今、
近くまで来た時点で、ハリベルら
せっかく協力体制までこぎ着けたのに、襲われては誤解が生じますからね。
事前にきちんと説明をして、待って貰う了承を得てから、塔へと近づきました。
ちなみに桃は未だに背負ったままです。
さて肝心の塔ですが。
近寄っただけで内部と周辺、それぞれから戦いの気配が強烈に漂ってきました。
内部からの気配はおそらく、黒崎君とウルキオラが織姫さんを賭けて戦っている物でしょうね。
そして周辺の気配は――
「ちっ! つまんねえのに数ばっかりいやがる!」
「まったく……厄介な相手だよ!」
「蛇尾丸!!」
「オオオオオオッ!!」
浮竹隊長、更木副隊長、阿散井君に茶渡君もいるわね。
四人が相手にしているのは、無数の
そのほぼ全員が人間の髑髏のような物を被っていますね。髑髏頭の背後には、まるで骨で樹木を組み上げたのような姿に
……あら? この霊圧って、私がチルッチの元へ向かった時にいたあの
『(何度も訂正して大変申し訳ございませんが、
とにかく。
あの部隊たちの姿がありますし、
それら
霊圧の流れから察するに、根から周囲の霊子を吸い上げて兵士を生み出す能力みたい。それだけでも厄介な能力だろうけれど、数と生産速度が何よりも問題ね。
こちらが十体を破壊する間に、向こうは十一体も生み出している――そう思わせるくらいの生産速度なのよ。
ミクロな戦いは得意でも、マクロな戦いはちょっと不得手な面々だからでしょうか。
戦線はやや硬直気味です。
総隊長の流刃若火とか、狛村隊長の天譴で薙ぎ払えればアッという間に片付くんでしょうけれど。
「浮竹隊長!」
「湯川! 湯川か!? 良く来てくれた! それに背中は、雛森三席か! 大丈夫なのかい!?」
「はい! ありがとうございます!!」
乱戦の外から声を掛ければ、浮竹隊長が反応してくれました。
同時に桃の事も気遣う辺り本当に良い人ですよね。
「おう! 遅かったじゃねえか! けど、随分と愉しんだみてえだな! へへへ、今度俺にも斬り合いさせろよ!!」
対して更木副隊長は、手にした斬魄刀で髑髏兵たちを薙ぎ払っています。周囲の様子から察するに、参戦したばっかりみたいね。まだ始解すらしていないし。
……ところでこの"斬り合いさせろ"って、ハリベルのことよね? なんでバレているの?
『思うに、更木剣八殿を相手に戦場の匂いを誤魔化すのは不可能かと。あと同じシチュエーションならば卯ノ花殿も間違いなく気付くはずでござるよ』
阿散井君と茶渡君は、更木副隊長よりも先に来たみたい。
それと遠くからやってくる霊圧もあるわね。これは朽木隊長にルキアさんに海燕さんに、イヅル君も……?
どういう組み合わせかしら?
イズル君が治療に向かったのかもしれないけれど……でも今は気にしてる場合じゃないわよね!
「遅れてすみません! 私も今から参加しますので!」
「いや、ここは俺たちだけで十分だ! それよりも湯川は先に行ってくれないか!?」
「先にですか……!?」
桃を下ろし、斬魄刀を引き抜いて目の前の髑髏兵士たちとの戦いに参加しようとしたところ、浮竹隊長から待ったを掛けられました。
どういうことでしょうか?
「この先には一護君がいるんだ! 彼とはここまで一緒に来たんだが、色々あって先に行かせた! 俺はここで露払いをしてから合流するつもりだったんだが、予定が狂った!!」
なるほど、黒崎君のお願いで先に行かせたって訳ね。王子様としては、織姫さんを自分の手で助けたいだろうし、その想いを汲み取ってあげたわけか。
計算違いがあるとすれば、この兵力。浮竹隊長の顔に疲労の色が浮かんでるもの。
『ぶっ倒しても! ぶっ倒しても!! ぶっ倒しても!!! 状態でござるな。ルドボーン殿の能力を見誤ったでござるよ。袖白雪で固めないとこんな状況になって詰む可能性があったわけでござるな』
それ以外にもおそらくだけど、この場所で待ち構えて兵隊も予め大量に量産していたんじゃないの? 私たちの狙いは此処だって分かっているわけだし、そのくらいの備えはしていてもおかしくないと思うの。
『
……え、これって私のせいなの……?
