お前は天に立て、私は頂をこの手に掴む   作:にせラビア

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第234話 斬魄刀、二本 ★

「悪いな、グリムジョー! こっからは、小細工抜きで行くぜ!!」

「……!?」

 

 瓦礫の山の中から勢いよく立ち上がる海燕の姿に、グリムジョーは違和感を憶えた。

 決して細かな怪我を負っているだとか、血を流しているといったことではなく、もっと何か大きな部分が違う。

 そう感じた一秒後、気付いた。

 

「おい……なんだそりゃ?」

「へへ、いいだろ。羨ましいか? でも欲しいって言っても、絶対(ぜってぇ)にやらねえぞ?」

「いるかっ! ……いや、そうじゃねえ! てめえ――」

 

 海燕の両手を睨み付けながら、グリムジョーは吼える。

 

「――あの薙刀はどうした!? どうして斬魄刀を二本も持ってやがる!?」

「……へっ。運命の再会、ってとこだよ。ついでだ、てめえも祝ってくれよ」

「ふざけるなああぁぁっ!!」

 

 問いかけには答えず、にやりと笑うだけの姿に、グリムジョーは獰猛な表情をますます強くし、怒気を漲らせた。

 感情をむき出しにして斬り掛かってきた一撃を、海燕は二本の斬魄刀を十字に交差させて受け止める。

 

(あせ)ぇんだよ!!」

「ぐお……っ……!」

 

 だが三本の斬魄刀が拮抗していたのは、ほんの一瞬のことだった。

 受け止められたのも構わずにグリムジョーは右腕へさらに力を込めると、受け止めていた二本の刀を力任せに弾き飛ばした。

 力任せに吹き飛ばされ、海燕の体勢が思わず崩れる。

 

「そこだっ!」

「ぐ……っ……!」

「チッ!」

 

 さらに追い打ちとばかりに自由な左手で顔面へ殴りかかるものの、海燕は首を捻ってその一撃をなんとか躱す。 

 拳が頬を掠め、顔へ吹き付ける風を切る感触から威力が想像出来てしまい、思わず口からうめき声が零れ落ちる。

 

「だが、まだ終わりじゃねえ!!」

「へへ……だろうな!!」

 

 空振りに終わった左拳の勢いを利用し、グリムジョーは回転しつつ再び斬撃を繰り出す。

 遠心力が加わった横薙ぎの攻撃に対して、海燕は左腕を合わせる。一本を防御に回して受け止め、もう一本でカウンターを狙う算段だ。

 

(ぬり)ぃ!!」

「うお……っっ!! あぶねぇ……!!」

 

 だがその目論見は一瞬で崩れ去った。

 防御へ回した左腕に強烈な衝撃が襲い掛かり、手首に強烈な痛みが走る。攻撃を受け止めきれず、それどころか押し負けた刃が自分へと襲いかかるのを慌てて右手の刀で押しとどめつつ、後ろへ大きく跳躍して衝撃を受け流すことで難を逃れる。

 

「ちっくしょう! やっぱ隊長みたいにゃ、上手く行かねえもんだな!!」

 

 少しだけ距離が離れたことで心も余裕を取り戻したのだろう。

 息を吐きながら愚痴を零す。

 

「どうした志波!? 刀が二本ありゃ強えのか!? そう考えてんだったら、ガッカリだぜ!!」

「うるせぇな!」

 

 二刀流の死神といえば、浮竹と京楽の両隊長が真っ先に思い浮かぶだろう。

 それは御多分に漏れず、海燕も同じだった。

 ましてや彼は浮竹の部下である。隊長である浮竹の戦い方は良く目にしている。

 先ほどの一連の攻防は浮竹を真似てのことだったのだが、どうやらそう簡単に事は運ばなかったようだ。

 

 右利きの海燕にとって、左腕の一本だけでグリムジョーの攻撃を受け止めるというのは、この時点では至難の業だったらしい。

 そもそも二刀流と、一本の刀を左右それぞれの腕で操れるとでは、全く異なる。

 筋力や刀の操り方一つを取っても、全く別の技術が必要になってくる。

 よってこの結果は当然、有り体に言ってしまえば「二刀流で戦うには訓練が足りない」というわけだ。

 

 見ると聞くとは大違いならぬ、見るとやるとでは大違い――といったところだろうか。

 

「……まてよ、隊長の戦い方か……だったら、こんなのはどうだ!?」

 

