「オウ、一護。待っとったで」
「平子!?」
夜半に起きた"代行証ってすごい"事件の翌日。
一護が登校するなり、まるでそれを待ち受けていたかのように平子が姿を見せた。
「お前、昨日は結局なんだったんだよ? 湯川さんが隊長だってことに驚いてたかと思えば、今度は
「しゃあないねん!! てか、突然あんなん聞かされたら誰でも驚くわボケェッ!!」
予備知識の差が如実に出た瞬間であった。
平子真子、朝から渾身のツッコミである。
「……まあ、それはもうどうでもええねん」
「いや、明らかに"どうでもいい"状態じゃねえ――」
「どうでもええねん!!」
「お、おう……」
ぜいぜいと肩で二、三度息を整えてから、平子はようやく本題を切り出した。
「昨日の挨拶で理解できた思うが、オレは
「……ん? 同類……?」
記憶が刺激され、連想ゲームのようにある言葉を思い出す。
「ひょっとして、湯川さんが言ってた現世の当てってのはお前のことなのか!?」
「……はぁ!?」
「なんだ、違うのか?
「ちょぉぉぉっ! もう堪忍したってや!! こっちの段取り全部パーやないかい!! どないすんねんコレ!!」
昨夜からツッコミ入れまくりの平子であった。
「お、おいどこ行くんだよ……」
「……早退」
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
「……あァ!? なんだお前ら?」
そして
「……井上。話した通り、有沢をつれて退がってくれ……」
「うん……無理しないでね、茶渡君……」
ヤミーの言葉に返事をすることはなく、二人は事前の打ち合わせ通りに行動することを再度確認する。というより、そう口に出さなければ忘れてしまいそうだったからだ。
二人とも、対峙したヤミーの霊圧に気圧されかけていた。
目の前の相手は明らかな実力者――それも、格上の相手だと一目で分かる。
ましてや攻撃を受けた茶渡からすれば、その実力は文字通り肌を通して伝わってくる。
「ウルキオラ! こいつか!?」
「そうだな……当たらずとも遠からずといったところだ。だが、潰して問題はない」
「へえ、そうかい! なら――」
――来る!
ウルキオラの評価にヤミーは嬉々として拳を振り上げ、思い切り振り下ろした。
だがチャドも黙ってやられはしない。
時間こそ短いものの、
狛村左陣という、良き理解者と過ごした時間は。
湯川
伊達ではない。
「おおおおおっっ!!」
迫り来る拳に向け、異形と化した己が右腕をアッパーカットのように振り上げる。
拳と拳――それらには霊圧が込められている――が激突し合い、周囲には衝撃波のような波紋が走った。
「ぐおっ!?」
「くっ……」
ヤミーと茶渡、二人とも衝突の反動により二人とも弾き飛ばされて体勢を崩す。
「なんだぁ、オイ! 当たりじゃねえかウルキオラ!!」
「言ったはずだぞ、ヤミー。当たらずとも遠からず、だとな」
歯ごたえのある相手の出現に喜ぶヤミーであったが、ウルキオラの評価は変わらずのままだ。
弾かれたヤミーの拳は、多少の傷がついただけ。
対して茶渡の腕には、罅のような裂傷が数本走っている。
相打ち――と呼ぶには、少々厳しい結果だ。
なるほど「ゴミではないが、当たらずとも遠からず」という評価も頷けるものだと、ヤミーは理解する。
「精々が、
「双天帰盾! 孤天斬盾! 私は、拒絶する!」
高笑いの隙を狙い、織姫が盾舜六花の能力を発動させる。
椿鬼は狙い澄ましたようにヤミーへと突き進み、そして――
「あん? 何だこりゃ、蝿か? うおっ!?」
――叩き潰そうとしたその手をかいくぐり、逆に相手の腕へ一筋の傷を刻んでみせた。
「や、やった……!」
「チッ! だがこんなもん――」
椿鬼が付けた傷は、ヤミーからすれば軽く引っかかれた程度。怪我と呼ぶのもおこがましいものだ。
だが、その一撃に注意が逸れたのもまた事実である。
椿鬼による攻撃で注意を引きつけ、同時に発動させた舜桜とあやめで茶渡の傷を癒やす。
織姫は一度に三人を操り、二つの事を同時にやってのけた。
「後は任せろ! 井上!!」
「コイツ、腕が……!?」
その意図を、茶渡もまた正確に理解する。
ダメージはあるが、まだ治療が必要な程の傷でもない。なのに織姫が傷を癒やしたのは、茶渡に全力を出させるため。
万全の状態でなければ、相手にダメージを与えるのは困難だと判断したからだ。
「うおおおっ!」
「ぐおっ!」
全力で放たれた拳は顔面に深々と突き刺さると、そのまま殴り抜かれた。
強烈な一撃を頭部に叩き込まれ、そのままヤミーはどうと倒れる。
右腕から伝わってくる感触に手応えと、想像以上の堅さに対する驚きを同時に感じつつも、だが効果はあったと確信していた。
少なくともこれなら、簡単に立ち上がることは出来ないはずだ。
「はぁ……はぁ……」
「あ~……痛ってぇ……クソがッ!!」
「なっ……!」
――相手が人間ならば。
「クソがッ! ガキがッ!!」
頬は衝撃で真っ赤に膨れ上がり、鼻や口の端からは血が流れ出ている。
視界の半分も、おそらくだがまともに見えてはいないだろう。
だがそれでもヤミーは立ち上がる。
口汚く罵り声を上げ、全身から激怒を迸らせながら。
「もう構いやしねぇっ!! まとめて消し飛べええええぇぇっ!!」
「マズい!」
「三天結盾! 私は拒絶――きゃああああぁっ!!」
大口を開け、全力の
反応した二人はそれぞれ防御を試みるが、その全てを無視したかのような膨大な霊圧の奔流が二人を飲み込んでいった。
「……チッ、まだ生きてやがる。本当にしぶてぇな!!」
光と土煙が晴れた後、そこには倒れる二人の姿が確認出来た。
だが大怪我を負いつつもなんとか立ち上がろうとしているその様子に、ヤミーは舌打ちしつつトドメを刺そうとする。
「テメエ!! チャドと井上に何してやがる!!」
そこへ、黒崎一護が乱入すると同時にヤミーへと奇襲を仕掛けた。
怒り染まる彼の心は、不思議と内なる
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
――二日後。
黒崎一護は塞ぎ込んでいた。
先日現れた
そして肝心の
せっかく内なる
周囲の尽力もあって、織姫と茶渡は半日ほどで支障ない程度には快復したのが救いだが、一護の心を慰めるまでには至らなかった。
いっそ、平子真子が口にしていた
織姫から伝令神機を借りて
いやそれよりも――今ひとつ不得意ではあるが――自分で霊圧を探って見つけ出す方が良いだろうか?