「それに塔から漂ってくるこの霊圧、もしかすると危険かもしれない!! だから回道の使い手のお前に頼む! 一護君を助けてやってくれ!!」
「わかりました!!」
頷くと霊子で足場を作り、髑髏の軍団の上空を一気に駆け抜けていきます。
「行かせるものか!!」
「飛梅!!」
空中を掛けていく私へ向けて、そうはさせじとルドボーンが兵隊を繰り出してきました。同時に自身も枝の一本を鞭の様にしならせ、たたき落とそうと動いてきます。
ですがその動きに対応してくれたのは桃でした。
斬魄刀を始解させ、火球で迎撃していくその姿はなんとも頼もしい物でした。
おかげで私は塔の中へ突入する事が出来ました。
……これで、だぼだぼの隊首羽織がなかったら完璧なんですけどね。
『それ
それとこれって、更木副隊長を先に行かせた方が絶対に確実よね。
塔の中の全ての
『それをやってしまうと、一護殿の立つ瀬がねえでござるよ……因縁があるからこそ、自分の手で決着を付けさせてあげたいというお心遣いでござる』
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塔の中を一気に駆け上っていきます。
事前に黒崎君が通っていったおかげで道が開拓されていますから、それに沿って進めば特に大きな障害などもありませんでした。
一応あちこちから
そういう、身の回りのことを担当する
アッという間に先へ進み、直前まで来ました。
戦場はこの上の階ね。しかも黒崎君が破ったんでしょう、天井に穴が開いてます。
この穴を通れば――
「黒崎君! 織姫さん! 無事!?」
「あぁん……!?」
……えっと、何コレ?
勢い勇んで飛び込んでみれば、黒崎君とウルキオラは鍔迫り合いをしていました。
そして何故かヤミーもこの場にいました。私が飛び込んできたので、不思議そうな表情で顔をこちらに向けてきます。
何故か
……はぁっ!? なにこの子!?
解放をしているらしく、なんだかムカデみたいな姿をしていますけれど許容範囲。
黒髪ツインテールの美少女で……あらやだ、お仲間だわ。
ただ、容姿は凄く勝ち気で陰湿そうな印象を受けますね。一言でいうと、生意気そう。
状況から察するに、ヤミーにやられたんでしょうか? 今にも事切れそうなくらい大怪我をしています。
そして織姫さんが、ちょっと暴行でも受けたかのように服が破れて床に倒れて……
…………
………………ああっ! 思い出した!!
確かロリ・アイヴァーン! 相方はメノリ・マリア!!
この二人って、織姫さんを思い切り傷つけてた!! 許せない!! 絶対に許せない!!
でも助ける!!
「ヤミーッ!!」
「なんだ、死神……ぐおおっ!?」
予め斬魄刀を抜いたまま走ってきたのが幸いしました。
一瞬動きを止めたヤミーの右腕を切断せんとばかりに即座に、そして力一杯斬りつけます。
「ちっ、硬い……」
「……ってぇじゃねえか、死神ぃぃっ!!」
「あぐ……っ……!!」
ヤミーの腕は下手な胴回りより太くなっています。
それを加味しても十分切断出来るほどの斬撃を繰り出したはずなんですが、刃は腕の中程まで食い込んだところで、骨に阻まれました。
まさか止められるとは思っても見ませんでした。
いくら始解も
「あの死神は……」
「湯川さんか!? すまねえが、井上のことを頼む!!」
「任せて!!」
ウルキオラは私を興味深そうに眺めています。
黒崎君は戦いに集中したいのでしょう、私に託してくれました。
任せて頂戴! まずはこのヤミーを蹴落として、その後でゆっくりと二人の
でもまずはヤミーから!
切断はされずとも腕を半ばまで斬られ、相当痛いのでしょう。
右手に掴んでいたロリを床へ乱暴に叩き付けて投げ捨てながら、私へ向けて殴りかかってきました。
ちなみに叩き付けられたロリは、ぐちゃっと鈍い音を立てて動かなくなりました。
……い、生きてるわよね? まだ霊圧を感じられるから大丈夫だと思うけれど、でも早めに治療した方が良いわね。
それと相方のメノリはどこに……あ、壁から霊圧が。コレ、かしら……?
まさか、壁に埋まってるの……?
『壁……尻……閃いたでござるよ!!』
はいはい、後で聞いてあげるから。
「ぶち殺す!!」
巨大な拳が唸りを上げながら迫ってきました。
ヤミー・リヤルゴ――以前、現世に現れた際に計測した霊圧よりも、随分と高くなってるわね。
それに身体の大きさも変よね。技術開発局が観測していたデータよりもずっと巨大になっている。
成長したのかしら……? それともそういうお年頃なのかしらね……?