 そこまで痛感したところで、一つ思い出す。

 通用する保証はどこにもないが、やらないよりはマシだろうと考えると、二刀の斬魄刀それぞれの切っ先を合わせ、刀身に霊圧の刃を形成していく。

 

「破道の七十九! 斬華輪(ざんげりん)!!」

 

 これは浮竹や京楽が取る戦術の一つだった。

 本来ならば一刀にて放つはずの鬼道を二刀にて放つことで、術の範囲と威力を高める――当然消費する霊圧の量や難易度も上がるが、そのリスクを補って余る程度には利点がある。

 

 合わせた二刀をそれぞれ左右へ勢いよく広げ、霊圧の刃を放つ。

 

「いけぇっ!」

「はっ! この程度かよ!!」

 

 勢い良く放たれた霊圧の刃を、グリムジョーは片手に霊圧を込めて受け止めた。

 

「……チッ!」

 

 そして、その予想外の威力に軽く舌を打つ。

 握り潰し、力の差を見せてやろう思っていただけに、この威力は予想外だった。

 

 グリムジョーにとって、志波海燕の斬魄刀は一振り――金剛だけだ。始解することで薙刀へと形状が変化して、圧縮を操る能力を持つ。

 これまでの戦いと集まった情報から、そう知っている。

 そんな相手が突然、二刀流――それも慣れぬ無様な戦い方を晒すとなれば、侮辱されているのだと考えてしまっても、仕方ないだろう。

 

 邪魔な片方をへし折ってでも、一本に戻してやる。

 一刀だけの志波海燕を倒さねば、意味がない。

 

 そう考えていただけに、斬華輪の威力には良い意味で驚かされ、思わず動きが止まる。

 叩き潰そうにも鬼道によって生み出された霊圧の刃は未だ勢いが衰えず、対応を誤れば肉体に深く食い込みそうなほどだ。

 

「まだ終わりじゃねえぞ!!」

 

 鬼道を放つと同時に、海燕本人もまた飛び掛かっていた。

 足を止めたグリムジョーの虚を突くように二振りの刃を器用に操ると、すれ違い様に彼の身体へ二筋の傷跡を刻みつける。

 

「はっ!! ようやくらしくなってきたじゃねえか!!」

「何がだっ!!」

 

 薄く刻まれた二条の線を思わず視線で追ったかと思えば、グリムジョーはニヤリと犬歯をむき出しにしながら笑う。

 未だ満足――納得出来るほどではないものの、動きが熟れて来ているのがわかる。

 

 これだ、こうでなくてはならない。

 歓喜のあまり、彼は左手を強く握り締めた。斬華輪による霊圧の刃が掌に食い込み、肉を突き破り骨にまで刺さるが、そんな痛みなど気にならない。

 

「けどよ、まだだ! まだ足らねぇ!!」

 

 膂力と霊圧の圧力にて左手に食い込んだ刃を粉々に握り潰すと、少し離れた海燕へ肉薄すると斬魄刀を叩き付ける。

 海燕は、今度は手慣れた右側の刃にてその攻撃をどうにか受け流しつつ、左手の刃を攻撃のために振るう。

 刃先はグリムジョーの脇腹に食い込むと、浅く切り裂いた。

 

「よっしゃ!」

「何がそんなに嬉しいんだ、あぁ!?」

 

 今回は上手くいった、と思うもグリムジョーの動きは止まらない。

 受け流されようが構わずに、彼は右側の刃を血に塗れた左手で掴み取ると、万力のような力で刀身を握り締めると、そのまま捻り上げる。

 

「しまっ……――」

 

 手の中で回転する柄の動きに握力が耐えきれず、海燕の手から斬魄刀がすっぽ抜けた。

 その結果にグリムジョーは微かに眉尻を下げる。

 

「失せろ!!」

 

 ダメ押しとばかりに、中空に飛んだ斬魄刀を蹴り上げる。

 空の上へと登っていく斬魄刀の姿に、海燕は思わず叫んでいた。

 

「――金剛!!」

「これで邪魔な一本が消えたな……はっ! あっちが正解かよ! 紛らわしいったらありゃしねえ!!」

「……あん?」

 

 グリムジョーは詰まらなそうに溜息を吐き出した。

 ようやく刀を一本に戻したかと思えば、弾き飛ばしたのはそれまで海燕が握っていた金剛だったのだ。グリムジョーからすれば徒労以外の何物でもない。

 当然、その言動が逆鱗を撫でる等しい行為だということにも気付くことはない。

 

