陽光が差し込む長い廊下を一人歩ながら、ルキアさんの部屋目指して移動中です。
しかしこの家、本当に広いこと広いこと……
何度も来たことあるし、ルキアさんの部屋にも行ったこともあるから案内役もいらずに一人で行き来できますけれど、知らないと家の中なのに確実に遭難するわね。
「えっと、確かあの部屋だったはず……」
若干自信なさげな記憶を引っ張り出しながら、ようやく目的地に到着しました。
「ルキアさん、湯川です。入っても良いかしら?」
「あっ、先生! お待ちしていました!」
一応間違いがあってはいけないと外から声を掛ければ、室内から障子が開けられてルキアさんが出迎えてくれました。
玄関の時のような着物姿から就寝前のような白くて薄手の襦袢に着替えており、ついでにあの短時間で湯浴みも済ませたようです。
普段は真っ白のはずの彼女の肌も、お湯に浸かったことで今だけはほんのり朱色に染まっており、ついでに石鹸と入浴剤か何かでしょうか? 良い香りが漂ってきます。
言ってしまえば「既に準備は万端」ですね。
「はい、お待たせしました。それじゃ、早速始めるわね?」
「お、お願いします!」
室内へ足を踏み入れれば、すでにお布団まで敷いてありました。
本当に準備万端です。
「じゃあまずは診察から。そこへ横になって」
「こうですか?」
布団の上で素直に横になってくれました。
なのでそのまま彼女の腕を軽く取って脈拍確認からです。手首を軽く抑えて異常が無いか、そのまま腕を軽く押し込んだり指を滑らせたりして、肌や皮膚・骨の様子を確認します。
「うんうん、ちょっと痩せてるけれど十分正常ね。それじゃあ次は……」
「きゃあっ!?」
胸元をはだけさせると、可愛らしい悲鳴が上がりました。
「あ、あの先生!?」
「ん? ああ、ごめんなさい。心臓や内臓系も見ようと思ったの」
「あ……は、はい……」
一言声を掛けることもなく胸元を開かれれば、そりゃあ驚きますよね。
私の説明で納得はしたものの、それでもまだルキアさんの顔が恥ずかしさと戸惑いで赤く染まっています。
「ふんふん、どれどれ……」
「ん……っ……ぅ……っ……」
「うーん、ちょっとだけ呼吸が荒いかしら? 緊張しないでね?」
「は……っ、はいっ!!」
そうは言う物の、緊張しているのが丸わかりですね。
呼吸のたびに胸元が大きく上下して、可愛らしいお山が心細そうにぷるぷる震えています。肌の色は雪のように白いのに、頂点はほんのり桜色でした。
「鼓動、よし。心音に雑音なども無いわね」
「ん……ぅっ……!」
胸に聴診器を当てて心音を聞きながら、同時に触診します。
首筋から鎖骨、胸元から脇へと流れるように触れていくと、彼女はぎゅうっと目を瞑りながら押し殺した声を漏らします。
「こちらも骨も肌も筋肉も問題なし。ただ、ちょっと衰えてるから鍛え直しは必要そうね」
「な……は、は……い……」
そのままお腹、脇腹へと診断箇所を移していきます。
肉付きが少ないけど、その代わりにお腹周りはすっきりしてるわね。すらっとしたお腹の中心に、つんとしたおへその穴が見えています。
そんな穴の周りを中心に、ゆっくりと円を描くようにしながら指を滑らせていきます。
……あ、これ診断中ですからね。
「内臓も……ちょっと弱ってるくらい。でもこれは普通に生活していればすぐ元に戻るから問題なし、と……」
「にゃうぅっ!?」
軽く脇腹を突いてやれば、強い刺激に驚いたらしくビクンと身体を跳ね上げさせました。
腰から下へも順番に触れていきます。
「腰回り、骨盤の辺りも健康そう……よかったわね、ルキアさん」
「は……はあ……あの、何が良かったのでしょうか……?」
「それは勿論、ねえ……? 阿散井君と恋仲になったんでしょう? じゃあいずれは、子供が出来るかもしれないし……?」
「……ッ!!」
顔がリンゴのように真っ赤になりました。
ここまで説明してようやく、私が何を言いたかったのか気付いたようです。
「わ、私は別に……!」
「照れない照れない、あと診断もまだ途中だから動かないの」
身を起こして否定しようとするのを無理矢理押さえつけて、今度はうつ伏せにします。
