お前は天に立て、私は頂をこの手に掴む   作:にせラビア

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第101話 マッサージをしよう - 虎徹 勇音 -

「ここです!」

 

 勇音が胸を張りながら紹介してくれたのは――

 

「あら、ここって……」

「はい! 実は、隊長が前に住んでいたところなんです」

 

 ――私にとってはある意味、慣れ親しんだ場所でした。

 

 自宅でもてなしてくれるということで勇音に案内されながら瀞霊廷を進みながら――その途中、どう見ても見覚えのある場所を幾つも目にしながら――到着したのが、前に住んでいた家でした。

 

「こんな古い家じゃなくても、新しく建ててもらえばよかったのに」

 

 お忘れかもしれませんが、平隊士は基本的に寮暮らし。

 席官になるともう少し待遇が良くなって、上位席官になるとアパートの一室みたいな部屋を支給してもらえるようになります。

 そして副隊長や隊長になれば、一軒家を支給してもらえるくらい優遇されます。

 

 私は隊長に就任したときに新しく家を支給してもらいまして、それまで住んでいたところから引っ越したわけです。

 その空いた家に、勇音が引っ越してきた形になるわけですね。

 

「そうなんですけど……隊長が住んでいた場所がよかっ――あ、そうじゃなくて! 新築の家ってなんだか勿体なくて落ち着かないって言いますか、その……」

「……まあ、使い込んだ家の方が風情がある場合もあるからね」

「そ、そうですよね! そういうことなんですよ! さあ、どうぞお入りください!」

 

 私にしてみると、古巣に戻ってきたって感じなんだけどね。

 それでも勇音の好意を無碍にするわけにもいかないし。

 

「それじゃあ、勝手知ったるなんとやら。お邪魔させてもらうわね」

 

 ということで、なんだか元我が家へ足を踏み入れました。

 

 

 

 

 

 

「へえ、これ……美味しいわね」

「はいっ! 頑張って作りました。お口に……合いますよね?」

 

 お風呂で汗を流して、今はお夕飯をごちそうになってます。

 勇音の手作りご飯なので否応なしに嬉しくなりますね。

 

「んー、辛めで濃い味付けだけどいける♪ ご飯が進むわ♪」

 

 ご飯にお魚とか和え物とかお漬物とかですが、とっても美味しいです。

 さっすが四番隊(ウチ)の副隊長! やっるぅ!

 

「いっぱい稽古をした後なので、このくらいの味でも平気かなと思ったんです」

「懐かしいわねぇ。まだあなたが入隊したばっかりの頃に、指導をしてあげたっけ」

「お料理とかお洗濯とかお裁縫とか、やらされましたよね」

「あれ、私も入ったばっかりの頃はやらされたのよ。それでも、ある程度の経験はあったから結構評判が良くて……」

 

 そんな思い出話も肴にしつつ、夕食は進み――……

 

 ――……やがて何事もなく終了しました。

 

「本当に手伝わなくていいの?」

「大丈夫ですよ、隊長はごゆっくりなさってください」

 

 夕飯の片付けを手伝おうとしたら断られましたよ。

 なのでお言葉に甘えちゃいましょう。

 それにしても、黙っていてもご飯が出てきて、おまけに片付けてもらえる。

 これってなんて素晴らしいんでしょう。

 幸せだわ……

 

 あ、終わったみたい。

 

「あの、隊長……」

「ん-? なあに?」

「わ、私! 今日、頑張りましたよね……?」

「そうね、すっごく頑張ったわ。花丸をあげましょう」

 

 遠慮がちに聞いてその姿が可愛かったので、思わず抱き寄せながら頭を撫でてしまいました。

 

「わわわっ……! あ、ありがとうございます。でも、そうじゃなくて……」

「ん?」

「もう一つだけ、我が儘を言っても良いですか?」

「勿論よ! 一つと言わず十でも二十でも、どんと任せなさい!」

「はい! あの、実は――」

 

 

 

 

 

「――それで、これが我が儘なのね」

「はい! えへへ……」

 

 勇音が口にした我が儘というのは、私にマッサージして欲しいということでした。

 

「夢だったんです……今日みたいに昼間は隊長に稽古をつけてもらって、夜は隊長に、わ、わた、私のカラダを……!!」

「そんなの、いつでも言ってくれればよかったのに……」

「それじゃ駄目なんです! 副隊長になった私が、隊長に、二人っきりでないと! 卯ノ花隊長に言われてから、ずっと憧れていたんです……」

 

 ああ、私と卯ノ花隊長の関係を見ていて、それに憧れたって感じなのかしら?