「……訂正しろよ、グリムジョー!」

「……何がだ?」

 

 重ねて言うが、彼の知る志波海燕は"金剛を手にした姿"だけである。

 故に彼は理解出来ない。

 海燕の中で、怒りの感情が沸々と湧き上がっているのかを。

 

「水天逆巻け、捩花ァッ!!」

 

 解号を唱えると同時に、左手に持っていた斬魄刀が三叉槍へと変化する。グリムジョーからすれば予想外のその現象に、彼は目を見開いた。

 

「なんだァ!? そっちも始解出来んのかよ!!」

「ったりめえだ!! 捩花は元々、俺が持ってた斬魄刀だ!! 使いこなせるに決まってンだろうが!!」

 

 海燕は自然な動作にて捩花を両手で握ると、流れるような動きで攻撃を仕掛ける。

 その戦い振りは、金剛を手にしていた時とまるで変わらない――いや、むしろより洗練された動きにすら見えた。

 

「元々、だと……!? なるほどな、(どお)りで始解しねえわけだ」

 

 連続して放たれる突きを躱しながら、思わず納得した。

 動きの良さもそうだが、二刀流にて戦うという戦法を選んだことについてもだ。

 薙刀と三叉槍、どちらも両手で操る長柄の武器である。始解させてしまっては、片腕で扱える代物ではない。であれば、二刀流というのもまたやり方のひとつではある。

 

「甘えッ!」

「な……ッ!? 水流だと!! くっ……!!」

 

 薙ぎ払うように振るわれた三叉槍を斬魄刀にて反射的に受け止めた瞬間、海燕が叫んだ。

 それに一拍だけ遅れて、受け止めた側のグリムジョーも気付く。三叉槍の動きに追従するようにして、流水が尾を引くように襲いかかってきた。

 紙一枚ほどの厚みも持たないはずのその水が、空気を切り裂きながら押し寄せてくるのが本能的に理解出来た。

 背筋に僅かな恐怖を感じながらも、グリムジョーは全身から霊圧を放ってその一撃を堪える。

 

「どうだグリムジョー、ハズレ扱いしていた斬魄刀に苦戦する気分はよ?」

「……なるほど。その斬魄刀、カス扱いしていたことだけは訂正してやるよ」

 

 ダメージこそないものの、薄皮が切り裂かれた事実に思わず吐き捨てながら返答する。

 

 なるほど、金剛を持っていた時とは別の意味で厄介だ。

 武器の形状こそ似通っているものの、能力はまるで違う――正反対とすら言える。

 能力が異なれば、戦い方もまた違ってくる。となれば、グリムジョーが今まで想定していた海燕への対抗策もまた事情が変わってくる。

 まずは志波海燕を叩き潰し、続いて黒崎一護とのケリも付けようと考えていただけに、この状況は想定外だ。

 

「……仕方ねえ……」

 

 ギリリと不本意そうに奥歯を噛みしめると、グリムジョーは自らの斬魄刀の刀身を自ら握り締め――

 

(きし)れ、豹王(パンテラ)アァァッ!!!」

 

 ――滑らせる。途端、彼の姿は豹を擬人化したようなそれへと変貌していた。

 

 

 

 

 

 

「ありゃ、現世で見た……!!」

「ああ、そうだ。解放だ。黒崎()時に、テメエも見てたよな? なら、わかんだろ?」

 

 帰刃(レスレクシオン)したグリムジョーの姿と、対峙して初めて感じられる霊圧の強大さに、海燕は思わず息を呑む。

 そんな海燕の内心を知ってか知らずか、グリムジョーは平然と言葉を口にしながら――

 

「なっ!! 消え……っ!?」

「もう俺にゃあ、勝てねえんだよ!!」

 

 ――掻き消えたような速度で海燕まで肉薄すると、爪撃を放つ。

 

「ぐおおっ! くそっ、無事か捩花!!」

 

 辛うじて防げたのは、これまでの戦いによる経験則でしかなかった。

 消えたと認識できた瞬間、海燕は捩花を構えて防御姿勢を取っていた。そこへグリムジョーの爪が襲いかかった。

 偶然にも受け止められたものの、その衝撃は柄がへし折れそうになるほどだった。思わず斬魄刀へと声を掛けてしまうほどに。

 

「死ねよッ!!」

「く……ッ!!」

 

 だが敵の追撃は止まらない。

 辛うじて残像が見える程度の速度から繰り出される攻撃を、海燕は必死で防ぐ。

 

 ――くそっ! 攻撃が見えねえ! 金剛がありゃ……!

