お前は天に立て、私は頂をこの手に掴む   作:にせラビア

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第230話 一刀両断

「オラぁっ!!」

「ぐ……っ……!!」

 

 ノイトラの一撃に、泰虎の右腕――巨人の右腕(ブラソ・デレチャ・デ・ヒガンテ)はついに粉々に砕け散った。

 感覚としては、土器や陶器などに鈍器を思い切り叩き付けた様なものだろうか。腕に巻き付いていた鎧から無数の破片が舞い上がり、虚夜宮(ラス・ノーチェス)の一部を、赤黒く染めていく。

 その光景にノイトラは、三日月のように口唇を釣り上げた。

 

「ぐあああぁぁっ!!」

「ハッ! その面倒な腕もようやく壊れたみてえだな!!」

 

 泰虎の苦痛の悲鳴も合わさって、ノイトラの笑みはますます深いものへと変わる。

 巨人の右腕(ブラソ・デレチャ・デ・ヒガンテ)悪魔の左腕(ブラソ・イスキエルダ・デル・ディアブロ)も、泰虎の皮膚を媒介として発動する能力だ。

 その鎧が破壊されるということは、本体の腕へ直接ダメージを負うということになる。

 

 戦闘を開始してからこの瞬間まで、ノイトラの強烈な攻撃を幾度となく攻撃を受け止め続けた右腕には何本もの太い亀裂と無数の細かな罅が刻まれ、そして先の一撃でついに破壊されてしまった。

 

「これで右も左も終わりだな、黒いの? 次はなんだ、頭か? 兜でも被んのか?」

 

 左腕――悪魔の左腕(ブラソ・イスキエルダ・デル・ディアブロ)は、既に破壊されている。

 攻撃の起点となる左腕を破壊され、それでもなお右腕一本で戦い続ける。それだけでも賞賛に値するだろう。

 だが泰虎が両腕を犠牲にしてもなお、ノイトラを倒すには至らなかった。

 両腕や胸に腹、顔面などへダメージを与えており、痛みに顔を顰めてはいるもののそこまでが限界だ。

 

 それほどまでにノイトラの鋼皮(イエロ)は硬い。

 殴った方の腕が壊れるほどに。

 傷だらけとなった右腕を、同じく傷だらけの左腕で庇うように抑えながら、それを嫌というほど実感させられていた。

 

「まあ、そんなモンあったらとっくに使ってらぁな!!」

「ぐおおおおおっ!!」

 

 長柄を一振りして、泰虎の身体が切り裂かれる。

 

「茶渡君!!」

「…………」

「くっ!」

 

 泰虎の悲鳴の声にイヅルの注意が一瞬途切れた。

 その瞬間、髑髏頭の兵士が数体ほど襲いかかってくる。

 無表情にして無言、感情の一切を見せず一直線に襲いかかってくる髑髏の兵士たちの動きを慌てて目で追いながら、大きく距離を取る。

 

「砕けろ!」

 

 その空間へ少し遅れて、テスラが体当たりを仕掛けてきた。

 帰刃(レスレクシオン)によって姿を変えた今のテスラは見上げるほどの巨体を誇っており、只の突撃や腕を振り回すだけでも十分驚異となりえるだけの戦闘力を有している。

 

 とはいえ、それだけならば良い。

 イヅルならば一人でも対処できるはずなのだ。

 

「…………」

「「「…………」」」

「またこれか!」

 

 髑髏兵士の一人が、何やら腕を振り指示を出すような動きを見せれば、同じ髑髏兵士が即応してイヅルへと襲いかかっていく。

 反撃に転じ、切り飛ばしたくなる衝動をグッと飲み込みながら、イヅルは距離を取る。

 そこを――

 

「むんっ!」

 

 ――テスラの攻撃が通り過ぎていく。

 

 その攻撃は、髑髏兵士たちが巻き添えとなることを一切躊躇していなかった。勢いよく振り回される豪腕に、二体ほど纏めて髑髏兵士が吹き飛ばされる。

 ゴキ、ベキ、と折れ砕ける鈍い音を立てて吹き飛ばされながら、けれどもその兵士二人は何の痛痒も感じていないとばかりに立ち上がる。

 

「はぁ……はぁ……」

「ちっ……だが、速度も随分と落ちてきた。そろそろ、か?」

 

