お前は天に立て、私は頂をこの手に掴む   作:にせラビア

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第267話 狼とポジョデモーレ

 前回、狛村隊長の相談に乗ってから十日ほどが経ちました。

 あれから特に、誰かがやってくるわけでもなく。私は現世と尸魂界(ソウルソサエティ)を行ったり来たりしながらお仕事を続けていました。

 

 よかったぁ……射干玉があんなことを言ったから、どうなることかと思ったけれど……

 別に何もないみたいね。

 即座に何か、こう「関連のある事件が起こって大騒ぎ!」なんて展開を想定していたから、むしろ拍子抜けって言うか……

 

 ううん、隊首室で粛々とお仕事できるのってとっても素晴らしいことよ。

 けど万が一に備えて用意した備蓄や薬、無駄になっちゃったわね。勿体ないから、これも使っちゃいましょう。

 四番隊(ウチ)の子たちに振る舞ってあげても――

 

「ごめんしてつかぁさい! 湯川隊長はおりますけぇの!?」

 

 ――あ、予定がぶっ壊れた音がしたわ。

 

『拙者の言った通りでございましょう?』

 

 うん……でもまさか、こう来るとは思わなかったわ……

 この声と口調って、射場副隊長(あのひと)以外ありえないわよね……ってことは……

 はぁ、行かなきゃ……

 

 遠くから聞こえてくる綜合救護詰所の入り口周辺のざわめきに憂鬱な気分になりながら、私は隊首室を後にしました。

 

 

 

「ああ、こら(これは)湯川隊長。ご迷惑をお掛けしてえらいすんません!」

「いえまあ、それは構いませんが……ひょっとして、狛村隊長の事ですか?」

ほう(そう)です! 隊長を、止めてつかぁさい!!」

「……へ?」

 

 止めて、って……何かしたの……? 

 

「なんでも湯川隊長とご相談したぁ聞きましたけん」

「ちょ、ちょっと!?」

「お願いします! もう頼れるんは湯川隊長しかおらんのです!!」

 

 現在、綜合救護詰所の入り口辺りです。

 そのため色んな人の目があります。そんな中、射場副隊長は私の両腕をしっかりと掴むと縋り付くような視線を送ってきました。

 普段は凜々しく男気溢れるだけに、今のなりふり構わない様子は奇異に映るようで。あっという間にざわざわと話し声があちこちから聞こえてきます。

 

『ちなみに、射場殿はサングラスを付けておりますが! グラサン越しでもなんやかんやで感じられる、ということでござるよ!! なんやかんやは便利でござる!!』 

 

「お、落ち着いて! 落ち着いてください!! とりあえずこっちの部屋でお話は聞きますから!!」

「ぬおぉっ!?」

 

 混沌とした状況に耐えきれず、思わず応接室に引っ張り込んでしまいました。

 力一杯引っ張ったので、射場副隊長がひっくり返っているのが視界の端に見えます。

 

「……あっ! それと皆は通常業務を続けてね!」

 

 最後に野次馬たちにそう告げると乱暴に戸を閉め、静かになったことを確認しながら息を吐き出しました。

 

「はぁ……ここなら、問題は無いと思うので。ゆっくり落ち着いて、最初からお話してください」

「えらい、すんません……」

 

 射場副隊長も自分が性急過ぎたと反省しているのか、頭を掻きながら口を開きます。

 

「何から話せばええのやら……発端となったんは、ウチの隊長が湯川隊長のところへ相談に行った日からです」

「相談、受けましたね。個人情報のこともあるので、内容はお話できませんが……」

「いえいえ、それについては儂も知っとりますけぇ問題ありません。隊長は『湯川隊長とお話して、自分がどうすれば良いのか。その指針を改めて自覚できた』言うちょりました」

「そ、そう……それは良かったわ……」

 

 ……うん? ということは、なにがあったの……??

 

「それはええんです! ただその日から隊長は、ロクに休みも取らんと仕事に調べ物、自己鍛錬にとぶっ続けでやっとるんです!!」

「は……っ!?」

「時間のある時にゃ流魂街に出向いとりますし、まるで自分を追い込んどるようで……儂ぁ(わしゃあ)、もう見とれんくなっちまいまして……」

 

 ああ……そういうこと……?

