(くっくっく。ここまでは計算通り。)
毛利探偵事務所襲撃から約6時間が経過し、周囲の闇は夜明けによって明るくなり、今は、昼と朝の間のような時間帯だ。
(正直言って計画というより、少しの予定と多量の思いつきだったけど上手く繋がった。)
絶対にケガ人を出さない射撃による圧力。続けて、手紙と酒瓶によって知ってるという圧力。さらに毛利探偵と警察を遠ざける手段をつかうことによって、目標はコチラにやってくる。数少ない秘密の共有者とともに。
え?計画でもなんでも無いって?
(疑念と焦燥感でどうするかわからないはず。頭は良くても中身は高校生よ。実害の圧力を簡単に跳ね返せまい。……いや、今更だけどアレで高校生?)
と、ともかく。酒瓶で万が一にも黒の組織が動けば、秘密裏にとっ捕まえる事も仕留めることもできるはず。……はずだ。
そもそも、そんな情報で動かないよね?動きを見せたら、逆に困る。迂闊すぎて。
なんか最近古い記憶が蘇るからか。コナンに何やっても解決策が出されて終わりそう。黒の組織は結構ガバがありそう。
(と言っても、ココは本当に生きてる世界。灰原哀が大人のままで匿われてる世界線よ。)
つまりは、灰原哀と江戸川コナンがつながってない世界。阿笠博士の仲介もなく会わせたら反発は必至だろう。特にコナン。
(悪の科学者が脱走してきたぐらいで終わりそう。)
それに俺も、将也も、「外敵の殲滅部隊」「国家の諜報員」って、世間的に見たら秘密が多い、黒寄りの仕事だ。
結果だけ言うなら、無理矢理にも繋がらせて、味方だと思わせることにしないと、ダメな気がする。
ピンホン!ピンポン!ピンポン!ピンポン!!
「誰じゃ?そんなに押さんでも聞こえておるよ。」
阿笠博士が、のっそりと玄関に向かって扉を開けた。
「そこを動くなぁ!為綱ぁ!」
開かれた扉には充血した目をしながら、肩を震わせる将也。視線で人が殺せそう。背中には大きなバッグを背負っている。
「お早い到着で。お茶飲む?」
「ぬけぬけと。オレが後始末と仕事を終わらせるのに、どれだけ苦労したか。早くくれ。お茶。」
「貰うんかい。もう少し怒られるの思ったんだけど?」
深い深いため息を吐いた将也。食卓に置いてあった急須からお茶を入れるとグイっと飲み干す。
「そうするつもり満々だったけど、やってしまったもんは仕方ない。お前の取り扱い注意説明書でも作って渡しとけばよかった。」
続けてニッコリ笑いつつ、
「でも、次やらかしたらマジ殺す。あと、勉強会するから逃げんなよ。」
多分前世と現世をあわせても指折りの恐怖だったよ。人間の笑いって攻撃性とか聞いたことがあるけど、今回は本当だよ。
オレは将也の言葉に誠心誠意うなずくことしか出来なかった。
「阿笠さん。すいません。このバカが。」
「いやいや、いきなり真夜中に拳銃を持ってやってきた時には本当に心臓が止まるかと思ったが、危害は加えないどころか部屋の掃除に、ごみの分別まてやってくれた。なんというか。心配するだけアホらしくなってな。」
ハッハッハと人の良さそうに笑う阿笠博士。
「もしかしてコイツが毛利探偵事務所を襲った犯人って知らないんです?」
「この態度を見れば新一たちには悪いが、なにか理由があるはずじゃ。」
うんうん。と、納得する阿笠博士と、呆れる将也。おい。狙ったのか?みたいな顔するな。
あと、それでいいのか。阿笠博士。
「ちょっとばかり新一も独断専行が過ぎるからの。ちょっとばかり痛い目に有ったほうが、いい薬になるかもしれんからのぉ。」
今度は悪そうな顔で笑う阿笠博士。そういや、黒の組織のボスとか話があった気がする。マズかったかな?
そもそも、大事にしてるのと、フォローされてる時点で相当しくじっているだろうと思ってくれ。と、頭の中を見られたら突っ込まれるだろうに。
「それでいいのか。阿笠さん。」
「それでいいのか。民間人。」
呆れるオレと将也。そして動く将也が持ってきた大型バッグ。
「人かコレ?」「やべ。完全に流れで忘れてた。」
バッグを開くと酸欠と暑さで汗にまみれた灰原哀が青い顔で飛び出してきた。
なんというか。俺たちのような人間に関わってるのか、キャラ崩壊気味では?
「今の現状と動きを詳しく説明して。」
いや、まだセーフかな。お茶を渡しつつ説明をすると、頭を抱え始めた。
「この人の取扱説明書をもらえないかしら?ハァ……。」
「ココまで来たら突き抜けるしかないんだよ。」
「こちらの女性は?」
頭痛を覚える灰原。諦観しつつ後始末を考える灰原を紹介する将也。どこか楽しそうな阿笠博士。
そして、受話器を取り、行動する為綱。なんとも混沌とした阿笠邸。
《コナン視点》
「なんやとぉ?!正体がバレたぁ?!ホンマか工藤?!」
「声がでかい。ホントにヤツラだったら聞かれてるかもしれねぇ。」
しかし考えれば考えるほど、なんでこんな騒ぎを?ヤツラなら秘密裏に動く。かと言って、他人が俺の正体に気がついたとしても酒に関するヤツラを示す真似をする必要があるのか?
「そんで?どないすんねん。オレんにやってきて。」
「頼れるやつが他にいなかったんだよ。」
「つまりはなにか?オレなら巻き込んでもエエってことか?」
おい。嫌味っぽい返しをする割に顔は笑ってんじゃねぇよ……。頼りになるやつだよ。コイツは。
「オッチャンと蘭は警察が近くにいるから派手な動きはないはず。」
「そんで、あとは阿笠博士っちゅうわけか。」
「電話も繋がらない。メールも返ってこない。研究や実験に夢中のときは返ってこないこと多いんだけど、今回は事が事だからな。」
服部がバイクを引っ張り出してきたのと前後するように電話がかかってきた。
(博士?携帯からじゃなくて家からの電話なんて珍しいな。)
「もしもし博士。なんども連絡して悪かったな。」
『工藤新一くんだな?』
電話から聞こえたのは聞いたこともない男の声だった。
「誰だ?お前?」
服部が身構えながら様子をうかがってきたので、手で制して「犯人かも。」と、動作で返した。
『君に渡した携帯に連絡するつもりだったが、コチラの状況が変わってね。キミの携帯に連絡した。』
「博士に何をした?」
『何もしてないが?今は別の部屋でくつろいでもらっているよ。今すぐ阿笠邸に来てもらおう。モチロン警察はなしだ。コチラとしても困るからね。』
「おい待て!お前はなにを…また、切りやがった。」
博士。無事で居てくれよ。
「服部。いつでも連絡できるようにしてくれ。オレは博士のところに行く。」
「水臭い奴っちゃな。ココまで来たら一蓮托生に決まってんやろ。飛ばすからシッカリつかまっときや。」
そもそも関わらせたのは工藤やろ?と、返す服部に感謝する俺だった。
オリ主が参加する映画 第一弾は?(名作ほど改悪可能性大)
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漆黒の追跡者
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沈黙の15分
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ゼロの執行人
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紺青の拳