お前は天に立て、私は頂をこの手に掴む   作:にせラビア

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第219話 砂埃対策にはマントがいいらしい

 浦原から連絡が来ていました。

 一護たちが虚圏(ウェコムンド)に行ったそうです。

 

 なんでこんな夜中に出発するのよ!! 親に隠れて夜遊びする高校生か!!

 

 ……高校生だったわ。

 

 まったくもう……夜一さんの愚痴に付き合わされて、気付くのに結構遅れちゃったわね……ってこれ、私にしか送信してないし!

 私が気付かなかったらどうするつもりなのよ浦原ァ!!

 

『気付いたから問題なしでござるな!!』

 

 そういう結果オーライ理論嫌い……

 

 ああっ! でも気付いたからには総隊長に報告しないと!!

 先遣隊の皆にも連絡を……

 

 そうだ桃ッ!! 夜だけど起きてるかしら? 体調は回復してるだろうけれど全快には遠いはずよね!? 本人の意思確認と主治医(わたし)の許可次第だけど多分「行く」って言うわよね……となると主治医(わたし)の判断次第かぁ……駄目そうだったら伊江村三席を代わりに行かせておこうかしら……

 

『やることいっぱいでござるな!!』

 

「誰か!! 誰か起きてる子はいる!? 一番隊に緊急連絡!! それと六番隊と十三番隊にも! イヅル君と桃も呼んで!!」

 

 ああもうっ! 夜中じゃなければもう少し楽だったのに!!

 

 

 

 

 

 

 というわけで。

 

 夜勤の子たちに手伝ってもらい、大慌てで各所に連絡を付けました。

 出発する元先遣隊のみんなには集まってもらっています。

 眠い中、ごめんね。

 

 総隊長には伝令神機で報告をしておきました。それと、援軍のみんなを先行で出発させる許可も既に頂いています。

 なので今、まさに出発直前なのです。

 

 集まっているみんなは、初めての虚圏(ウェコムンド)に緊張しているらしく、辺りを漂う雰囲気がピリピリしています。

 

「こんな夜中に出発するたぁ……一護の奴、親に隠れて夜遊びするんじゃねえんだからよ」

 

 海燕さん、それもう私が突っ込み入れましたから。

 

「桃、本当に大丈夫なの?」

「大丈夫、です……」

 

 そしてこの場には桃の姿もあります。

 最終確認とばかりに尋ねれば、決意に満ちた強い瞳で頷きました。

 

「私が、私のせいで織姫さんが……だから……絶対に行かなくちゃならないんです!!」

「気持ちは分かるけれどね」

 

 ですが身体は正直です。

 そこそこ回復していますが顔色は普段と比べると白いですし、立ち振る舞いも少々精細さを欠いています。

 全体的に覇気が今ひとつ感じられないというか、目を離した隙に意識を失って倒れてしまいそうな危うさが漂って来ているの。

 

「イヅル君、負担が増えるのを承知で言うんだけど……」

「先生……はい、わかっています」

「…………」

 

 視線を動かし言葉少なく頼めば、それだけで理解してくれたようで。イヅル君は深々と頷いてくれました。

 桃も、自分の体調のことは分かっているのでしょう。

 同僚に負担を強いらねばならぬことに忸怩たる想いを抱えてか、無言で下唇を噛んでいます。

 

「それと、海燕さん。これも持って行ってください」

「これは……?」

「治療や霊圧補充に使う薬です。突貫作業で仕上げました」

 

 出発の時間が近づいて来ました。

 なので、リーダー役の海燕さんに袋を渡します。

 

虚圏(ウェコムンド)で何があるか分かりませんし、黒崎君たちはこういう薬を持ってないでしょうから多めに入れています。使い方は……わかるわよね?」

「「はいっ!!」」

 

 桃とイヅル君、二人揃って頼りになる返事をしてくれました。

 

「ということです。何かあったら二人から説明を受けて下さい」

「おう……すまねえな、何から何まで……」

「お気になさらずに」

 

 こっちの都合でもあるからね。

 それにどうせ、ルキアさんや阿散井君は黙って行っちゃったし。この様子だと海燕さんも間違いなく一緒に行ってたと思うもの。

 だったら、公的に扱って堂々と支援できるようにしちゃった方がよっぽどマシよね。

 

「んじゃ、行ってくるぜ!」

「お気を付けて!」

 