 

「それで、原因である私に責任を取れってこと? もう一度説得して、やめさせればいいの?」

「いやそれは……そういうんではのぉ(なく)て……」

 

 え、これも違うの!?

 

「隊長が苦しんどったことは儂らもしっちょります! じゃから、止めようとは思っちょりません(おもっていません)! ただ、今みたいな自分の身を削り続けるような真似はせんように上手く言っては貰えんもんか思いまして……」

「今のままで、でも適度な休憩を挟んで自分の身体を労るように誘導すればいいの?」

「はい! 仰る通りです!!」

 

 う、うーん……面倒な注文だわ……

 何より、それが目的だったら……

 

「手っ取り早く、総隊長に相談するのはダメだったの……? 定期的に"休め"と命令すれば、狛村隊長も……」

「そがぁな命令、隊長が聞くわけありません! 目が届かんのをいいことに、ここぞとばかりに倒れるまで働くに決まっとります!!」

 

 いやいや、精神状態どうなっているのよ狛村隊長!?

 

「じゃけん、もう湯川隊長のお力をお借りする以外に手があらぁしません(ありません)!!」

 

『言外に"おまえの責任だろ、なんとかしろ"って言われてるでござるよコレ』

 

 奇遇ね、私も同じ気持ちだわ……

 

「……分かりました。なんとかしてみます」

「本当ですか!? 恩に着ますけん!! ほんなら、お願いします!!」

 

 うわ……すごく良い笑顔……

 

 でも、引き受けたは良いけれど、どうしようかしら……

 狛村隊長を休ませるとするなら……

 

 あ、そうだ……!! うん、アレで行きましょう!!

 

『おお、何か思いついたでござるな!?』

 

 ベタな手なんだけどね。

 あとは、部下の子にちょっとだけ情報収集をしておきましょう。確か以前、話をしていたはずだから……

 

 

 

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 

 

 

「五郎ちゃん、久しぶりー♪ 私のこと、覚えてる?」

「ヒャン!!」

 

 翌日。

 善は急げという事で、色々と無理を言って狛村隊長と再び会うことになりました。

 

「狛村隊長も、わざわざ八地区までご足労させてすみません」

「いや、それは構わぬが……」

 

 ただ場所は四番隊の隊舎や綜合救護詰所などではなく、八地区のとある一画です。

 約束の際には「五郎ちゃんも一緒に連れてきてください」とお願いしたので、こうして一人と一匹が同時に登場です。

 それにしても、五郎ちゃんとは久しぶりに会ったわね。半年ぶりくらいなのに、全然忘れずに頭を擦りつけながら懐いてくれています。

 

「なぜ五郎まで連れてこねばならなかったのだ? いやそれより、儂には果たさねばならぬ使命があるのだが……」

「すみません……実は今日は、私のワガママなんです。どうしてもココに行ってみたくて!!」

 

 そう言いながら、狛村隊長へ向けて一枚のチラシを差し出しました。

 ですが差し出された当人は、ぽかーんとしています。

 

「ドッグカフェです」

「ドッグ、カフェ……?」

犬と一緒の飲食店(ドッグカフェ)ですよ。四番隊(ウチ)で話題になってて、それで一度行ってみたくて。でも犬を飼っている知り合いが狛村隊長以外に思いつかなかったもので……」

 

 こちらのお店、いつの間にかオープンしていました。そのまんま現世のドッグカフェと同じです。

 元々ペットショップみたいなお店だったんですが、どこで知ったのやら愛犬と一緒に飲食を楽しめるお店になっていました。

 愛犬家同士が知り合えるらしいので、口コミでそこそこ噂になってるみたい。

 

「ご迷惑、でしたか……?」

「ぬぅ……」

 

 まさかこんなことで呼び出されたとは思っていなかったようで。狛村隊長が複雑そうな表情になっています。

 

『チベスナ顔とはこういうときに使えばいいのでございましょうか!?』

 

 多分ね、そんな感じだと思うわ。

 

「ほら、五郎ちゃんも最近狛村隊長に構って貰えなくて寂しいって言っていますよ?」

「キューン……」

「む……? ええい五郎、そのような顔をするでない! わかったわかった、確かに最近相手をしてやれんかったな。何よりここまで来てしまったのだ! 付き合ってやろう!」

「ありがとうございます! じゃあ、早速行きましょう!!」

 

 狛村隊長の気が変わらない内にと手を取り、そのまま引っ張っていきます。

 

『……なるほど、これが藍俚(あいり)殿の考えたベタな作戦でござるか?』

 

 そういうこと!

