お前は天に立て、私は頂をこの手に掴む   作:にせラビア

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第254話 子供のしつけ

 今頃はきっと、現世でも戦いが繰り広げられているんでしょうね。

 

 ……だ、大丈夫よね……?

 一応色々と策は練ったはずだから。流刃若火が大暴れすると空座町以外が危険だから、そうなる前になんとかカタを付けられるとは思うんだけど……

 

『空座町は偽物でござるが、周囲の街は本物でござるからなぁ。下手に暴れると、近隣諸国や転界結柱にまで被害が及んでしまって、修理費でお財布ピーピーでござるよ!! 今期の予算が食い潰されるでござる!! そんなことになったら今月も来月も再来月もモヤシしか食べれないでござる!!』

 

 四番隊は薬品とか医療器具とかで、他の部隊よりお金掛かるから……それ、あんまり笑えないのよね……

 

 あ、転界結柱で思い出したんだけどさ。

 

 一角もあの柱の護衛に選ばれていたのは良いんだけど、負けてないわよね?

 厳しめに見てもかなり強くなっていたし、始解でも勝てると思うんだけれど……

 でもどうしてかしら? アイツ、卍解してフルパワーで暴れてる気がするわ。ううん、根拠はないけれど絶対に卍解してる!

 

『その意見、拙者も全く同意でござるよ!! "引っ張りすぎでござるし、いい加減そろそろ出しておかないとこのまま永遠にお蔵入りのまま、出番なしで終了してしまいそう。機会を失するくらいならここで卍解させておこう!"という、何かの裏事情的な気配を感じまくりでござる!!』

 

 やめて!!

 

 ……とまあ、そういうことを考えたり考えなかったりしながら、現在はロリの治療をしています。

 

『ロリの治療をしている、という言葉のなんと誤解を招くことか!! 字面だけ見れば性癖を矯正されているようにしか見えねえでござるな!! エッチな大人のお姉様たちに囲まれる治療でござるよきっと!! その治療、どこに行けば受けられるでござるか!? 保険適用外でも受けに行くでござる!!』

 

 あー……そうね……四番隊(ウチ)、来る?

 勇音と私でよければ相手するわよ? 

 

『では添い寝を!!』

 

 …………

 

 治療前は虚ろな眼差しのロリでしたが、少しすると焦点がハッキリしてきました。

 

「死神! ……あぐっ……!!」

「大丈夫? 目は覚めた? 自分の名前は言える?」

「え……ロリ・アイヴァーン……って違う! なんだお前は! あたしは確かヤミーの奴に……そうだヤミーは!?」

「はいはい、ロリちゃんね」

「誰がロリちゃんよ! 気安く名前を呼んでんじゃないよ死神ッ!」

 

 意識を取り戻す程度で治療を止めたので、動いたり喋ったりするだけでも痛いはずなのに。この子、よくやるわね。ツッコミ入れたりツッコミ入れたり忙しい子だわ。

 ロリですが、ヤミーにやられた痛みと意識を失いかけたことで開放状態が完全に解けています。なので最初に見た時のムカデの様な姿はどこへやら。

 今では完全に、ただのツルペタ少女です。

 胸板やらお腹周りやらおへそまで丸見えの格好に加えてミニスカートという挑発的過ぎる格好。太腿まで伸びるロングブーツとスカートとの間に生足がチラッと見える辺りは基本的だけどポイント高いわよ!

 

『ますます生意気そうなガキの感じがマシマシでござるな!!』

 

 そんな、ギャーギャーと五月蠅いロリを肩に担ぎます。

 

 ……うん、やっぱり肉付きが薄いわね。お山(おっぱい)ももう少しあると個人的には嬉しいんだけど、そうすると見た目とのギャップが大きすぎるから。やっぱりこのサイズが正しいのかしら? 

 

「放せ死神! 触るな担ぐな!! くそっ! 身体さえ動けば……!!」

「はいはい、文句は後で纏めて受け付けるわよ。それよりもう一人の治療を優先させてね」

「はぁっ!? もう一人ってまさか、メノリに何かしようってんじゃないでしょうね! コラ死神!! 黙ってないでなんとか言いなさい!!」

 

 無視無視……って思ってたら、織姫さんが来たわ。

 

「あ、あの湯川さん。その、もう一人いるんです。それで……」

「ええ、あっちの壁に埋まっている子でしょう? 大丈夫、そっちも私が治療するから。織姫さんは黒崎君を信じて待っててあげなさい」

「あ……はいっ!!」

 

 二人に襲われて怖い目に遭っているのに。今だって肩の辺りがビリビリに破かれていて、頬の辺りとかちょっと怪我しているのに。

 なのに自分のことを後回しにして「メノリも助けてくれ」って言ってくる辺り、この子、良い子過ぎるわよね。

 

