お前は天に立て、私は頂をこの手に掴む   作:にせラビア

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第175話 さよなら尸魂界

 アッという間に一日は過ぎて、とうとう一護たちが現世に帰る日となりました。

 彼らの為に正式な穿界門(せんかいもん)も用意されました。霊子変換器も組み込んであるので、生身でも出入り自由の高性能な一品です。

 そして門の周囲には、一護たち現世に帰る組は当然として、それ以外にも彼らの見送りの為に多くの死神が集まっていました。

 

「じゃあな、一護君」

「現世でもしっかりやれよ。あと、一心にもよろしくな」

「今度会うときは、もう少し強くなっておけよ。じゃねえと少し斬り合いが愉しめねえ」

「お、おう……」

 

 そんな感じのやり取りをしているのは、一護たちです。

 お世話になった十三番隊と十一番隊の面々、それに志波家やら朽木家の人たちも集まっています。

 一番大人数ですね、流石は主人公です。関わった人の数が多いこと多いこと。

 ……更木副隊長はいつも通りですね。

 

 

 

「泰虎、友を大切にするのだぞ」

「左陣……」

 

 こっちは茶渡君です。

 狛村隊長と射場副隊長が来ていますね。

 そういえば彼は、流魂街に知り合いがいたらしいんですが、どうやらその相手もここまで来ることは出来なかったようです。

 

『隊長格が集まっているものの、門を通って逃げられる可能性もありますからなぁ……!! 流魂街と瀞霊廷とを隔てる壁は、未だ厚く硬いでござるよ!!』

 

 でも昨日のうちに挨拶は済ませたみたいよ。

 

「ありがとう。そちらも、上手く行くことを願っている……」

「ああ、すまぬな……」

 

 これは多分、東仙のことよね?

 仲良かったみたいだから、また肩を並べて一緒に戦えるように祈っている――そんな感じでしょうか。

 

「それと……出来ればまた、五郎の散歩がしたいな……」

「……ッ! あ、ああ! 任せておけ! いつ来ても構わぬぞ!」

 

 五郎って、七番隊で飼ってる犬のことですよね? 私ももふもふしたことがあります。

 

 ……え!? また!? 今"また"って言ったわよね!?

 ということは最低でも一回は、散歩をしているのよね!? それも話の流れから察するに狛村隊長と茶渡君の二人で!?

 

 うわぁ……見たかった、その光景すっごく見たかったわぁ……

 射場副隊長がうんうんと神妙に頷いているのがまた、雰囲気を出していました。

 

 

 

「あ……あの、お洋服ありがとうございました」

「ああ、いや……大したことじゃないよ」

 

 そして石田君なんですが、勇音がお礼を言っています。

 勇音だけじゃなくて、四番隊の女性隊士たちもちょっとだけ集まっています。仕事の都合でここに来られたのは数名だけなんですけどね。

 

 滅却師(クインシー)だからと、あまり積極的に関わってこなかった石田君ですが……なんだかちょっとホッとしました。

 ぼっちになるところだったわね。

 

『ですが、洋服を作ったという利害関係が無かったら結局集まらなかった気がするでござるよ? 詰まるところ、これはお店とお客の関係、仕事上の付き合いでしかないのでは!?』

 

 ……うん、まあ……でもいいんじゃないの? 滅却師(クインシー)だし。

 

 

 

 そして最後に。

 

「織姫さん! また遊びに来てね!」

「桃さん! うん……うんきっと!!」

 

 この二人、本当に仲良くなったわね。

 でも、気軽に遊びに行ったり来たりしちゃうのも、それはそれで問題なんだけど……出来れば遠慮して欲しいわ。

 それと、石田君のところにいた四番隊の子たちはこっちにも参加しています。というよりも、織姫さん(こっち)が本命で石田君(あっち)はついでっぽいのよね。

 

 

 

 ……ととと、いけないいけない。

 みんなのお別れのシーンを見ている場合じゃないわね。

 私も、次のための伏線を張りに動かなきゃ!

 

『確かにそうなのでござるが……言い方ァ!! でござるよ藍俚(あいり)殿ェ……』

 

 しらなーい。だって本当のことだもん♪

 さてまずは、一護の方から。

 

「じゃあ私からはこれを、黒崎君に」

「これ……手紙ですか?」

 

 ちょうど浮竹隊長が死神代行戦闘許可証を手渡していたところでした。

 そこに後から追加するようにして、私は手紙を渡します。

 

「ええ、そうよ。君が現世に戻った後でもしも『黒髪三つ編みで眼鏡を掛けてて、関西弁を喋る、真面目そうで性格も厳しそうな学級委員長みたいな雰囲気の子』に出会ったら『私から』って言って、渡して欲しいの」

「なんだそりゃ!? ってか、そんな相手なら結構いそうなんだが……名前とかは知らないのか?」

「相手の名前は"矢胴丸 リサ"よ。忘れないように一応、手紙の表題にも書いてあるから」

「やどうまる……りさ……? 知らねぇ名前だなぁ……」

「お、おい湯川! その名前は……!!」

 

 浮竹隊長が名前を聞いた途端、激しく反応をしました。

 まあ、仕方ないわよね。

 本当なら百年前に(ホロウ)になって処理されたとされる死神の名前なんだもの。

 一護みたいな相手に名前を出しただけでも、色々と問題があるのも当然よね。

 