 五郎ちゃんをダシに使えば、嫌とは言えないでしょ? だから、どこか良い場所はあったかなって思っていたら、噂になっていたのを思い出したのよ。

 かこつけて、ゆっくり休ませてあげれば良いかなって! なかなか良い考えでしょ?

 

『ですがその方法では、その一瞬だけしか身体を休めないのでは……?』

 

 大丈夫! もう一つ秘策があるから!! それと併せて説得する予定よ!!

 

『秘策……? ああ、昨日(さくじつ)に四番隊で作っていた――』

 

 あーあー、ダメよ! それ以上は今はダメ! その通りなんだけど、今はダメ!!

 

『ネタバレ厳禁でございましたな! これは失礼を!!』

 

 うん、そういうことよ。出番があるかはまた別なんだけどね……

 さて後は、地図を頼りにドッグカフェまで……あら? なんだか周囲から視線が集まっているような……なんでかしら??

 

 

 

 

 

「いらっしゃいま……こ、これは護廷十三隊の狛村隊長と湯川隊長! 当店が何か、粗相でもいたしましたでしょうか……!?」

「いえいえ、今日は客として来ただけですのでお構いなく。普通に接してください。あ、二名と一匹ですけど、大丈夫ですか」

「はい、勿論。かしこまりました」

 

 お店に入った途端、店員の方からかしこまったご挨拶をされてしまいました。査察か何かだと思われたのかしら?

 

『別々の隊の隊長が二人、しかも一見(いちげん)さんでござるからな。慌てても仕方ないでござるよきっと』

 

 そう言われれば、通い慣れたお店にばかり行ってたわね……油断してたわ……

 

 そうそう、お店の事なんだけど。

 店内は綺麗で、いかにもカフェといった感じの作りになっています。洋風なインテリアとかがあって、でも落ち着いた構えですね。

 

「ほらほら、狛村隊長も。遠慮しちゃダメですよ?」

「むぅ……だが、こういった店はあまり馴染みがなくてだな……」

 

 私たちが入店すると、再び騒ぎが起こりました。

 すでにお客さんは何人もいましたが、やっぱり珍しいのか、全員が驚いたようにこっちを見ていますね。

 気後れしている狛村隊長の背中を押しながら店内へと入って席に座ると、とりあえず飲み物と食べ物を全員分――わからなかったので一番人気の物を――注文します。

 

「へえ、お野菜とお肉のグリル……それにこっちはハーブティ……凝ってるのね」

 

 しばらく後、出てきた料理に思わず感心していました。

 この辺、やっぱり現世の影響を受けているんでしょうね。愛犬に食べさせるのに考えられたメニューっていうか……

 

「の、のぅ湯川隊長? その、儂はここにいて良いのか……?」

 

 ……あ、いけないいけない。狛村隊長のことを忘れていたわ。

 

「当然ですよ。せっかく来たんですから、五郎ちゃんのためにも楽しまないと!」

「だ、だが……」

「ほら見てください、ドッグラン(運動場)もあるみたいですよ? 一緒にどうです?」

「ドッグラン……???」

「五郎ちゃんも、たまには走り回りたいわよね?」

「ヒャン!」

「うん、決まり! それじゃあ、早速行きましょう!」

「お、おい湯川隊長……!!」

 

 困惑する狛村隊長を振り回すようにして、外に連れ出します。

 

 そうして二人と一匹で遊び回っていれば、寄ってくる人もいまして――

 

「あのぉ狛村隊長……うちの子も一緒に遊んでもらって良いですか?」

「うちの子の頭、撫でてやってもらえませんか!?」

「俺も五郎と一緒に遊んでも良いでしょうか!? ほら、ボールもあるんです!!」

「あ、ああ……構わんぞ……」

 

 ――という具合に、愛犬を通して瞬く間に交流が深まっていきました。

 

「いつも散歩しているのを見てて、気になってて……!」

「そうだ狛村隊長、五郎ちゃんのトリミングとかどうです!?」

「とり……みんぐ……?」

「散髪ですよ、毛並みを整えるんです」

 