「うん、良い返事ね。だけどその顔だと黒崎君が安心出来ないから」

「あ……」

 

 そっと頬に手を当てて、回道で怪我を治します。

 ほっぺた柔らかいわ……もうどうでもいい……このままずっと撫で回していたい……

 

「うん、美人になった。これでもう大丈夫ね」

「ありがとうございます!!」

 

 というわけにも行かないので、ぷにぷにのほっぺたから断腸の思いで手を放して織姫さんを送り出します。

 見れば黒崎君とウルキオラの戦いは、(ホロウ)化も加わってますます激しさを増していました。

 織姫さんの危険が無くなって、戦いに集中出来るようになったからでしょうねきっと。

 

 私も来た甲斐があるというもの……あら?

 気がつけばいつの間にやら、石田君が来ていました。そういえば彼は原作でもここまで来ていた気がします。

 

「石田君? どうしてここに?」

「ええ、どうも。少し前に塔へ到着したのですが、空からヤミーという名の破面(アランカル)が降ってきたので中の井上さんが心配になって……」

「それ落としたの私よ」

「……は?」

 

 目を丸くしてたわね。そんなに驚くことかしら?

 

「下には更木副隊長もいるし、問題は無いと思って」

「た、確かにそうかも……」

「でも君も来てくれたなら心強いわ。ちょっとだけ織姫さんをお願いできるかしら? 私はこの子たちの面倒を見なきゃならないから」

 

 言いながら肩を軽く揺らして、ロリの存在をアピールしてあげます。

 さっきから描写はしていませんが、彼女はずっと文句を言い続けています。

 ホント、これだけの文句がどこから出てくるのかしら?

 

「頼んだわよ!」

 

 軽く念を押しておいてから、残っていたメノリへと着手します。

 さて彼女ですが……

 

 うわぁ、これはキツいわね。

 顔の左半分が腫れ上がっています。

 まるで、顔面を思い切り殴られて、吹き飛ばされて、そのまま壁に埋まって気絶した――そんな感じの大怪我をしていますね。

 

『さすが、怪我の見立ては天下一品でござるな……』

 

 当たりだったの? でもそれだと骨折とかもしていそうよね。

 となると……

 まずはロリを下ろします。治療の邪魔になりそうだし。

 

「あだっ! ……あ、あんたねっ! 下ろすんならもっと丁寧に下ろしなさいよ!! 殺すわよ!!」

「まずは壁から剥がさないと……」

 

 次に、壁にめり込んでいるメノリを引き剥がします。

 ちょっと痛いだろうけれど我慢してね。

 

「うぐっ……!!」

 

 ちょっと引っ張っただけで、予想以上に痛そうな反応ですね。

 ということはやっぱり、骨が折れてる……いえこれは、内臓も痛めてるわね……口から血を吐き出しているもの。

 

「もうちょっとだけ我慢して!」

「うぐああぁぁっ!!」

「メノリ!!」

 

 ぐずぐずしているわけには行かなかったので、一気に引き剥がします。

 相当痛かったんでしょうね。苦痛で意識が覚醒したらしく、目が開きました。カッと大きく目を見開き、次に私に視線を向けたかと思えば瞳に怯えの色が宿りました。

 

『気絶したと思ったら無茶苦茶痛くて目が覚めて、気付いた瞬間に死神がいるとか破面(アランカル)からすれば死を覚悟するレベルでござるな』

 

「し、死神……!?」

「死にたくなかったら、黙ってジッとしていなさい」

 

 壁から引き剥がしたメノリをそのまま床に寝かせて、治療を開始します。

 あらら、これは酷いわね。まずは顔を治療して、次にひっぱたかれた痕跡のある上半身を治療です。こうやって胸元に手を翳して……

 

 ……ふむふむ、なるほど。

 

『ご感想をどうぞ!!』

 

 ロリよりはふっくらしてて、ちょっとだけ大きめね。

 

『ほほう!! それはそれはなんとけしからんお山(おっぱい)でござるよ!! ちなみにアパッチ殿やスンスン殿と比べてでは!?』

 

 難しいことを聞いてくれるじゃないの……

 個人的な意見だけどね、その中だったら――

 

 

 

 ――あ! そうこうしている内に、治療が終了しました。

 ロリ同様に完治はさせていませんけどね。痛むけれどもなんとか立ち上がれる程度に抑えています。

 

 だって、下手に暴れられると面倒なんだもの。

 

「……よし、これでひとまずは大丈夫」

「な、なによあんた……? なんで死神があたしを助けるのよ……?」

 

