね。予想があたって。」
ふふふふふふ。また笑う2人。もういいって。ホントに。
「まずは方向性を決めておこうか。オレが仕切るがいいか?為綱。お姉ちゃん?」
「私はこれでも10代よ。三十路前のオジサンに姉ちゃん呼ばわりされたくないわ。」
ふふふふふふふ…ファゴ。2人の笑いが途切れてくぐもった声が漏れた。
もういいって言ってないけど流石にしつこいよ?2人の頭をアイアンクローの要領でつかむと少しばかり力を入れる。
「真面目にやりましょうね?」
両手を上げて降参する2人に、為綱は「よろしい。」と伝えて会議を再開した。
「改めまして、司会進行他色々兼ねます。朝河将也です。」
「情報提供他の宮野志保です。」
「議会調整役の塚本為綱です。真面目にやりましょうね?」
ボキボキと指を鳴らして威嚇しつつ、言葉でもう一度釘を刺す。
「ま、まずは方向性。ドコが目的か決めよう。よろしいです?為綱さん。」
「ズレない限りコッチからは何もいいませんよ。どうぞ?」
「ア、ハイ。それじゃ進めます。オレとしては組織の壊滅は難しいと思うので、休止。もしくは、鈍化を目的としたい。」
「壊滅は難しい。ソレには同感。でも、止めるだけなんて言ってると気がついたら首がなくなるわよ?」
「世界に関わる大きさの組織ってことは、内側も一枚岩じゃないはずだ。」
「残念ね。トップへの忠誠心は幹部は全員持ってるわ。私みたいな裏切り者なんて存在しない事になってるわよ。」
「虱潰しに殺していけばいいんじゃない?」
「「無理に決まってるだろう。お前(アナタ)以外全員死ぬわ。」」
「そもそもお前のマーダーライセンスは基本的に外敵。国民の殺害は適応外。この小娘助けるときの殺害もバレたら逮捕されるぞ?」
「バレると思うか?現場仕事で?ありえない。」
鼻を鳴らして腕を組む為綱。
「私や彼も敵かもしれない。アナタの知ってる人も敵かもしれないのよ?そんな事を考えて気が持つの?」
「勝てるやつがいるならね?」
油断も慢心もない自信を込めて返した言葉に、2人は返す言葉がなかった。
フィクションの無理な人事や配置は……
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許せる。
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許せない。
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もっと派手にやるべき