 時々こうして、分からない言葉をこっそり教えたり――

 

「うわぁ、五郎ちゃんふっかふかだね!」

「狛村隊長に可愛がってもらっているのね!」

「いいなぁ五郎ちゃん……じゃあ、私は狛村隊長を!」

「こ、こら! 湯川隊長!! 儂ではなく五郎をだな……」

「いいじゃないですか、ほらほら♪ 動いちゃダメですよ?」

「むぅ……」

 

 トリミング用のブラシで毛並みを整えたり――

 

「そういえば近くには、温泉施設もあるそうですよ?」

「温泉?」

「愛犬と一緒に遊んで出た汗を流すんだとか……あ、そこには混浴もあるそうです!」

「な……っ……!!」

「後で、一緒に入りません?」

「い、いや……遠慮しておこう……」

 

 混浴は混浴でも、犬と一緒にお風呂に入るって意味の混浴だからね。男女は別だから。

 そんな風に楽しんでいれば、アッという間に時間が過ぎていきました。

 

 

 

「……ふぅ。まったく、まさかこんなことになるとは思わなかったぞ」

「あはは……申し訳ありません。ちょっと調子に乗りすぎました」

 

 現在は再び席に戻り、お茶を飲みながらの小休止中です。

 湯飲み茶碗を手にした狛村隊長へ向けて、私は頭を下げます。

 

「だが、心地良い疲れだ……今日は、儂のことを気遣ってのことだったのだろう? 謝ることはない」

「あ……気づかれちゃいましたか?」

「最初から、少々不可解だったのだ。おそらく鉄左衛門あたりが気を回したのだろう?」

 

 あらら、全部バレていますね。

 じゃあもう、全部素直に話してしまいましょうか。

 

「ええ、そうです。隊長が根を詰めすぎていると相談を受けまして……そもそも狛村隊長がそうなってしまったのは、私の責任でもありますから」

「いや! そのようなことは決してない!! 問題があるとすれば儂の方だ!! 儂が少々気負いすぎ、軽率だったのだ。このようなことは控えると誓おう!」

 

 控える、か……

 

「控えるんじゃなくて、ちゃんと公私の区別は付けてくださいね。熱心なのは良いんですけど、もう狛村隊長一人の問題じゃないんですから!!」

「……肝に銘じておこう」

 

 東仙の問題を解決したいって気持ちが強くなりすぎてたけれど、これで良い感じにブレーキも掛かったことでしょう。

 射場副隊長ら七番隊の皆さんに心配されるようなことも、無いと思います。

 

 それじゃあ、最後に……っと。

 

「狛村隊長、まだお時間はありますか?」

「時間か? うむ、まだ平気だが……まだ何かあるのか?」

「ええまあ、でもそれは後のお楽しみですよ。さあ、行きましょう」

 

 唇に指を当てて「シーッ」のポーズを取り、いたずらっぽくウィンクしながらお店を後にします。

 あ、お金はちゃんと全額私が払いましたよ。

 

『ところで藍俚(あいり)殿、気づいておりますか……?』

 

 え、何が……?

 

『お二人の行動や言動は……いえまあ、気づかぬのならそれはそれで問題ありません……』

 

 ????

 

『(知らない人からすれば、どう見てもイチャついてる恋人同士でござるよ……またこれで一波乱なければ良いのですが……)』

 

 

 

 

 

 

「さ、どうぞお召し上がりください」

 

 続いてやってきたのは四番隊(ウチ)の食堂です。

 おとなしく座って待っていた狛村隊長の前に、手作りの料理を出しました。

 

「ふむ、あまり嗅いだことのない匂いだが……これは一体……?」 

「ポジョデモーレ、鶏肉を煮込んだ料理です」

 

 イメージとしては煮込みハンバーグみたいな感じかしら。

 ソースと一緒に煮込んであるから、柔らかくなってるわよ。

 

「ほら、以前に茶渡君と一緒に食事をしたのを覚えていますか? あのときは赤茄子(トマト)でしたけれど、今度は狛村隊長がお好きな物をと思って」

「それがこれか……どれ」

 

 スプーンを手に、一口食べてくれました。

 

「甘いが、ほろ苦い。それでいて肉の旨味もある……不思議な味だな」

「実はそれ、茶渡君の故郷の料理なんです」

「泰虎の!?」

 

 よし! 予想通りに食いついてくれました!!