……けれども。
「このくらいなら、なんとかなる……わねッ!」
「ぐああっ!? て、てめぇ……クソ女!!」
迫り来る拳を斬魄刀の刀身にて逸らしつつ、腕を膝で蹴り上げてやります。
丁度斬りつけたのと反対の位置に強烈な衝撃と激痛を受けて、ヤミーの腕が高く弾かれました。
予想外の衝撃に足の力も抜けて止まり、肌からは骨や筋組織が軋むミシミシという音が伝わってきます。
「吹き飛びなさい!!」
「ぐぶっ!」
ですがまだ攻撃の手は緩めません。
足の止まったヤミーの腹を強く蹴り飛ばし、壁に目掛けて吹き飛ばします。
かなり重かったのですが、なんとか狙い通り。よろめきながらもヤミーは後ろへと下がり、やがて背中が外周の壁に触れました。
「もう……一回!!」
「ぐ、おおおおおっっ!!」
そこへダメ押しとばかりに、肩から飛び込んでの体当たりです。
狙いはヤミーを塔の外へ弾き飛ばすこと。
倒すにしても手間が掛かりそうだし、落ち着いて治療するにはこの場から排除した方が楽だからね。
それになによりも。
外には、斬り合いたいって人が鬱憤を溜めているから。
だからヤミー、ちゃんと遊んで貰うのよ。
「くっ! そおおおぉぉぉぉぉっ!!」
体当たりの衝撃で壁に亀裂が入ったと思えば、次の瞬間には崩れ落ちていました。崩落していく壁に巻き込まれるようにして、ヤミーもまた塔の外へと落ちていきます。
ちゃんと成仏するのよ。
『成仏させるのは
……は? 私は今から治療するから。だからそれ無理。
「黒崎君、これで織姫さんは無事よ! 後のことは私たちが持つから、思いっきりやってやりなさい!!」
屈辱の声を上げながらヤミーが落ちていったのを確認してから、黒崎君へ声を掛けます。とはいえ彼は今ウルキオラとの激戦の真っ最中。
反応は特にありませんでした。
ただ、ほんの一瞬だけ私の方をみて笑顔を見せてくれました。なので私も、笑顔を返しておきました。
さて、それじゃあ次の仕事をしましょうか。
「し、が……み……」
「大丈夫?」
私はロリへ向けて、回道を唱えます。
彼女は床の上で潰れた蛙のようになりながら、朦朧とした視線を向けて来ました。
●この辺の各死神たちの動き(虚圏に来てから、ヤミー戦の辺りまで)
(原作)
・マユリ:治療してから、資料保管庫を漁っていた(なので遅れた)
・ネム:マユリのお手伝い
・恋次:マユリに治療して貰ってから、一護の所へ
・雨竜:同上(恋次より遅く移動開始)
・ルキア:アーロニーロ戦の怪我を治してから、一護の所へ
・白哉:ゾマリ戦の怪我を治してから移動
(ただ「ルキアを優先」「担当が花太郎(一番未熟)」なので遅れた)
・剣八:ノイトラの傷を治してから、一護のところへ
(卯ノ花が来るまでのタイムラグで遅れた)
・チャド:卯ノ花に真っ先に治して貰ってから一護のところへ
・卯ノ花たち:色々と治療して回ってたので遅れた
と認識しています。
(剣ちゃんが大人しく治療を待つか? などの疑問は考えないこととする)
上記を踏まえて(拙作中の場合)
・マユリたち:原作通り
・ルキア:無傷(ただし、海燕を少しでも治療しているため遅れる)
・白哉:無傷(ただし、ルキアが心配なので待っていて遅れる)
・剣八:無傷(なので先行する)
・チャド:割と大怪我
・吉良:怪我してる(チャドを治療して、その後は海燕の治療へ向かう)
・雛森:大怪我
・海燕:かなり大怪我
・浮竹:一護と一緒に行動してた
海燕さんの負担が大きすぎる……
(あと、単騎で塔に突入させる辺りも理由としてちょっと厳しいですね)
●某四番隊隊長の動き
・チルッチを治して
・アパッチたちを
・ハリベルを
・雛森を治して
・ロリとメノリを治す ← 今ココ
・この後ネルを治す
ほぼ敵しか治療してない……なんだコイツ……?