「私は生きているって――きっとどこかにいるって信じてるの。それに、可能性があるとすれば黒崎君が一番ありそうだからね」

「し、しかしだな……」

「少なくとも、死神代行戦闘許可証より幾らかは役に立つはずよ。アレは法律としてきっちり明文化されていないから、知らない死神の方が多いでしょうし……」

 

 死神代行関連については何年か前に急遽制定された掟――というよりも「こうやって対応しましょう」ということを明記したマニュアルみたいな物だから。

 制定時には私も霊術院講師を辞めた後だし、多分教えてないわよね。

 

「何より代行証(それ)は――」

「すまないが、そこまでにしてくれないか。俺もいっぱいいっぱいなんだ。頼む!」

 

 あらら、頭をさげられちゃいました。

 代行証って確か、万が一のための監視アイテムでもあったから……

 

 ああ、そういうことなのね!

 面と向かって代行証については説明出来ないから、遠回しに気付かせようとしている――そんなところかしらね。

 となると、言い方をちょっと変えて……

 

「――代行証(それ)を出して、ダメだったら浮竹隊長や私の名前を出して対話を試みる、くらいはできるはずよ。ちょっと便利なお守り、くらいに考えておいて」

「お守りねぇ……まあ、代行証(これ)手紙(これ)も、どっちも確かに受け取ったぜ! 手紙(こっち)の方は、渡せるか自信はねえけどな……」

 

 ちょっと一悶着あったけれど、まずこっちの方はこれで終了。

 一護がちょっと手紙を見たまま「関西弁、学級委員長っぽい……うーん……」と首を傾げています。

 

 ……やっぱり、平子隊長宛にすべきだったかしら……でも、あの中で一番仲が良かった相手はリサだし、彼女宛の手紙にするのが一番自然よね、きっと……

 

『やはり、むっつりスケベという特徴も教えておくべきだったのでは……?』

 

 一見するとスケベ(そう)とは見えないから、あの子はちょっと厄介なのよね……

 

 

 

 さて、次は織姫さんです。

 

「織姫さんには、これを渡しておくわね」

「ありがとうございます……え、あれ……? これって、携帯電話……ですか……?」

「ああっ! 先生それ、伝令神機じゃないですか! しかも新型! いいなぁ……」

 

 伝令神機を渡したところ、隣にいた桃の方が良い反応をしてくれました。

 

「伝令神機……? それって確か、死神のみんなが使っている……」

「そう。現世の子の認識としては、携帯電話で問題ないわ。わかりやすくいうと、尸魂界(こっち)現世(そっち)で通話もメールも出来るの。これで、桃と離れても寂しくないでしょう?」

 

 あえて説明しませんでしたが、居場所を探せる発信器のような機能も付いています。

 でもGPSとかあるからそれほど珍しい機能でもないわよね。

 

「ええええっ!! で、でもこんなの、貰えませんよぉ! それに、料金だって……」

「ああ、料金なら私が払うから大丈夫よ」

「ええええええぇぇっ!?」

 

 ココだけ聞くと、まるで織姫さんに首輪を付けているみたいね。

 

『目に見えぬ電子の――もとい、霊子の鎖でござるな!!』

 

「うわぁ、織姫さんいいなぁ……ねっ、ねっ! 早速番号交換しようよ!! いいですよね、先生!」

「勿論よ。ついでに使い方も教えてあげて」

「はい! あのね、まずはここを……次に……――」

 

 うきうきしながら桃がレクチャーを始めました。

 でもまあ、若い子だから使い方なんて教えなくてもすぐに理解するでしょう。

 操作方法も簡単になってることだし。

 

『cd ero_gazou_folder2002

ls -l

mkdir backup_20020825

cp yukawa_airi_erogazou_20020825_072.jpg backup_20020825

eog --fullscreen backup_20020825/yukawa_airi_erogazou_20020825_072.jpg』

 

 そうそう、昔はパソコンもCUIでそんな感じだったから……って、UNIX!?

 あとコマンド適当すぎでしょう! もっとちゃんと整理しなさい!! 階層とかもちゃんと考えて!!

 ……って、なにこの画像! いつこんなの撮ったのよ!!

 

 

 

「じゃあな、みんな!!」

 

 とあれ、一護たちは現世へと戻っていきました。

 ……あれ? なにか忘れているような……??

 

「夜一様! 夜一様がいないっ!?」

「どうしたの砕蜂? 夜一さんなら、一護たちの案内をするって一緒に穿界門(せんかいもん)に入っていたけれど……」

「えええっ!! に、逃げられました……」

 

 門の向こう側を凝視しながら、彼女はがっかりと肩を落とします。

 

「かくなる上は私も! 後を追って現世に!!」

「ちょ、ちょっと! やめて、落ち着きなさい!!」

 

 今にも門へと飛び込もうとする砕蜂を羽交い締めにしながら、必死で説得しました。

 

 その日の夜には「織姫さんから『無事に家に帰りました』と知らせが来ました!」と騒いでいる桃が可愛かったです。

 




UNIXのコマンド、間違っていたらごめんなさい。
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