 

「せめて軽減くれぇ(くらい)は出来たってのによっ!!」

「どうした志波ァ! もう泣き言かよ!?」

「誰がッ! いい加減、目も慣れて来てんだよ!!」

 

 一瞬だけ見えた攻撃に合わせて、海燕もまた槍撃を放った。大量の波濤が巻き上がり、グリムジョーへと襲いかかる。

 

「効かねえな」

「な……にッ……!!」

 

 圧し砕かんと迫る大量の流水が、その両腕の爪にて全て切り裂かれた。一つの流れとなっていたはずの水が瞬時にバラバラになり、無害な只の水滴へと変化させられてしまう。

 無論、それだけで終わるはずもない。

 

「ぐおおおっ!!」

 

 グリムジョーは攻撃を仕掛けていたのだ。捩花に邪魔されて多少なりとも相殺されたものの、その威力は未だ健在。

 海燕の胸元には、五爪による裂傷が深々と刻みつけられていた。

 

「な……ろぉっっ!!」

 

 襲いかかる激痛に苦しめられ、捩花を取り落としそうになるのを必死に堪えながらも再度槍を振るう。地に向いた穂先を振り上げながら能力にて水を操り、間歇泉のように巨大な水の柱を生み出す。

 

「なんの真似だそりゃ?」

「はっ……さて、な……」

 

 仕切り直しの意味を込めての一撃だったが、あわよくばという淡い期待もあっただけに海燕は軽く肩を落とす。

 スコールを思わせるような無数の水滴が降り注ぐ中、グリムジョーが水霧の中から悠然と姿を現した。

 どうやら先ほどの一撃は完全に空振りだったようだ。

 傷らしい傷は何も負っておらず、ギラギラと剣呑な瞳を輝かせながら海燕を睨んでいる。

 

 ――どうしたもんかね……

 

 独特な構えを再度取って戦意を見せながら、頭をフル回転させていた。

 各隊長たちが遅れてやってくるのはわかっている。ならば援軍の到着を待ってから、死神としての確実な勝利を掴むのが最も確実なのだろう。

 それは理解できるのだが――

 

「……あん?」

「……? うおっ!?」

 

 そこまで考えていたところで、グリムジョーが不意に視線を上げた。

 予期せぬ動きに、視線を切るのが目的かと判断して警戒を一層強くしたところ、目の前を何かが通り過ぎた。

 鼻先を掠める程の近くを通ったそれを海燕は反射的に目で追い、そして気付いた。

 

「こ、金剛……?」

 

 その正体は、少し前にグリムジョーに弾き飛ばされた斬魄刀だった。それがどういうわけか、海燕の目の前へ落ちてきて地に突き刺さっている。

 不可解な出来事に理解が追い付かず、思わず首を傾げた。

 

 ――捩花、協力を了承した私が言い出すのも筋違いかと思いますが……もう十分でしょう? そろそろ限界ですよ?

 

 ――……ま、仕方ねえか……

 

「よっ、海燕。さっきぶりだな」

「おいおい、またかよ……」

 

 脳裏に響くのは、つい先ほども聞いた声。

 再び現れた捩花の姿に、海燕は溜息を吐き出すと思わずジト目で睨む。

 

「さっきぶりだな、じゃねえよ。今度は何の用だ?」

「申し訳ありません。まずは謝罪と、それから説明もさせていただきます」

 

 続いて金剛が現れたかと思えば、彼女は開口一番に頭を下げる。

 

「説明……って、何がだよ?」

「捩花の我が儘に、私が協力したことです」

「……はぁ!?」

 

 精神世界に、素っ頓狂な声が響いた。

 

「いや、我が儘って……一体何がどういうことだよ?」

「一言でいうなら、嫉妬ですよ。捩花は海燕の手から何十年も離れていましたからね。もう少しだけ、頼って欲しかった――自分だけを使って欲しかったんですよ」

「……フン」

 

 金剛が横目で睨めば、捩花は腕組みをして視線を逸らして鼻を鳴らす。

 

「私も気持ちはわかるので、少々協力をしたのですが……あのグリムジョーという破面(アランカル)のせいで、まさかこんなことになるとは思わず……申し訳ありませんでした」