「はい、今度はお尻よ」
「ふわあああぁぁぁっっ!?!?」
両手いっぱいでお尻を掴むと、戸惑いの声が上がりました。
うんうん。こっちも肉付きは少ないけれど、ハリは良い感じですね。
「な、な、な……!?」
「思った通りね」
「え……?」
「牢獄は床も寝床も硬いでしょう? 座り心地も寝心地も悪かったから、お尻とか背中が疲弊するのよ」
「そ、そうなのですか……?」
「そうなのです。オマケに部屋そのものは狭いし動けないから、運動不足になるの。ほら、足とか腿が緩くなってる」
文句を言わせる暇を与えずに理由を説明しながら、腿から足を撫でていきます。
こっちもスベスベね。
「というわけで総評すると、身体のあちこちにまだ見えない疲れが残っている。だから、これからそれを解消していくわね」
さて、ここまでは前哨戦。直前の戯れみたいなものです。
そしてここからが本番。
中途半端に残っていた襦袢を剥ぎ取ると、射干玉
「わひゃああぁぁっ!? な、なんですかこれ!? ヌルヌルした……油……?」
「特製のオイルよ。凄く良い物だから、気にしないで」
「は、はい……」
私の言うことだからか、素直に聞くわね。
そのままヌルヌルになった手で、ヌルヌルになった太腿をゆっくりと揉んでいきます。
「あ、あの……これは、本当に……?」
「勿論、効果は実証済みよ」
「うう……そ、そう言われれば確かに……仲間の隊士なども、言っていた……んっ……! よう、な……うくっ……!!」
喉の奥を鳴らすような嬌声を漏らし、ルキアさんは思わず身体をくねらせました。
繰り返します。
さっきまでは診察です。
診察なので、触ることはあっても疚しい気持ちは一切ありません。努めて冷静に状態を確かめるために触っていただけです。
ですが今はマッサージです。
マッサージである以上は、心を込めて気持ちよくなって貰わないといけません。
つまり「診察の時の無機質で弱い刺激」に慣れたルキアさんの肉体が「マッサージの時の心を込めた強い刺激」を突然受けたことで、快感の処理が追い付かなくなっていることでしょう。
さて、さらにここでトドメのダメ押しを。
「大丈夫大丈夫、緋真さんも通った道よ。これで健康になったんだから」
「ね、姉様が!?」
本当は健康になってからマッサージしたから順番は逆なんだけど、誤差よ誤差! 卵が先か鶏が先か! みたいなものだから!
健康になるのは間違いないから、何にも問題はないわ!
緋真さんも経験した、という言葉はどうやらルキアさんに効果抜群だったようで。
口を真一文字にきゅっと閉じて食いしばりながら、決意に満ちた表情を浮かべました。
「……お、お願いします!!」
「お願いされます」
ということで再開です。
「ん……んん……く……っ……」
太腿を撫で回して、さらにその腿の内側を指でなぞっていきます。
内腿を指先でほぐすようにじっとりとマッサージしていくと、彼女の口からは蕩けた吐息がぽつぽつと零れ始めました。
「う……うう……んっ……!!」
指先でぎゅうっと押し込めば、ルキアさんはうつ伏せのまま背中を反らして反応を見せてくれました。
そのままゆっくりとゆっくりと指を腰の方へと寄せていくと、彼女の身体がゾクリと震えました。
「あ、あの……! 足だけでは……?」
「うーん? そんなこと、一言もいってないわよ?」
「え、あ、そ、と、ということ……はわわわわっ!?!?」
説明しながら腰からお尻周りを掴みます。
先ほども触れましたが、お尻の肉付きはそれほどでもありませんね。ボリュームが足りない、と言ってしまうのは失礼でしょうか。
ですが腰回りはやはり女性ということでしょうか、男を惑わせるような色香を放ちつつありました。
こうして直接素肌に触れるとよく分かります。
「あー、やっぱりお尻が凝ってるわね」
「おおおおお尻!? 凝るものなのですか?」
「当然よ」
「~~~~ッッ!!」
小ぶりのお尻をがっしりと指で掴み、円を描くように揉んでいきます。
股関節を強引に割り開くような動きをされて、ルキアさんの口から声なき悲鳴が上がりました。
あら? これはひょっとして……ちょっと奥の、股の間に影響がでちゃったかしら?