 狛村隊長なら、絶対に食いついてくれると思ってたわ!!

 

「ええ、正確には彼のルーツとなった国……メキシコっていうんですけれど、そこのお肉料理の一つです。今度また茶渡君と一緒に食事をする機会があったら、そういう料理を食べたいんじゃないかなって思ったので」

「そうか、これが……」

 

 正体が分かったからか、狛村隊長は次々に口へ運んでいきます。

 

「茶渡君、現世でボクシングって格闘技を習い始めたそうですよ。自分の戦い方には、基本となるものが無い。だから基礎から鍛え直すんだって言ったそうです。彼は、黒崎君が倒れてもまた力になりたいって思ってるんですね」

「泰虎……!」

「そんな風に一歩一歩、茶渡君は基礎から頑張って積み上げ直しているんです。なのに狛村隊長がそんなに性急に事を運ぼうとしても、上手く行くわけ無いですよ」

 

 そこまで口にすると、料理を口に運ぶ手が止まりました……あ、もう全部食べちゃってるわね……

 

「そうだな……湯川隊長、すまぬ! わざわざ気を遣わせてしまって!!」

「気にしないでください」

 

 よし! これで説得は完璧ね!!

 

「それにしても、泰虎の近況などどうやって……?」

「偶然、織姫さんから伝令神機を通じて連絡をもらったんですよ。それで知ったんです……あ、そうだ! どうせなら狛村隊長も如何ですか? 茶渡君に伝令神機を渡せばいつでも連絡出来ますよ?」

「なっ!」

 

 興奮してか、思わず立ち上がりました。

 

「い、いやだがそれは……一体何を話せば良いのか……そもそも…………お?」

「……お?」

 

 悩んでいたかと思えば、不意に気の抜けた声が聞こえました。

 一体何が――

 

「おおおおおっ!?!?!?」

「狛村隊長!?」

 

 ――と思えば、瞬く間に倒れ込みました。

 しかも受け身をとらない、意識を失ったとき特有の倒れ方です! 一体どうして……

 

 そこまで考え、テーブルの上の空っぽのお皿を見て気づきました。

 

 

 

 ポジョデモーレ。

 鶏肉のチョコレート(・・・・・・)煮込みです。しかもソースにはタマネギ(・・・・)も使っています。

 

 

 

 ええっ! ま、まさかこれが原因!?

 確かにどっちも、犬に与えちゃダメな食べ物って聞くけれど!! これええぇぇっ!?

 

『どなたかお客様!! お客様の中にお医者様は!! お医者様はいらっしゃいませぬか!!』

 

 はい、私です! 私が医者です!! ……じゃなくて!!

 

「狛村隊長しっかりしてください!! 誰か! 手術室!! 緊急の治療の準備を!!」

 

 突然倒れたことで周囲が騒然とする中、大慌てで指示を出します。

 幸いにも四番隊(ウチ)まで戻ってきていたので、処置は手早く済みました。

 

 

 

 ……休ませようとは思ってたわよ。

 でもまさか、こんな風に休ませることになるなんて……

 

 違うからね! 狙ってやったわけじゃないから!!

 




●ドッグカフェ
狛村隊長が、愛犬を連れて、ドッグカフェに行く。

(多分、文字だけで面白いと思います)

●ポジョデモーレ
メキシコ料理。鶏肉のチョコレート煮込み。
(「ポジョ:鳥」「モーレ:ソース」という意味)
甘くてほろ苦いお味。
(煮込み料理なので、実際に作ると小一時間は掛かる)

煮込んだチョコと薄切りタマネギで、意中の相手を落としちゃえ!

●タマネギとチョコレート
どちらも「犬にあげてはいけない食べ物」として知られています。
(ザッと調べた限り「タマネギもチョコも、ガチらしい」ので。控えた方がベターです。チャレンジするくらいなら与えるな!! ワンワンの命が掛かってるんだぞ!!)

ただ、致死量は体重・体格に比例するので。
狛村左陣(身長288cm 体重301kg)という巨漢では、多少の量を食べても影響は微々たる物だとは思います。

倒れたのは、漫画的な表現のノリ。
もしくは、藍俚(あいり)殿のお料理に込められたパワーが強すぎた。
どちらでもお好きな理由をどうぞ。
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