 痛みが引いたことで、多少は落ち着いたのでしょう。

 メノリが訝しげな視線を私に向けてきます。

 

「私は四番隊の死神だもの、治療するのが仕事よ。死神だろうと破面(アランカル)だろうとね」

「はっ! どうだか!!」

 

 せっかく落ち着かせようとにっこり笑顔で言ったのに、ロリが叫び声を上げてきました。

 ちなみに彼女、痛む身体を無理矢理起こして立ち上がっています。ちょっと休んだからその程度は回復したみたいね。オマケにどこから取り出したのか、短剣のように短い斬魄刀をこちらに向けて構えています。

 とはいえ足元がフラフラで手も震えていて、全く怖くないけれど。

 

「あんたもどうせ、あたしを殺しに来たんでしょうが! ふざけんな!!」

「そんなわけないでしょう? そのつもりだったら、ロリちゃんもメノリちゃんもとっくに斬ってるわよ?」

「うるさい! あたしたちの名前を気安く呼ぶな!!」

 

 あらら、敵対心でいっぱいです。

 困ったわ……どうしようかしら……?

 

 どうしたものかと悩んでいると、メノリが勢いよく身体を起こしました。 

 

「ロ、ロリ! まずいって!! この死神……! 良いから逃げて!!」

「はぁ!? こんな甘っちょろい死神がどうしたってのよメノリ! ちょっと怪我してようと、あたしたち二人で掛かれば――」

「忘れたの!? コイツ、ハリベルを叩きのめして仲間に引きずり込んだ死神よ!! 藍染様が仰ってたでしょう!!」

「――余裕で……え……?」

 

 ロリの表情が固まりました。

 いいわね、この流れに乗っておきましょう。

 

 膝を突いてしゃがんでいたのを、ゆっくりと立ち上がりながら、二人に向けて霊圧をじっくりと掛けていきます。

 

「ええ、そうよ。自己紹介、まだだったかしら? 湯川藍俚(あいり)っていうの。メノリちゃんの言った通りアパッチ、スンスン、ミラ・ローズの三人にアヨン。それとハリベルも倒したわ。そうそう、皇鮫后(ティブロン)って名前だったけど……」

 

 流石にこの二人じゃあハリベルの斬魄刀の名前までは知らないでしょうけれど、でも第3(トレス)十刃(エスパーダ)とその従属官(フラシオン)の名前くらいは知っていたみたい。

 だって一人一人名前を挙げていく内に、顔色がどんどん悪くなっていったもの。

 

「ああ、ごめんなさい。あなたたちじゃ、そこまでは知らないわよね。けどまあ、それはそれとして……」

 

 ゆっくりと語りながら立ち上がっていくと、ロリの表情が恐怖に歪みました。今にも泣き出しそうです。

 メノリも、表情は見えないけれど気配はかなり怯えています。

 二人とも「ハリベルよりも強い死神に喧嘩を売ってしまった」って、後悔してるんでしょうね。

 そこまで話し終えたところでわざとらしく言葉を切ると、瞬歩(しゅんぽ)で一瞬だけ姿を消します。

 

「――ッ!!」

「よろしくね?」

 

 再び現れたのはロリの背後。

 彼女の両肩に手を掛けながら耳元でそっと囁けば「ヒィッ!」と小さく息を呑んだまま、硬直してしまいました。メノリもガチガチと、歯の根が合わないほど震えています。

 

「お返事は?」

 

 その数秒後。

 ロリとメノリは無言のまま、激しく頷いて返事をしてくれました。

 

 やっぱり、ちゃんと誠意を持って話すのって大事よね。

 

『ところで藍俚(あいり)殿?』

 

 何かしら?

 

『先ほどハリベル殿らの名前を挙げていたでござるが……チルッチ殿の名前は出さないでござるか?』

 

 あの子3桁だし、多分知らないと思ったから省略したわ。

 

『可哀想なチルッチ殿でござるなぁ……よし! 今度拙者のまっくろ粘液で身体中をヌルヌルに……!!』

 

 それはマッサージする話まで待ちなさい!!