「もう少しだけ我慢してね」
「もうすこ……しっ……!? ん、は、あ……ぅっ……!! む、無理で……すっ……!」
お尻を揉みくちゃにされた衝撃のためか、反射的に足を閉じようとしてきました。さらには膝を曲げて足の指を使うことで、なんとか私の指を退かそうとしてきます。
そういうことされると、ちょっとだけ意地悪したくなるのよね。
えいっ!
「んひいいっっ!! こ、んな……はあぁぁ……っ……!」
途端、背筋から足の爪先までもをピンッとエビの様に仰け反らせて反応してくれました。
切なげな、それでいて少しだけ湿った声が部屋の中に響きます。
ただ、ちょっと背中をくすぐっただけなんですけどね。
「あらあら、背中が弱点かしら? じゃあ……」
「んっ、んひいっ! だ、だめ……で……先生! 許し、て……っ! ふあぁぁっ!!」
背中を強めにマッサージすると、切羽詰まった声が上がりました。
その過程で一つ、気付いたことがあります。
腿からお尻、腰を経て背中までがオイルに塗れててらてらと淫靡な輝きを放っていて、その魅力がすっごいの!!
これを見てグッとこない男はいないくらい!!
なにこれ! エロすぎないかしら!?
阿散井君に今の姿を見せたら、間違いなく理性が飛んで襲いかかってるわよ。
そっか……ルキアさんってお尻から背中のラインがチャームポイントだったのね。
「はぁ……はぁ……ふあぁ……」
ですがどうやら少しやり過ぎたようで、ぐったりとうつ伏せになって精根尽きたような姿勢になっています。
「お疲れのところ悪いんだけど、まだ半分しか終わってないのよね」
「ふえぇ……はん、ぶん……?」
あ、駄目ねこれ。声が蕩けきってる。
私が何を言ったのかもきっと理解出来てないわ。
ちらっと私の方を見ていますが、その表情には普段のような覇気がありません。
身体中にじっとりと汗を掻いており、むわっとした女の匂いが部屋中に広がっています。
いつもは凜としていた瞳の目尻が垂れ下がっていて、焦点もどこかぼやけています。唇は半開きになっていて、夢見心地です。
「あっ……」
なので仕方ないとばかりに、こちらで勝手に彼女の身体を表に返しました。
「あとは、こっち」
「あ、あああぁっ……!?」
ルキアさんの控えめなおっぱいを掴みました。
うんうん、やはりちょっと控え目よね。桃と比較しても、どうにも物足りないっていうか……
でもその分だけ、逆にイケないことをしてるみたいで興奮するわ! まだ肉付きの薄い子供を相手にしているみたいで!!
腰回りは引き締まっているし、オイルが流れていったことでお腹周りの陰影もはっきり浮かび上がってきたの。
おかげでうっすらとした腹筋が見えて、それがまた魅力的に映るのよね……
「ん……は……あ……っ……! せ、んせい……どうして……?」
「んー? ああ、これは特別サービスよ」
「とく、べ……ああっ!」
おっぱいは小ぶりでボリュームも少なくて、ちょっと指を強く押し込むだけで底まで到達しちゃうんだけど……
でもその分だけ形は良いというか、体型にマッチした均整の取れたサイズね。
控えめな盛り上がりがふるふると震えて、先っぽも小さくて可愛いの。薄桜が小さな自己主張をしているってところかしら?
「さっきも言ったけれど、阿散井君と恋仲になったでしょう? その時に、もう少しくらい大きくても……って思ったことはないかしら?」
「え、あ……きゃ、んんんっ!」
手のひらを余すところなく使って、ゆっくりと胸全体をほぐしていきます。下から上へと、揉み上げるようにしていくと、ルキアさんが身悶えするように身体をくねらせます。
「そ、そんな……こ……んん~~っ!!」
全身を引き攣らせながら、意地を張るように否定の声を上げてきました。
「本当かしら? でもこれはね、大きさを上げるだけじゃなくて形を整えて血流を良くする効果もあるから、もうちょっとだけガマンガマンね?」
「も、うちょっ……無理! 無理です先生っ! む……りいいぃっ!!」
仕上げとばかりに胸全体をすっぽりと包み込み、指でむにゅっと掴みます。さらには手の平で胸の頂を擦るように動かすと、ルキアさんの口から一際甲高い声が上がりました。
「どうせだからこっちもね」
「ひぃぃぃんっ!」
胸から片手を離して、下腹の辺りをねっとりと撫でてあげます。
具体的にいうと赤ちゃんのための部屋ですね。
はい、こっちも刺激してあげますよ。元気な子供が産まれますように。
「だめっ! だめです……! そちらは、本当に……! よく、わからな……あ、ああっ!」
と、ルキアさんの声が限界直前まで上がったところで手を止めました。
「はい、これでおしまい。どうだった?」
「は……ふあぁ……お、わり……?」
寝ぼけ眼でありながらどこか物足りなさげな欲望を奥に宿らせた瞳で、彼女はこちらを見てきます。
「ええ、終わりよ。お疲れ様」
「あ、あの……」
「ベタついて気持ち悪いでしょう? お風呂で汗と一緒に流すといいわよ」
「おつかれ、さまです……」
私の言葉を聞き、がっかりと肩を落としました。
なんでかしらね?