 だから同じことを隊長(わたし)副隊長(いさね)という立場で実現したかったのねきっと。

 する方とされる方が逆だけど。

 なんにせよ、嬉しいことを言ってくれます。思わず抱きしめたくなるわ!

 

 ということで、勇音にマッサージをしますよ!

 しかもこの子は今、全裸ですよ全裸!

 素っ裸でお布団の上に寝そべっています。

 うつ伏せですよ、うつ伏せ!!

 

 ちょっと上半身を見れば、柔らかそうに潰れたおっぱいがはみ出してます。

 体格が良いので、それに比例してかこの子もムチムチした良い身体をしてるのよ。

 全身はほんのりと丸くて、でも出るところは出ていて、反対に引っ込むところは引っ込んでいる。

 姉妹で並ぶと、妹さんが嫉妬するくらいにはエロい身体してます。

 

 お尻や太腿もむっちりしていて、しかも足も長いのよね。

 くびれた腰からお尻までの起伏に富んだラインがすっごく目に眩しいわ。

 この足で踏んで欲しいとか、顔の上に座って欲しいだとか、もっと単純に蹴り飛ばして欲しいだとか。

 そういう欲望がかき立てられるのも、これを見ていたらよくわかっちゃう。

 

 どこを触れても柔らかそうで、おまけに丈夫そうだから、男の欲望を思いっきりぶつけられそうな安心感があるのよねきっと。

 しかも上背があるから、すっごい甘やかしてくれそうだし。

 あと控えめな性格だから、男の三歩後ろを着いて来そう。

 昼間は淑女のように、そして夜は娼婦のように。なんていうけれどさぁ……

 

 ……なにこれ、この子は理想の女性だったの?

 

「はぁ……勇音も本当に美人よねぇ……」

「ふぇっ!! た、隊長!?」

「正直な感想よ。勇音って、男性隊士からモテるでしょう?」

「そ、そんなことありませんよぉ! 私、そういうのに全然縁がなくって……」

 

 反応から見ると、謙遜抜きで言ってるようですね。

 

「何言ってるのよ! ちょっと背が高くても、こんな美人を放っておく方が見る目がないの!!」

「ほ、本当ですかぁ……?」

「勿論! 私だったら即日に求婚してるわよ!!」

「じゃ、じゃあ……隊長、私のこと、貰ってくれますか?」

「当然よ! 駄目だったらいつでも私のところに来なさい!!」

 

 こんな可愛い子が副隊長のはずがない!

 

「……(えへへ、やったぁ……)」

 

 なにかボソッと呟いたようですが、良く聞こえませんでした。

 だって――

 

「さて、それじゃあ……」

「ひゃんっ!」

 

 ――これからマッサージをして、勇音をもっといい女にしてあげなきゃいけないんだから! 些事なんて耳に入らないわ!

 ふふふ、男が放っておかなくなるように、腕によりを掛けるわよ!

 

「あらら、敏感なのね……羨ましい」

 

 指先でそっと、彼女の背中を撫で上げただけなのに、勇音はとても良い声を出してくれました。

 そのままゆっくりと、背中から肩、腕を中心にゆっくりと揉んでいきます。

 

「ん……っ……あっ……!」

「痛かったかしら?」

「そうじゃないんです……っ! ただ、気持ちよくって、その……」

 

 揉むたびに喘ぐような息づかいが断続的に耳に入ってきて、なんとも身体に悪いわ。

 こっちまで当てられちゃうじゃないの。

 

「声は我慢しなくていいわよ。今は私しか聞いてないから」

「あ……あう……(そ、それが一番恥ずかしくって、でも嬉しくって……)」

 

 また何か小さな声で言ったみたいだけど、なんて言ったのかしら?