 

 

 

 

 

「さて二人には、一つ聞きたいことがあります」

 

 少し落ち着くまで時間を取ってから、改めて切り出します。

 

「どうして織姫さんの服が破かれて怪我をしていたのかしら? 二人は知ってる?」

「……っ!」

「それは……」

 

 せっかく落ち着いた二人の顔色が、また悪くなりました。

 でもロリは反抗的な目をしているけれども、メノリはちょっとだけ媚びを売る目をしてますね。

 

「藍染の命令で連れ去られたってことは分かってるから、てっきり大切に扱われていると思っていたんだけど、どうしてなのかしら? いったい誰が……」

「……あたしよ!」

「ロリ!!」 

「何ビビってんのよメノリ!! だって藍染様が仰ったじゃない!! あの女は"用済み"だって!! 用済みの女に何をしてもお叱りを受けることもない!! あんただってそう!! 偉そうにしたところで、すぐに藍染様が殺してくださるわ!!」

 

 あららこの子、ある意味すっごい度胸あるわね……

 

「そう? でもね、藍染の対策は死神だってしてるのよ。侵攻に合わせて万全の迎撃態勢を取っているの。だから」

「だから!? 藍染様が死神なんかにやられるっていうの!? あははははは! つくづくおめでたい頭してんのね!!」

「そうかもね。でも、今のあなたは誰が助けてくれるの?」

「え……」

 

 動きがピタリと止まりました。

 

「藍染は今、現世に行っているのよ? それで誰がどうやって私を止めるのかしら?」

「う……」

「そ、そうだよロリ! コイ――こ、この死神はヤバイって……!!」

 

 コイツって言いかけて、慌てて言い直したわね。

 

「少なくとも二人には、織姫さんを襲った罰を受けてもらわないと」

「ヒッ! や、止めろ触んないでよ!!」

 

 文句を言いますが、聞いてあげません。

 まずはロリを小脇に抱えます。

 次に――

 

「え……えっ!? な、なんで……あたしの身体が勝手に……ま、まさかっ!!」

「ええ、そうよ。それは私の仕業」

 

 ちょっと前に朽木響河が使っていた五感支配――霊圧を流し込んで相手の身体を操るというアレ、覚えていますか?

 アレを使ってメノリの身体を操っています。

 破面(アランカル)相手に霊圧を流し込むのはチルッチで練習済みですし、アパッチたちくらい強い相手だと霊圧で弾かれますが、彼女たちくらいだったら余裕です。

 小脇に抱えたロリと向かい合う位置までメノリを移動させます。

 

 さて、準備は整いました。

 

「ふぎゃあああああああぁぁっ!!」

「ごめんねごめんねロリ!! 違うの! あたしの意思じゃないの!!」

ひゃめろ(やめろ)! ひゃめろ(やめろ)ひにがみ(死神)ぃ!」

「聞こえなーい♪」

 

 ロリのお尻を平手で叩くと、泣きわめく声が聞こえてきました。

 ですがそれは、メノリが口の両端を左右へ思いっきり引っ張っているので、まともな言葉になっていません。

 

 これが、織姫さんを襲った二人への報いです。罪には罰を、当然ですね。

 罰の内容は、改めて言うまでもありませんが。

 私にお尻をひっぱたかれて、親友には両頬を思い切り引っ張られるというものです。身体は自由に動かないわ親友に辱められるわで、屈辱は今までの比ではないでしょうね。

 あとこれだけやれば、織姫さんを逆恨みすることもないだろう。その矛先は私に向くだろうという狙いも込みです。

 

ふぁんふぁ(あんた)ふぉろふ(殺す)! ふぉろひて(殺して)……」

「えいっ!」

「ひぎゃああああああああああああああぁぁぁっ!!」

 

 パシーンッ!! って感じの、なんとも良い音が鳴りました。

 あ、一応ちゃんとミニスカートの上からひっぱたいているから安心してね。その下には真っ黒な大人っぽいパンツをちゃんと履いてたわ。

 ただ、かなり攻めたデザインだから、お尻が真っ赤になったのが丸わかりなのよね。

 

 

 

「ロ、ロリ……大丈夫……?」

「ひっく……ひっく……殺す、あの死神絶対殺す……」

 

 だいたい三十発くらいはひっぱたいたかしら? その辺で解放してあげました。

 ロリは床の上で膝を抱えて横になっています。ただ両手をお尻に回して、必死で抑えているけれどね。

 

「さて、それじゃあ……」

「な、何よ……まだやる気なの……?」

「待って! ロリはもう……」

「ええ、そうよ。ロリちゃんの番は終了。今度は……」

「……え?」

 

 

 

ひっふぁ(いったぁ)あああぁぁい!!」

「メノリ!! ちくしょう死神!! アンタ、こんなことして只で済むと本気で……」

ふぉり(ロリ)! ふぉねがい(おねがい)ほっろひからぬいへ(力抜いて)……!!」

「じゅーいちー!」

「ふぁぎゃああああああああああああああぁぁぁっ!!」

 

 メノリも良い声で泣いてくれました。鳴き声の情けなさなら彼女の圧勝です。

 ただこの子、ボトムがパンツなのよね。そのせいで叩いても良い音が鳴らないの。そこだけが困りものね。

 

「じゅーにー!!」

「ふあああああああぁぁんっ!!」

「メノリいいぃっ!!」

 




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