 その光景を、イヅルは横目で睨むことしかできなかった。

 額には汗の玉がびっしりと浮かんでいるものの拭い去る気力すら沸かず、荒い呼吸を必死で整えようとしているだけだ。

 テスラの独白を耳にしながらも、言い返す労力すら惜しい。

 先ほどからこれ(・・)の繰り返しなのだ。辟易もし尽くすといったところか。

 

 同じ仲間であるはずの髑髏兵士を囮として襲いかからせ、イヅルが隙を見せた瞬間をテスラが叩く。仲間が巻き込まれようとも気にせず全力にて叩く。

 これが敵の取った戦術だった。

 

 イヅルは知らないことだが、この髑髏兵士たちはルドボーンの髑髏兵団(ガラベラス)という能力によって生み出された者たちである。

 生み出された兵士たちは皆、ルドボーンの忠実な矛となり盾となる。

 あたかもチェス盤上の駒たちの如く、恐れも痛みも知らずに王の命令を遂行し続ける忠実にして愚直な兵士たち。

 その特性を最大限に有効活用しているに過ぎない。

 

 ならば王の駒――ルドボーン本体を叩けば良いかと言えば、それも難しい。

 そもそもテスラがそれを許すはずもなく、加えて現在ルドボーンの姿はこの場に無い。

 

 戦闘の序盤こそ、ルドボーン本体が駒たちを指揮してテスラとの連携を取っていたが、やがて彼は倒れたガンテンバインを採取して姿を消してしまった。

 現在は彼の代わりとばかりに一体の兵士が指揮を引き継いでおり、拙いながらも連携は継続している。

 

 ならば鬼道などで大規模攻撃を仕掛けて兵士たちを殲滅すればよいのだが、相手もその弱点は分かっており、妙な動きを見せた瞬間にテスラが邪魔をしてくる。

 基本は髑髏兵団(ガラベラス)を囮として襲いかからせ、テスラが先んじて動いた時だけは兵士たちは動きを止める。

 ルーチンワークのような戦いではあるものの効果は絶大らしく、イヅルはじわじわと追い込まれていた。

 そうしている間にも泰虎が不利になっていくのを感じ取り、けれどそれに注意を向けすぎれば襲いかかってくる髑髏兵団(ガラベラス)とテスラの対処に遅れてしまうため、気の休まる暇すらない。

 

 付け加えるならば、姿を消したルドボーンの存在もイヅルを焦らせる。

 侵入者の採取も命じられていると言っていた者が姿を消したということは、近くに誰か別の捕獲対象を見つけて、そちらを優先したということだ。

 

 それが誰なのか――同じく倒された三桁(トレス・シフラス)の誰かを回収しにいったのか、それとも仲間の死神の誰かが負けてしまったのか……

 悪い想像が、イヅルの心からじわじわと余裕を奪っていく。

 

「…………」

「「「…………」」」

 

 再び髑髏兵団(ガラベラス)の囮攻撃が開始された。

 「技量差で蹴散らしてやりたい」という気持ちを抑え込んで、狙いも動きも馬鹿正直過ぎる攻撃を避けて次の攻撃へ備えようとして、気付いた。

 

 攻撃が来ないのだ。

 

「おお、なかなか面白そうな相手じゃねえか!!」

 

 続いて背後から声が聞こえてきた。

 野性味の溢れる、凶暴な獣を連想させるようなこの声にはイヅルも聞き覚えがある。

 

「更木、副隊長……」

 

 慌てて後ろを向き、そして安堵していた。

 こと戦いに関してならば、更木剣八は他の追随を許さない。

 

 そして何より。

 彼が来ているということは、敬愛する隊長が来ていることの証明でもあるのだ。

 

 ……まあ、その意中のお相手は今頃チルッチの下着の色とか説明している頃なのだが……知らぬが仏、見るは目の毒というアレである。

 

 

 

 

 

 

 

「あん……? ちっ! なんだ、まだ斬り合いの最中かよ。わりいな、続けてくれや」

 

 イヅルの想いに反して、剣八は周囲を見回すと近くに転がっていた瓦礫の上へどっかりと腰を下ろした。

 背中にくっついていたのだろう、その隣にやちるも腰を下ろすと剣八を見上げながら首を捻る。

 

「剣ちゃん、いいの? どっちも強そうだよ?」

「馬鹿言ってんじゃねえ、まだどっちも戦えるだろうがよ。斬り合ってみてえが、まだだ」

「そっか、ちゃんとガマン出来るんだね! 剣ちゃん、えらいえらい」

 