 勇音は顔を真っ赤にしながら、結局吐息を漏らしていました。

 

「ん……あっ! そ、そこ……っ!」

「気持ちいい?」

「はいっ! ちょっと痛いんですけれど、痛いが気持ちよくって……んんっ!!」

 

 ゆっくりと背中から肩に、そして首回りに掛けての筋肉をほぐしていきます。

 

「勇音も胸が大きいからねぇ。肩も凝るでしょう?」

「それは……っ、んっ!」

「隠さなくてもいいのよ。私が触ってるのって、肩こりに関わってる部分だから。ここが張ってるってことは、凝ってる証拠なのよ」

「……はい……あっ……ふぅ……っ……」

 

 これ以上何を言っても無駄と思ったのか、勇音は素直に声を上げ始めました。

 最初の内こそ強張っていたハズの表情も今ではとろんとぼやけており、すっかり私に身を任せています。

 首回りを一通り終えると、そのまま腰からお尻へと手を伸ばしました。

 

「ひゃっ……!! あ、あの隊長……」

「ん? どうかしたの?」

「な、なんでもないです……」

 

 軽くお尻を撫でると、勇音が跳ね起きそうなくらい反応しました。

 けれども、あらかじめ何をされるかは知っていたんでしょうね。すぐに静かになりましたよ。

 

「うんうん、おっきくて立派なお尻よね。これなら安産間違いなしでしょうね」

「~~っ……!!」

 

 お尻を撫で回しながらそう言うと、耳まで真っ赤になっているのがわかりました。

 ちょっと前に産婆役も経験したから、ついそんなことを言っちゃうのよね。

 

 でも本当に、勇音は良いお尻をしていますよ。

 染み一つない白い肌に、きゅっとしたお尻はボリューム満点。

 つきたてのお餅みたいに温かくって、もちもちしてて。揉むのが大変なくらい。

 

「……っ……!! ……っ……!!」

 

 十指を懸命に使って揉みしだき、お尻に指を食い込ませていきます。

 お尻の奥に凝りがあるので、それをきちんとほぐすように。大きなお尻を全体的にたっぷりと揉んで。

 勇音も気持ち良いんでしょうね。

 先ほどから声にならない声を何度も何度も上げています。

 

 お尻も良いんですが、そこから伸びるすらりとした足にも目が離せません。

 特に太腿の触り心地は最高です。揉んでいくとしっとりと手に吸い付いてきて、ここで膝枕が出来る人は幸せですよきっと。

 その二つの大きな太腿でピタリと閉じた内側へ、指を滑り込ませます。

 

「身体の中の流れが良くなってきてるわね。今までよりももっと肌の色が良くなってきてるわ。勇音もわかるでしょう? 身体が火照ってきてるのが」

「あ、あの……は、い……」

 

 太腿の内側を、下から上へゆっくりと揉んでいきます。

 敏感な部分に触れられてか、ちょっとだけ落ち着きなさそうな様子ですね。

 多分ですけれど清音(いもうと)さんからだって何をされるかは聞いているでしょうに、そこまで戸惑わなくてもいいのに。

 

「やっぱり座り仕事が多かったからかしらね? 足もずいぶんとむくんでるわ。ごめんなさいね、勇音。こんなになるまで付き合わせちゃって」

「い、いえ……そん、な……平気! です……っ……!」

 

 平静を装っているけれど、身体は正直よね。

 声は随分戸惑ってるみたいよ?

 落ち着かなくてむず痒くって、でもどうしたらいいのかわからない。そんな感じの心境なのかしらね?

 

 あら、そう思っていたら、ちょっとずつ足が開いていったわ。

 今までは恥ずかしそうに両足をきつく閉じて擦り寄せていたのに、今では受け入れるみたいになってる。

 ほんの少しだけ視線を変えると、太腿の奥に隠された部分が丸見えで。

 誘ってるのかしら? いけない子なんだから。

 

「……あっ……」

 

 勇音の口から、残念そうな声が上がりました。

 

 一体どうしてそんな声を出したのかしらね?

 私はただ、もう太腿は十分だからふくらはぎや足の裏のマッサージを始めただけなのに。

 何をそんなに残念に思ったのかしら?

 

 不思議だわ。

 

 

 

 

 

 

「はい、次は鎖骨周りから始めるわよ」

「え、え……?」

「前よ、前。ちゃんと予習しているんでしょう?」

「うう……そ、それはそうなんですけれど……」

 

 知っているのと実際に自分でやってみるのとではまた違うからか、勇音はモジモジとしています。

 

「それに勇音は胸が大きいから大胸筋周り――つまり胸を揉まないと効果が薄いのよ」

「む、胸を……」

 

 なんで今一瞬、生唾を飲み込んだのかしら?