 ということで、海燕さんたちは出発しました。

 

 

 

 

 

 

 さて、次は私の番――というか隊長たちの番……なのですが……

 

「まだか!?」

「もう少し待って貰えますかねぇ……」

 

 現在、浦原の調整待ちの真っ最中です。

 てっきりこのまま一気に出発して暴れられると思っていたのか、出鼻をくじかれて更木副隊長がカリカリしています。

 さっきから数分ごとに「まだか!?」って大声を出しています。

 

 というのも黒腔(ガルガンタ)がまだ安定していないんですよ。

 一護や海燕さんらは通せましたが、隊長格を通すのにはまだ不安定らしくて……というか……

 

「いやぁ……更木さんの霊圧がですね……なかなかどうして難しくって……」

「いいから早くなんとかしやがれ!!」

「全く、段取りが悪い男だネ」

「だったら手伝ってくれてもいいんスよ涅サン」

 

 ああ、そっかぁ……更木副隊長の霊圧、原作よりもとんでもないことになってますもんね……

 下手すると霊圧の暴発で黒腔(ガルガンタ)が内側から破壊されるとかもあるんでしょうか? もしもそうなったら……

 

『異次元にひとりぼっちでござるな!! ですが藍俚(あいり)殿!! 拙者はずっと一緒でござるよ!!』

 

 そうね、ありがとうね。

 

「まだか!?」

 

 結局待つしかないのよね……

 

 

 

 時間は掛かりましたが、やっと開通しました。

 霊子を固めた道を大急ぎで駆け抜け、一気に虚圏(ウェコムンド)まで出ます。

 

「ここが、虚圏(ウェコムンド)……なんて場所なのかしら……」

 

 トンネルを抜けるとそこは真っ白な砂漠だった――なんてね。

 

 知識としては知ってましたが、実際に見るとなんとも圧倒される世界よね。

 一面真っ白な砂漠のような世界に、石英の樹木らしきものがあちこちに生えています。

 

 勿論、虚夜宮(ラス・ノーチェス)も目視出来ます。

 

『ところで拙者の虚夜宮(ラス・ノーチェス)を見てくれ。コイツをどう思う?』

 

 すごく……大きいです……って何を言わせるのよ!!

 

 でも大きいのは本当なのよね。

 距離感がおかしくなるって誰かが言ってたけれど、本当に……

 これ、大きさ可笑しいわよ!? 虚圏(ウェコムンド)の何処にいても見えるんじゃないかしら……?

 

『自撮りするときとか、場所に相当気を遣う必要がありそうでござるな』

 

 ああ……一部しか映らないと見栄えが悪いもんね。

 

 そういえば……狩能さん、まだ生きてるのかしら?

 生存は多分無理だろうけれど、せめて遺品くらいは持ち帰ってあげたいわよね……探す暇があればいいんだけど……

 

「ホホウ、なんとも霊子濃度の濃い場所だネ!! これは面白い!!」

 

 涅隊長は本当に、どこでも変わらないわねぇ……

 ネムさんも無言で何やら機械を取り出して……アレは霊子の採集とかしてるのかしら?

 

「へへへ……戦いの匂いがあちこちからしやがる……おい、お前ら急ぐぞ!!」

「まったく、忙しないことだネ」

 

 更木副隊長の言葉に従い、私たちは先を急ぎました。

 




やっと虚圏まで行ったわ……

●この辺の時間軸について
夜に、一護たちが浦原の手を借りて虚圏へ行く

たたき起こされて機嫌が悪い十刃たちが描写されている
(あと藍染の「おはよう」もあるので。朝の4時とかそのくらい?)

「ルキアたちが消えました」の報告の際、青空が描かれている
(報告の際は朝の7時とか辺り?)

この描写を見るに、黒腔(ガルガンタ)の移動って結構な時間が掛かるのかな?

……あ、そうか。
チャドが遅いのか。瞬歩(しゅんぽ)飛廉脚(ひれんきゃく)も無いし。

他にも、
・一護の時は1回目。
・ルキアらの時は2回目。
・剣ちゃんたちの時は3回目。

データが増えるから、浦原の技術がどんどん洗練されていく。
移動に掛かる時間が短くなるし、黒腔(ガルガンタ)を抜けた先も良い感じの場所になる。そういった理由が付けられる。
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