「だから、お前をちゃんと引き寄せてやっただろうが!」

「あら? 私は自分の能力で海燕のところまで戻っただけですが……?」

「おい待て待て待て! 喧嘩すんな!!」

 

 何やら剣呑な雰囲気が漂ってきたところを、海燕が二人の間に割り込む。

 両手をバタバタと、空気を攪拌させるように振って場の主導権を握ると、軽く額を抑えながら尋ねる。

 

「えーっとだな……つまり、どういうことだ? 俺は捩花だけを使えば良かったってことか?」

「概ね、それで正解です」

「いやわかんねぇって……なら、ちゃんと説明してくれよ……」

「まあ! 心外ですね、私はちゃんと言いましたよ……『"今は"意地っ張りな斬魄刀を迎え上げてください』と……」

「わかるかっ!! それで通じるわけねえだろうがっ!!」

 

 片手で口元を隠しながら「よよよ」と涙を流すようなポーズを見せる金剛へ、内心「コイツ、こんな性格だったか?」と思いながら大声でツッコミを入れる。

 

「くそっ……てっきり、両方の斬魄刀を使えって意味だとばかり……二本とも始解させちゃ満足に戦えねえってわかってたから、二刀流でどうにかしようとしていた俺が馬鹿みてえじゃねえか……」

「……いや、その経験も決して無駄じゃねえんだよ」

 

 半目でブツブツと呪詛のように呟く海燕へ、捩花はそれまでのどこかふて腐れた態度から一転して真面目な顔つきを見せる。

 

「何しろ俺も金剛も、ちょっとだけワケありでな。そろそろ限界なんだわ」

「都から海燕の手に渡った私と、長い間(ホロウ)の手元にあった捩花が出会ったわけですから」

「限界って……まさか、消えるとかじゃねえだろうな……!?」

 

 ハッと最悪の事態を想定し、思わず青ざめた表情を見せる海燕であったが、だが二人の斬魄刀は揃って首を横に振るった。

 

 ――いいえ、そういうわけではありません

 

 ――ただ少しだけ、俺たちの在り方が変わるだけだ。だからそうなる前に、もう一度だけお前と一緒に、戦いたかったんだ……すまねえな、ワガママに付き合わせちまって……

 

「お……おいっ! 捩花、金剛……お前らの、声が……」

 

 少しずつ遠くなっていく声。

 

 少しずつ薄れていく姿。

 

 その全てが"別れ"を連想させてしまい、不安が膨れ上がっていく。

 

 

 

 ――いいか、一度しか言わねえから良く聞けよ。俺の……

 

 

 

 ――私の……

 

 

 

 

 

 

 ――名前は……!!

 

 

 

 

 

 

「――……ったくよぉ。こんなの引っ張る様なもんでもねえだろうが」

「あん?」

「捩花、お前本当に面倒な性格してんな。アーロニーロのところで、根性ねじ曲がったんじゃねえのか?」

 

 構えを続けたまま、突然げんなりとした言葉を吐き出す海燕にグリムジョーは怪訝な表情を見せる。

 だが海燕はそんな視線を受けたまま、足下に突き刺さった斬魄刀を引き抜いた。

 

「悪いなグリムジョー……解放までさせといてなんだけどよ、今回は俺の勝ちだ」

「……!?」

 

 三叉槍と刀。

 それぞれを左右の手でしっかりと握り締めると、おもむろにそれらを打ち合わせ叫ぶ。

 

「行くぞ捩花、金剛!! 卍解!! 金剛宝杵(こんごうほうしょ)天沼矛(あめのぬぼこ)!!」

 

 霊圧の嵐が吹き荒れた。

 




(もう海燕さんが主役で)いいんじゃないかと思うの……

始解飛び越してイキナリ卍解した斬魄刀(小説版)だってあるし
持ち主の実力は十分だから具象化と屈服をすっ飛ばしたって良いと思うの。

(本当はさっさと卍解までさせる予定だったのに)
離ればなれになっていたから、お別れだから、
寂しくって、ちょっとワガママ言っちゃう捩花。
(気がついたら文字数多くなってました)


――と、反省したところで。

なんと、支援絵という物を頂戴してしまいました。
こんな素敵なこともあるんですね。

挿絵表示
ノノフ様から戴きました、藍俚(あいり)殿です。
(重ねてになりますが、大変ありがとうございます)

(こういう支援絵を戴いた時には、タイトルをそれっぽくして分かり易くするのが暗黙の了解(?)ので、今回★がついています)
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