 

「うつ伏せだと施術できないから、仰向けになってね。今まで按摩を体験した子たちも、全員やってるのよ」

「は……はい……」

 

 少し俯きつつも、やがて勇音は頬を真っ赤に染めながら身体を反転させました。

 

「うわぁ……」

「へ、変でしょうか?」

「ううん、そんなことないわよ。とっても綺麗で素敵だわ」

 

 思わず声が出ちゃったわ。

 

 でもだって、仕方ないじゃない!

 胸も股間もむき出しなんだもの!! 

 大きくて形の良い胸がツンと上を向いていて、その山頂はピンク色の突起があって。

 お腹は無駄な肉がなくて腰回りはくびれているのに、お尻から太腿に掛けてはまた柔らかそうな曲線になってて。

 足の付け根の辺りなんて、男を誘うような輝きとフェロモンを放ってるの。

 

 これで反応をするなって方が拷問よ!

 

「それじゃ、まずは首回りからね」

「あ……っ!」

 

 首回りを軽く撫でて、指先でカリカリと浅くひっかくようにすると、勇音は嫌がるような、それでいてたまらないように身をよじらせました。

 まるで生娘のような反応に、思わずマッサージにも力が入っちゃうわね。

 

 そのまま鎖骨周辺へと指を這わせ、ゆっくりと指を下へと移動させます。

 

「ふ……ん、あ……っ……!」

 

 山のように大きくて柔らかな膨らみ、その外周部をなぞり円を描くようにしてゆっくりと揉みほぐして行きますよ。

 

「うんうん、思った通り張ってるわね。まあ、背中があれだけ凝っていたんだし」

「ん……っ! ひぅ……っ……!」

 

 脇腹や肋骨を伝っていくように指を動かしていき、最終的にはお腹にたどり着くと、こんどは真ん中を通っていきます。

 山の裾野を揉んでいるだけですが、大きくて張りがあって、これは片手じゃ確実に持て余すサイズですね。

 指先で触れているだけなのにぷにぷにとした柔らかさがあって。

 ずっと触っていたくなります。

 

「くすぐったいだろうけれど、もうちょっとだけ我慢してね」

「は、はひ……っ……ふああぁっ……!」

 

 大胸筋から脇に掛けてをゆっくりゆっくりと何度もなぞりながら、マッサージをしていきます。

 最初は大きな円を描くように、少しずつその円を小さくするようにして。

 

「ん……ふ……っ……あ、ん……っ……」

 

 私が手を動かすたびに勇音は身じろぎをして、じわじわと身体に汗の粒を生み出していきました。

 蕩けた表情で瞳の端には涙を浮かべ、汗で上気した雰囲気と相まってなんともいえない妖しい気配を醸し出しています。

 言葉にするなら、この"女を無茶苦茶にしてやりたい"とでも言うんでしょうかね?

 加虐心というか誘い受けの最上級というか。

 

「はいはい、落ち着いて。力を抜いて。深くゆっくり深呼吸をして」

「ひゃいっ! ふーっ……はーぁ……っ……」

 

 素直に深呼吸をしてくれるので、胸元が大きく上下に動きます。その動きに合わせて柔らかな巨山がふるふると切なそうに揺れ動きました。

 

「ちょっと形を整えるから、我慢してね」

 

 その動きを手の平で感じながら、私は胸に下から手を当ててすくい上げ、全体を包み込むように鷲づかみにします。

 

「~~~っ~~~っ!!」

 

 さすがにちょっと刺激が強すぎましたかね?