 まだ戦える、という言葉に四人は耳を疑った。

 劣勢とはいえイヅルはまだわかるが、泰虎は違う。

 両腕をズタズタにされ、胴体にも斬撃を受けている。どう見ても戦闘継続など不可能だ。

 

「けどよ」

 

 奇異の視線を向けられながら、剣八は呟く。

 その背後から、髑髏兵団(ガラベラス)たちが迫る。

 新手の存在を驚異と判断したのだろう、指揮官役を含めた全ての兵士たちを攻撃へと差し向けていることからもその警戒度が伝わる。

 

「向かってくる奴は、別腹だ」

 

 気付けば、剣八は斬魄刀を引き抜いていた。

 周囲へ迫っていた髑髏兵団(ガラベラス)はその全てが粉々に吹き飛ばされていることから、反撃したということは理解出来る。それもおそらくは座ったままで。

 けれど、その瞬間が見えなかった。

 長尺の斬魄刀をいつ引き抜いたのか、どうやって攻撃したのかを認識できない。

 

「……」

 

 剣八が動き終えたと理解した途端、ノイトラは地面に指を突き刺した。

 これは捜指法(インディセ・ラダール)という技であり、霊圧を電流の様に相手へ流し込むことで力量を計ることが出来る。

 

「…………な、に……っ!!」

 

 大量の冷や汗が一瞬にして吹き出ていた。

 霊圧を通して伝わってきた情報は、相手の実力が己よりも格上だと告げている。

 髑髏兵団(ガラベラス)を一蹴した異質さも相まって、ノイトラはもちろんテスラも動くことを忘れていた。

 

「ざ、更木副隊長! 茶渡君がこのままだと危険なんです!! だからどうか……」

「なんだ、手ぇ出してよかったのか? なら、もっと早くに言えってんだ。おかげで詰まらねえ斬り合いをしちまったじゃねえか」

 

 髑髏の兵士たちを一振りでなぎ払う様を見て再起動したイヅルが懇願するれば、それを聞いた剣八は獣のように笑いながら立ち上がった。

「随分と諦めがはええんだな……」という言葉を呟きながら。

 

「てめえ、なんか変なモンくっ付けられてんな? オイ、四番隊の! てめえの仕業か!?」

 

 ノイトラへと狙いを定め近寄る途中、違和感を感じ取り叫ぶ。

 

「は、はい! 僕の能力です! 重くしてます!!」

「なるほど、藍俚(あいり)の奴の部下だけあって面倒な能力持ってんだな。けど外せ! んなもん付けてたら斬り合いが愉しめねえだろうが!!」

「え……」

 

 一瞬、何を言っているのかイヅルは理解出来なかった。

 確かに重さは、逆に武器として利用される危険もある。だがそれでも、手に馴染んだ得意武器が重く扱い難いというのは、戦いにおいてはアドバンテージとなるはずだ。

 それをわざわざ解除しろという思考が、彼には理解できない――理解は出来ないが、それでも言葉に従い能力は解除している。

 

「気、をつけてくれ……そいつの、ノイトラの皮膚は鉄よりも固い……」

「あー……聞いちまったじゃねえか」

 

 青色吐息になりながらも告げる泰虎の言葉にも、剣八は似た反応を見せた。

 抜き身の斬魄刀を肩で担いだまま、空いた手で軽く耳を掻きながら詰まらなそうな表情を浮かべる。

 

「そういうことを知っちまうと、いまいち純粋に愉しめねえんだ……けどよっ!!」

「…………!!」

「なるほど、評判通りに良い手応えだぜ!」

 

 一瞬にして移動し、袈裟懸けに剣を走らせたのだろう。ノイトラが視線を下へと向ければ、そこには剣八の斬魄刀があった。

 だがその刃は胸元で止まっており、被害といえば薄く皮が斬れ血がうっすら滲み出ている程度。

 そこまで認識したところで、腹の底から哄笑を上げた。

 

「は、はは……ハハハハハッ!! 大した剣の腕だ、それは認めてやるよ!! だがな、俺の鋼皮(イエロ)は歴代全十刃(エスパーダ)最高硬度だ!! てめえら死神の剣で斬れるわけが無えんだよ!!」

「……これは……」

 