どこか冴えきらぬ頭でそんなことを考えていたときだ。
「どこの教室だっけか?」
「えっと、メモによるとだね……」
「一年三組だよ、忘れちゃった?」
「おっ、流石だな。頼りになるじゃねえか」
「それより霊圧を探れば見つけられるんじゃないかな?」
「いや、俺コレ入るの初めてで、なんか上手く行かなくて……」
「そういえば霊術院時代からずっと、霊圧のコントロールとか下手だったよね」
「そういえばそうだったね。それにこの建物、霊術院を思い出してなんだか懐かしい……」
「けどよ。この服、窮屈過ぎねえか?」
「じゃあ僕たちみたいに裾を出せばいいのに」
「馬鹿言え! んなことしたら腰ヒモに木刀差せねえじゃねえか!!」
「いやその……木刀も本当は駄目って先生が言ってましたよ……」
「法律とか条例とかで、怒られるそうですよ」
「イミわかんねえよ! なんだよそれ!!」
「いやいや、こっちの世界に迷惑掛けるのは駄目ですってば!」
「……ん?」
教室のドアの外からどこか懐かしさを感じるような声が聞こえ、一護がなんとなくそちらを向いた時だ。
「おーっす! 元気か一護!」
「れ……恋次! 一角! 吉良! 弓親! 雛森さん!」
扉が開き、そこから現れた懐かしい顔ぶれに一護は度肝を抜かれる。
そして――
「……ルキア」
「……久しぶりだな、一護」
恋次たちがいたことから、もしかしたらと思っていた相手――朽木ルキアの存在に、一護は思わず表情を緩ませた。
「よっ! なーに辛気くせえツラしてんだよ」
「かっ、海燕さん!?」
かと思えば、即座に引き締まった。
さて、一護側はこんなもんで。
次は死神側の描写を。
●学校で再度驚かされた後の平子
平子「なんか、藍俚ちゃんが全部バラしとる。オレらの事もバレとるで……」
ひよ里「はぁ!! 嘘やろ!? ……てか、それなら手間ぁ掛からんでええやん。とっとと黒崎一護を連れて来いやボケぇッ!!」
●先遣隊メンバー
志波海燕・阿散井恋次・朽木ルキア・雛森桃・吉良イヅル・斑目一角・綾瀬川弓親
これだと、志波先遣隊です。
(恋次も副隊長だけど、年期の差で海燕がリーダーに(阿散井副隊長)
あと、原作の日番谷(隊長)がいないので、人数で戦力バランスを整える)
(……勢いで海燕さん入れたけれど、大丈夫かな? ま、なんとかなるだろ)
●十番隊の二人は?
詳細は次回。
●原作のこの辺の日程(自分の認識)との摺り合わせ
9月1日:新学期
9月2日:一護が車谷と会ったり平子の仮面を見たり、一心が死神になったり
9月3日:ウルキオラとヤミーが来る
9月9日:日番谷先遣隊とグリムジョーたちが現世に来る
ヤミーらが来たのが、9月3日の放課後。
そして劇中の「織姫が5日も学校を休んだ」という千鶴の台詞。
よって4・5・6・7・8日の5日間休んで、9月9日に登校したと推測。
(登校した日はまずシロちゃんたちが、夜にグリムジョーたちが来ることに)
上記原作の日程を踏まえた上で。
・三日程度とはいえ鍛えているので、織姫とチャドが善戦&復活も早い
・
・
(同期の仲間も上司もいるからルキアも安心)
●この後
一護「そういやなんでルキアも海燕さんも、窓から登場してるんスか?」
海燕「あ? そういう物だって朽木から聞いたんだが……違うのか?」
一護「いや、窓からは入らないですって……常識で考えて」
海燕「……朽木?」
ルキア「(びくっ!)……いや、その……登場シーンには気を遣うものだと……」