 勇音は思わず両足をピンと突っ張らせて、弓のように身体も反らせました。

 でも文句は何も言ってきません。

 黙って私のマッサージを受け入れ、指の動きにされるがままになっています。

 

「はい、我慢しないで。施術とはいえ、そういう部分だから。我慢できなくなったら声をだして」

「そんっ、なっ……! む、無理で、す、よぉ……っ……!! だ、だって、恥ずか……は……あぁ……っ!!」

 

 マッサージをしていくたびに、勇音の身体がどんどん熱を帯びていくのがわかります。

 心臓がドキドキと早鐘を打っているのが手の平から伝わってきます。

 お山のてっぺんが、物足りなそうに自己主張をしています。

 ときどき胸から手を放し、お腹をなぞり上げてゆき、真下まで来てからグッと揉みます。

 

 それらの刺激一つ一つに身悶えしながらも、勇音は私の言うことに従おうと必死になっていました。

 

 なにこの可愛い子。

 この子も私が貰っちゃって良いのかしら……?

 

「はい、こんなものかしらね。どう、勇音。凝りはほぐれたかしら?」

「ふ……ふえぇ……?」

 

 ゆっくりと何度も揉み続けてから、やがて私は手を放しました。

 突然刺激から解放された勇音は、それまで夢見心地の気分だったのでしょう。寝ぼけたような返事をしてきました。

 

「あ、あの……もう終わり、ですか……?」

「勇音の場合は随分と肩とか上半身が凝っていたからねぇ。もう十分でしょう?」

「あ……あう……ぅ……」

 

 そう告げると、目に見えて肩を落とします。

 眉をきゅっと寄せて、何かを訴えるような瞳で私を見つめ、朱色の唇をツンと尖らせていました。

 

「た、隊長……い、嫌ですぅ……」

 

 やがて意を決したように、けれど恥ずかしいのか小さな声が聞こえてきました。

 

「私……ずっと待ってました……だから、その……隊長! さ、最後までお願いしますっ……!」

 

 座り込んで、精一杯訴えかけるような表情でした。

 

 

 

 あ。

 これもう無理。

 こんな可愛い姿を見せられたら我慢できない。

 

 そこで私の意識は途切れました。

 

 

 

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 

 

 

「うう……何これ、頭痛い……」

 

 再び意識が戻った時は、もうすっかり朝になっていました。

 しかも頭痛がしています。

 

 ああ……この痛みは知っています。

 最近はすっかりご無沙汰でしたので忘れかけていましたが、二日酔いの痛みです。

 

「でもなんで? お酒なんて一滴も……あら?」

「すぅ……すぅ……」

 

 ふと気がつけば、私の隣で勇音が寝ていました。

 つまり、一緒のお布団で……二人で一緒に……

 

「い、勇音!?」

「ふにゃ……さ、ささかまぼこ!!」

 

 笹かまぼこ!?

 

「……あ、隊長……おはようございます」

「はい、おはようございます」

 

 挨拶は大事よね。

 

「じゃなくて! え、と……勇音? なんで私の布団に?」

「あ、あはは……その、夕べ寂しくなっちゃって……それで、つい隊長のお布団に……」

 

「駄目、でしたか……?」

「そんなわけないじゃない!」

 

 思わず脊髄反射で答えました。

 

「いや、そうじゃなくて……あのさ、夕べって……何があったんだっけ……?」

 

 記憶が飛んでるのよね。

 勇音にマッサージをしたところまでは覚えているんだけど……

 

「隊長に按摩をしていただいて、それが終わったら寝ましたよ。忘れちゃいましたか?」

「そうだっけ……?」

「そうですよ! もう、忘れちゃったんですか!?」

 

 最後に覚えている記憶からだと、どう考えても繋がりそうにないのですが。

 口を尖らせて文句を言ってくる勇音が可愛いので、もうそれでいいです。

 

「あの、隊長! 夕べはありがとうございました。それと、もう一つだけ我が儘を聞いてもらえますか……?」

「なに?」

「これからも、時々でいいんです……一緒のお布団で、寝てもらえますか……?」

 

 一にも二にもなく了承しました。

 

 なので、私も勇音も一緒の布団で裸で寝ていたのも気にしないことにします。

 




●お夕飯のメニュー
粕漬け・奈良漬け・南蛮漬け など (+ 辛めの味付けや副菜)
(アルコール分入り + 濃い味付け + 酔いやすくする)

●サブタイトル
うちの副隊長がこんなに全力で仕留めに来て既成事実を作るわけがない

酔い + 既成事実 = 責任を取ってください

自分のところの隊長がお酒に弱いって知ってるから……

●暗転時に何があったの?
続きはそのうち「私以外の誰かが書いてくれることでしょう」。

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