 それは聞きようによっては、己へと言い聞かせているようだった。

 

 霊圧を測定し、自分よりも格上と察した相手。

 だが格上の相手でありながらも、自らの鋼皮(イエロ)を突破することが出来なかった。その事実を依り代に自らの精神を再構築しているような――剣八は無言で聞き流しているだけだったが、イヅルはどこかそんな印象を感じていた。

 

「満足したか? オラ、ノイトラっ()ったか? 次はてめえの番だ」 

「俺の番、だと……?」

 

 笑い声が止むまで待ってから、剣八はようやく口を開く。

 

「てめえ、舐めてんのか!! それとも『先に手を出したから対等に』みてえな、そんなクソみてえな理屈でもほざいてんのか!?」

「ちげえよ、そうじゃねえ。刀剣解放(レスレクシオン)だったか? アレで来いって言ってんだよ。じゃなきゃ面白くねえって言ってんだ」

「あぁっ!?」

「てめえの硬さ、憶えちまったからな。次は確実にぶった斬るぜ? それとももっと硬くなれんのか? だったら面白えんだが、ただ硬いだけじゃ斬り合いもつまらねえんだよ」

「~~~~ッ!!」

 

 一方的な物言いにギリギリと音を立てながら歯噛みする。

 要約してしまえば「お前と戦っても本気を出さなければ面白くない」といっているのだ。それを聞き流せるほど、ノイトラは丸い性格をしていない。

 情けを掛けられているように感じられ、脳の血管が何本もまとめてブチ切れそうなほど激昂する。

 

「死ねよ! 死神いいいいっ!!」

「はっ!」

 

 感情に身を任せ、長柄を両手持ちにて全力で叩き付ける。

 その攻撃を剣八は斬魄刀にて受け止めると、ノイトラへ向けてニヤリと笑う。

 

「やりづれえか? なら、俺からやってやるよ! 呑め、野晒!!」

「お、おおおおおおおおおっっ!?!? 祈れ! 聖哭螳蜋(サンタテレサ)!!」

 

 まずは始解が、それに少しだけ遅れて帰刃(レスレクシオン)が、それぞれ発動する

 

 剣八の手には肩に担いでなお余るほど巨大な斧のような形状へと変じた斬魄刀が握られ――

 

「うおおおっ!!」

「ははははっ! やりゃあできるんじゃねえか!! 良い霊圧だ!! 勿体ぶってんじゃねえよ!!」

「黙れええええええぇぇぇっ!!」

 

 手にした戦斧でノイトラの攻撃を受け止め、その一撃の重さに満足そうに笑う。

 その反応すら苛立ちを感じながら、残る五本の腕でノイトラはさらに追撃を仕掛ける。

 

 解放したノイトラは、三対六本の腕が生えた姿になっていた。

 その六本全ての手に巨大な大鎌を携えながら、けれども重さを感じさせない程に軽々と、かつ縦横無尽に超重量級の武器を操っていく。

 

「良いじゃねえか良いじゃねえか! こんだけの武器を振り回せるやつなんざ、尸魂界(ソウルソサエティ)にもそういやしねえ!! 俺の知ってるやつはどいつもこいつも両腕だけだからよ!!」

 

 その六本の攻撃を斧一本で受けきりながら、剣八は歓喜の声を上げる。

 新鮮で、実に楽しい戦い。もっと時間を掛けて、斬り合いをしたい。そんな想いが身体中を駆け巡る。

 

「ああ勿体ねえ!! 始めたくねえな!! けど、そう言うわけにもいかねえ!! なんせ俺は副隊長だからな!! 下っ端はいつまでも遊んじゃいられねえんだ!!」

「何を――」

「ノイトラ様あああああぁぁっ!!」

「おらああああぁっ!!」

 

 剣八は野晒を振りかぶり――

 

「言って――」

 

 ――振るう。

 

 六本の腕と大鎌全てを防御へと使ったのは、本能的な行動だった。

 無骨な刃が迫り来るのを感知し、無意識に全力防御を選択する。

 何を勘違いしたのか、従属官(フラシオン)のテスラが割り込んでくる。

 ノイトラが認識できたのは、そこまでだった。

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様、剣ちゃん。たのしかった?」

「ああ。見てみろ、これ」

 

 やちるの言葉に剣八は笑いながら頷くと、顎をしゃくって肩に担いだ野晒の刀身――その一点を指し示す。

 