よく分からないけれど、多分きっと阿散井君が解消してくれるんじゃないかしら? 後でこっそり誘ってみたらいいんじゃない?
そのまま機敏という言葉とは正反対な、のろのろとした所作でルキアさんはゆっくりと身体を起こしていきます。
脱いだ襦袢を再び纏おうとすると、隣の部屋からお付きの侍女が出てきました。
「ルキア様、それは私がいたしますので」
名前は……なんだったかしら……? 聞いた覚えがないのよね。
とにかく侍女の子はさっと出てくると手早くルキアさんに襦袢を着せると、どこか頼りない様子の彼女をすっと支えました。
「では、失礼いたします。ルキア様を湯殿へと案内いたしますので」
「お願いしますね。私は先に大部屋に戻っておきますから」
連れ立って出て行く二人を見送り、さて部屋の中をもう一度見渡します。
「あらら、お布団がびしょびしょね」
わざとらしくそう呟きました。
さきほどまでルキアさんが寝ていた布団には彼女のぬくもりと、それと彼女の身体から流れ出た液体がたっぷりと染みこんでいます。
汗とオイルが人の形をうっすらと浮かび上がらせていて。
あと足の付け根の部分に……濃いシミが……
………………
射干玉……これ、吸い取れる?
『ひゃっっっはああああぁぁっ!! お任せ下され!! ご褒美でござるよ!!』
数分後。
そこには染み一つ無い綺麗なシーツがありました。
「そ、その……遅くなりました……」
私が大部屋に戻ってから、さらにたっぷり四十分くらいは経ったでしょうか。ルキアさんがようやくやって来ました。
「まあ、ルキア。お疲れ様」
「わあ! 朽木さん元気になったね!」
「そ、そうだろうか……? 自分では今ひとつ、よく分からなくて……」
遅れてやって来たルキアさんを、全員が取り囲んで歓迎します。
真っ先に話題に上がるのは、当然ですが彼女の顔色について。ですが皆さんの言葉を聞くに、全員高評価ですね。
よかったよかった、私もたっぷりとマッサージした甲斐がありました。
「おお、朽木! よかった、どうやらもうすっかり良くなったようだな」
「そうだねえ。というか、なんだか以前よりも美人になったような……どう、
「京楽……お前、俺の前で……」
「硬いこと言わないの。ほら、僕と同じ事を思ってる子がいるみたいだよ」
お猪口を片手に軽く顎で視線を促した先には、いつの間にやら阿散井君がルキアさんと真正面から向き合っていました。
「ルキア……」
「恋次、その……ど、どこか変だろうか……?」
ルキアさんが顔を真っ赤にして、ちょっと視線を逸らしました。
すると阿散井君は彼女の肩を掴んで自分の方へと強引に向き直らせます。
「いや、そんなことねえよ! 惚れ直したぜ……すげえ、美人になった……」
「れ、恋次……お主……ば、ばか……もの……て、てれるではないか……」
一瞬にして二人の世界が出来上がりました。
あらら、耐性のない一護とか顔を真っ赤にしてる。
織姫さんや石田君なんかも似たような反応ね。
逆に清音さんなんかはキャーキャー言いながら、それでも一瞬たりとも目を離すことなく凝視してます。
「ルキア……」
「恋次……」
二人の距離が少しずつ縮まって――
「んっ! んんんんんっ!!!!」
「「……ッ!」」
――いくと思ったら、白哉がもの凄く大きな声で、わざとらしい咳払いをしました。
その声に反応して大慌てで離れましたが、時既に遅し。
二人は今日の宴席中ずっと、からかわれ続けていました。
まあ、格好のネタになっちゃうわよね。
●ちよ(ルキアの部屋付き侍女)
隣の部屋で最初からスタンバってました! 興奮しました!