「ああーっ! なにこれーっ!!」

「この程度にゃ、強えやつだったってこった」

 

 やちるは思わず悲鳴を上げていた。

 野晒の刀身、その一部分が僅かではあるものの欠け落ちていたからだ。

 剣術や鬼道、斬魄刀の能力を用いて防ぐのではなく、純粋な防御力だけで受け止め、僅かとはいえども野晒の刃を欠けさせる。

 そんな、単純な力比べのような実力を持った相手と斬り合えたことに、剣八は満足していた。

 

「……畜生、勿体ねえ!! やっぱりもう少しだけ斬り合っておくべきだったか!? 次にやりあう時にゃ、あいつ絶対にもっと強くなってやがったはずなのによ!! いや待て、藍俚(あいり)!! お前ならまだ治せんだろ!?」

「剣ちゃん忘れちゃった? あいりんは一緒じゃないよ」

 

 ――前言撤回。未練たらたらだったようだ。

 

「あー、そうだったな。ならそこの四番隊! てめえならどうだ!! 治せるか!?」

「僕ですか!? む、無理ですあれはさすがに……!!」

 

 急に水を向けられ、泰虎の治療に回っていたイヅルは大慌てで首を何度も横に振る。

 あれは仮に隊長であっても治せないだろうと、心の中で呟きながら。

 

 ノイトラは半分だけだった。

 

 振りかぶった斧を、やや斜めに振り下ろす。

 その一撃は彼の上半身を切り裂き吹き飛ばすほどの威力を誇っていた。

 主の身の危険を感じてが割り込んだテスラを含め、二人の破面(アランカル)を纏めて切り裂いてなお防ぎきれぬほどの一撃。

 残ったのは二人分の下半身だけだ。

 奇跡的にバランスが保たれているのか、両脚だけのノイトラは地に立ったまま。

 テスラの場合は対照的に不安定な体勢だったため、大きく吹き飛んで転がっていった。

 

 そして上半身は――どこかへ吹き飛ばされたのか、それとも粉々に吹き飛んだのか。行方は、この場の誰も知らない。

 

「ちっ! 今から藍俚(あいり)を呼んで間に合うか……?」

 

 一縷の望みを賭けるように、剣八は藍俚(あいり)の霊圧を探す。

 彼女を見つけ、ノイトラを蘇生させて、再戦できないものかと、淡い期待を胸に抱きながら。

 やがて藍俚(あいり)の霊圧を感じ取り、そして面食らった。

 

「へえ、アイツが自分から剣を抜きやがった。珍しいこともあるもんだ」

 

 霊圧から感じ取れたのは、歓喜にも似た感覚だった。

 目的地は分からないものの、闘志と闘気をむき出しにしながらどこかへ向かって突き進んでいるのだけは分かる。

 丁度、剣八が斬り合いへ向かう時に近く、それだけに藍俚(あいり)の感情が手に取るように分かる。

 

「どうする剣ちゃん、あいりんの所に行く?」

「……いや、止めだ。こんだけ愉しそうな藍俚(あいり)を邪魔するような、無粋な真似はしねえよ」

 

 斬魄刀を始解前の状態へと戻し、明後日の方向を向きながら剣八は呟いた。

 

「あーあ、それにしても勿体なかったぜ」

 

 

 

 

 その独白は風に乗り、首だけとなった破面(アランカル)の元まで届いていた。

 




●ノイトラ(ノイ / トラ)
斬られて倒れる前に息絶えるどころの騒ぎじゃない。
(でも、野晒を刃毀れさせたから頑張った)

●テスラと髑髏兵団
囮攻撃からの、テスラが仲間ごと範囲攻撃でドーン!
テスラの能力(身体能力超強化)を活かすなら、こういう感じかなぁ?

どうせ囮はポコポコ産めるし、同士討ちも命令だから怖がらず遂行してくれる。
(ルドボーンいなくても指揮が執れるのか? と疑念ですが「一体くらい、指揮能力の高い個体もいるだろ」と妄想)

●ルドボーンの行動
「この戦い長引きそうだな」って思い、先にガンテンバインを回収した。
その後チルッチが負けたことに気付き、部下を残して回収へ向かった。
(指揮を部下の一体に引き継がせている)

(その先で変態四番隊長と遭遇。
 ビビって逃げる)
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